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エリス・ルロワ
驚愕
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「あー、んっ、んっ」
考えこんでいると、フェリックス陛下が咳ばらいをし、わたしは慌てて陛下を見た。
「さっきサミュエルに聞いたが……エリス嬢は、死を覚悟しているようだとか……」
「はい」
わたしはフェリックス陛下を見つめ、返事をした。
「ガルシア帝国を出た時から、覚悟はできております」
「……そうか……エリス嬢は、何歳だったか」
「十八でございます」
「十八で死ぬとは……」
「これも運命でしょう」
そう、運命なのだ。
仕方のない事、なのだ。
フェリックス陛下は、深い憐みのこもった目でわたしを見つめた。
「皇太子の婚約者だったとか?」
「はい。幼き頃より、そのように決められておりました」
「愛していたのだろうな」
「そのような時もございました」
「今は、違うと?」
「……お役に立てれば、とは思っております」
「それで、皇太子が戦場から逃げる間の時間稼ぎを?」
「ガルシア帝国の皇帝となられるお方です。戦死するわけにはまいりません」
「だからといって、婚約者をおとりにするか? 女騎士が率いた部隊が攻めてくると、マルタン軍にわざと情報を流したふしまであるんだぞ?」
「わたくしの代わりはおりますので」
「そなたの妹に、皇太子は入れ込んでいるとの噂も聞いたが、本当の事か?」
「…………」
矢継ぎ早の質問に、わたしはとうとうだまり込んでしまった。
いくら本当の事とはいえ、他国の王にまで言われると……。
「そんな男に操をたて、死を選ぶというのか?」
「……?」
苛立ったようなその言葉に、わたしは不思議に思い、フェリックス陛下を見た。
「そんな男、もう忘れたらいいじゃないか。そもそも貴族の結婚なんて政略結婚がほとんどだし、そりゃあ敵国の王と結婚するのは嫌かもしれないけど、そんな男よりはずっといいと思うが?」
そんな男よりずっといい、とは、誰が?
「ちゃんと和議も結んだし、そもそも、先に攻めてきたのはガルシアの方だし」
ええ、確かにそれは……。
「俺は結婚したら、他の女とどうこうする気は全くないし、側妃は置かないと約束しよう。君が王妃。それ以外無し!」
「…………」
何を、言っているのだろう。
聞こえてはいるものの、頭には入らず通り過ぎていく感じだ。
「そうだ、きちんと書類を作成しよう。そうしたら安心して結婚できるだろう?」
「へ、陛下、申し訳ございませんが、その、仰ってる意味が……結婚、とは一体……」
「えっ? あれ? ガルシアと言い方違うのか? 婚姻? 伴侶? 皇后になって欲しいって言えばわかる」
「ちょ、ちょっとお待ち下さい」
陛下の言葉を遮るなど、してはいけない事だけれど、わたしは思わず声を上げた。
「あの、わたくし、先王を殺害した罪で処刑されるために、マルタン王国に呼ばれたのではないのでしょうか!?」
「え? ええっ!?」
フェリックス陛下が大きな声を上げて立ち上がった時、扉がノックされた。
「誰だ!」
「サミュエルです。大至急ご報告したい事が」
「入れ!」
扉が開かれ、慌てたようなルグラン侯爵が入って来ると、フェリックス陛下は大きな声で『サミュエル!』と言った。
「サミュエル! マルタン王国との交渉の時、エリス嬢について何て言ったんだ?」
「何て、って……え、どうでしたかね……『エリス侯爵令嬢をマルタン王国に引き渡すなら、賠償金は減額する』とかでしたか……」
「新王の妃として迎えたいとか、そういう事は」
「それは、言いませんでしたけど……いや、どうせあちらは拒否してくるだろうと思って軽く言ったら『解かりました』って即答されて……そういや、どうする気だ、とか聞かれなかったから答えてないか……って、それよりも、怪しい男女を捕えたんです。城に忍び込んでいて……おそらく、エリス侯爵令嬢の関係者かと……」
「わたくしの!?」
更に驚き、わたしは立ち上がった。
考えこんでいると、フェリックス陛下が咳ばらいをし、わたしは慌てて陛下を見た。
「さっきサミュエルに聞いたが……エリス嬢は、死を覚悟しているようだとか……」
「はい」
わたしはフェリックス陛下を見つめ、返事をした。
「ガルシア帝国を出た時から、覚悟はできております」
「……そうか……エリス嬢は、何歳だったか」
「十八でございます」
「十八で死ぬとは……」
「これも運命でしょう」
そう、運命なのだ。
仕方のない事、なのだ。
フェリックス陛下は、深い憐みのこもった目でわたしを見つめた。
「皇太子の婚約者だったとか?」
「はい。幼き頃より、そのように決められておりました」
「愛していたのだろうな」
「そのような時もございました」
「今は、違うと?」
「……お役に立てれば、とは思っております」
「それで、皇太子が戦場から逃げる間の時間稼ぎを?」
「ガルシア帝国の皇帝となられるお方です。戦死するわけにはまいりません」
「だからといって、婚約者をおとりにするか? 女騎士が率いた部隊が攻めてくると、マルタン軍にわざと情報を流したふしまであるんだぞ?」
「わたくしの代わりはおりますので」
「そなたの妹に、皇太子は入れ込んでいるとの噂も聞いたが、本当の事か?」
「…………」
矢継ぎ早の質問に、わたしはとうとうだまり込んでしまった。
いくら本当の事とはいえ、他国の王にまで言われると……。
「そんな男に操をたて、死を選ぶというのか?」
「……?」
苛立ったようなその言葉に、わたしは不思議に思い、フェリックス陛下を見た。
「そんな男、もう忘れたらいいじゃないか。そもそも貴族の結婚なんて政略結婚がほとんどだし、そりゃあ敵国の王と結婚するのは嫌かもしれないけど、そんな男よりはずっといいと思うが?」
そんな男よりずっといい、とは、誰が?
「ちゃんと和議も結んだし、そもそも、先に攻めてきたのはガルシアの方だし」
ええ、確かにそれは……。
「俺は結婚したら、他の女とどうこうする気は全くないし、側妃は置かないと約束しよう。君が王妃。それ以外無し!」
「…………」
何を、言っているのだろう。
聞こえてはいるものの、頭には入らず通り過ぎていく感じだ。
「そうだ、きちんと書類を作成しよう。そうしたら安心して結婚できるだろう?」
「へ、陛下、申し訳ございませんが、その、仰ってる意味が……結婚、とは一体……」
「えっ? あれ? ガルシアと言い方違うのか? 婚姻? 伴侶? 皇后になって欲しいって言えばわかる」
「ちょ、ちょっとお待ち下さい」
陛下の言葉を遮るなど、してはいけない事だけれど、わたしは思わず声を上げた。
「あの、わたくし、先王を殺害した罪で処刑されるために、マルタン王国に呼ばれたのではないのでしょうか!?」
「え? ええっ!?」
フェリックス陛下が大きな声を上げて立ち上がった時、扉がノックされた。
「誰だ!」
「サミュエルです。大至急ご報告したい事が」
「入れ!」
扉が開かれ、慌てたようなルグラン侯爵が入って来ると、フェリックス陛下は大きな声で『サミュエル!』と言った。
「サミュエル! マルタン王国との交渉の時、エリス嬢について何て言ったんだ?」
「何て、って……え、どうでしたかね……『エリス侯爵令嬢をマルタン王国に引き渡すなら、賠償金は減額する』とかでしたか……」
「新王の妃として迎えたいとか、そういう事は」
「それは、言いませんでしたけど……いや、どうせあちらは拒否してくるだろうと思って軽く言ったら『解かりました』って即答されて……そういや、どうする気だ、とか聞かれなかったから答えてないか……って、それよりも、怪しい男女を捕えたんです。城に忍び込んでいて……おそらく、エリス侯爵令嬢の関係者かと……」
「わたくしの!?」
更に驚き、わたしは立ち上がった。
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