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入学後、はじめての定期試験の結果が張り出されていた。
(魔法とかファンタジーな要素があるのに、こういうのは思いきりレトロなのよね)
乙女ゲームの世界のなごりだろうか?前世の世界を思い出すようなものが学園にはチラホラあった。
「オッケー、見えた。行きましょ」
隣にいるノーヴァに声をかける。
全教科満点の1位。満足の結果である。
「ホントに実力なのかしら?」
「あやしいものよ。教師に色仕掛けでもして問題を教えてもらっているのでなくて?」
すれ違いざま聞こえるように叩かれる陰口。
それを聞いてブッと笑うノーヴァ。
「ちょっと。もう少し我慢しなさいよ」
小声でノーヴァに注意する。
「仕方ないだろ。陰口言うにしても、あまりに芸がないじゃないか」
「それはそのとおりだけど、あまりに普通すぎて通り過ぎてしまったけど」
ノーヴァと話しながら自分たちの教室に戻る。
ルナが窓際の席に座ると当然ノーヴァはその隣に座ってくる。
その様子を他のクラスメイトたちは遠まきに見ている。
ルナが懸念していたよりも、学園生活はずっと過ごしやすいものだった。
ノーヴァ以外のクラスメイトはルナと関わろうとはしないが、積極的にいじめてきたりもしなかった。
腫れ物に触れないように、近からず遠からずの距離を保ちながら過ごしていた。
あの日、王子は私に言った。
"のぞむままの学院生活をーー"と。
「言質は取ったもの。のぞむままにガリ勉するわよ」
帰りの馬車で、ルナは熱く語っていた。
「そういう意味で言ったんじゃないと思うけどな」
ややげんなりした顔で返すノーヴァ。
「まぁ、それはそうかもしれないけど。私は勉強するためにこの学院に入ったわけだし。するわよ、勉強♪」
こうしてルナは宣言通り勉強に邁進した。
授業では時々いやな感じの教師もいたが、勤勉なルナはものともしなかった。
今から始まる授業は、前世のところでいう数学と物理に魔法がまざったようなことを学ぶものである。
長髪眼鏡のイケメンが教室の中に入ってくる。
薄水色の髪に、やや濃い水色の瞳のイケメン。眼鏡は片方だけのモノクルである。生徒たちとは違うパリッとした藍色のスーツを着た男。
この授業を担当する教師である。
元は伯爵家の次男だかなんだかのイケメン。
彼はわかりやすくルナを敵視していた。
今日も教室に入り、ルナを見つけるなりキッと睨みつけてくる。
(毎回毎回よくやるわねぇ…)
その視線に気づいてもルナは無視する。
「彼の授業は、キライじゃないんだけどなー」
ついボソッと呟いてしまった。
「そうなのか?どこがいいんだ?」
耳ざとく聞きつけたノーヴァが小声で聞いてくる。その口ぶりはどこか馬鹿にしたようだった。
「教科書をただなぞるだけじゃなく、それなりに自分のアレンジが加えられてるじゃない。アレンジは独断的ではないし、それなりに賢さも感じるし…まぁ、聞く価値はあるかなー、と」
「そうかぁ?まぁ、ルナがいいなら、いいけど。俺はつまんねーなぁ」
(まぁ、ノーヴァからしたら、学院の授業の全てがつまらないでしょうよ)
今回の試験でも、目立たないように彼はクラスの真ん中くらいの順位だった。可もなく不可もなく。絶妙な順位にしていた。
だがルナは知っている。今回、ルナでもなかなか難しかったひっかけ問題があったので、それについてノーヴァに聞いてみると、ノーヴァはケロっと言ったものだ。
「あれは問題が間違っているんだ」
と。
あっけにとられていると、スラスラと問題の矛盾を説明し、正しい問題と解答をルナに示して見せる。
これにはルナも驚いた。賢い賢いと思ってはいたが、尋常ではない。
ノーヴァに比べれば、学年1位のルナの学力だって屁みたいなものである。
「…くん!…聞いているのか!アース君!」
ハッとして顔を上げると、教師がこちらを睨んでいた。
「失礼しました。そちらの問題を解けばよろしいでしょうか?」
教師の後ろのホワイトボードには、問題らしきものが書いてある。上級レベルの問題だが、予習をきちんとしているルナからすれば、解けない問題ではない。
「こんなものは、解けて当然だ。そうではない、君にはこれを解いてもらいたい」
そう言って教師は問題の図形に2本線をたした。
「君にはこの問題を解いてもらいたい。学年1位の君には簡単すぎるかな?」
ニヤッと嫌な笑い付きである。
いくらルナでも初見ですぐにこの問題の解答を出すには時間がかかる。
(どうしたものか)
と思っていると、
「ルルノーの法則とペペリーの定理を足す」
ルナにだけ聞こえる声でノーヴァが呟いた。
それを聞いてルナは教師に向かってニコリと笑う。ホワイトボードの前に行き、解答を書いた。
教師は悔しそうに「正解だ」と言った。
だが、ルナはこれで終わらせるつもりはなかった。
「先生、今回の問題はどういう意図で出されたのでしょうか?1学年目の生徒相手に出されるものではないと思います。授業は先生と私だけのものではありませんよね。クラス全体に益のある授業をすべきだと思います」
教師を見据えハッキリ言ったあと、席についた。
「わざわざ火に油注いでどうすんだ。ケンカ売ったと思われるぞー」
あきれ顔のノーヴァが言った。
我ながら、その通りだと思ったルナであった。
(魔法とかファンタジーな要素があるのに、こういうのは思いきりレトロなのよね)
乙女ゲームの世界のなごりだろうか?前世の世界を思い出すようなものが学園にはチラホラあった。
「オッケー、見えた。行きましょ」
隣にいるノーヴァに声をかける。
全教科満点の1位。満足の結果である。
「ホントに実力なのかしら?」
「あやしいものよ。教師に色仕掛けでもして問題を教えてもらっているのでなくて?」
すれ違いざま聞こえるように叩かれる陰口。
それを聞いてブッと笑うノーヴァ。
「ちょっと。もう少し我慢しなさいよ」
小声でノーヴァに注意する。
「仕方ないだろ。陰口言うにしても、あまりに芸がないじゃないか」
「それはそのとおりだけど、あまりに普通すぎて通り過ぎてしまったけど」
ノーヴァと話しながら自分たちの教室に戻る。
ルナが窓際の席に座ると当然ノーヴァはその隣に座ってくる。
その様子を他のクラスメイトたちは遠まきに見ている。
ルナが懸念していたよりも、学園生活はずっと過ごしやすいものだった。
ノーヴァ以外のクラスメイトはルナと関わろうとはしないが、積極的にいじめてきたりもしなかった。
腫れ物に触れないように、近からず遠からずの距離を保ちながら過ごしていた。
あの日、王子は私に言った。
"のぞむままの学院生活をーー"と。
「言質は取ったもの。のぞむままにガリ勉するわよ」
帰りの馬車で、ルナは熱く語っていた。
「そういう意味で言ったんじゃないと思うけどな」
ややげんなりした顔で返すノーヴァ。
「まぁ、それはそうかもしれないけど。私は勉強するためにこの学院に入ったわけだし。するわよ、勉強♪」
こうしてルナは宣言通り勉強に邁進した。
授業では時々いやな感じの教師もいたが、勤勉なルナはものともしなかった。
今から始まる授業は、前世のところでいう数学と物理に魔法がまざったようなことを学ぶものである。
長髪眼鏡のイケメンが教室の中に入ってくる。
薄水色の髪に、やや濃い水色の瞳のイケメン。眼鏡は片方だけのモノクルである。生徒たちとは違うパリッとした藍色のスーツを着た男。
この授業を担当する教師である。
元は伯爵家の次男だかなんだかのイケメン。
彼はわかりやすくルナを敵視していた。
今日も教室に入り、ルナを見つけるなりキッと睨みつけてくる。
(毎回毎回よくやるわねぇ…)
その視線に気づいてもルナは無視する。
「彼の授業は、キライじゃないんだけどなー」
ついボソッと呟いてしまった。
「そうなのか?どこがいいんだ?」
耳ざとく聞きつけたノーヴァが小声で聞いてくる。その口ぶりはどこか馬鹿にしたようだった。
「教科書をただなぞるだけじゃなく、それなりに自分のアレンジが加えられてるじゃない。アレンジは独断的ではないし、それなりに賢さも感じるし…まぁ、聞く価値はあるかなー、と」
「そうかぁ?まぁ、ルナがいいなら、いいけど。俺はつまんねーなぁ」
(まぁ、ノーヴァからしたら、学院の授業の全てがつまらないでしょうよ)
今回の試験でも、目立たないように彼はクラスの真ん中くらいの順位だった。可もなく不可もなく。絶妙な順位にしていた。
だがルナは知っている。今回、ルナでもなかなか難しかったひっかけ問題があったので、それについてノーヴァに聞いてみると、ノーヴァはケロっと言ったものだ。
「あれは問題が間違っているんだ」
と。
あっけにとられていると、スラスラと問題の矛盾を説明し、正しい問題と解答をルナに示して見せる。
これにはルナも驚いた。賢い賢いと思ってはいたが、尋常ではない。
ノーヴァに比べれば、学年1位のルナの学力だって屁みたいなものである。
「…くん!…聞いているのか!アース君!」
ハッとして顔を上げると、教師がこちらを睨んでいた。
「失礼しました。そちらの問題を解けばよろしいでしょうか?」
教師の後ろのホワイトボードには、問題らしきものが書いてある。上級レベルの問題だが、予習をきちんとしているルナからすれば、解けない問題ではない。
「こんなものは、解けて当然だ。そうではない、君にはこれを解いてもらいたい」
そう言って教師は問題の図形に2本線をたした。
「君にはこの問題を解いてもらいたい。学年1位の君には簡単すぎるかな?」
ニヤッと嫌な笑い付きである。
いくらルナでも初見ですぐにこの問題の解答を出すには時間がかかる。
(どうしたものか)
と思っていると、
「ルルノーの法則とペペリーの定理を足す」
ルナにだけ聞こえる声でノーヴァが呟いた。
それを聞いてルナは教師に向かってニコリと笑う。ホワイトボードの前に行き、解答を書いた。
教師は悔しそうに「正解だ」と言った。
だが、ルナはこれで終わらせるつもりはなかった。
「先生、今回の問題はどういう意図で出されたのでしょうか?1学年目の生徒相手に出されるものではないと思います。授業は先生と私だけのものではありませんよね。クラス全体に益のある授業をすべきだと思います」
教師を見据えハッキリ言ったあと、席についた。
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