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第一部・第二章:出会いと再会は突然に
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今日は素晴らしく晴れている。
絶好の自律日和だ。
そんでもって今俺は御叶神様からもらった制服を着ている。
「な……なんか、カッコいいな」
白い線が入った黒のズボンに純白のシャツ、紺のネクタイに黒い線の入った白色のブレザーを羽織ったら完璧だ。
今まで和の服しか着たことないからか新鮮な感じだよ。
「お似合いですよ、爽」
「爽はやっぱり和服の方が似合うだろ」
振り向くと、そこには当たり前のように嵐武様と白狐がいた。仕事に取り掛かる直前だというのに。
「白狐、ありがとう。嵐武様も……」
「俺をオマケみたいに言うんじゃねぇよ」
「あ、ごめん」
「てか、また敬語が抜けてるし。神様には敬語使えって何回言わす気だ!!」
「いだだだっ!!ちょ、痛いって!!すんません!敬語使いますから解放して下さい!!」
「嵐武様、爽にそんな行為をしていいと思ってるんですか?怒りますよ」
「さーせんっしたぁ!」
ああ、白狐と嵐武様のこんなやりとりを拝めるのも嵐武様に暴力振るわれるのも今日が最後なんだよなぁ。
痛いのは嫌だけど、明日からこれがないと思うと少し寂しい……いや、やっぱ寂しくない!俺はそっちの人間じゃない!!断じて違う!!
「おい、そろそろ時間だ。行くぞ」
ハッとして見れば嵐武様と白狐はもう御叶神様の屋敷の入り口まで歩いていた。
「待って!今行くっ!」
慌てて二人の背中を追いかける。
御叶神様の屋敷を出て北の方角に真っ直ぐ行くと人間界に通じる穴がある。そこから俺がこれから通う学園の近くまで降りるらしい。
降りるのは三人一緒だけど、行くのは俺1人。
あと少しでお別れだ。
「仕事は良いの?忙しいんでしょ?」
「あー、なんだ、その……今日は午前中は暇なんだよ。気にすんな」
嵐武様は相変わらず嘘が下手だ。
暇な時間なんて、1分1秒とないのは知ってるのに。
それがわかってるであろう白狐も何も言わないし。
俺のために時間を裂く必要なんてないのに。
「ほら、着いたぞ。ここが聖門だ」
“聖門”
門と呼ばれているが、実際は直径約2㎞ほどの馬鹿デカい円形の穴だ。
地面にぽっかりと開いた穴の中はひたすら暗い空間で、奈落の底かと見紛うほど。
それを見た率直な意見は、怖い。
落ちたら簡単に命の灯が消えてしまうのではないか、と、余計な考えが頭を過ってしまう。
いやいや、何考えてんだ俺!
この穴は人間界に通じる穴だぞ?
奈落の底な訳ないだろ!
「爽、震えてんぞ。行けるのか?」
「私がいますから大丈夫です。心配ご無用」
「……大丈夫」
二人に心配をかけたくない一心で震える拳を握りしめて無理やり止める。
深呼吸して地面を見つめること数秒、そう言って強い眼差しを向ける。
「良い目だ。行くぞ」
「私に掴まってて下さい。危険ですので」
「え?危険って?」
「言うのを忘れてたが、学園の近くっつってもどこに降りるかはわかんねぇんだよなぁ。まあ何とかなるだろ」
「はあぁ!?!?」
「んじゃ行くぞー」
「ちょちょちょちょっっ!!?」
パニック状態の俺を見もせず暗闇へダイブした嵐武様。それに続いて白狐に手を引かれて暗闇の中へ………
ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!!!
ひたすら黒。暗闇。
かなり長い間そこにいた錯覚に囚われる。
まさか、ずっとこの暗闇が続くのか?
人間界に降りる前に、もうすでに俺の命はこの世を去っているんじゃないか?
暗闇はひどく冷たい空間。
白狐に手を握られてる感覚さえも分からない。
何も感じないことが……怖い。
色んな恐怖が混ざり合った瞬間、一筋の小さな光が目の前に差し掛かった。
その光は目映さが増していき、次第にそれは俺の身体を包み込んだ。
絶好の自律日和だ。
そんでもって今俺は御叶神様からもらった制服を着ている。
「な……なんか、カッコいいな」
白い線が入った黒のズボンに純白のシャツ、紺のネクタイに黒い線の入った白色のブレザーを羽織ったら完璧だ。
今まで和の服しか着たことないからか新鮮な感じだよ。
「お似合いですよ、爽」
「爽はやっぱり和服の方が似合うだろ」
振り向くと、そこには当たり前のように嵐武様と白狐がいた。仕事に取り掛かる直前だというのに。
「白狐、ありがとう。嵐武様も……」
「俺をオマケみたいに言うんじゃねぇよ」
「あ、ごめん」
「てか、また敬語が抜けてるし。神様には敬語使えって何回言わす気だ!!」
「いだだだっ!!ちょ、痛いって!!すんません!敬語使いますから解放して下さい!!」
「嵐武様、爽にそんな行為をしていいと思ってるんですか?怒りますよ」
「さーせんっしたぁ!」
ああ、白狐と嵐武様のこんなやりとりを拝めるのも嵐武様に暴力振るわれるのも今日が最後なんだよなぁ。
痛いのは嫌だけど、明日からこれがないと思うと少し寂しい……いや、やっぱ寂しくない!俺はそっちの人間じゃない!!断じて違う!!
「おい、そろそろ時間だ。行くぞ」
ハッとして見れば嵐武様と白狐はもう御叶神様の屋敷の入り口まで歩いていた。
「待って!今行くっ!」
慌てて二人の背中を追いかける。
御叶神様の屋敷を出て北の方角に真っ直ぐ行くと人間界に通じる穴がある。そこから俺がこれから通う学園の近くまで降りるらしい。
降りるのは三人一緒だけど、行くのは俺1人。
あと少しでお別れだ。
「仕事は良いの?忙しいんでしょ?」
「あー、なんだ、その……今日は午前中は暇なんだよ。気にすんな」
嵐武様は相変わらず嘘が下手だ。
暇な時間なんて、1分1秒とないのは知ってるのに。
それがわかってるであろう白狐も何も言わないし。
俺のために時間を裂く必要なんてないのに。
「ほら、着いたぞ。ここが聖門だ」
“聖門”
門と呼ばれているが、実際は直径約2㎞ほどの馬鹿デカい円形の穴だ。
地面にぽっかりと開いた穴の中はひたすら暗い空間で、奈落の底かと見紛うほど。
それを見た率直な意見は、怖い。
落ちたら簡単に命の灯が消えてしまうのではないか、と、余計な考えが頭を過ってしまう。
いやいや、何考えてんだ俺!
この穴は人間界に通じる穴だぞ?
奈落の底な訳ないだろ!
「爽、震えてんぞ。行けるのか?」
「私がいますから大丈夫です。心配ご無用」
「……大丈夫」
二人に心配をかけたくない一心で震える拳を握りしめて無理やり止める。
深呼吸して地面を見つめること数秒、そう言って強い眼差しを向ける。
「良い目だ。行くぞ」
「私に掴まってて下さい。危険ですので」
「え?危険って?」
「言うのを忘れてたが、学園の近くっつってもどこに降りるかはわかんねぇんだよなぁ。まあ何とかなるだろ」
「はあぁ!?!?」
「んじゃ行くぞー」
「ちょちょちょちょっっ!!?」
パニック状態の俺を見もせず暗闇へダイブした嵐武様。それに続いて白狐に手を引かれて暗闇の中へ………
ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!!!
ひたすら黒。暗闇。
かなり長い間そこにいた錯覚に囚われる。
まさか、ずっとこの暗闇が続くのか?
人間界に降りる前に、もうすでに俺の命はこの世を去っているんじゃないか?
暗闇はひどく冷たい空間。
白狐に手を握られてる感覚さえも分からない。
何も感じないことが……怖い。
色んな恐怖が混ざり合った瞬間、一筋の小さな光が目の前に差し掛かった。
その光は目映さが増していき、次第にそれは俺の身体を包み込んだ。
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