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第一部・第三章:これが日常とか拷問だろ!
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轟木と入ったとたんに静まりかえった教室。だがそれは一瞬だけで、すぐに賑わいを見せた。ただひとつ朝と違うところは、女子が近寄ってこなくなったこと。轟木と一緒だからかな?感じ悪い。
その後の授業も難なく終わり、ようやく放課後。
轟木に一緒に帰ろうと誘ったがやはりというか見事に振られ、女子も近づきにくそうにこっちをチラチラ見てくるも轟木と話す物珍しい存在だからか話かけられることはなく、下駄箱に付くまで一人だった。
が、しかし。
この状況はなんなのだろう。
「柳くん、一緒に帰ろうよ~」
「やだ、柳くんは私と帰るのよ!邪魔しないで!」
「あんたこそ邪魔しないでよ!ブスのくせにっ!」
「あんただって中の下な平均的な顔してるくせにっ!!柳くんに相応しいのは私よ!」
「柳くぅん、今日の夜も雷雨になるんだってぇ!私こわぁい……良かったら一緒にいてほしいなぁ」
「「猫なで声で出し抜くなブス!!」」
下駄箱につくまでにクラスの違う何人もの女子に一緒に帰ろう口撃を繰り出されていて、下駄箱につくころには俺の周りで女同士の闘いが繰り広げられていた。
「えーっと……なんで皆俺と帰りたがるの?」
俺の存在がほぼ空気になり女子の闘いが激しさを増幅させ、いよいよ本格的な修羅場へと化す直前にちょいビビりながらも勇気を振り絞って声を出した。
高築が、顔が良いから女に困らないだとか女の醜い争いを見ることになるだとか言ってたけど、今のこの状況がそうなのかな……多分。
へー俺って顔良い方なのかー。神界には美人がほとんどだから気づかなかったわーくらいにしか思ってなかったし、顔が良いからって寄ってたかってくる女子の気持ちも全くさっぱり理解不能だ。
俺の小さな疑問に答えてくれる者はおらず、数瞬のそれほど重くない沈黙が流れる。目が泳いでいたり顔が明後日の方向を向いていたりする女子達。それを見て誰にも気づかれないほど小さなため息を吐いた。
……やっぱり、女の子の気持ちは分からない。
結局女の子達とは帰らず、一人で寮へと戻る俺。近くでは友達同士仲良く雑談しながら寮へと向かう人がちらほら。男子寮も女子寮も同じ方向なためさっきの女の子達も俺と距離を置いてかなり後ろにいるのだろう。
だが横幅がかなり広いためか人と人の間がそれなりに開いてる。
ぽつぽつと歩いている俺は大きなため息をついた。さっきのよりうんとでかいため息。幸せが逃げちゃいそうなほど。
一人になると、決まってこの思考にたどり着いてしまう。
「嵐武様達、大丈夫かな」
謹慎中はもうこればっかだったわ。何回心配すれば気が済むんかな。
多分これ聞いたら嵐武様絶対「てめぇにそんな心配されるほど弱かねぇわ!」ってぶちギレてもれなく顔面に鉄拳くらうだろうけど。
もちろん嵐武様は神様だし力強いし、心配しなくても良いんだって頭では理解しているつもりだ。けどやっぱり身近な人だから心配するのは当たり前で。
「ランブサマ?誰だそれ」
「どぅあああああぁぁっっ!!?」
とか感傷に浸ってたら至近距離に南雲が!!目の前に南雲が!!鼻先15センチくらいに南雲がああ!?
「お前なんでいんの!?」
「帰り道だからとしか言い様がないが」
心臓ばっくんばっくんしてる。なにこれ。背後からぬっと現れるのも心臓に悪いけどいきなり目の前に人がいても心臓飛び跳ねるくらいびっくりするな。
「で、ランブサマって誰だ?偉い人か?」
こっちのドキドキも知らないで何ちゃっかり隣陣取ってんだよ!一緒に帰るってか?喜んで!
「あ、うん、そんなとこ。独り言だから気にしないで!」
「ふぅん、まあそれはいい。そっちはテストどうだった?」
「簡単な問題ばっかりだったよ」
「そうか。こっちもすぐ解ける問題が多かったぞ。とはいえ、久々に授業にでたはいいがやはり授業に出るのは面倒だな」
うっかり嵐武様の名を口にしたがそれほど気にしなかったようで、気がつけば互いの授業の話題で盛り上がりをみせていた。その最中、普通に通う生徒ならまず言わないことをあたかも自然だと言わんばかりに平然と口にする南雲を見て目が点になる俺。
「いやいやいや、授業にでるのが普通なんだよ!何今の発言!?まるでずっと授業サボってたみたいな口振りじゃん!」
「ふっ、忘れたか?僕が陰陽師の仕事をする代わりに授業に出てないのを」
ドヤ顔で言う台詞じゃねぇよ。
「じゃあなんで今日は授業でたんだよ!?」
「気まぐれだが何か」
「なんの悪びれもなく!?」
「大丈夫だ。ちゃんと教師を脅し……契約したし」
「おい今脅すって単語がでたぞ」
教師を脅迫するなよ。
「大丈夫だ。霊能科の教師は皆僕に逆らわないし何をしても怒らない」
脅迫したら誰だってそうなるわ!
「多少進級できるか心配ではあるが出席日数も問題ない。仕事もちゃんとこなせる。ほら大丈夫だろう」
「ほらじゃねぇ!何真顔で言ってんだ!何が大丈夫なの意味分からない!!」
また妖怪討伐手伝ってとか言い出すんじゃなかろうか。やめてよ。もう謹慎くらうのはこりごりだよ。
主に俺だけ精神的に疲れる会話をしてた途中、ぽつぽつと小雨が降ってきた。ちらほらと疎らに寮へ向かう生徒は雨が強くなっていくごとに小走りになり、それにつられて俺達も同じ方向に走り出す。
程なくして寮に着いた俺達だが、着いたときにはもうびっしょびしょ。何だよアレ。まるで目的地に行く手を阻むように段々雨が強くなってったんだけど。終いには雷ピシャーン!だし。
南雲より俺の部屋のほうが近いため俺達はそこでずぶ濡れになった身体をタオルで拭いていた。
「うわ、雷鳴ってる。ちょっと前からずっとこんなだなぁ」
「うむ、問題ない。仕事に支障はない」
「ああ、妖怪討伐の仕事あるんだっけ?大変だねー」
「ああ、大変だが二人で頑張ろう」
「おう!ってうおぉぉぉい!!」
ちょい待ち!!今二人でって言った!?
前のこと忘れた訳じゃないよね?全く反省してないんかあんた。
「俺邪魔にしかなんないって前回の一件で分かったはずだよね?俺なんの力もないしアドバイスすらしてなかったよね?それなのにまた誘うって馬鹿なの?また先生に怒られたいの?」
どう見ても足手まといにしかならないことは一目瞭然。そして正直に言おう。先生に見つかったらまた謹慎くらうから嫌なんだよ!いい加減にしろよ!またとばっちりは勘弁してよ!
「反省はした。だが二度としないとは言ってない!!」
誰かこの馬鹿止めて。
今日の南雲ドヤ顔多いな。イラつくわあ。平然と危険な仕事に巻き込むその度胸もイラつくわあ。
「俺は行かないからな!この豪雨の中妖怪さんとバトルとか冗談じゃない!それにまた謹慎くらうのは目に見えてる!せっかくようやく授業初日を終えたってのにまた寮で何もせずお空を眺める悲しい状態なんてやだよ!!」
「お空眺めてたのか……」
「俺と違って妖怪を制圧できる力があるんだろ!?だったら自分だけでどうにかしろよ!」
……あれ。何言ってんだ俺?
「その力を俺に見せつけるために連れていくのかよ!だったら……」
「……おい、柳」
「だったらっ!俺なんか連れてくなよ!!」
当然にして沈黙が訪れる。
ああぁ……本当何言ってんだろ。こんな八つ当たりみたいに言わなくても良いじゃん自分。
こんな気持ち、永久に言わないつもりだったのに。
あの日、南雲から妖怪討伐に一緒に行こうって言われたときは口では何を言っててもひどく高揚した。俺にも何かしらの力があるから南雲が誘ってくれたんだって気持ちが心の奥底で僅かに沸き上がった。
だから、俺でも何かできるんだって自信もあった。
なのに。
結局俺は今までと同じ、何もできないままで。
「…………気にくわん」
いきなり沈黙を破った南雲に自然と目がそっちを向く。
南雲は静かに怒りをあらわにしていた。
「まるで自分にはなんの力も、可能性もないみたいなその口振りが気にくわん」
この数日で何度か南雲が苦々しい表情をしたのは目の前で見た。けどまさか自分に向けられるとは。しかも怒気を含んだ顔だからか妙に迫力ある。
八つ当たりされて怒った訳じゃないみたいだけどいったい何に対して怒気をぶつけているのか………
その後の授業も難なく終わり、ようやく放課後。
轟木に一緒に帰ろうと誘ったがやはりというか見事に振られ、女子も近づきにくそうにこっちをチラチラ見てくるも轟木と話す物珍しい存在だからか話かけられることはなく、下駄箱に付くまで一人だった。
が、しかし。
この状況はなんなのだろう。
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「やだ、柳くんは私と帰るのよ!邪魔しないで!」
「あんたこそ邪魔しないでよ!ブスのくせにっ!」
「あんただって中の下な平均的な顔してるくせにっ!!柳くんに相応しいのは私よ!」
「柳くぅん、今日の夜も雷雨になるんだってぇ!私こわぁい……良かったら一緒にいてほしいなぁ」
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下駄箱につくまでにクラスの違う何人もの女子に一緒に帰ろう口撃を繰り出されていて、下駄箱につくころには俺の周りで女同士の闘いが繰り広げられていた。
「えーっと……なんで皆俺と帰りたがるの?」
俺の存在がほぼ空気になり女子の闘いが激しさを増幅させ、いよいよ本格的な修羅場へと化す直前にちょいビビりながらも勇気を振り絞って声を出した。
高築が、顔が良いから女に困らないだとか女の醜い争いを見ることになるだとか言ってたけど、今のこの状況がそうなのかな……多分。
へー俺って顔良い方なのかー。神界には美人がほとんどだから気づかなかったわーくらいにしか思ってなかったし、顔が良いからって寄ってたかってくる女子の気持ちも全くさっぱり理解不能だ。
俺の小さな疑問に答えてくれる者はおらず、数瞬のそれほど重くない沈黙が流れる。目が泳いでいたり顔が明後日の方向を向いていたりする女子達。それを見て誰にも気づかれないほど小さなため息を吐いた。
……やっぱり、女の子の気持ちは分からない。
結局女の子達とは帰らず、一人で寮へと戻る俺。近くでは友達同士仲良く雑談しながら寮へと向かう人がちらほら。男子寮も女子寮も同じ方向なためさっきの女の子達も俺と距離を置いてかなり後ろにいるのだろう。
だが横幅がかなり広いためか人と人の間がそれなりに開いてる。
ぽつぽつと歩いている俺は大きなため息をついた。さっきのよりうんとでかいため息。幸せが逃げちゃいそうなほど。
一人になると、決まってこの思考にたどり着いてしまう。
「嵐武様達、大丈夫かな」
謹慎中はもうこればっかだったわ。何回心配すれば気が済むんかな。
多分これ聞いたら嵐武様絶対「てめぇにそんな心配されるほど弱かねぇわ!」ってぶちギレてもれなく顔面に鉄拳くらうだろうけど。
もちろん嵐武様は神様だし力強いし、心配しなくても良いんだって頭では理解しているつもりだ。けどやっぱり身近な人だから心配するのは当たり前で。
「ランブサマ?誰だそれ」
「どぅあああああぁぁっっ!!?」
とか感傷に浸ってたら至近距離に南雲が!!目の前に南雲が!!鼻先15センチくらいに南雲がああ!?
「お前なんでいんの!?」
「帰り道だからとしか言い様がないが」
心臓ばっくんばっくんしてる。なにこれ。背後からぬっと現れるのも心臓に悪いけどいきなり目の前に人がいても心臓飛び跳ねるくらいびっくりするな。
「で、ランブサマって誰だ?偉い人か?」
こっちのドキドキも知らないで何ちゃっかり隣陣取ってんだよ!一緒に帰るってか?喜んで!
「あ、うん、そんなとこ。独り言だから気にしないで!」
「ふぅん、まあそれはいい。そっちはテストどうだった?」
「簡単な問題ばっかりだったよ」
「そうか。こっちもすぐ解ける問題が多かったぞ。とはいえ、久々に授業にでたはいいがやはり授業に出るのは面倒だな」
うっかり嵐武様の名を口にしたがそれほど気にしなかったようで、気がつけば互いの授業の話題で盛り上がりをみせていた。その最中、普通に通う生徒ならまず言わないことをあたかも自然だと言わんばかりに平然と口にする南雲を見て目が点になる俺。
「いやいやいや、授業にでるのが普通なんだよ!何今の発言!?まるでずっと授業サボってたみたいな口振りじゃん!」
「ふっ、忘れたか?僕が陰陽師の仕事をする代わりに授業に出てないのを」
ドヤ顔で言う台詞じゃねぇよ。
「じゃあなんで今日は授業でたんだよ!?」
「気まぐれだが何か」
「なんの悪びれもなく!?」
「大丈夫だ。ちゃんと教師を脅し……契約したし」
「おい今脅すって単語がでたぞ」
教師を脅迫するなよ。
「大丈夫だ。霊能科の教師は皆僕に逆らわないし何をしても怒らない」
脅迫したら誰だってそうなるわ!
「多少進級できるか心配ではあるが出席日数も問題ない。仕事もちゃんとこなせる。ほら大丈夫だろう」
「ほらじゃねぇ!何真顔で言ってんだ!何が大丈夫なの意味分からない!!」
また妖怪討伐手伝ってとか言い出すんじゃなかろうか。やめてよ。もう謹慎くらうのはこりごりだよ。
主に俺だけ精神的に疲れる会話をしてた途中、ぽつぽつと小雨が降ってきた。ちらほらと疎らに寮へ向かう生徒は雨が強くなっていくごとに小走りになり、それにつられて俺達も同じ方向に走り出す。
程なくして寮に着いた俺達だが、着いたときにはもうびっしょびしょ。何だよアレ。まるで目的地に行く手を阻むように段々雨が強くなってったんだけど。終いには雷ピシャーン!だし。
南雲より俺の部屋のほうが近いため俺達はそこでずぶ濡れになった身体をタオルで拭いていた。
「うわ、雷鳴ってる。ちょっと前からずっとこんなだなぁ」
「うむ、問題ない。仕事に支障はない」
「ああ、妖怪討伐の仕事あるんだっけ?大変だねー」
「ああ、大変だが二人で頑張ろう」
「おう!ってうおぉぉぉい!!」
ちょい待ち!!今二人でって言った!?
前のこと忘れた訳じゃないよね?全く反省してないんかあんた。
「俺邪魔にしかなんないって前回の一件で分かったはずだよね?俺なんの力もないしアドバイスすらしてなかったよね?それなのにまた誘うって馬鹿なの?また先生に怒られたいの?」
どう見ても足手まといにしかならないことは一目瞭然。そして正直に言おう。先生に見つかったらまた謹慎くらうから嫌なんだよ!いい加減にしろよ!またとばっちりは勘弁してよ!
「反省はした。だが二度としないとは言ってない!!」
誰かこの馬鹿止めて。
今日の南雲ドヤ顔多いな。イラつくわあ。平然と危険な仕事に巻き込むその度胸もイラつくわあ。
「俺は行かないからな!この豪雨の中妖怪さんとバトルとか冗談じゃない!それにまた謹慎くらうのは目に見えてる!せっかくようやく授業初日を終えたってのにまた寮で何もせずお空を眺める悲しい状態なんてやだよ!!」
「お空眺めてたのか……」
「俺と違って妖怪を制圧できる力があるんだろ!?だったら自分だけでどうにかしろよ!」
……あれ。何言ってんだ俺?
「その力を俺に見せつけるために連れていくのかよ!だったら……」
「……おい、柳」
「だったらっ!俺なんか連れてくなよ!!」
当然にして沈黙が訪れる。
ああぁ……本当何言ってんだろ。こんな八つ当たりみたいに言わなくても良いじゃん自分。
こんな気持ち、永久に言わないつもりだったのに。
あの日、南雲から妖怪討伐に一緒に行こうって言われたときは口では何を言っててもひどく高揚した。俺にも何かしらの力があるから南雲が誘ってくれたんだって気持ちが心の奥底で僅かに沸き上がった。
だから、俺でも何かできるんだって自信もあった。
なのに。
結局俺は今までと同じ、何もできないままで。
「…………気にくわん」
いきなり沈黙を破った南雲に自然と目がそっちを向く。
南雲は静かに怒りをあらわにしていた。
「まるで自分にはなんの力も、可能性もないみたいなその口振りが気にくわん」
この数日で何度か南雲が苦々しい表情をしたのは目の前で見た。けどまさか自分に向けられるとは。しかも怒気を含んだ顔だからか妙に迫力ある。
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