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6 side王子
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「お尋ねのとおり、私はアース男爵家の長女、ルナ・アースと申します。学びたい学問があるため恥知らずにも学院にやって参りましたが、殿下たちに近づくつもりは全くありませんので、私のことは以後、空気のように取り扱っていただければと思います」
エメラルドの瞳は、まさに宝石のようだった。
ピンクブロンドにエメラルドの瞳。色白の思ったよりも小柄な少女。
それが、アース男爵家令嬢ルナ・アースだった。
⭐︎
入学式が終わったあと、学院長室に来て欲しいと言われていたので、向かっていた先の廊下で彼女を見かけた。
こちらに気づくと彼女はさっと廊下の脇に寄り道を譲った。
今思えば、どうして彼女に声をかけたのかー。
(彼女は、関わりたくない相手のはずなのに)
気づけば声をかけていた。
「君がアース男爵家の令嬢だろうか?」
そう声をかけたのに、彼女は顔をあげることもなく、返事もしない。
「顔をあげてくれないか?君がアース男爵家令嬢なんだろう?」
もう一度、声をかけた。
すると、やや間があってゆっくりと彼女が顔をあげた。強い光を宿した瞳の少女だと思った。
そして、返ってきたのは予想外の返答だった。
彼女の後ろにいる人物がブッと吹き出している。
吹き出した人物はそのまま声をかけてきた。
「エトワール子爵家の嫡男ノーヴァと申します。殿下、発言をお許しくださいますか?」
(エトワール家の嫡男…)
こいつが噂の…というのが頭をよぎった。
輝く彗星エトワール。数年前から急に力をつけてきた一族。
爵位は子爵だが、その功績は内外問わず輝かしいものばかりだ。子爵自身はおっとりした人物だが、領地でやっていること、また王都に持ってくる政策は凄まじいと言っていいほど斬新で画期的。
先日の他国の王侯貴族を招いた会議でも、子爵の案が採用されつつがなく、自国も他国も大きな満足を持って会議を終えられた。
通常であれば、当主でも王族に認識されない者がいるクラスの爵位であるにも関わらず、王子である自分でさえ意識せざるを得ない一族。
「エトワール子爵家のノーヴァ。発言を許そう」
ノーヴァはアース家の娘を庇うように立っている。それが妙に落ち着かない。
「…っ、殿下!」
焦った様子のメルキュールが止めに入るも、邪魔はされたくなかった。
「メルキュール、2度言わせないでくれないか」
「ですが…!」
普段ではあまり使わないやや強い調子で言えば、メルキュールは引き下がった。
ノーヴァは私に何を言うのか。
「お許しが出たので発言させていただきます。アース男爵家の令嬢については、エトワール子爵家が責任を持って対応いたしますので、殿下がたは安心して学院生活をお過ごしください。殿下やその側近の方々はもちろん、まわりの生徒の方にもご迷惑をおかけしないよう私が責任を持って彼女を見張りますので」
ひどく挑戦的な目で、ノーヴァは言った。
物腰は優雅で穏やかな声で。
しかし、笑顔の奥に光る目は笑ってなどいなかった。
さながら強力な肉食獣ーーそんな目をして王子以下、側近たちを睨めつけた後、何事もなかったかのようにニコリと笑うノーヴァ。
その目は雄弁に語っていた。
ルナに手を出すなーーと。
「そうか。だが、そのような気づかいは無用だ。彼女も我々と同じ学院の生徒だ。のぞむままに学院生活を楽しむといい」
だから、こう言ってしまったことに他意はない。
大人気なくもノーヴァの敵意に対抗してしまっただけで、彼女はどんな人物だろうかー?などという疑問が湧いたなど、あるわけがないのだ。
エメラルドの瞳は、まさに宝石のようだった。
ピンクブロンドにエメラルドの瞳。色白の思ったよりも小柄な少女。
それが、アース男爵家令嬢ルナ・アースだった。
⭐︎
入学式が終わったあと、学院長室に来て欲しいと言われていたので、向かっていた先の廊下で彼女を見かけた。
こちらに気づくと彼女はさっと廊下の脇に寄り道を譲った。
今思えば、どうして彼女に声をかけたのかー。
(彼女は、関わりたくない相手のはずなのに)
気づけば声をかけていた。
「君がアース男爵家の令嬢だろうか?」
そう声をかけたのに、彼女は顔をあげることもなく、返事もしない。
「顔をあげてくれないか?君がアース男爵家令嬢なんだろう?」
もう一度、声をかけた。
すると、やや間があってゆっくりと彼女が顔をあげた。強い光を宿した瞳の少女だと思った。
そして、返ってきたのは予想外の返答だった。
彼女の後ろにいる人物がブッと吹き出している。
吹き出した人物はそのまま声をかけてきた。
「エトワール子爵家の嫡男ノーヴァと申します。殿下、発言をお許しくださいますか?」
(エトワール家の嫡男…)
こいつが噂の…というのが頭をよぎった。
輝く彗星エトワール。数年前から急に力をつけてきた一族。
爵位は子爵だが、その功績は内外問わず輝かしいものばかりだ。子爵自身はおっとりした人物だが、領地でやっていること、また王都に持ってくる政策は凄まじいと言っていいほど斬新で画期的。
先日の他国の王侯貴族を招いた会議でも、子爵の案が採用されつつがなく、自国も他国も大きな満足を持って会議を終えられた。
通常であれば、当主でも王族に認識されない者がいるクラスの爵位であるにも関わらず、王子である自分でさえ意識せざるを得ない一族。
「エトワール子爵家のノーヴァ。発言を許そう」
ノーヴァはアース家の娘を庇うように立っている。それが妙に落ち着かない。
「…っ、殿下!」
焦った様子のメルキュールが止めに入るも、邪魔はされたくなかった。
「メルキュール、2度言わせないでくれないか」
「ですが…!」
普段ではあまり使わないやや強い調子で言えば、メルキュールは引き下がった。
ノーヴァは私に何を言うのか。
「お許しが出たので発言させていただきます。アース男爵家の令嬢については、エトワール子爵家が責任を持って対応いたしますので、殿下がたは安心して学院生活をお過ごしください。殿下やその側近の方々はもちろん、まわりの生徒の方にもご迷惑をおかけしないよう私が責任を持って彼女を見張りますので」
ひどく挑戦的な目で、ノーヴァは言った。
物腰は優雅で穏やかな声で。
しかし、笑顔の奥に光る目は笑ってなどいなかった。
さながら強力な肉食獣ーーそんな目をして王子以下、側近たちを睨めつけた後、何事もなかったかのようにニコリと笑うノーヴァ。
その目は雄弁に語っていた。
ルナに手を出すなーーと。
「そうか。だが、そのような気づかいは無用だ。彼女も我々と同じ学院の生徒だ。のぞむままに学院生活を楽しむといい」
だから、こう言ってしまったことに他意はない。
大人気なくもノーヴァの敵意に対抗してしまっただけで、彼女はどんな人物だろうかー?などという疑問が湧いたなど、あるわけがないのだ。
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