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 翌日。
 寧々が目を覚ますと、ベッドには自分一人だった。布団をかけてはいたが、昨日バスタオルを巻いたままの状態で、そのまま眠ってしまったらしい。

『やだ、シャワーも浴びずに……ああ、体中痛い……』
 
 よろめきながらベッドを降りて、辺りを見回す。

「うわぁ……」

 ワンピース、キャミソール、ブラが散らばっているし、小さく丸まって遠くに転がっているのはショーツだろう。

『酷い状態……本郷君に見られたの恥ずかしい……けど、考えてみたら、彼がやった事だしね』

 急いで衣服を集めて、とりあえず敷いていたバスタオルを巻いて部屋を出た。

『本郷君、帰ったわけじゃないよね?』

 そう思いながらリビングを覗くと、本郷は椅子に腰かけテレビを見ていた。

「……ほん、ゲホッ、ゲホゲホ」
「うわ、大丈夫かよ」
「ゲホ、うっ……」

 喉が乾燥で張り付いてしまっていた寧々は、咳込んでしまった。

「だい、じょうぶ……わたし、シャワー……」
「ああ。あ! そうだ、ちょっと台所使っていいか? フライパンとか」
「いいけど……何か作るの?」
「ちょっとな。ま、とにかくネネはシャワー浴びて来いよ」
「う、うん。あ、フライパンはコンロの下の収納の中ね」

 バスタオルしか巻いていないので部屋の中に入っていくのは恥ずかしい。
 必要な物は探してもらう事にして、寧々はバスルームに向かった。

『うわ、バスタオル思ったより汚れてた。良かったー、向こうに行かなくて』

 洗濯カゴにバスタオルを入れ、浴室に入りシャワーを浴び、身体を洗う。

『あー、身体痛い。アソコも、痛い。……本当に本郷君と、しちゃったんだ……痛かったけど、気持ち、良かったなぁ……』

 手早くシャワーを浴びバスルームを出て身体を拭いている時に、ふと鏡に映った自分の姿を見てギョッとする。

「うわ……何これ……」

 首元や胸に赤い無数の点があり、鏡に近づいてよく見た。
 最初、じんましんでも出たのかと思ったが、すぐにそれは、昨日本郷に付けられた跡だと気付く。

「こんなに? うわ、これって隠れる? もおっ、本郷君ったら……」

 首元の鬱血したその跡に指先で触れた時、本郷がその場所に唇を寄せ、舌を這わせ、きつく吸い付いた事がありありと思い出され、ゾクッとした。

「……本当に、気持ち良かったな……」

 昨日めでたく、念願のセックスをした。最後までしっかりした。

「もう、本郷君とする事は無いんだ……」

 残念に思ってしまうが、しょうがない。

「……同期のよしみで、してくれたわけだから……うん、ありがたいと思わなきゃ」

 身支度を整え、寧々は本郷の待つリビングへ向かった。


 
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