8 / 20
8 side公爵令嬢
しおりを挟む
はじめは大嫌いだった。
ピンクブロンドにエメラルドの瞳を持つ小柄な少女は、いかにも男性の庇護欲をそそりそうに感じた。
ルミエール殿下に対する話ぶりを見たときには、男爵家の令嬢とは思えない物言いに、生意気だと思った。
彼女ーールナ・アースはあの廊下で私たちに向けてはっきりと言った。
関わるつもりはないのだ。と。
空気のように接してくれ。と。
そちらがそのような態度なら、様子を見ようと思った。
彼女が何の目的でこの学院にやって来たのか見定めなくてはならない。そう思っていたから。
私は前の公爵令嬢のように、婚約者を奪われてはいけないのだからーー。
⭐︎
私はサチュルヌ。サチュルヌ・ドゥ・メテオール。国に3つしかない公爵家の長女で、第二王子の婚約者。母は王妹で、建国当初から続く公爵家の嫡男である父に嫁いだ。
今日は、王子妃教育のために王宮へ来ていた。
帰り際、陛下より呼び出しがあった。
案内され通されたのは、気心の知れた人間をプライベートで呼ぶ陛下の私室の1つだった。
中にはすでに陛下と、第二王子、そして宰相の息子であるメルキュールがいた。
(これは、あまりいい話ではなさそうね)
今日は、定期試験の結果が発表された日だ。そんな日にこのメンバーが集められて語られる内容なんて決まっている。
「あぁ、サチュルヌ。学院に、王子妃教育に疲れているところ呼び立ててすまないな。こちらへかけてくれ」
陛下が声をかけてくれた席へ収まると、すぐに陛下は話し出す。
「今日は定期試験の結果発表があったと思うが、各々結果はどうであった?」
どうであった、なとど白々しい。
(結果なんてすでに知っているくせに)
陛下がその気になれば、今日の発表を待たずに結果を知ることだってできるハズ。
(それなのに、わざわざこのメンバーを呼び出してこの話をするということは…)
結果がお気に召さないのだろう。
なんといっても第1位は全教科満点の男爵令嬢あのルナ・アースだ。
最高級の教育を受けている私たちが彼女に負けるなど、本来あってはならないのだ。
「申し訳ありません。今回は1位を取ることができませんでしたが、次こそは私が1位になってみせます」
そうルミエール殿下が言った。
「私も次こそは陛下ののぞむ結果を出して見せます」
メルキュールも続く。
「私もより精進いたします」
そう、サチュルヌも続けた。
陛下は「そうか」と言われただけだった。
その後は当たりさわりのない会話を少しして、すぐに部屋を出された。
ルミエール殿下とメルキュールが馬車で帰る私を見送ってくれた。
2人は王宮に戻ってまた勉強なり執務なりをするのだろう。
「殿下、メルキュール。私、もっとがんばりますわ」
そう言うと、
「とは言っても正直、どこまで頑張ればあの化け物のような賢さに勝てるのかがわからない」
メルキュールは怒ったような、途方にくれたような顔で言った。
殿下は「…そうだな…」とだけ言った。
1人で帰る帰りの馬車の空気は重く、私の周りだけパリパリと電流が流れていた。
ピンクブロンドにエメラルドの瞳を持つ小柄な少女は、いかにも男性の庇護欲をそそりそうに感じた。
ルミエール殿下に対する話ぶりを見たときには、男爵家の令嬢とは思えない物言いに、生意気だと思った。
彼女ーールナ・アースはあの廊下で私たちに向けてはっきりと言った。
関わるつもりはないのだ。と。
空気のように接してくれ。と。
そちらがそのような態度なら、様子を見ようと思った。
彼女が何の目的でこの学院にやって来たのか見定めなくてはならない。そう思っていたから。
私は前の公爵令嬢のように、婚約者を奪われてはいけないのだからーー。
⭐︎
私はサチュルヌ。サチュルヌ・ドゥ・メテオール。国に3つしかない公爵家の長女で、第二王子の婚約者。母は王妹で、建国当初から続く公爵家の嫡男である父に嫁いだ。
今日は、王子妃教育のために王宮へ来ていた。
帰り際、陛下より呼び出しがあった。
案内され通されたのは、気心の知れた人間をプライベートで呼ぶ陛下の私室の1つだった。
中にはすでに陛下と、第二王子、そして宰相の息子であるメルキュールがいた。
(これは、あまりいい話ではなさそうね)
今日は、定期試験の結果が発表された日だ。そんな日にこのメンバーが集められて語られる内容なんて決まっている。
「あぁ、サチュルヌ。学院に、王子妃教育に疲れているところ呼び立ててすまないな。こちらへかけてくれ」
陛下が声をかけてくれた席へ収まると、すぐに陛下は話し出す。
「今日は定期試験の結果発表があったと思うが、各々結果はどうであった?」
どうであった、なとど白々しい。
(結果なんてすでに知っているくせに)
陛下がその気になれば、今日の発表を待たずに結果を知ることだってできるハズ。
(それなのに、わざわざこのメンバーを呼び出してこの話をするということは…)
結果がお気に召さないのだろう。
なんといっても第1位は全教科満点の男爵令嬢あのルナ・アースだ。
最高級の教育を受けている私たちが彼女に負けるなど、本来あってはならないのだ。
「申し訳ありません。今回は1位を取ることができませんでしたが、次こそは私が1位になってみせます」
そうルミエール殿下が言った。
「私も次こそは陛下ののぞむ結果を出して見せます」
メルキュールも続く。
「私もより精進いたします」
そう、サチュルヌも続けた。
陛下は「そうか」と言われただけだった。
その後は当たりさわりのない会話を少しして、すぐに部屋を出された。
ルミエール殿下とメルキュールが馬車で帰る私を見送ってくれた。
2人は王宮に戻ってまた勉強なり執務なりをするのだろう。
「殿下、メルキュール。私、もっとがんばりますわ」
そう言うと、
「とは言っても正直、どこまで頑張ればあの化け物のような賢さに勝てるのかがわからない」
メルキュールは怒ったような、途方にくれたような顔で言った。
殿下は「…そうだな…」とだけ言った。
1人で帰る帰りの馬車の空気は重く、私の周りだけパリパリと電流が流れていた。
12
あなたにおすすめの小説
初恋の人と再会したら、妹の取り巻きになっていました
山科ひさき
恋愛
物心ついた頃から美しい双子の妹の陰に隠れ、実の両親にすら愛されることのなかったエミリー。彼女は妹のみの誕生日会を開いている最中の家から抜け出し、その先で出会った少年に恋をする。
だが再会した彼は美しい妹の言葉を信じ、エミリーを「妹を執拗にいじめる最低な姉」だと思い込んでいた。
なろうにも投稿しています。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
無実ですが、喜んで国を去ります!
霜月満月
恋愛
お姉様曰く、ここは乙女ゲームの世界だそうだ。
そして私は悪役令嬢。
よし。ちょうど私の婚約者の第二王子殿下は私もお姉様も好きじゃない。濡れ衣を着せられるのが分かっているならやりようはある。
━━これは前世から家族である、転生一家の国外逃亡までの一部始終です。
いや、無理。 (本編完結)
詩海猫(8/29書籍発売)
恋愛
細かいことは気にせずお読みください。
一旦完結にしましたが、他者視点を随時更新の間連載中に戻します。
もはや定番となった卒業パーティー、急に冷たくなって公の場にエスコートすらしなくなった婚約者に身に覚えのない言い掛かりをつけられ、婚約破棄を突きつけられるーーからの新しい婚約者の紹介へ移るという、公式行事の私物化も甚だしい一連の行動に、私は冷めた瞳をむけていたーー目の前の男は言い訳が終わると、
「わかってくれるだろう?ミーナ」
と手を差し伸べた。
だから私はこう答えた。
「いや、無理」
と。
【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!
りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。
食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。
だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。
食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。
パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。
そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。
王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。
そんなの自分でしろ!!!!!
妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~
サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる