4 / 30
森のそばの村
村長のことば
しおりを挟む
走り出して間もなく、前方にある広場に点在するかたまりに気がついて、体の芯が握りつぶされていくような、たまらない苦しさに襲われながらリッテルは走った。
「ねえ」
一番手前に倒れていた若い男に声をかけるけれど、彼が体の下敷きにしているこぼれた内臓を目にしてリッテルはきゅっと唇をかみしめた。
「起きてよ」
そこから数歩はなれたところで頭を抱えてうずくまるひとの背に声をかけたリッテルは、その背をゆすろうと手を伸ばしかけて、止めた。
頭が無かったからだ。抱えているのではなくて、そのひとの頭は首から切り飛ばされて、あったはずの場所からいくらか離れたところに転がっていた。
「……どこにいるの?」
広場には、ぽつりぽつりと人が倒れていた。祭りをするときに村人総出で踊る場所があるくらいには広い場所だ。その広場のあちらこちらで息絶えた人びとに会うたび、リッテルの胸はぎゅうぎゅうと締め付けられるように痛む。
ライゼの言った老人はどこなのか。生き残ったのは誰なのか。もはや生き残りがいるということばさえもライゼのでまかせであり、リッテルを弄ぶための嘘であったのではないか。
そんなことを考えはじめた矢先に広場のはしで、リッテルの耳がかすかな音を拾った。
「うぅぅ……」
足を止めて耳をすましてみれば、血なまぐさい風に乗ってうめき声のようなものが聞こえる。その音を探して村の外へと続く道に出たところで、リッテルは地面に倒れた老人の背中を見つけた。
「村長さま!」
その老人は、これまでに見つけた村の人びととそう変わらない着古した衣服を身につけてはいたけれど、リッテルにはうしろ姿だけでわかった。村の古老のひとり、村長だった。
駆け寄ったリッテルには老人とはいえ、おとなの体を抱き起すのは難しかった。どうにか体をひっくり返して、村長の頭をひざに乗せる。胸から腹にかけて怪我をしているのだろうか。乱雑に巻き付けられた布の表面にも赤いものが染み出してきているのが見えて、リッテルはその傷の深さに唇をかんだ。
それでも、震える手でほほやひたいに着いた泥と血の入り混じったものをぬぐってやれば、村長が閉じていた目をうっすらと開けた。
「村長さま、リッテルです! 助けてください。父さんと母さんが、村のみんなが、大変なんです!」
「おぉ……」
リッテルの呼びかけに、村長は深いため息のような喘鳴まじりの声を出す。
「おぉぉ……誰ぞ、逃れたか……」
つぶやくようにそう言った村長だったが、その目はどことも知れぬあたりをぼんやりと見つめていて、顔をのぞきこんだリッテルの視線とは絡まない。
そのことに気づく余裕もなく、リッテルはようやく見つけた生きているおとなにすがりつく。
「はい、リッテルです。村はずれの森のリッテルです。村長さま、どうしたらいいですか。みんな倒れていて、たくさん血が出てるひとばかりで、だれも返事してくれなくて。あたしどうしたらいいのか……」
必死に現状を伝えるリッテルのことばをさえぎって、村長がひび割れたかすれ声をあげた。
「みや、この」
「村長さま?」
おどろき見つめるリッテルにかまわず、村長はうめくように続ける。
「み、やこ、の……しん、かん、に……」
とぎれとぎれに紡いでいたことばが途切れて、怖いくらいの静けさが訪れる。
かすかな声も聞き逃すまいと耳をすませていたリッテルは、それでもしばらくの間じっと待っていた。けれど、それきりうめき声どころかわずかな呼吸もひろえない。
それでもリッテルは待っていた。わずかに開かれたままの村長のくちびるが、ふたたび動き出すのを黙って見つめながら待っていた。
しかし、ふとリッテルは地面に赤い水たまりができていることに気がついた。座り込んだリッテルのひざに、足に、じわじわと染みてくるその赤色の冷たさに気がついてしまった。
気がついていたけれど、理解したくないとリッテルの心が叫んでいた。
「村長さま、村長さま。起きてください。どうしたらいいのか教えてください」
己の心にしたがって、村長の体のしたに広がる赤色の水たまりから目をそらしてリッテルは声をあげる。
「村長さま、だれも教えてくれないんです。あたし、どうしたらいいんですか。だれも返事してくれないんです。ねえ、起きて。目を覚まして、教えてよ。あたし、どうしたら。どうしたらいいの。だれか……だれか、こたえてよぉ!」
物言わぬ頭がリッテルの足にずっしりとのしかかる。その重みにすがるように、村長の体のぬくもりを逃すまいとするように、リッテルは村長の頭を抱え込んで泣きじゃくる。
動くもののない広場に泣き声だけが響きわたっていた。いつかは祭りや行商でにぎわい、ついさきほどまで人びとがおだやかに暮らしていた村の広場。
悲しみに満ちた声が響くその広場に、ぺたん、と間の抜けた音が届いた。
ぺたん、ぺたん、ぺたん。
血で汚れた広場に不似合いな音を立てながらやってきたのはライゼだ。ライゼは血と土にまみれた足でぺたぺたと地を踏みながらやってきて、リッテルの前で足を止めると村長を見下ろした。
「あー、だめだった? 間に合わなかった?」
こてん、と首を横にたおして軽い調子でライゼが問えば、リッテルはひぐっとのどを鳴らして嗚咽をのみ込んだ。
「なんなの、あなた! どうしてこんなこと……!」
顔を上げないままくぐもった声でリッテルが叫ぶ。
「ん? ライゼだよ」
首を横にたおしたまま不思議そうにライゼが名乗れば、リッテルは勢いよく顔をあげた。そして、泣きはらした目でライゼをにらみつける。
「ちがう! 名前なんて聞いてないっ」
「んん? 呼ぶには名前、知らなくちゃ。ライゼはそのためにきみを探していたんだ。たくさん探したんだよ。そして、ようやく見つけた。がんばったね、ライゼ。えらかったね」
おだやかな笑顔を浮かべたライゼがひざまづいて、リッテルを見つめる。
その顔には慈愛すら感じられて、そう感じてしまった自分にリッテルはぞっとした。青年を怒鳴りつけた勢いはすぐさま消え失せる。
「い、いや。来ないで。あたし、あたしは……都に行くの」
弱々しく言って首を振るリッテルの頭に浮かんでいたのは、村長が残したことば。「都の神官に」かすれた声で村長はそう言っていた。
都に行けば教会があると、大人から聞いたことがあった。そこは祈りをささげる者ならば、誰にでも開かれた場所。人びとの願いを聞き、ときには恐ろしい呪いをはらってくれる神官たちがいる場所だと、大人たちは言っていた。
そこの神官に助けを求めるよう、村長は伝えたかったのだとリッテルは考えた。
(そう、そうすればきっと何とかなる。だって、村長さまがそう言ったんだから)
村長のことばにすがってライゼを拒絶するリッテルに、ライゼはすこしだけ不機嫌そうな顔をする。
「ふうん? 都に行くの。行きたいなら止めないけど、ライゼはあそこ好きじゃない。そうだよね、当然さ」
「な、なに言ってるの。あんたがどう思っても関係ない。あたしは行くの。もう決めたんだから」
ライゼの、殺人鬼の機嫌を損ねたことが怖くてリッテルの声は震えたけれど、リッテルの胸には恐怖といっしょにわずかな希望もまた、同時に存在していた。ライゼがこのまま都行きを嫌がって、リッテルの元から消え去るのではないかという希望だ。
まだ体温を残している村長の亡骸にすがりながら、リッテルはライゼが背を向けて去っていくのを待っていた。
「ねえ」
一番手前に倒れていた若い男に声をかけるけれど、彼が体の下敷きにしているこぼれた内臓を目にしてリッテルはきゅっと唇をかみしめた。
「起きてよ」
そこから数歩はなれたところで頭を抱えてうずくまるひとの背に声をかけたリッテルは、その背をゆすろうと手を伸ばしかけて、止めた。
頭が無かったからだ。抱えているのではなくて、そのひとの頭は首から切り飛ばされて、あったはずの場所からいくらか離れたところに転がっていた。
「……どこにいるの?」
広場には、ぽつりぽつりと人が倒れていた。祭りをするときに村人総出で踊る場所があるくらいには広い場所だ。その広場のあちらこちらで息絶えた人びとに会うたび、リッテルの胸はぎゅうぎゅうと締め付けられるように痛む。
ライゼの言った老人はどこなのか。生き残ったのは誰なのか。もはや生き残りがいるということばさえもライゼのでまかせであり、リッテルを弄ぶための嘘であったのではないか。
そんなことを考えはじめた矢先に広場のはしで、リッテルの耳がかすかな音を拾った。
「うぅぅ……」
足を止めて耳をすましてみれば、血なまぐさい風に乗ってうめき声のようなものが聞こえる。その音を探して村の外へと続く道に出たところで、リッテルは地面に倒れた老人の背中を見つけた。
「村長さま!」
その老人は、これまでに見つけた村の人びととそう変わらない着古した衣服を身につけてはいたけれど、リッテルにはうしろ姿だけでわかった。村の古老のひとり、村長だった。
駆け寄ったリッテルには老人とはいえ、おとなの体を抱き起すのは難しかった。どうにか体をひっくり返して、村長の頭をひざに乗せる。胸から腹にかけて怪我をしているのだろうか。乱雑に巻き付けられた布の表面にも赤いものが染み出してきているのが見えて、リッテルはその傷の深さに唇をかんだ。
それでも、震える手でほほやひたいに着いた泥と血の入り混じったものをぬぐってやれば、村長が閉じていた目をうっすらと開けた。
「村長さま、リッテルです! 助けてください。父さんと母さんが、村のみんなが、大変なんです!」
「おぉ……」
リッテルの呼びかけに、村長は深いため息のような喘鳴まじりの声を出す。
「おぉぉ……誰ぞ、逃れたか……」
つぶやくようにそう言った村長だったが、その目はどことも知れぬあたりをぼんやりと見つめていて、顔をのぞきこんだリッテルの視線とは絡まない。
そのことに気づく余裕もなく、リッテルはようやく見つけた生きているおとなにすがりつく。
「はい、リッテルです。村はずれの森のリッテルです。村長さま、どうしたらいいですか。みんな倒れていて、たくさん血が出てるひとばかりで、だれも返事してくれなくて。あたしどうしたらいいのか……」
必死に現状を伝えるリッテルのことばをさえぎって、村長がひび割れたかすれ声をあげた。
「みや、この」
「村長さま?」
おどろき見つめるリッテルにかまわず、村長はうめくように続ける。
「み、やこ、の……しん、かん、に……」
とぎれとぎれに紡いでいたことばが途切れて、怖いくらいの静けさが訪れる。
かすかな声も聞き逃すまいと耳をすませていたリッテルは、それでもしばらくの間じっと待っていた。けれど、それきりうめき声どころかわずかな呼吸もひろえない。
それでもリッテルは待っていた。わずかに開かれたままの村長のくちびるが、ふたたび動き出すのを黙って見つめながら待っていた。
しかし、ふとリッテルは地面に赤い水たまりができていることに気がついた。座り込んだリッテルのひざに、足に、じわじわと染みてくるその赤色の冷たさに気がついてしまった。
気がついていたけれど、理解したくないとリッテルの心が叫んでいた。
「村長さま、村長さま。起きてください。どうしたらいいのか教えてください」
己の心にしたがって、村長の体のしたに広がる赤色の水たまりから目をそらしてリッテルは声をあげる。
「村長さま、だれも教えてくれないんです。あたし、どうしたらいいんですか。だれも返事してくれないんです。ねえ、起きて。目を覚まして、教えてよ。あたし、どうしたら。どうしたらいいの。だれか……だれか、こたえてよぉ!」
物言わぬ頭がリッテルの足にずっしりとのしかかる。その重みにすがるように、村長の体のぬくもりを逃すまいとするように、リッテルは村長の頭を抱え込んで泣きじゃくる。
動くもののない広場に泣き声だけが響きわたっていた。いつかは祭りや行商でにぎわい、ついさきほどまで人びとがおだやかに暮らしていた村の広場。
悲しみに満ちた声が響くその広場に、ぺたん、と間の抜けた音が届いた。
ぺたん、ぺたん、ぺたん。
血で汚れた広場に不似合いな音を立てながらやってきたのはライゼだ。ライゼは血と土にまみれた足でぺたぺたと地を踏みながらやってきて、リッテルの前で足を止めると村長を見下ろした。
「あー、だめだった? 間に合わなかった?」
こてん、と首を横にたおして軽い調子でライゼが問えば、リッテルはひぐっとのどを鳴らして嗚咽をのみ込んだ。
「なんなの、あなた! どうしてこんなこと……!」
顔を上げないままくぐもった声でリッテルが叫ぶ。
「ん? ライゼだよ」
首を横にたおしたまま不思議そうにライゼが名乗れば、リッテルは勢いよく顔をあげた。そして、泣きはらした目でライゼをにらみつける。
「ちがう! 名前なんて聞いてないっ」
「んん? 呼ぶには名前、知らなくちゃ。ライゼはそのためにきみを探していたんだ。たくさん探したんだよ。そして、ようやく見つけた。がんばったね、ライゼ。えらかったね」
おだやかな笑顔を浮かべたライゼがひざまづいて、リッテルを見つめる。
その顔には慈愛すら感じられて、そう感じてしまった自分にリッテルはぞっとした。青年を怒鳴りつけた勢いはすぐさま消え失せる。
「い、いや。来ないで。あたし、あたしは……都に行くの」
弱々しく言って首を振るリッテルの頭に浮かんでいたのは、村長が残したことば。「都の神官に」かすれた声で村長はそう言っていた。
都に行けば教会があると、大人から聞いたことがあった。そこは祈りをささげる者ならば、誰にでも開かれた場所。人びとの願いを聞き、ときには恐ろしい呪いをはらってくれる神官たちがいる場所だと、大人たちは言っていた。
そこの神官に助けを求めるよう、村長は伝えたかったのだとリッテルは考えた。
(そう、そうすればきっと何とかなる。だって、村長さまがそう言ったんだから)
村長のことばにすがってライゼを拒絶するリッテルに、ライゼはすこしだけ不機嫌そうな顔をする。
「ふうん? 都に行くの。行きたいなら止めないけど、ライゼはあそこ好きじゃない。そうだよね、当然さ」
「な、なに言ってるの。あんたがどう思っても関係ない。あたしは行くの。もう決めたんだから」
ライゼの、殺人鬼の機嫌を損ねたことが怖くてリッテルの声は震えたけれど、リッテルの胸には恐怖といっしょにわずかな希望もまた、同時に存在していた。ライゼがこのまま都行きを嫌がって、リッテルの元から消え去るのではないかという希望だ。
まだ体温を残している村長の亡骸にすがりながら、リッテルはライゼが背を向けて去っていくのを待っていた。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる