祖母がざまぁされたヒロインだったので、孫の私はひっそりと暮らしたい

ナカナカ田

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10 side公爵令嬢

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雷が落ちた。サチュルヌとルナの間に。


(やってしまった!感情がたかぶっていたとはいえ、無関係の人間に、なんてこと!)

「ご、ごめんなさい!あ、貴女、だ、大丈夫…?では、ないわよね…」

慌てて謝るも、ルナは焦げていた。

自分の姿を見下ろし、口をパクパクさせている。

いつの間にかルナの隣には、いつものエトワール子爵令息がいた。彼女を守るように立っており、綺麗な藍色の瞳が、強い光を持ってこちらを見つめている。

「…ごっ…ごめっ…」
「いくらなんでも…」

サチュルヌとノーヴァがおのおの何か言いかけたところで、ルナがガシッとサチュルヌの両手を掴んだ。

「今の、あなたがやったの!?」

その目は、キラキラと輝いている。

「えっ…そっ…あっ…」

「あなたが雷を落としたのよね!?」

口調は強いが、責められているようには感じない。むしろ、何かを期待しているような。今まで感じたことのない圧を感じる。

ドキドキとする鼓動こどうに反応するように、雨まで降ってきた。

「…っ!これももしかして、あなたの力?」

空を見て、彼女は言う。

無邪気に、不思議そうに。

「…そうよ。そうよっ!私の魔力が暴走すると、こうなるの。おかしいでしょ?この歳になっても私は、自分の魔力のコントロールもできないのよっ!」

どうにでもなれと思って言った。ずっとずっとこらえていたが、限界だった。

1番弱みを見せたくない相手の前で、最大の弱みをさらけだしてしまったのだ。生まれてはじめてヤケクソになり、相手に八つ当たりをした。

とても、みじめな気持ちだった。けれども同時にわかって欲しいとも思った。

(そんなことを彼女に求めるなんて。わたくしもどうかしてるわ)


けれども彼女は、


「そうなのね!私、はじめて目の前で雷が落ちるのをみたわ!天候を変えるほどの魔法使いに会うのもはじめて」


そう言って、とても嬉しそうに笑ったのだ。

(どうしてそんな顔で笑えるの?)

笑う彼女はところどころげている。

大きな怪我はなさそうだが、服も、髪も焦げているのだ。もちろんサチュルヌ自身も多少は焦げているが。

「目の前で雷を落とされたのよ」

「そうね。ちょっと感電したわ!ビリビリって!」

そう言ってアハハと笑う。

「普通は怒ったり、気味悪がったりするものよ。だって私、何も悪くないあなたを傷つけたのよ」

「怒ってないし、気味悪くもないわ。だってさっき魔力のコントロールができないって言ってたじゃない。原因がわかってれば、対処できるわ」

そう言って隣のエトワール子爵令息を見る。

「まぁ、そうだな」

答える子爵令息の声はなんだか疲れている。

「そんなことより。ねぇ、私、気象学を学ぶためにこの学院に来たの。気象と魔法の関係にも興味があって。よければ協力してくれない?」

握った手にギュッと軽い力をこめて彼女は言った。

「…協力…?」

「そう。私の研究に協力して欲しい。ノーヴァの家に研究施設があるから、そこであなたの魔法のデータをとらせて欲しいの」

強く期待しているとわかる目で彼女は続ける。

「やっぱりそれか…」

げんなりげんなりした声で子爵令息がつぶやく。

「私の魔法のデータ…」

「そう。あなたの魔法がどんなふうにまわりに作用するのかを調べるの。あなたの魔力コントロールの助けにもなると思う」

そう言うと、彼女はハッとして握っていた手を離した。

バタバタと人の気配がする。学院に雷が落ちたのだ。調査に人がやってくるのは当然だった。

その中にはルミエール殿下たちもいた。

「お互い大きな怪我もなさそうですし、私たちはこれで失礼します」

さっきまでの彼女が嘘のような他人行儀な態度で、彼女は言った。

殿下たちがすぐ側まで来ている。

「さっきの話、興味があるならコレを持ってろ。アンタの立場的に難しいなら、コイツを利用するって考えてくれればいいから」

コイツのところでルナを指し、子爵令息は小さな石を投げてよこした。

「サチュルヌ!大丈夫か!?」

殿下たちがやってきた。

そして、彼女たちは去っていった。



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