麗しの超人お姫様はへっぽこ竜を溺愛する〜今さら無理とか言わせません。育てた責任とってもらうわ〜

ナカナカ田

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「よう。今日もしみったれた顔してやがるな」

と言いながら、ジュラルドラは降りてきた。

「うるさい」

毎度毎度よくこうも人の悪口が言えるもんだと呆れるくらいジュラルドラは口が悪い。

(やっぱり分からない。突然現れる感じだ)

フィアはイライラが晴らせる喜びとジュラルドラの口の悪さへの腹立たしさ、そしてさっぱり分からない魔法の不可思議さを感じていた。

(よく分からない魔法のことは置いといて、とりあえずイライラを晴らそう)

そう思ってフィアは、いつも通りジュラルドラに挑もうとした。

すると、

「あっれー?それ、何ですか?ジュラルドラさま」

空から第三者の声が降ってきた。

見上げると、見たことのない男が宙に浮いていた。

「…おまっ…なんでここにっ⁉︎」

珍しく焦るジュラルドラ。

鮮やかなオレンジ色の髪に濃いオレンジの瞳。キツめではあるが整った顔だち。ただ、黒目の部分が丸ではなく、ヘビやワニのような細長い月型で人間とは違う何かを感じさせる。

(恐らくコイツも竜ーー)

などと考えていると、ジュラルドラとフィアの真ん中くらいの位置に降りたった男は、突然フィア目掛けて襲ってきた。

相手は素手だが、こちらは木刀もどきの棒切れで対応する。
とっさのことに驚いたが、フィアは男の攻撃をなんとかかわし続け、わずかな隙を狙って攻撃する。

(なんとかだが、ついていける。それがヤツのおかげだと思うのは腹立たしいがーー)

「…へぇ。なかなかやるもんだね」

すぐに片がつくと思っていたのであろう男が驚きの声をあげる。
タンタンっと後ろに飛び、かと思うとガッと前進して突撃してくる。まさに矢のような拳の一撃であったが、その拳ですらフィアは弾いてみせた。
さすがに肩で息をしているが。

「おぉー、やるもんだな。さすがオレ様の弟子」

少し離れたところで、ジュラルドラが呑気に見物している。

「…っ、だれがお前なんかの弟子だっ…!」

思い切り顔をしかめてジュラルドラの言葉を否定しようとしたが、その言葉は怒った男の声にかき消された。

「お前がジュラルドラさまの弟子だと⁉︎ふざけるな!」

怒りで人型が崩れかかった男が宙に浮かびながら、両手をつきあげ、その間に自分の頭と同じくらいの火の玉を抱えている。そして、それをフィアへ投げつけた。

(これが魔法か!)

ヤバイなと思った瞬間、フィアの前に炎の壁ができ、火の玉を吸収したかと思えば、紅い矢となってフィアを攻撃した男の腹に刺さった。刺された男は紅い炎に包まれ火だるまになっている。

異変に気づいたリザ達がやってきた。

((ギャーーー!なんか、宙でなんか燃えてるーーー!!))

小鳥のビアンキがピィピィピィピィ鳴きわめく。

「ほ、ホントだ。…はっ、フィアは⁉︎」

((大丈夫そうだねぇ))

慌ててリザとヤギのマーラがかけよると、

「大丈夫だ。ちょっと髪が焦げたが」

焦げた銀髪をつまみながらフィアが答える。

「~っ、フィ、フィアのキレイな髪がー!」

女の子なのにー!
と、リザはショックを受けている。

「もう少し燃やすか?」

焼き芋でもしているくらいのテンションのジュラルドラ。

((いやいやいやいや、マズいでしょ⁉︎だってアレ生き物でしょ⁉︎))

アワアワしながら、ビアンキが鳴く。

「竜だから大丈夫だろ」

事もなげなジュラルドラ。

「大っ、丈夫ですがっ、これ以上は、勘弁してくださいっ」

((ひぃー!しゃべった!))

ビアンキがピィピィバタバタしている。

宙に浮かんだ燃えているものは、だんだん炎を小さくしていき、少しすると炎が消えた。
ずいぶん焦げてヤケドなどはしているが、衣服はかろうじて残ったままの姿の男が落ちるように降りてきた。
かなりしんどいらしく、ゼーゼーと息を吐き、ペッと血反吐を吐いた。ヤケドしている人型の肌にオレンジの鱗がところどころ浮いている。

苦しそうな男の様子をさして気にする風もなく、

「お前、何してんだよ。人間の、しかも女の子どもにすることじゃねーだろ」

ジュラルドラは容赦なく男に蹴りを入れている。

「~っ、それを言うならあなたの方がっ、…というか、確かにそうかもしれませんが、あなたがコレを弟子とか言うので、我を忘れて…、ってイタっ!」

すでにボロボロの男を蹴って蹴ってさらに蹴り、出てきてしまった竜の尻尾を踏みつけるジュラルドラ。

((あのー、お2人は、そのー、どんな関係なんですか?))

ジュラルドラの肩にとまりながらビアンキが聞くと、男はすかさずビアンキを睨む。

「おのれ、鳥風情がジュラルドラさまの肩にとまるなど、許せん。その息の根とめてっ…」

「ウルセー、お前ホントウゼー」

「グェッ」

ビアンキを亡き者にしようとした男は突然潰れたカエルのようになっていた。
上から何かで押されているように倒れており、ケガしたところから、血がピューピューとんでいる。

((だ、大丈夫なのか?アイツ?))

「大丈夫、大丈夫、こんなので死んだら竜じゃないってー」

ジュラルドラは、気楽な感じでヒラヒラと手を振っている。
実は気が合うらしいビアンキとジュラルドラは、ここ数年でとても仲良くなっていた。だから、ジュラルドラはビアンキが肩に乗っても気にしないし、咎めない。

「し、死にませんけど、なかなか酷いですよ。コレ」

だいぶ痛めつけられた男の声はかなり弱々しい。

((そ、そろそろヤバくねーか?))

とビアンキが心配するほど弱っている。

「大ー丈夫だって。これも修行修行」

ジュラルドラはあくまでもあっけらかんとしているが、全身ヤケドを負いながら、蹴られた上に潰されてピューピュー血を吹いている男は大丈夫そうではなかった。

((竜、ヤベーな。あいつ、死ぬかな…))

せめてなんかあの潰れているのだけでもなんとかなればなーと思っていると、

パチン!

と音がして、潰れるのがおさまった。

「おま…なっ…」

驚愕の顔でジュラルドラがフィアを見ている。

「これが魔法か」

倒れている血だらけの男からリザ、そしてジュラルドラに目を移し、フィアはニヤリと笑った。

「面白い」
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