10 / 20
10 side公爵令嬢
しおりを挟む
雷が落ちた。サチュルヌとルナの間に。
(やってしまった!感情がたかぶっていたとはいえ、無関係の人間に、なんてこと!)
「ご、ごめんなさい!あ、貴女、だ、大丈夫…?では、ないわよね…」
慌てて謝るも、ルナは焦げていた。
自分の姿を見下ろし、口をパクパクさせている。
いつの間にかルナの隣には、いつものエトワール子爵令息がいた。彼女を守るように立っており、綺麗な藍色の瞳が、強い光を持ってこちらを見つめている。
「…ごっ…ごめっ…」
「いくらなんでも…」
サチュルヌとノーヴァがおのおの何か言いかけたところで、ルナがガシッとサチュルヌの両手を掴んだ。
「今の、あなたがやったの!?」
その目は、キラキラと輝いている。
「えっ…そっ…あっ…」
「あなたが雷を落としたのよね!?」
口調は強いが、責められているようには感じない。むしろ、何かを期待しているような。今まで感じたことのない圧を感じる。
ドキドキとする鼓動に反応するように、雨まで降ってきた。
「…っ!これももしかして、あなたの力?」
空を見て、彼女は言う。
無邪気に、不思議そうに。
「…そうよ。そうよっ!私の魔力が暴走すると、こうなるの。おかしいでしょ?この歳になっても私は、自分の魔力のコントロールもできないのよっ!」
どうにでもなれと思って言った。ずっとずっと堪えていたが、限界だった。
1番弱みを見せたくない相手の前で、最大の弱みをさらけだしてしまったのだ。生まれてはじめてヤケクソになり、相手に八つ当たりをした。
とても、惨めな気持ちだった。けれども同時にわかって欲しいとも思った。
(そんなことを彼女に求めるなんて。私もどうかしてるわ)
けれども彼女は、
「そうなのね!私、はじめて目の前で雷が落ちるのをみたわ!天候を変えるほどの魔法使いに会うのもはじめて」
そう言って、とても嬉しそうに笑ったのだ。
(どうしてそんな顔で笑えるの?)
笑う彼女はところどころ焦げている。
大きな怪我はなさそうだが、服も、髪も焦げているのだ。もちろんサチュルヌ自身も多少は焦げているが。
「目の前で雷を落とされたのよ」
「そうね。ちょっと感電したわ!ビリビリって!」
そう言ってアハハと笑う。
「普通は怒ったり、気味悪がったりするものよ。だって私、何も悪くないあなたを傷つけたのよ」
「怒ってないし、気味悪くもないわ。だってさっき魔力のコントロールができないって言ってたじゃない。原因がわかってれば、対処できるわ」
そう言って隣のエトワール子爵令息を見る。
「まぁ、そうだな」
答える子爵令息の声はなんだか疲れている。
「そんなことより。ねぇ、私、気象学を学ぶためにこの学院に来たの。気象と魔法の関係にも興味があって。よければ協力してくれない?」
握った手にギュッと軽い力をこめて彼女は言った。
「…協力…?」
「そう。私の研究に協力して欲しい。ノーヴァの家に研究施設があるから、そこであなたの魔法のデータをとらせて欲しいの」
強く期待しているとわかる目で彼女は続ける。
「やっぱりそれか…」
げんなりげんなりした声で子爵令息がつぶやく。
「私の魔法のデータ…」
「そう。あなたの魔法がどんなふうにまわりに作用するのかを調べるの。あなたの魔力コントロールの助けにもなると思う」
そう言うと、彼女はハッとして握っていた手を離した。
バタバタと人の気配がする。学院に雷が落ちたのだ。調査に人がやってくるのは当然だった。
その中にはルミエール殿下たちもいた。
「お互い大きな怪我もなさそうですし、私たちはこれで失礼します」
さっきまでの彼女が嘘のような他人行儀な態度で、彼女は言った。
殿下たちがすぐ側まで来ている。
「さっきの話、興味があるならコレを持ってろ。アンタの立場的に難しいなら、コイツを利用するって考えてくれればいいから」
コイツのところでルナを指し、子爵令息は小さな石を投げてよこした。
「サチュルヌ!大丈夫か!?」
殿下たちがやってきた。
そして、彼女たちは去っていった。
(やってしまった!感情がたかぶっていたとはいえ、無関係の人間に、なんてこと!)
「ご、ごめんなさい!あ、貴女、だ、大丈夫…?では、ないわよね…」
慌てて謝るも、ルナは焦げていた。
自分の姿を見下ろし、口をパクパクさせている。
いつの間にかルナの隣には、いつものエトワール子爵令息がいた。彼女を守るように立っており、綺麗な藍色の瞳が、強い光を持ってこちらを見つめている。
「…ごっ…ごめっ…」
「いくらなんでも…」
サチュルヌとノーヴァがおのおの何か言いかけたところで、ルナがガシッとサチュルヌの両手を掴んだ。
「今の、あなたがやったの!?」
その目は、キラキラと輝いている。
「えっ…そっ…あっ…」
「あなたが雷を落としたのよね!?」
口調は強いが、責められているようには感じない。むしろ、何かを期待しているような。今まで感じたことのない圧を感じる。
ドキドキとする鼓動に反応するように、雨まで降ってきた。
「…っ!これももしかして、あなたの力?」
空を見て、彼女は言う。
無邪気に、不思議そうに。
「…そうよ。そうよっ!私の魔力が暴走すると、こうなるの。おかしいでしょ?この歳になっても私は、自分の魔力のコントロールもできないのよっ!」
どうにでもなれと思って言った。ずっとずっと堪えていたが、限界だった。
1番弱みを見せたくない相手の前で、最大の弱みをさらけだしてしまったのだ。生まれてはじめてヤケクソになり、相手に八つ当たりをした。
とても、惨めな気持ちだった。けれども同時にわかって欲しいとも思った。
(そんなことを彼女に求めるなんて。私もどうかしてるわ)
けれども彼女は、
「そうなのね!私、はじめて目の前で雷が落ちるのをみたわ!天候を変えるほどの魔法使いに会うのもはじめて」
そう言って、とても嬉しそうに笑ったのだ。
(どうしてそんな顔で笑えるの?)
笑う彼女はところどころ焦げている。
大きな怪我はなさそうだが、服も、髪も焦げているのだ。もちろんサチュルヌ自身も多少は焦げているが。
「目の前で雷を落とされたのよ」
「そうね。ちょっと感電したわ!ビリビリって!」
そう言ってアハハと笑う。
「普通は怒ったり、気味悪がったりするものよ。だって私、何も悪くないあなたを傷つけたのよ」
「怒ってないし、気味悪くもないわ。だってさっき魔力のコントロールができないって言ってたじゃない。原因がわかってれば、対処できるわ」
そう言って隣のエトワール子爵令息を見る。
「まぁ、そうだな」
答える子爵令息の声はなんだか疲れている。
「そんなことより。ねぇ、私、気象学を学ぶためにこの学院に来たの。気象と魔法の関係にも興味があって。よければ協力してくれない?」
握った手にギュッと軽い力をこめて彼女は言った。
「…協力…?」
「そう。私の研究に協力して欲しい。ノーヴァの家に研究施設があるから、そこであなたの魔法のデータをとらせて欲しいの」
強く期待しているとわかる目で彼女は続ける。
「やっぱりそれか…」
げんなりげんなりした声で子爵令息がつぶやく。
「私の魔法のデータ…」
「そう。あなたの魔法がどんなふうにまわりに作用するのかを調べるの。あなたの魔力コントロールの助けにもなると思う」
そう言うと、彼女はハッとして握っていた手を離した。
バタバタと人の気配がする。学院に雷が落ちたのだ。調査に人がやってくるのは当然だった。
その中にはルミエール殿下たちもいた。
「お互い大きな怪我もなさそうですし、私たちはこれで失礼します」
さっきまでの彼女が嘘のような他人行儀な態度で、彼女は言った。
殿下たちがすぐ側まで来ている。
「さっきの話、興味があるならコレを持ってろ。アンタの立場的に難しいなら、コイツを利用するって考えてくれればいいから」
コイツのところでルナを指し、子爵令息は小さな石を投げてよこした。
「サチュルヌ!大丈夫か!?」
殿下たちがやってきた。
そして、彼女たちは去っていった。
13
あなたにおすすめの小説
初恋の人と再会したら、妹の取り巻きになっていました
山科ひさき
恋愛
物心ついた頃から美しい双子の妹の陰に隠れ、実の両親にすら愛されることのなかったエミリー。彼女は妹のみの誕生日会を開いている最中の家から抜け出し、その先で出会った少年に恋をする。
だが再会した彼は美しい妹の言葉を信じ、エミリーを「妹を執拗にいじめる最低な姉」だと思い込んでいた。
なろうにも投稿しています。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
無実ですが、喜んで国を去ります!
霜月満月
恋愛
お姉様曰く、ここは乙女ゲームの世界だそうだ。
そして私は悪役令嬢。
よし。ちょうど私の婚約者の第二王子殿下は私もお姉様も好きじゃない。濡れ衣を着せられるのが分かっているならやりようはある。
━━これは前世から家族である、転生一家の国外逃亡までの一部始終です。
いや、無理。 (本編完結)
詩海猫(8/29書籍発売)
恋愛
細かいことは気にせずお読みください。
一旦完結にしましたが、他者視点を随時更新の間連載中に戻します。
もはや定番となった卒業パーティー、急に冷たくなって公の場にエスコートすらしなくなった婚約者に身に覚えのない言い掛かりをつけられ、婚約破棄を突きつけられるーーからの新しい婚約者の紹介へ移るという、公式行事の私物化も甚だしい一連の行動に、私は冷めた瞳をむけていたーー目の前の男は言い訳が終わると、
「わかってくれるだろう?ミーナ」
と手を差し伸べた。
だから私はこう答えた。
「いや、無理」
と。
【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!
りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。
食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。
だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。
食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。
パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。
そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。
王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。
そんなの自分でしろ!!!!!
妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~
サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる