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48. 売れる物と商人の性
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「どこから取り出したんだ……?」
「なんの手品だありゃ」
ざわめく周囲をよそに、できるだけ多くの人の目に映るように製作した魔道具を並べていく。
実は魔導クッション以外にも色々と作っていたのだ。
今回持ってきたのは確実に売れる見込みのある物、またはこの世界にはない新しい発想を形にした物だけ。魔導クッションを作ってからというもの、時間のあるときにちらほらと魔道具を作っていたのだ。
ここにある魔道具に近い類似品が王都にすらないのは調査済み。
おそらく見たことのない形状のそれらに商人達は訝しげな視線を送る。
俺への侮蔑の視線は和らぎ、早速これら魔道具の使い道を考え、早くも利益を頭の中で計算し始めている者もちらほらと。
そう急がなくともきちんと説明するって。
「まずはこちら。この魔道具は温熱魔導クッションといって、微量の魔力を流すだけで長時間温かい温度が保たれるクッションです。フォレストラウルフの毛皮を加工したものにファイヤーバードの羽根を詰めこみ、四隅にオークの魔石を入れてあります。熱すぎないのでずっと持ってても火傷の心配はありません。これから寒くなる季節にいかがでしょう」
温熱魔導クッションを片手に一通り説明したがまるで信じていない様子。
それもそのはず。この世界の魔道具はひとつにつき魔石1個が当たり前で、複数使用するなんて発想まるでなかったんだから。
しかも魔力がないと思っていた種族の子供が製作したなんて冗談にしか聞こえない。
「おい、あれどう思う?」
「魔石を4つも使うだなんて信じられる訳ないだろ。あのヒヨコが見栄張ってるだけだって」
「だよなぁ。そもそも、あのノンバード族が魔力回路作れるなんて思えないし」
その反応は予想していた。
だから説明だけではなく実演するのだ。自分ではなく、別の誰かが。
「そこの細目の狐獣人さん。そう、貴方です。論より証拠、信じられないならまずは試してみて下さい」
「え、僕!?」
いきなり指名された狐獣人のお兄さんは狼狽えたが、信じられなくとも気にはなるようで、おずおずと前へ進み出た。
狐獣人のお兄さんに温熱魔導クッションを渡して「ほんの少ーしだけ魔力を流して下さい」と指示。
ふわっとした手触りに驚いていた狐獣人はハッとして言われた通り魔力を流し……そして更なる驚きを露にした。
「なっ……なんなんだ、これは!?程よい温度で触れた場所からじわじわ温かくなっていく……しかも熱すぎず丁度いい……それにこんなに微量な魔力で発動するなら魔力の扱いが下手な人でも難なく発動できる!それに加えてこの手触り……至極の逸品だ……」
うっとりと恍惚の表情で饒舌に語ってくれたので信憑性が増した。
狐獣人から魔導クッションを返してもらって、トドメとばかりに解体して四隅に魔石がある証拠を突き付ければもう信じざるを得ないだろう。
そうすると、他の魔道具はどんな性能なんだろう?もしかしてあのクッションみたいに凄い仕組みだったりするんだろうか……という雰囲気になってくる。
俺に対しての嫌な視線は大分和らぎ、俺が他の魔道具を手に取ると、性能を知ろうと目を光らせて聞き耳を立てる商人達。いかに利益を得るかを考えている顔だ。
商人というのは意外と単純で、売れると分かれば自らの利益に繋がるよう賢く立ち回るものなのだ。
最弱種族だろうと子供だろうと、金になるなら貪欲に手を伸ばす。それが商人だ。
よし、上手く引き込めた。内心にやりとする俺。
「さてお次はこちら。その名もドラゴン温卓。温熱魔導クッションと同じく暖房魔道具ですが、こちらは貴族向けの高級指向です。机に使った木材はアイアントレントで、ちょっとやそっとの衝撃では壊れません。そしてなんといっても特徴なのがこの赤い鱗。こちらはレッドドラゴンの鱗です」
レッドドラゴンの鱗という単語にざわめきが広がる。
つい先日まですぐ近くの火山に居座っていた脅威の存在を素材に使ってるなんて誰も予想してなかったことだろう。
「あ!あのときのトカゲ君にゃ~!」
後ろで暇を持て余していたセレーナがドラゴンと聞いてはしゃぐ。戦闘狂な彼女にとって魔道具は興味の対象にならないようだ。
「机の裏に設置してあるレッドドラゴンの鱗とチャージバードの魔石とフライカウの魔石で温風が発生し循環するようになっており、一定の温度を越えると自動で止まる仕組みです。尚、こちらの魔道具もそれほど魔力は消費しません」
風を作り出せるフライカウの魔石とレッドドラゴンの鱗を掛け合わせて温風が循環するように魔力回路を組み込んだ。
チャージバードの魔石は魔力を溜め込める性質を持っているので予め魔力を満タンにしておけば発動時の極僅かな魔力のみで稼働する。
それでも稼働時の魔力消費がかなり少ないので、溜め込んだ魔力が空っぽになるのは数年後だ。
「ドラゴンの鱗……そんなのを使うなんて」
「複数の魔物の魔石を使っても作れるのか……」
「ドラゴンの鱗を譲ってもらえるほどの人脈、か。顔繋ぎしといた方がいいかもな……」
「いや、待てよ……確かレッドドラゴンを討伐したのはノンバード族って誰かが言ってたな。そんなまさかと思ってたが、あのヒヨコが……?」
おや。どうやら商人の方にも俺がレッドドラゴンを討伐した話は流れていたようだ。
ギルマスの依頼で討伐したのではなく、依頼関係なく俺自ら討伐しに行ったってことになってるらしい。
冒険者でもない一般人に討伐依頼出したなんて大っぴらには言えないってギルマスもアネスタ辺境伯も言ってたもんな。
「ではそこの金髪の人間のおじさん。物は試しです。稼働させてみて下さい」
「私だね!いいとも!」
レッドドラゴンの鱗なんて凄い素材を使ってるのに魔力消費が少ないと聞いて半信半疑な様子なので、再び実演してもらうことに。さっき実演した人ではなく別の人で。
温熱魔導クッションの効果をしっかり見ていたからか若干食い気味に請け負ってくれた人間のおじさん商人が直ぐ様魔力を流す。
次第に温かい風がドラゴン温卓の下から流れ、卓の下に手を入れた人間のおじさん商人は感嘆の声を洩らした。
「……素晴らしい。絶妙な温度の風が肌を撫でるこの感覚、癖になりそうだ。これほど画期的な暖房魔道具はなかなかお目にかかれない。これは止めるときはどうするんだ?」
「温卓の脚を折り畳めば止まりますよ。全部ではなく、どこかひとつ折り畳むだけでも大丈夫です」
「ほぉ、折り畳めるのか!」
温卓全体に張り巡らせた魔力回路。脚を折り畳めばそれが途切れて魔力供給がなくなり、自然と熱が冷める仕組み。
折り畳んだ脚を元に戻して再び魔力を流せば使える。このヒヨコボディで折り畳み式にするのはちょっと大変だった。
「にゃあ~気持ちいいのにゃぁ~……ぐぅ」
温卓の下で丸くなって眠るセレーナ。自由だなオイ。
二度の実演により魔道具の効果をハッキリ分からせたことで商人達の俺を見る目が少しずつ変わっていった。
よし、もう一押し。
「では最後。こちらは拡張収納箱といって、見た目の10倍の容量を誇ります。容器の木箱はトレントの木を使用しています。チャージバードの魔石を計8個、蓋と底の四方に埋め込んであるので実質死ぬまで使えます」
とうとう期待するような眼差しで俺を見はじめた商人達に駄目押しとばかりに最後の魔道具を指差して解説。
文字通りこれは箱だ。持ち運び用ではないのでそれなりの大きさだが、成人男性の膝下くらいはある。
死ぬまで使えます、のくだりで辺りがしぃんと静まった。
ふふふ。驚いたろう。この世界には空間を拡張するような魔道具は存在していないからな。
それに加えて魔道具というのは要となる魔石を消費するもの。なのに魔石の交換を必要とせず、死ぬまで使えるとなれば食いつかないわけがない。
ただこれでも俺にとっては未完成品なんだが。
「あくまで容量を拡大しただけです。容量無限にしたり中の時間を止めたりするのは素材が足りないので今のとこ無理です。後々改良する予定なので悪しからず」
前世では無限の容量に中の時間を止める効果のある魔道具を作ってただけに、コレジャナイ感が凄まじい。
素材が足りないんだ、素材が。素材さえあれば作れるんだよ。でも今はないからこの程度の物で我慢するしかない。
「容量拡大しただけ……?充分すぎるだろう……」
「容量無限……?内部の時間を停止する……?はは、耳がおかしくなったかな?」
「国宝級の魔道具じゃないか……」
この国では国宝級でも、俺にとっては未完成品だ。いつか絶対正真正銘の完成品を作ってやる。
「ではそこのやたら背の高い竜人さん。この中に手を入れてみて下さい」
「む、ワシか。よかろう」
ざわめく商人達の中から身長3メートルはゆうに越えてる獣人を指名して最後の実演を行ってもらう。
竜人族特有の鱗が煌めく長い腕を拡張収納箱に突っ込み、どんどん奥へと沈めていく。しかし箱の底にはいまだ届かず。端から見ると確実に床をぶち抜いている。
誰の目から見ても分かるその性能に感嘆の声が相次いだ。
一通りの解説と実演を踏まえ、辺りを見渡す。
度肝を抜かれてもそこはやはり商人。
彼らの目は完全に金色になっていた。
宣伝はこれくらいで充分だ。あとは……
受付の女性に視線を固定する。
ざっと利益の計算をして真剣な様子で思案顔をしていた受付嬢が俺の視線に気付き、それはそれは見事な営業スマイルを浮かべた。
「ランク登録の手続きをしますので、ステータスカードのご提示をお願いします」
子供扱いは鳴りを潜め、改まった口調でランク登録に必要な書類をカウンターに並べる受付嬢に内心ガッツポーズ。
営業効果で滞りなくランク登録と商品登録を済ませ、ぐーすか眠り続けているセレーナを叩き起こして商業ギルドをあとにした。
ちなみにランク登録にも商品登録にもステータスカードが必要なのだが、どちらもステータスカードを見せた瞬間に数分時が止まったように動かなくなった。
「なんの手品だありゃ」
ざわめく周囲をよそに、できるだけ多くの人の目に映るように製作した魔道具を並べていく。
実は魔導クッション以外にも色々と作っていたのだ。
今回持ってきたのは確実に売れる見込みのある物、またはこの世界にはない新しい発想を形にした物だけ。魔導クッションを作ってからというもの、時間のあるときにちらほらと魔道具を作っていたのだ。
ここにある魔道具に近い類似品が王都にすらないのは調査済み。
おそらく見たことのない形状のそれらに商人達は訝しげな視線を送る。
俺への侮蔑の視線は和らぎ、早速これら魔道具の使い道を考え、早くも利益を頭の中で計算し始めている者もちらほらと。
そう急がなくともきちんと説明するって。
「まずはこちら。この魔道具は温熱魔導クッションといって、微量の魔力を流すだけで長時間温かい温度が保たれるクッションです。フォレストラウルフの毛皮を加工したものにファイヤーバードの羽根を詰めこみ、四隅にオークの魔石を入れてあります。熱すぎないのでずっと持ってても火傷の心配はありません。これから寒くなる季節にいかがでしょう」
温熱魔導クッションを片手に一通り説明したがまるで信じていない様子。
それもそのはず。この世界の魔道具はひとつにつき魔石1個が当たり前で、複数使用するなんて発想まるでなかったんだから。
しかも魔力がないと思っていた種族の子供が製作したなんて冗談にしか聞こえない。
「おい、あれどう思う?」
「魔石を4つも使うだなんて信じられる訳ないだろ。あのヒヨコが見栄張ってるだけだって」
「だよなぁ。そもそも、あのノンバード族が魔力回路作れるなんて思えないし」
その反応は予想していた。
だから説明だけではなく実演するのだ。自分ではなく、別の誰かが。
「そこの細目の狐獣人さん。そう、貴方です。論より証拠、信じられないならまずは試してみて下さい」
「え、僕!?」
いきなり指名された狐獣人のお兄さんは狼狽えたが、信じられなくとも気にはなるようで、おずおずと前へ進み出た。
狐獣人のお兄さんに温熱魔導クッションを渡して「ほんの少ーしだけ魔力を流して下さい」と指示。
ふわっとした手触りに驚いていた狐獣人はハッとして言われた通り魔力を流し……そして更なる驚きを露にした。
「なっ……なんなんだ、これは!?程よい温度で触れた場所からじわじわ温かくなっていく……しかも熱すぎず丁度いい……それにこんなに微量な魔力で発動するなら魔力の扱いが下手な人でも難なく発動できる!それに加えてこの手触り……至極の逸品だ……」
うっとりと恍惚の表情で饒舌に語ってくれたので信憑性が増した。
狐獣人から魔導クッションを返してもらって、トドメとばかりに解体して四隅に魔石がある証拠を突き付ければもう信じざるを得ないだろう。
そうすると、他の魔道具はどんな性能なんだろう?もしかしてあのクッションみたいに凄い仕組みだったりするんだろうか……という雰囲気になってくる。
俺に対しての嫌な視線は大分和らぎ、俺が他の魔道具を手に取ると、性能を知ろうと目を光らせて聞き耳を立てる商人達。いかに利益を得るかを考えている顔だ。
商人というのは意外と単純で、売れると分かれば自らの利益に繋がるよう賢く立ち回るものなのだ。
最弱種族だろうと子供だろうと、金になるなら貪欲に手を伸ばす。それが商人だ。
よし、上手く引き込めた。内心にやりとする俺。
「さてお次はこちら。その名もドラゴン温卓。温熱魔導クッションと同じく暖房魔道具ですが、こちらは貴族向けの高級指向です。机に使った木材はアイアントレントで、ちょっとやそっとの衝撃では壊れません。そしてなんといっても特徴なのがこの赤い鱗。こちらはレッドドラゴンの鱗です」
レッドドラゴンの鱗という単語にざわめきが広がる。
つい先日まですぐ近くの火山に居座っていた脅威の存在を素材に使ってるなんて誰も予想してなかったことだろう。
「あ!あのときのトカゲ君にゃ~!」
後ろで暇を持て余していたセレーナがドラゴンと聞いてはしゃぐ。戦闘狂な彼女にとって魔道具は興味の対象にならないようだ。
「机の裏に設置してあるレッドドラゴンの鱗とチャージバードの魔石とフライカウの魔石で温風が発生し循環するようになっており、一定の温度を越えると自動で止まる仕組みです。尚、こちらの魔道具もそれほど魔力は消費しません」
風を作り出せるフライカウの魔石とレッドドラゴンの鱗を掛け合わせて温風が循環するように魔力回路を組み込んだ。
チャージバードの魔石は魔力を溜め込める性質を持っているので予め魔力を満タンにしておけば発動時の極僅かな魔力のみで稼働する。
それでも稼働時の魔力消費がかなり少ないので、溜め込んだ魔力が空っぽになるのは数年後だ。
「ドラゴンの鱗……そんなのを使うなんて」
「複数の魔物の魔石を使っても作れるのか……」
「ドラゴンの鱗を譲ってもらえるほどの人脈、か。顔繋ぎしといた方がいいかもな……」
「いや、待てよ……確かレッドドラゴンを討伐したのはノンバード族って誰かが言ってたな。そんなまさかと思ってたが、あのヒヨコが……?」
おや。どうやら商人の方にも俺がレッドドラゴンを討伐した話は流れていたようだ。
ギルマスの依頼で討伐したのではなく、依頼関係なく俺自ら討伐しに行ったってことになってるらしい。
冒険者でもない一般人に討伐依頼出したなんて大っぴらには言えないってギルマスもアネスタ辺境伯も言ってたもんな。
「ではそこの金髪の人間のおじさん。物は試しです。稼働させてみて下さい」
「私だね!いいとも!」
レッドドラゴンの鱗なんて凄い素材を使ってるのに魔力消費が少ないと聞いて半信半疑な様子なので、再び実演してもらうことに。さっき実演した人ではなく別の人で。
温熱魔導クッションの効果をしっかり見ていたからか若干食い気味に請け負ってくれた人間のおじさん商人が直ぐ様魔力を流す。
次第に温かい風がドラゴン温卓の下から流れ、卓の下に手を入れた人間のおじさん商人は感嘆の声を洩らした。
「……素晴らしい。絶妙な温度の風が肌を撫でるこの感覚、癖になりそうだ。これほど画期的な暖房魔道具はなかなかお目にかかれない。これは止めるときはどうするんだ?」
「温卓の脚を折り畳めば止まりますよ。全部ではなく、どこかひとつ折り畳むだけでも大丈夫です」
「ほぉ、折り畳めるのか!」
温卓全体に張り巡らせた魔力回路。脚を折り畳めばそれが途切れて魔力供給がなくなり、自然と熱が冷める仕組み。
折り畳んだ脚を元に戻して再び魔力を流せば使える。このヒヨコボディで折り畳み式にするのはちょっと大変だった。
「にゃあ~気持ちいいのにゃぁ~……ぐぅ」
温卓の下で丸くなって眠るセレーナ。自由だなオイ。
二度の実演により魔道具の効果をハッキリ分からせたことで商人達の俺を見る目が少しずつ変わっていった。
よし、もう一押し。
「では最後。こちらは拡張収納箱といって、見た目の10倍の容量を誇ります。容器の木箱はトレントの木を使用しています。チャージバードの魔石を計8個、蓋と底の四方に埋め込んであるので実質死ぬまで使えます」
とうとう期待するような眼差しで俺を見はじめた商人達に駄目押しとばかりに最後の魔道具を指差して解説。
文字通りこれは箱だ。持ち運び用ではないのでそれなりの大きさだが、成人男性の膝下くらいはある。
死ぬまで使えます、のくだりで辺りがしぃんと静まった。
ふふふ。驚いたろう。この世界には空間を拡張するような魔道具は存在していないからな。
それに加えて魔道具というのは要となる魔石を消費するもの。なのに魔石の交換を必要とせず、死ぬまで使えるとなれば食いつかないわけがない。
ただこれでも俺にとっては未完成品なんだが。
「あくまで容量を拡大しただけです。容量無限にしたり中の時間を止めたりするのは素材が足りないので今のとこ無理です。後々改良する予定なので悪しからず」
前世では無限の容量に中の時間を止める効果のある魔道具を作ってただけに、コレジャナイ感が凄まじい。
素材が足りないんだ、素材が。素材さえあれば作れるんだよ。でも今はないからこの程度の物で我慢するしかない。
「容量拡大しただけ……?充分すぎるだろう……」
「容量無限……?内部の時間を停止する……?はは、耳がおかしくなったかな?」
「国宝級の魔道具じゃないか……」
この国では国宝級でも、俺にとっては未完成品だ。いつか絶対正真正銘の完成品を作ってやる。
「ではそこのやたら背の高い竜人さん。この中に手を入れてみて下さい」
「む、ワシか。よかろう」
ざわめく商人達の中から身長3メートルはゆうに越えてる獣人を指名して最後の実演を行ってもらう。
竜人族特有の鱗が煌めく長い腕を拡張収納箱に突っ込み、どんどん奥へと沈めていく。しかし箱の底にはいまだ届かず。端から見ると確実に床をぶち抜いている。
誰の目から見ても分かるその性能に感嘆の声が相次いだ。
一通りの解説と実演を踏まえ、辺りを見渡す。
度肝を抜かれてもそこはやはり商人。
彼らの目は完全に金色になっていた。
宣伝はこれくらいで充分だ。あとは……
受付の女性に視線を固定する。
ざっと利益の計算をして真剣な様子で思案顔をしていた受付嬢が俺の視線に気付き、それはそれは見事な営業スマイルを浮かべた。
「ランク登録の手続きをしますので、ステータスカードのご提示をお願いします」
子供扱いは鳴りを潜め、改まった口調でランク登録に必要な書類をカウンターに並べる受付嬢に内心ガッツポーズ。
営業効果で滞りなくランク登録と商品登録を済ませ、ぐーすか眠り続けているセレーナを叩き起こして商業ギルドをあとにした。
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