神様と友達な彼と最強くん

深園 彩月

文字の大きさ
12 / 46
第一部・第二章:出会いと再会は突然に

12

しおりを挟む
 ひとたび目を見開けばそこは一面黄土色。

 暗闇から脱したことによる安堵感でボケッとしていたからか目の前の光景に頭がついていかず、そのまま頭から落下した。というか勢いがありすぎたのか身体の半分くらい土の中に埋もれちゃったよ。あれ、窒息死しちゃわないかな。

「~~~~っっ!!?」

 何これ頭から落ちたら普通人間なら死んじゃうよね?

 めっちゃ痛いんだけど!
 めっちゃ痛いんだけど!!

 何故か二度言いました。

「あはははっ!盛大に頭から落ちたな。よく無事だったなお前」

「落下途中で手を放す爽が悪いです。それにしてもよく無傷でいられますね。人間なら死んでもおかしくないというのに……不思議なこともあるもんです」

 お二方、冷静に呑気に喋ってないで土の中に埋まってる俺を助けて下さいませんかね!?

 土中に埋まってる俺のすぐ横には冷静にこちらをじっと見つめる心配のカケラもなさそうな白狐がおり、少し離れた場所に嵐武様が俺を指差して笑ってやがった。

 結局二人に助けてもらうことなく自力で這い上がった可哀想な俺。

「で、どっち向かえば良いんだろ?全然分かんない」

 どこを見ても草木。色鮮やかな緑が辺りに広がってる。道らしき道はなく、そこらにはリスや兎といった可愛い小動物がいきなりこの地に降り立った俺らをガン見している。

 ごめんね、驚かしちゃったね。

「ここから北に真っ直ぐだ。ひたすら歩けば分かる」

 そう言ってその方角を指差す嵐武様。

 てか、え?ひたすら歩けば……って、そんな長い距離なの?近くって言ってたよね?近くなんだよね?入学式に汗だくで出席とかやだよ俺。

「向こうについたらとりあえず理事長室に向かえ。寮の自分の部屋の鍵もらったりするかんな。入学式は1週間前だったから授業は午後もあるんじゃねぇかな?」

 まさかの入学式終わってた!

「まあ頑張れよ。………色んな意味で」

 ぼそっと言ってるけど聞こえてんぞ。

 色んな意味って何?ねぇ、色んな意味って何!?

「………爽」

 嵐武様の意味ありげな言動に頭の中?状態の俺に呼び掛けたのは白狐だった。

 何だろうと思い横を向くと、いつになく真剣な白狐の顔がそこにあった。

「どしたの?」

「えっと……その…………」

 白狐が口ごもるなんて滅多にないのに、ホントにどうしたんだろ?

 数秒の沈黙の後、白狐は口を開いた。

「爽が通う学園には2つの学科があります。普通科と霊能科で、もちろん爽は普通科です。……校舎は違うみたいですが、一応言っておきます。霊能科の人間とは親しくしないようにして下さい」

「……え?何で?」

 あまりにも意外な要求をされたから聞き返してしまった。

「理由は……あ、すみません。答えたいのは山々ですが、そろそろ学園に向かわなくては遅刻となってしまう時間ですよ」

 常に右腕に装着されてるいつ買ったのか分からない腕時計をチラッと見た白狐がそう言ったが、はぐらかされた気がしたのは気のせいか?

「お前、さすがに初日に遅刻はまずいだろ。ほら行った行った!」

 だが白狐の腕時計を見たらホントにヤバい時間だったので学園に向かおうと足を動かそうとした。だが………

 足が重く感じる。

 前へ進むのを躊躇っているのが自分でも分かる。

 もう会えない。

 その言葉が頭の中を過り、足どりを重くする。

 でも、行かなきゃ。

 進まなきゃ。

 俺はもう、甘えていい立場ではないんだから。この二人を困らせちゃいけないんだから。

「………行ってきます!」

 だから、心配させないように笑顔でいなきゃ。

「おう、さっさと行けや」

「お気をつけて」

 二人も笑顔を向けてくれた。


 家族との別れに涙が出そうになるのを堪え、心の中でさようならと唱えた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』 見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装… 俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。 突然の事で戸惑うクラスメート達… だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。 「またか…」 王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。 そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。 そして俺はというと…? 『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』 「それよりも不知火君は何を得たんだ?」 イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。 俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。 その場にいた者達は、俺の加護を見ると… 「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。 『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』 王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。 まぁ、その方が気楽で良い。 そして正義は、リーダーとして皆に言った。 「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」 正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。 「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」 「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」 「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」 「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」 「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」 「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」 「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」 俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。 「その…鎧と剣は?」 「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」 「今迄って…今回が2回目では無いのか?」 「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」 俺はうんざりしながら答えた。 そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。 いずれの世界も救って来た。 そして今度の世界は…? 6月22日 HOTランキングで6位になりました! 6月23日 HOTランキングで4位になりました! 昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°. 6月24日 HOTランキングで2位になりました! 皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

二十年仕えた王女が私を敵に売った。それでも守ることにした

セッシー
ファンタジー
二十年間、王女殿下の護衛騎士として仕えた。その殿下が、私を敵に売った。 牢の中で事実を知り、一分考えて——逃げることにした。殿下の目的を、まだ果たしていないから。 裏切りの真相を確かめるため、一人王都へ戻る護衛騎士の話。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

イジメられっ子世に憚る。

satomi
ファンタジー
主人公須藤正巳はぼんやりと教室で授業を受けていた。その時、突然教室中に物凄い量の光が…。 正巳が属する2-C全員が異世界転移することとなってしまった。 その世界では今まで正巳が陰キャとして読み漁ったラノベともゲームとも異なり、レベルがカウントダウン制。つまりレベル999よりレベル1の方が強い。という世界だった。 そんな中、クラスのリーダー的陽キャである神谷により全員で教室の外に出ることに。 いきなりドラゴンに出会い、クラスの全員がとった行動が『正巳を囮にして逃げること』だった。 なんとか生き延びた正巳は、まず逃げた連中へ復讐を誓う。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...