4 / 4
3
しおりを挟む
サフィーリアの黄金姫。
それが、シリーの通り名だった。
輝くようなきらめく金色の髪に、爽やかな初夏の新緑を思わせるようなエメラルドグリーンの瞳。大きくも小さくもなく絶妙に通った鼻。薔薇色の頬と、熟れた林檎のように赤い唇。女性にしては少し低いが、いつも落ち着いていて耳に心地よい凛とした声。そして、手足や腰は細いのに胸はほどよく大きく、お尻はプリンとしている。
若干16歳ーー美人とはまさにこういうものだーーという見本のように美しい妹だった。
対する私は20歳、濃い灰色の髪に灰色の瞳、瞳は光の加減で時々紅く見えることもある。灰紅の瞳は王家の特徴で、亡き父王も同じ瞳をしていた。そういう意味では、私は正統な王家の血筋を体現しているのだが、シリーの美貌の前では、そんなものは光加減で見え方の変わる道端に落ちている石ころのようなものだった。光り輝く宝石の原石には逆立ちしたって敵わない。
そして、金髪にエメラルドグリーンの瞳は亡き王妃が持つものだった。
なんのことはない、美人の母に似た妹と平凡な容姿の父に似た姉だった。
シリーは決して自分の容姿を誇るタイプではなかったが、なまじ身分が王族なだけに、周りのおしゃべり雀が事あるごとにピーチクパーチク言ってくるのだ。
こちらは何ひとつ望んでいないのに、シリーと私の容姿をあげつらい、お気の毒な姉姫さま…と哀れむのだ。
それが、シリーの通り名だった。
輝くようなきらめく金色の髪に、爽やかな初夏の新緑を思わせるようなエメラルドグリーンの瞳。大きくも小さくもなく絶妙に通った鼻。薔薇色の頬と、熟れた林檎のように赤い唇。女性にしては少し低いが、いつも落ち着いていて耳に心地よい凛とした声。そして、手足や腰は細いのに胸はほどよく大きく、お尻はプリンとしている。
若干16歳ーー美人とはまさにこういうものだーーという見本のように美しい妹だった。
対する私は20歳、濃い灰色の髪に灰色の瞳、瞳は光の加減で時々紅く見えることもある。灰紅の瞳は王家の特徴で、亡き父王も同じ瞳をしていた。そういう意味では、私は正統な王家の血筋を体現しているのだが、シリーの美貌の前では、そんなものは光加減で見え方の変わる道端に落ちている石ころのようなものだった。光り輝く宝石の原石には逆立ちしたって敵わない。
そして、金髪にエメラルドグリーンの瞳は亡き王妃が持つものだった。
なんのことはない、美人の母に似た妹と平凡な容姿の父に似た姉だった。
シリーは決して自分の容姿を誇るタイプではなかったが、なまじ身分が王族なだけに、周りのおしゃべり雀が事あるごとにピーチクパーチク言ってくるのだ。
こちらは何ひとつ望んでいないのに、シリーと私の容姿をあげつらい、お気の毒な姉姫さま…と哀れむのだ。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
乙女ゲームはエンディングを迎えました。
章槻雅希
ファンタジー
卒業パーティでのジョフロワ王子の婚約破棄宣言を以って、乙女ゲームはエンディングを迎えた。
これからは王子の妻となって幸せに贅沢をして暮らすだけだと笑ったゲームヒロインのエヴリーヌ。
だが、宣言後、ゲームが終了するとなにやら可笑しい。エヴリーヌの予想とは違う展開が起こっている。
一体何がどうなっているのか、呆然とするエヴリーヌにジョフロワから衝撃的な言葉が告げられる。
『小説家になろう』様・『アルファポリス』様・自サイトに重複投稿。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
義妹がピンク色の髪をしています
ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。
(完結)嘘つき聖女と呼ばれて
青空一夏
ファンタジー
私、アータムは夢のなかで女神様から祝福を受けたが妹のアスペンも受けたと言う。
両親はアスペンを聖女様だと決めつけて、私を無視した。
妹は私を引き立て役に使うと言い出し両親も賛成して……
ゆるふわ設定ご都合主義です。
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる