9 / 55
猫と幼なじみ
第九話 夏休み開始!
しおりを挟む
「あーづーいー……」
部屋に入ると、まっさきにカーテンをしめた。そしてイスに座ろうとして、その熱さに飛び上がる。
「あつっ! こんなところに座ったら、お尻がこげちゃう!」
うんざりしながら席を移動していると、同じゼミの子達が次々と教室に入ってきた。
「おはよー、真琴ちゃん」
「おはよー。窓際の席、しばらくやめたほうが良いよ。お日様のせいでイスがフライパンなみの熱さだから」
「うわー、ここ、今まで誰も使ってなかったのか。夏の間は、カーテンしめておくのをデフォにしたほうが良いよねえ……」
それぞれが窓際をさけ、廊下側の席に座っていく。今日は前期最後のゼミの日。この時間が終われば、私は夏休みだ。
―― 今頃、修ちゃんはどこかの護衛艦で訓練中なんだよねえ。テストもあって、訓練もあって、本当に大変。私、普通の大学生で良かったかも ――
それもあって、ここしばらくは夜の電話も途切れていた。修ちゃんは身分的にはまだ学生だ。だけど勉強とは別に、陸海空それぞれの基地に出向いての訓練は、入学した時からすでに始まっているらしい。そういう話を聞くと、やはり自衛官になるための学校なんだなとあらためて実感するのだ。
「ところで、私はゼミが前期最終だけど、みんなは?」
「私は明日、一般が一つだけ残ってるかな。それだけに出てくるの面倒なんだけど、教授が出席カードを配ってチェックするからねー」
「俺は今日の夕方で終わり。後期はいって早々にテストをするって言われたから、油断できないけど」
「私もこのゼミが最後かなー。あ、そうだ、真琴ちゃんの幼なじみ君って、いつ、京都に遊びにくるの?」
「ん?」
質問された相手の顔を見て、心の中で「げっ」と声をあげた。祇園祭からこっち、できるだけその手の話題を避け無難にすごしていたけれど、相手はまだあきらめていないらしい。他の友達の顔を見ると「がんばれ」と無言のエールを受けた。
―― くそう、なかなか敵もしつこいぞっと…… ――
「さあ、いつごろかなあ。部活もあるし、いつも予定は直前になるまでわからないって言ってるから、今度の休みもそうなんじゃないかなあ……」
というのは建前で、実際には修ちゃんから帰省する日は聞かされていた。それにあわせて、義兄の勤め先の保養所を使わせてもらい、姉夫婦と一緒に琵琶湖にキャンプに行く予定にもなっている。もちろん彼女には関係のないことだから、そのことは言わないけれど。
「大学だから普通に夏休みはあるんだよね?」
「あるよー」
―― だけど部活もあるし、夏の間の訓練もあるし、私達みたいにそう簡単には、戻ってこれないけどねー…… ――
心の中でつけ加える。
「……」
「……」
会話が途切れたのでここで終わりかなと思っていたら、相手が再び質問をしてきた。
「やっぱり制服を着てこっちに来るの?」
「もー、どんだけ制服が好きなのー」
思わず声をあげてしまった。
「だってー」
「残念だけど、修ちゃん、うちに来るときは制服なんて着てないよ。いつも私服」
修ちゃんが京都に帰ってきている間は、修ちゃんの制服は、先輩のお宅でお留守番をしているはずだ。
「えー、そうなの? 外出時は制服厳守ってあったのに」
「どこでそんなことを?」
「ネットで調べた。知らなかったの?」
「気にしたことなかったよ」
最近はなんでもネットでわかる時代。知りたいことがある人達には便利な世の中ではあるけれど、こういう時は実に厄介だ。
「どういう決まりがあるのか知らないけど、とりあえずこっちに来るときは私服だよ。制服は見たことないかな。もしかしたら、夏休みは特別なのかも」
知らんけど、とさらに心の中でつけ加えた。
「ふーん、制服じゃないんだー、ざんねーん」
どうしてそこまで残念がるのか理解したくないので、そのまま愛想笑いを浮かべながら、カバンの中からテキストとノートを出す。そして教授が来るまでの時間つぶしにと、携帯電話の中に入っているパズルゲームをはじめた。
とりあえず私はこの時間が終われば夏休み。少なくとも九月の講義が始まるまでは、修ちゃんの身の安全ははかられたのではないだろうか? ……多分だけど。
+++
「ただいまー、外、めっちゃ暑いよー。ただいま、マツ、タケ、ウメ、それにヒノキにヤナギ」
自宅に戻ると、マツ達が出迎えてくれていた。そして母親が台所から顔を出す。
「お帰りー。冷蔵庫にスイカがあるよー」
「わーい」
靴をぬいで荷物を玄関に放り出すと、まっすぐ台所に向かった。
「ちょっと、先に手を洗いなさい」
冷蔵庫をあけようとしたところで、母親にとめられる。
「えー、もうお日様にあたってるから、しっかり殺菌されてると思うけど」
「よそのお宅がどうだかは知らないけれど、そういうの、我が家では認めませんからね。食べたいならそこで手を洗う。洗わないなら、スイカはあげません」
「えー……わかりましたー、手を洗いますー……」
急いで手を洗うと、冷蔵庫をあけた。
「わ、黄色いスイカだ!」
スイカがあると聞いて、普通のスイカを思い浮かべていたのに、目の前にあるのは赤いスイカではなく黄色いスイカだった。
「黄色いスイカなんて、めずらしー!!」
「八百屋さんがね、枝豆を届けてくれたついでにどうですかって。珍しいから買っちゃった」
「へえ……なかなか見ないよね、黄色いスイカなんて」
お皿に乗っているスイカを取り出す。見たところ、ほとんど種がない。
「しかも、ほとんど種がないね、すごーい」
「普通のスイカより甘いって言ってたわよ。ああ、そういえば、スイカと一緒に、お婆ちゃんちのほうに、枝豆のクキ付きがたくさん届いていたけど?」
それを聞いて思わず笑ってしまった。
「もー、手があるってわかったら、お婆ちゃん、容赦ないね」
「もし手伝うなら、お駄賃としてうちの分をわけてもらってきてね。お父さんが喜ぶから」
「りょうかーい」
お皿を持つと台所を出た。そして祖母の居住スペースへと向かう。
「おばあちゃーん、帰ってきたよー」
そう言いながら、裏庭が見える和室に足を運んだ。部屋の前にきたところで、パチンパチンという音が聞こえてくる。祖母が新聞紙をひろげ、ハサミで枝豆をクキから切り離しているところだった。
「あ、もう始めちゃってる!」
「おかえり、真琴。ちょっとたのみすぎちゃってね」
「それがちょっとー?」
束になった枝豆のクキを指でさす。控え目に言っても山になっていた。
「もー、八百屋のおじさんちに、山崎さんちはいったい何人家族なんや?って思われてるよ」
「心配しなくても、切り離したらこの半分以下になるから」
「にしても、多すぎ」
祖母の隣に座ると、まずはスイカにとりかかる。
「スイカを食べ終わるまでは待っててね。それから手伝うから」
「ゆっくり食べな。ちょっとやそっとじゃ、終わらない量だから」
「たしかに。絶対に夕方まで終わらないよ、これ」
パチンパチンという音が部屋に響く中、スイカをかじった。その音を聞きながら、窓の向こうの庭をながめる。
「お婆ちゃん」
「んー?」
「このお庭、残しておいて良かったよね。私、この庭、好きだなあ」
祖母が顔をあげた。そして庭に目をむける。
「そうだね。最初はどうしようって迷ったけど、残しておいて良かった。いろいろ楽しい思い出もあるからね、この庭は」
この裏庭は、ここが二世帯住宅になる前からあった、祖母の家の庭をそのまま残しておいたものだ。私たち姉妹も、小さい頃に遊びにくると、よくこの庭でシャボン玉を飛ばしたりして遊んだものだった。
「私達のいたずらの生き証人だよね、あの松」
庭の端にはえている松を指さす。病気になったりして、昔に比べると小ぶりになってしまったけれど、昔からこの庭にある松だ。そして、私達姉妹、そして修ちゃん達兄弟のイタズラの一番の被害者でもある。
「よく枯れずにいてくれてるね、あれ」
「あんた達に、ずいぶんときたえられているからねえ……」
やった自分が言うのもなんだけど、ボールをぶつけられたり、よじ登られたり、松なのに七夕の飾りやクリスマスツリーの飾りつけをされたり、あの松は結構ひどい目に遭っていた。きっと話すことができたら、よくも今までと文句を言ってくるに違いない。
「あそこまで小さくなると、もう登れないよね……」
「松が小さくなったんじゃなくて、あんた達が大きくなったんだよ」
「そのうち、私達の次の世代の子達が同じように登りはじめるかも」
「さすがにもう勘弁してやってほしいねえ……あの松、私と同い年ぐらいらしいから」
祖母が笑う。
スイカを食べ終わると、お皿を台所の流しに置いて、キッチンばさみを引き出しから取り出した。そして祖母の元に戻る。
「だけどやっぱり、ちょっと多すぎない?」
祖母の隣に座り、豆のサヤを切りながら正直な感想を口にした。
「そんなことないだろ? 塩ゆでしたら、あっという間になくなると思うけどね」
「そうかなあ。修ちゃんがいても無理な気がするよー?」
いくら枝豆好きの私達でも、そうそう食べ切れる量ではないと思うのだけれど。
「でも、これをやってると、なんとなく夏だなって気分になるね」
「そうだね」
「枝豆に冷奴にビール。あ、食べたくなってきた!」
「じゃあ、頑張ってやり終えないと」
私と祖母は、猫達がやってきたことに気づくことなく、無心で、枝豆をクキから切り離す作業を続けた。
部屋に入ると、まっさきにカーテンをしめた。そしてイスに座ろうとして、その熱さに飛び上がる。
「あつっ! こんなところに座ったら、お尻がこげちゃう!」
うんざりしながら席を移動していると、同じゼミの子達が次々と教室に入ってきた。
「おはよー、真琴ちゃん」
「おはよー。窓際の席、しばらくやめたほうが良いよ。お日様のせいでイスがフライパンなみの熱さだから」
「うわー、ここ、今まで誰も使ってなかったのか。夏の間は、カーテンしめておくのをデフォにしたほうが良いよねえ……」
それぞれが窓際をさけ、廊下側の席に座っていく。今日は前期最後のゼミの日。この時間が終われば、私は夏休みだ。
―― 今頃、修ちゃんはどこかの護衛艦で訓練中なんだよねえ。テストもあって、訓練もあって、本当に大変。私、普通の大学生で良かったかも ――
それもあって、ここしばらくは夜の電話も途切れていた。修ちゃんは身分的にはまだ学生だ。だけど勉強とは別に、陸海空それぞれの基地に出向いての訓練は、入学した時からすでに始まっているらしい。そういう話を聞くと、やはり自衛官になるための学校なんだなとあらためて実感するのだ。
「ところで、私はゼミが前期最終だけど、みんなは?」
「私は明日、一般が一つだけ残ってるかな。それだけに出てくるの面倒なんだけど、教授が出席カードを配ってチェックするからねー」
「俺は今日の夕方で終わり。後期はいって早々にテストをするって言われたから、油断できないけど」
「私もこのゼミが最後かなー。あ、そうだ、真琴ちゃんの幼なじみ君って、いつ、京都に遊びにくるの?」
「ん?」
質問された相手の顔を見て、心の中で「げっ」と声をあげた。祇園祭からこっち、できるだけその手の話題を避け無難にすごしていたけれど、相手はまだあきらめていないらしい。他の友達の顔を見ると「がんばれ」と無言のエールを受けた。
―― くそう、なかなか敵もしつこいぞっと…… ――
「さあ、いつごろかなあ。部活もあるし、いつも予定は直前になるまでわからないって言ってるから、今度の休みもそうなんじゃないかなあ……」
というのは建前で、実際には修ちゃんから帰省する日は聞かされていた。それにあわせて、義兄の勤め先の保養所を使わせてもらい、姉夫婦と一緒に琵琶湖にキャンプに行く予定にもなっている。もちろん彼女には関係のないことだから、そのことは言わないけれど。
「大学だから普通に夏休みはあるんだよね?」
「あるよー」
―― だけど部活もあるし、夏の間の訓練もあるし、私達みたいにそう簡単には、戻ってこれないけどねー…… ――
心の中でつけ加える。
「……」
「……」
会話が途切れたのでここで終わりかなと思っていたら、相手が再び質問をしてきた。
「やっぱり制服を着てこっちに来るの?」
「もー、どんだけ制服が好きなのー」
思わず声をあげてしまった。
「だってー」
「残念だけど、修ちゃん、うちに来るときは制服なんて着てないよ。いつも私服」
修ちゃんが京都に帰ってきている間は、修ちゃんの制服は、先輩のお宅でお留守番をしているはずだ。
「えー、そうなの? 外出時は制服厳守ってあったのに」
「どこでそんなことを?」
「ネットで調べた。知らなかったの?」
「気にしたことなかったよ」
最近はなんでもネットでわかる時代。知りたいことがある人達には便利な世の中ではあるけれど、こういう時は実に厄介だ。
「どういう決まりがあるのか知らないけど、とりあえずこっちに来るときは私服だよ。制服は見たことないかな。もしかしたら、夏休みは特別なのかも」
知らんけど、とさらに心の中でつけ加えた。
「ふーん、制服じゃないんだー、ざんねーん」
どうしてそこまで残念がるのか理解したくないので、そのまま愛想笑いを浮かべながら、カバンの中からテキストとノートを出す。そして教授が来るまでの時間つぶしにと、携帯電話の中に入っているパズルゲームをはじめた。
とりあえず私はこの時間が終われば夏休み。少なくとも九月の講義が始まるまでは、修ちゃんの身の安全ははかられたのではないだろうか? ……多分だけど。
+++
「ただいまー、外、めっちゃ暑いよー。ただいま、マツ、タケ、ウメ、それにヒノキにヤナギ」
自宅に戻ると、マツ達が出迎えてくれていた。そして母親が台所から顔を出す。
「お帰りー。冷蔵庫にスイカがあるよー」
「わーい」
靴をぬいで荷物を玄関に放り出すと、まっすぐ台所に向かった。
「ちょっと、先に手を洗いなさい」
冷蔵庫をあけようとしたところで、母親にとめられる。
「えー、もうお日様にあたってるから、しっかり殺菌されてると思うけど」
「よそのお宅がどうだかは知らないけれど、そういうの、我が家では認めませんからね。食べたいならそこで手を洗う。洗わないなら、スイカはあげません」
「えー……わかりましたー、手を洗いますー……」
急いで手を洗うと、冷蔵庫をあけた。
「わ、黄色いスイカだ!」
スイカがあると聞いて、普通のスイカを思い浮かべていたのに、目の前にあるのは赤いスイカではなく黄色いスイカだった。
「黄色いスイカなんて、めずらしー!!」
「八百屋さんがね、枝豆を届けてくれたついでにどうですかって。珍しいから買っちゃった」
「へえ……なかなか見ないよね、黄色いスイカなんて」
お皿に乗っているスイカを取り出す。見たところ、ほとんど種がない。
「しかも、ほとんど種がないね、すごーい」
「普通のスイカより甘いって言ってたわよ。ああ、そういえば、スイカと一緒に、お婆ちゃんちのほうに、枝豆のクキ付きがたくさん届いていたけど?」
それを聞いて思わず笑ってしまった。
「もー、手があるってわかったら、お婆ちゃん、容赦ないね」
「もし手伝うなら、お駄賃としてうちの分をわけてもらってきてね。お父さんが喜ぶから」
「りょうかーい」
お皿を持つと台所を出た。そして祖母の居住スペースへと向かう。
「おばあちゃーん、帰ってきたよー」
そう言いながら、裏庭が見える和室に足を運んだ。部屋の前にきたところで、パチンパチンという音が聞こえてくる。祖母が新聞紙をひろげ、ハサミで枝豆をクキから切り離しているところだった。
「あ、もう始めちゃってる!」
「おかえり、真琴。ちょっとたのみすぎちゃってね」
「それがちょっとー?」
束になった枝豆のクキを指でさす。控え目に言っても山になっていた。
「もー、八百屋のおじさんちに、山崎さんちはいったい何人家族なんや?って思われてるよ」
「心配しなくても、切り離したらこの半分以下になるから」
「にしても、多すぎ」
祖母の隣に座ると、まずはスイカにとりかかる。
「スイカを食べ終わるまでは待っててね。それから手伝うから」
「ゆっくり食べな。ちょっとやそっとじゃ、終わらない量だから」
「たしかに。絶対に夕方まで終わらないよ、これ」
パチンパチンという音が部屋に響く中、スイカをかじった。その音を聞きながら、窓の向こうの庭をながめる。
「お婆ちゃん」
「んー?」
「このお庭、残しておいて良かったよね。私、この庭、好きだなあ」
祖母が顔をあげた。そして庭に目をむける。
「そうだね。最初はどうしようって迷ったけど、残しておいて良かった。いろいろ楽しい思い出もあるからね、この庭は」
この裏庭は、ここが二世帯住宅になる前からあった、祖母の家の庭をそのまま残しておいたものだ。私たち姉妹も、小さい頃に遊びにくると、よくこの庭でシャボン玉を飛ばしたりして遊んだものだった。
「私達のいたずらの生き証人だよね、あの松」
庭の端にはえている松を指さす。病気になったりして、昔に比べると小ぶりになってしまったけれど、昔からこの庭にある松だ。そして、私達姉妹、そして修ちゃん達兄弟のイタズラの一番の被害者でもある。
「よく枯れずにいてくれてるね、あれ」
「あんた達に、ずいぶんときたえられているからねえ……」
やった自分が言うのもなんだけど、ボールをぶつけられたり、よじ登られたり、松なのに七夕の飾りやクリスマスツリーの飾りつけをされたり、あの松は結構ひどい目に遭っていた。きっと話すことができたら、よくも今までと文句を言ってくるに違いない。
「あそこまで小さくなると、もう登れないよね……」
「松が小さくなったんじゃなくて、あんた達が大きくなったんだよ」
「そのうち、私達の次の世代の子達が同じように登りはじめるかも」
「さすがにもう勘弁してやってほしいねえ……あの松、私と同い年ぐらいらしいから」
祖母が笑う。
スイカを食べ終わると、お皿を台所の流しに置いて、キッチンばさみを引き出しから取り出した。そして祖母の元に戻る。
「だけどやっぱり、ちょっと多すぎない?」
祖母の隣に座り、豆のサヤを切りながら正直な感想を口にした。
「そんなことないだろ? 塩ゆでしたら、あっという間になくなると思うけどね」
「そうかなあ。修ちゃんがいても無理な気がするよー?」
いくら枝豆好きの私達でも、そうそう食べ切れる量ではないと思うのだけれど。
「でも、これをやってると、なんとなく夏だなって気分になるね」
「そうだね」
「枝豆に冷奴にビール。あ、食べたくなってきた!」
「じゃあ、頑張ってやり終えないと」
私と祖母は、猫達がやってきたことに気づくことなく、無心で、枝豆をクキから切り離す作業を続けた。
56
あなたにおすすめの小説
ヤクザに医官はおりません
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした
会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。
シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。
無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。
反社会組織の集まりか!
ヤ◯ザに見初められたら逃げられない?
勘違いから始まる異文化交流のお話です。
※もちろんフィクションです。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
僕の主治医さん
鏡野ゆう
ライト文芸
研修医の北川雛子先生が担当することになったのは、救急車で運び込まれた南山裕章さんという若き外務官僚さんでした。研修医さんと救急車で運ばれてきた患者さんとの恋の小話とちょっと不思議なあひるちゃんのお話。
【本編】+【アヒル事件簿】【事件です!】
※小説家になろう、カクヨムでも公開中※
お花屋さんとお巡りさん - 希望が丘駅前商店街 -
鏡野ゆう
ライト文芸
国会議員の重光幸太郎先生の地元にある希望が駅前商店街、通称【ゆうYOU ミラーじゅ希望ヶ丘】
少し時を遡ること十数年。商店街の駅前にある花屋のお嬢さん芽衣さんと、とある理由で駅前派出所にやってきたちょっと目つきの悪いお巡りさん真田さんのお話です。
【本編完結】【小話】
こちらのお話に登場する人達のお名前がチラリと出てきます。
・白い黒猫さん作『希望が丘駅前商店街~透明人間の憂鬱~』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/265100205/427152271
こちらのお話とはコラボエピソードがあります。
・篠宮楓さん作『希望が丘商店街 正則くんと楓さんのすれ違い思考な日常』
https://ncode.syosetu.com/n3046de/
※小説家になろうでも公開中※
☘ 注意する都度何もない考え過ぎだと言い張る夫、なのに結局薬局疚しさ満杯だったじゃんか~ Bakayarou-
設楽理沙
ライト文芸
2025.5.1~
夫が同じ社内の女性と度々仕事絡みで一緒に外回りや
出張に行くようになって……あまりいい気はしないから
やめてほしいってお願いしたのに、何度も……。❀
気にし過ぎだと一笑に伏された。
それなのに蓋を開けてみれば、何のことはない
言わんこっちゃないという結果になっていて
私は逃走したよ……。
あぁ~あたし、どうなっちゃうのかしらン?
ぜんぜん明るい未来が見えないよ。。・゜・(ノε`)・゜・。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
初回公開日時 2019.01.25 22:29
初回完結日時 2019.08.16 21:21
再連載 2024.6.26~2024.7.31 完結
❦イラストは有償画像になります。
2024.7 加筆修正(eb)したものを再掲載
桃と料理人 - 希望が丘駅前商店街 -
鏡野ゆう
ライト文芸
国会議員の重光幸太郎先生の地元にある希望が駅前商店街、通称【ゆうYOU ミラーじゅ希望ヶ丘】。
居酒屋とうてつの千堂嗣治が出会ったのは可愛い顔をしているくせに仕事中毒で女子力皆無の科捜研勤務の西脇桃香だった。
饕餮さんのところの【希望が丘駅前商店街 in 『居酒屋とうてつ』】に出てくる嗣治さんとのお話です。饕餮さんには許可を頂いています。
【本編完結】【番外小話】【小ネタ】
このお話は下記のお話とコラボさせていただいています(^^♪
・『希望が丘駅前商店街 in 『居酒屋とうてつ』とその周辺の人々 』 https://www.alphapolis.co.jp/novel/274274583/188152339
・『希望が丘駅前商店街~透明人間の憂鬱~』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/265100205/427152271
・『希望が丘駅前商店街~黒猫のスキャット~』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/265100205/813152283
・『日々是好日、希望が丘駅前商店街-神神飯店エソ、オソオセヨ(にいらっしゃいませ)』https://www.alphapolis.co.jp/novel/177101198/505152232
・『希望が丘駅前商店街~看板娘は招き猫?喫茶トムトム元気に開店中~』
https://ncode.syosetu.com/n7423cb/
・『Blue Mallowへようこそ~希望が丘駅前商店街』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/582141697/878154104
・『希望が丘駅前商店街 ―姉さん。篠宮酒店は、今日も平常運転です。―』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/172101828/491152376
※小説家になろうでも公開中※
紙の上の空
中谷ととこ
ライト文芸
小学六年生の夏、父が突然、兄を連れてきた。
容姿に恵まれて才色兼備、誰もが憧れてしまう女性でありながら、裏表のない竹を割ったような性格の八重嶋碧(31)は、幼い頃からどこにいても注目され、男女問わず人気がある。
欲しいものは何でも手に入りそうな彼女だが、本当に欲しいものは自分のものにはならない。欲しいすら言えない。長い長い片想いは成就する見込みはなく半分腐りかけているのだが、なかなか捨てることができずにいた。
血の繋がりはない、兄の八重嶋公亮(33)は、未婚だがとっくに独立し家を出ている。
公亮の親友で、碧とは幼い頃からの顔見知りでもある、斎木丈太郎(33)は、碧の会社の近くのフレンチ店で料理人をしている。お互いに好き勝手言える気心の知れた仲だが、こちらはこちらで本心は隠したまま碧の動向を見守っていた。
報酬はその笑顔で
鏡野ゆう
ライト文芸
彼女がその人と初めて会ったのは夏休みのバイト先でのことだった。
自分に正直で真っ直ぐな女子大生さんと、にこにこスマイルのパイロットさんとのお話。
『貴方は翼を失くさない』で榎本さんの部下として登場した飛行教導群のパイロット、但馬一尉のお話です。
※小説家になろう、カクヨムでも公開中※
✿ 私は彼のことが好きなのに、彼は私なんかよりずっと若くてきれいでスタイルの良い女が好きらしい
設楽理沙
ライト文芸
累計ポイント100万ポイント超えました。皆さま、ありがとうございます。❀
結婚後、2か月足らずで夫の心変わりを知ることに。
結婚前から他の女性と付き合っていたんだって。
それならそうと、ちゃんと話してくれていれば、結婚なんて
しなかった。
呆れた私はすぐに家を出て自立の道を探すことにした。
それなのに、私と別れたくないなんて信じられない
世迷言を言ってくる夫。
だめだめ、信用できないからね~。
さようなら。
*******.✿..✿.*******
◇|日比野滉星《ひびのこうせい》32才 会社員
◇ 日比野ひまり 32才
◇ 石田唯 29才 滉星の同僚
◇新堂冬也 25才 ひまりの転職先の先輩(鉄道会社)
2025.4.11 完結 25649字
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる