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第一部・第三章:これが日常とか拷問だろ!
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教室の前で騒いでいたからかドアが開き男子生徒が顔を出して「せんせー興奮してないでHR始めてくださーい」と冷めた口調で注意された。
教室からは廊下の声がだだ漏れだったにも関わらずしぃんと静まりかえっている様子。
え、もっと驚く場面じゃないの?慣れてるの君達。この変た……変人教師、これが通常運転なの?
「ごめーん!今HR始めるわー!じゃあ柳くん、皆に挨拶しよっか」
「あ、はい!」
挨拶か。ちょい緊張するな。
緊張を顔に張り付かせて納賀先生の後ろから教室に入る。……って先生ぇ!!男子生徒の身体舐めまわすようにじろじろ見てニヤニヤしないで下さぁーい!!キモいでーす!!
そこには幾度となく漫画で見た風景が広がっていた。
教室の前にはでっかい黒板があり、生徒の机が縦横キレイに並び、そこに着席している同い年の生徒達。
これが教室かぁ。
これが……俺がこれから過ごす場所かぁ。
なんだかしみじみと実感する。
嵐武様や白狐にまた会いたい気持ちもあるけど、ここで普通に過ごすことも楽しみなんだ。
学校ってところは漫画でしか見たことないし、神界から出て青春を謳歌するなんて考えたこともなかった。
けど、いざこうなってみると、高揚していくのが分かる。
「編入生を紹介するわねー!皆仲良くしてねー♪」
「柳 爽です!皆、よろしくーっ!」
皆と早く打ち解けたくて緊張しつつもフレンドリーに挨拶した。
するとどうだろう。女子は赤面しキャーと悲鳴をあげ、男子は羨望と嫉妬の眼差しを送りながらギリィッと歯を食い縛っているではないか。
何故赤面するのかわかんないけどキャーはないでしょキャーは。俺どんだけ嫌われてんだよ。泣くわぁ……
「ハーイ、柳くんがイケメンで女の子の心かっさらったからって睨まない睨まない!むしろ性的な意味で争奪戦になれば良いのに」
「せんせー教育上よろしくない発言は控えて下さい」
その後もセクハラ発言を連発する納賀先生を冷めた口調で制する男子生徒という奇妙なやりとりが続き、数分後には気を取り直してHRが始まった。
良いのか皆、あんなのが担任で。慣れっこなの?慣れっこだから何も言わないの?
ちなみに俺の席は窓際の一番後ろです。隣の席の女子が頑なに俺の方を見ません。話かけてもガン無視されました。ヒドイっす。
「じゃあHR終わりー!各自授業の用意して待っててね~!んじゃテスト頑張ってねん!」
納賀先生が教室から出ていくと同時に筆箱を取り出して授業が始まるのを待つ体制になるクラスの人達。次の授業はなんだろうと思って隣の女子にまた話しかけてみる。今度は無視されないといいな。
「ねえ、次の授業なんなの?」
「……………」
ハイ無視されましたー。なんだろうな、この子。俺の自己紹介も全く耳に入ってないみたいだし、クラスの人達もこの子の存在忘れてるみたいに視線を向けないし。仲悪いのかな?
「次の授業は数学だぞー。早く用意しないと鬼センに目ぇつけられるから注意しな」
少し離れた席にいる納賀先生に冷静な突っ込みを入れた男子から言葉が飛んできたため急いで準備する。そしてちょうど良いタイミングで数学の教師が入ってきた。
――――――――――――――
「ねえねえ、柳くん頭良いよね」
「え、普通だと思うけど……」
「テストの問題スラスラ解いてたの、私見ちゃったんだからね!あれ前の授業で習ったばっかりの難しい問題なのにー!」
「そうなんだ?でも解き方を頭に入れておけばすぐ理解できる問題ばっかりだったよ」
只今昼休み。
男子は見るからに何故か敵意剥き出しだったため心優しい女子に食堂まで案内してもらい、一番安くてヘルシーでバランスの良いCランチの学食を頼んで皆と仲良く雑談中。
お分かりだろうが、金は南雲のもの。謹慎中に買い物したあと「学食にも金がいる」とのことで毎日ワンコインを借りる約束をしたのだ。
毎日じゃなくても1回でまとめて1週間分とか1ヶ月分とか借りれば手間が省けるんじゃないかって言ったら、ただでさえ科が違って会えないんだからさらに会える時間が減るのは嫌だって言ったんだ。
思いの外まともな理由だったし、却下したらしたで金銭の供給がなくなりかねないので助けてもらってる側からは何も言えない。
「おー、すっかりハーレム状態じゃん」
注文したCランチを持ってくると、そこには納賀先生に冷静に突っ込みを入れていて印象的な男子生徒が俺と話していた数人の女子達の横に座ってがっつり肉系のAランチを頬張っていた。
この男だけは他の男子と違って敵意を剥き出しにするでもなく睨むでもなく普通に接してくれる。
「頭も顔も良いとかそら男は敵視するわあ。いっそのこと女子全員の前で盛大に恥かいて男子に指差されて笑われたら良いのにって俺も思うし」
言葉はキッツイけどね(泣)!
「高築くん、言葉選びなよ!」
「柳くんが傷ついちゃう~!」
女子全員が俺の味方だ。とっても嬉しい!
「まーいいや。それより柳、お前よくあいつに話しかけたな。びっくりしたわー」
「あいつって?」
「轟木 いばら。お前の隣の席のやつだよ。あいつに話しかけれるやつはそうそういないからさー」
轟木の名前がでた瞬間女子全員がサッと表情を変えた。
さっきまで楽しく会話してたのに、一変して気難しい顔になっていて眉をひそめた。そんな顔をするほどの何があったんだろう?
やや重い空気の中高築は説明してくれた。
「轟木はさ、中等部では陰陽師として霊能科でそれなりに優秀だったんだよね」
食べ終えた高築は箸を置いて一息つく。
「成績も優秀な方で、妖怪討伐も良いセンいってた。先生達にも期待されてたし、そのままエリート街道まっしぐらって言われてたんだ」
そうだったんだ……でも、そんな優秀な陰陽師の轟木がなんで普通科に転科したんだ?
「……けど、3年前の冬、妖怪討伐に赴いたときに討伐対象の妖怪から精神に干渉する危険な術を施された。元の人格は崩壊し、今や人形みたいに表情のない轟木のできあがりだ」
すっかりぬるくなったお茶をすすりながら横目で食堂の端っこを見る高築。つられて俺もそちらを見る。
俺と同じCランチを注文したらしい。それを口に運ぶ轟木の姿があった。だがその顔は無表情な日本人形のソレと瓜二つだ。
教室ではうつむいてて見えなかったけど、今ならはっきりと分かる。
「先生達も手を尽くしたが現状は変わらず。妖怪討伐もできないもんだから一先ず普通科に異動して様子見ってとこ。……可哀想に。本当なら今も霊能科で功績を残してるはずなのに、こんな狭い檻の中に押し込められてさ」
「え、それってどういう………」
俺が言い終わる前に食器を持ってすたすたと歩いていってしまった。話は終わりとでも言うように。
話し込んでいた女の子達もそそくさと食器を片付けていた。なんか悪いことしちゃったな。せっかく皆で楽しく会話してたのに。
再び視線を轟木に向ける。
「…………だからって空気扱いはないだろ」
まるで腫れ物を見るような目で見たり、本当はそこにいるのに誰もいないみたいな素振りをしてるのが気に入らない。
人形のように無表情でも、妖怪のせいで心に大きな障害を抱えていたとしても、一人の個として接するべきだと俺は思う。というか俺がそうしたい。
現に今だって轟木の近くに座って楽しく話してる人達は轟木を見もしない。そこには誰もいないといってるようで少し悲しくなった。
静かに立ち上がり、空になった食器を戻そうとする轟木に合わせて俺も席を立って食器を片付けに行く。
轟木が横にいるのを確認して歩調を合わせた。
「Cランチ美味しかったね!」
「……………」
当然のように返事はなく無言を貫く轟木。
うん、やっぱなんの返事もないと堪えるな。
でも轟木は毎日ずっとこんな扱いをされてきたんだ。これくらいでへこたれてちゃ駄目だ。
妖怪のせいで精神が不安定になってるのならなおのこと、誰かが傍にいたほうが轟木も安心すると思うんだ。きっと不安でいっぱいだろうし。
心がまるごとどっかいっちゃったって事態じゃなけりゃ、もしかしたら力のない俺にも轟木を元の人格に戻せるかもしれない。
……力のない自分にも何かできるって信じたいだけなのかもしれないけど、見てみたいという気持ちも嘘じゃない。
轟木の本当の姿を。
地道にやっていけばいつかは轟木を心の檻から解放できる、と思う。
「教室まで一緒に行こうよ!」
だからそれまでは頑張って轟木との距離を縮めれたらいいな。
教室からは廊下の声がだだ漏れだったにも関わらずしぃんと静まりかえっている様子。
え、もっと驚く場面じゃないの?慣れてるの君達。この変た……変人教師、これが通常運転なの?
「ごめーん!今HR始めるわー!じゃあ柳くん、皆に挨拶しよっか」
「あ、はい!」
挨拶か。ちょい緊張するな。
緊張を顔に張り付かせて納賀先生の後ろから教室に入る。……って先生ぇ!!男子生徒の身体舐めまわすようにじろじろ見てニヤニヤしないで下さぁーい!!キモいでーす!!
そこには幾度となく漫画で見た風景が広がっていた。
教室の前にはでっかい黒板があり、生徒の机が縦横キレイに並び、そこに着席している同い年の生徒達。
これが教室かぁ。
これが……俺がこれから過ごす場所かぁ。
なんだかしみじみと実感する。
嵐武様や白狐にまた会いたい気持ちもあるけど、ここで普通に過ごすことも楽しみなんだ。
学校ってところは漫画でしか見たことないし、神界から出て青春を謳歌するなんて考えたこともなかった。
けど、いざこうなってみると、高揚していくのが分かる。
「編入生を紹介するわねー!皆仲良くしてねー♪」
「柳 爽です!皆、よろしくーっ!」
皆と早く打ち解けたくて緊張しつつもフレンドリーに挨拶した。
するとどうだろう。女子は赤面しキャーと悲鳴をあげ、男子は羨望と嫉妬の眼差しを送りながらギリィッと歯を食い縛っているではないか。
何故赤面するのかわかんないけどキャーはないでしょキャーは。俺どんだけ嫌われてんだよ。泣くわぁ……
「ハーイ、柳くんがイケメンで女の子の心かっさらったからって睨まない睨まない!むしろ性的な意味で争奪戦になれば良いのに」
「せんせー教育上よろしくない発言は控えて下さい」
その後もセクハラ発言を連発する納賀先生を冷めた口調で制する男子生徒という奇妙なやりとりが続き、数分後には気を取り直してHRが始まった。
良いのか皆、あんなのが担任で。慣れっこなの?慣れっこだから何も言わないの?
ちなみに俺の席は窓際の一番後ろです。隣の席の女子が頑なに俺の方を見ません。話かけてもガン無視されました。ヒドイっす。
「じゃあHR終わりー!各自授業の用意して待っててね~!んじゃテスト頑張ってねん!」
納賀先生が教室から出ていくと同時に筆箱を取り出して授業が始まるのを待つ体制になるクラスの人達。次の授業はなんだろうと思って隣の女子にまた話しかけてみる。今度は無視されないといいな。
「ねえ、次の授業なんなの?」
「……………」
ハイ無視されましたー。なんだろうな、この子。俺の自己紹介も全く耳に入ってないみたいだし、クラスの人達もこの子の存在忘れてるみたいに視線を向けないし。仲悪いのかな?
「次の授業は数学だぞー。早く用意しないと鬼センに目ぇつけられるから注意しな」
少し離れた席にいる納賀先生に冷静な突っ込みを入れた男子から言葉が飛んできたため急いで準備する。そしてちょうど良いタイミングで数学の教師が入ってきた。
――――――――――――――
「ねえねえ、柳くん頭良いよね」
「え、普通だと思うけど……」
「テストの問題スラスラ解いてたの、私見ちゃったんだからね!あれ前の授業で習ったばっかりの難しい問題なのにー!」
「そうなんだ?でも解き方を頭に入れておけばすぐ理解できる問題ばっかりだったよ」
只今昼休み。
男子は見るからに何故か敵意剥き出しだったため心優しい女子に食堂まで案内してもらい、一番安くてヘルシーでバランスの良いCランチの学食を頼んで皆と仲良く雑談中。
お分かりだろうが、金は南雲のもの。謹慎中に買い物したあと「学食にも金がいる」とのことで毎日ワンコインを借りる約束をしたのだ。
毎日じゃなくても1回でまとめて1週間分とか1ヶ月分とか借りれば手間が省けるんじゃないかって言ったら、ただでさえ科が違って会えないんだからさらに会える時間が減るのは嫌だって言ったんだ。
思いの外まともな理由だったし、却下したらしたで金銭の供給がなくなりかねないので助けてもらってる側からは何も言えない。
「おー、すっかりハーレム状態じゃん」
注文したCランチを持ってくると、そこには納賀先生に冷静に突っ込みを入れていて印象的な男子生徒が俺と話していた数人の女子達の横に座ってがっつり肉系のAランチを頬張っていた。
この男だけは他の男子と違って敵意を剥き出しにするでもなく睨むでもなく普通に接してくれる。
「頭も顔も良いとかそら男は敵視するわあ。いっそのこと女子全員の前で盛大に恥かいて男子に指差されて笑われたら良いのにって俺も思うし」
言葉はキッツイけどね(泣)!
「高築くん、言葉選びなよ!」
「柳くんが傷ついちゃう~!」
女子全員が俺の味方だ。とっても嬉しい!
「まーいいや。それより柳、お前よくあいつに話しかけたな。びっくりしたわー」
「あいつって?」
「轟木 いばら。お前の隣の席のやつだよ。あいつに話しかけれるやつはそうそういないからさー」
轟木の名前がでた瞬間女子全員がサッと表情を変えた。
さっきまで楽しく会話してたのに、一変して気難しい顔になっていて眉をひそめた。そんな顔をするほどの何があったんだろう?
やや重い空気の中高築は説明してくれた。
「轟木はさ、中等部では陰陽師として霊能科でそれなりに優秀だったんだよね」
食べ終えた高築は箸を置いて一息つく。
「成績も優秀な方で、妖怪討伐も良いセンいってた。先生達にも期待されてたし、そのままエリート街道まっしぐらって言われてたんだ」
そうだったんだ……でも、そんな優秀な陰陽師の轟木がなんで普通科に転科したんだ?
「……けど、3年前の冬、妖怪討伐に赴いたときに討伐対象の妖怪から精神に干渉する危険な術を施された。元の人格は崩壊し、今や人形みたいに表情のない轟木のできあがりだ」
すっかりぬるくなったお茶をすすりながら横目で食堂の端っこを見る高築。つられて俺もそちらを見る。
俺と同じCランチを注文したらしい。それを口に運ぶ轟木の姿があった。だがその顔は無表情な日本人形のソレと瓜二つだ。
教室ではうつむいてて見えなかったけど、今ならはっきりと分かる。
「先生達も手を尽くしたが現状は変わらず。妖怪討伐もできないもんだから一先ず普通科に異動して様子見ってとこ。……可哀想に。本当なら今も霊能科で功績を残してるはずなのに、こんな狭い檻の中に押し込められてさ」
「え、それってどういう………」
俺が言い終わる前に食器を持ってすたすたと歩いていってしまった。話は終わりとでも言うように。
話し込んでいた女の子達もそそくさと食器を片付けていた。なんか悪いことしちゃったな。せっかく皆で楽しく会話してたのに。
再び視線を轟木に向ける。
「…………だからって空気扱いはないだろ」
まるで腫れ物を見るような目で見たり、本当はそこにいるのに誰もいないみたいな素振りをしてるのが気に入らない。
人形のように無表情でも、妖怪のせいで心に大きな障害を抱えていたとしても、一人の個として接するべきだと俺は思う。というか俺がそうしたい。
現に今だって轟木の近くに座って楽しく話してる人達は轟木を見もしない。そこには誰もいないといってるようで少し悲しくなった。
静かに立ち上がり、空になった食器を戻そうとする轟木に合わせて俺も席を立って食器を片付けに行く。
轟木が横にいるのを確認して歩調を合わせた。
「Cランチ美味しかったね!」
「……………」
当然のように返事はなく無言を貫く轟木。
うん、やっぱなんの返事もないと堪えるな。
でも轟木は毎日ずっとこんな扱いをされてきたんだ。これくらいでへこたれてちゃ駄目だ。
妖怪のせいで精神が不安定になってるのならなおのこと、誰かが傍にいたほうが轟木も安心すると思うんだ。きっと不安でいっぱいだろうし。
心がまるごとどっかいっちゃったって事態じゃなけりゃ、もしかしたら力のない俺にも轟木を元の人格に戻せるかもしれない。
……力のない自分にも何かできるって信じたいだけなのかもしれないけど、見てみたいという気持ちも嘘じゃない。
轟木の本当の姿を。
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