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異世界ブルーインパルス~異世界で稲作はじめました?
第四話
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「ふぁぁぁぁぁ?!」
「どうしたの?!」
俺の声に嫁ちゃんが驚いて一緒に飛び起きてた。
「めっちゃすごい夢みたわ。なんやドラゴンみたいなんで飛んでたで」
「え、それすごく楽しそう。私も一緒に見たかった」
それはちょっと無理やと思うわ、と思いつつ、隣で爆睡している息子に目を向ける。
「あんだけ大声で飛び起きたのに目を覚まさへんて、みっくん、なかなかの大物ぶりやな」
「だよね~~」
窓のカーテン越しに外が明るくなってきているのがわかった。もう二度寝は無理な時間やなあ。
「もー寝られへんわ。せっかくやし今日は俺が朝飯つくるわ」
「わーい、お任せしちゃお~~」
「はいはい、ほな、もうちょっと寝とき」
+++
「おはようさ~~ん」
いつものようにブリーフィングルームに入って声をかける。すると、すでに来ていた葛城がこっちに顔を向けた。なんやめちゃくちゃ笑顔やけど、どないしたんや?
「あ、おはようございます。聞いてください、今朝、すごい夢を見たんですよ。それも俺だけじゃなく全員が」
ニコニコしながら話しかけてきた。
「それってもしかしてドラゴン出てきたやつちゃう?」
「それです。もしかして影山さんも?」
「バーティカルクライムロールして飛び起きてもうたわ」
「あ、俺達もそこでの影山さんの叫びで目が覚めました」
「俺達? もしかして全員が同じ夢みたん?」
その場にいた全員がウンウンとうなづく。
「なんとまあ。てことは、今回の夢はあそこで終わりっちゅうことなんか」
「で、班長はご立腹です」
「へ? なんでなん?」
「当たり前だろ? なんであんな中途半端なタイミングで目が覚めるんだよ。色々と計画していたのに台無しだ」
「いや、それ、わいのせいちゃうやん? 夢の配信元は隊長やし?」
夢の中で話していたことが事実だとするならば、だが。
「沖田、今夜は絶対にあの夢の続きを見ろよ?」
「無茶を言うな」
「俺は夢の中でも忙しいんだからな」
「だから無茶を言うな」
隊長が青井の剣幕にタジタジとなっている。
「今夜も娘さんとまた同じ映画を観たらええですやん?」
俺がそう言うと隊長は大きなため息をついた。
「言われなくても続きは観る。昨日は途中で娘が寝てしまったからな」
その場の全員が「ナイス、娘ちゃん」と呟いたのは言うまでもない。
「で、班長の計画てなんなん?」
「もちろん夢の中での俺達のフライトに関することさ」
「もちろんなんや……」
「当然だろ。そういうことに気をかけてこその総括班長だからな」
相手は隊長の夢で、しかも異世界なんやけどな。まあ青井らしいっちゃ青井らしいが。
「だそうですわ、隊長」
「……好きにしてくれ。そのへんは青井に任せる」
「てことで隊長のお許し出たで」
「じゃあまずはドラゴンなんだが、夜間飛行に備えて小型ランプを作ろうと考えている」
「もしかしてナビゲーションライトのことですか?」
葛城が質問をする。
「当たり。ちょっと調べてみたんだけど、海外の警察騎馬隊では、暗くなってからのパトロール用に馬の尻尾にライトをつけてるんだ。あんな感じのを目指している」
「へえ、初耳です。なんだか楽しそうですね」
「だろ?」
「だが電源はどうするんだ?」
現実主義の隊長が質問をはさんだ。
「そこは沖田の夢だからな。なんとかしてもらう」
「誰に?」
「もちろんお前に決まってるだろ。まあガンバレ」
「どうがんばるんだ……」
途方に暮れている隊長を前に、青井はニコニコしている。
「鞍にベルトをつけるところまで思いついて夢に反映されてるんだ、そのぐらい何とかなるだろ?」
「何とかなるようなことなのか?」
「そりゃなるだろ、お前の夢なんだから」
隊長が俺を見る。なんでそこでこっちに目を? 良い案が浮かばないので、とりあえずは無責任に応援しておくことにした。
「がんばれ隊長!」
「……」
「ああ、それとだ影山」
「え、わい?」
「そう、お前のほうも色々と問題がある」
一体どんな問題が? ああ、五番機君が鼻から火を噴くことか。たしかにあれは問題だ。
「これからは沖田には、俺の提案に対処してもらわないといけない」
「ほうほう」
「だから無限おにぎり出現まで気にかけるヒマはないと思うんだ」
「わい、夢の中でも嫁ちゃんのおにぎり食わな飛ばへんで」
「それは分かってる。そこでだ」
「そこで?」
「あの草原に田んぼを作ろうと思う」
は?
「……なにを作るて?」
「田んぼだよ田んぼ。農業したことないけど夢の中なんだ、どうにかなるだろ。場所だけはあるからな」
「俺の夢の中で稲作するな」
「俺はいろいろと忙しいんだから、自分で食べるおにぎりの準備くらい自分でしろよ?」
隊長のボヤキは無視された。
「準備て稲から育てるんかい……」
「水の確保が大変そうですね。日本の場合は水稲ですから」
「オール君、なに冷静にゆーとんねん」
「寝る前に稲作の手順を調べておかないと」
「だからなんでそんな冷静に」
「安心してください。ドラゴンで忙しい班長の代わりに、俺と影山さんで稲作はなんとか進めていくので!」
「任せたぞ、オール君!」
「はい!」
「だからなんで……」
夢の話なのに、なんでそんなに具体的に計画が進んどんねん。しかも何気に全員が乗り気やし。
「勝手に俺の夢で稲作するな……」
「じゃあそういうことで!」
「……」
いや、隊長は完全に巻き込まれやな……ご愁傷さんやで。
「どうしたの?!」
俺の声に嫁ちゃんが驚いて一緒に飛び起きてた。
「めっちゃすごい夢みたわ。なんやドラゴンみたいなんで飛んでたで」
「え、それすごく楽しそう。私も一緒に見たかった」
それはちょっと無理やと思うわ、と思いつつ、隣で爆睡している息子に目を向ける。
「あんだけ大声で飛び起きたのに目を覚まさへんて、みっくん、なかなかの大物ぶりやな」
「だよね~~」
窓のカーテン越しに外が明るくなってきているのがわかった。もう二度寝は無理な時間やなあ。
「もー寝られへんわ。せっかくやし今日は俺が朝飯つくるわ」
「わーい、お任せしちゃお~~」
「はいはい、ほな、もうちょっと寝とき」
+++
「おはようさ~~ん」
いつものようにブリーフィングルームに入って声をかける。すると、すでに来ていた葛城がこっちに顔を向けた。なんやめちゃくちゃ笑顔やけど、どないしたんや?
「あ、おはようございます。聞いてください、今朝、すごい夢を見たんですよ。それも俺だけじゃなく全員が」
ニコニコしながら話しかけてきた。
「それってもしかしてドラゴン出てきたやつちゃう?」
「それです。もしかして影山さんも?」
「バーティカルクライムロールして飛び起きてもうたわ」
「あ、俺達もそこでの影山さんの叫びで目が覚めました」
「俺達? もしかして全員が同じ夢みたん?」
その場にいた全員がウンウンとうなづく。
「なんとまあ。てことは、今回の夢はあそこで終わりっちゅうことなんか」
「で、班長はご立腹です」
「へ? なんでなん?」
「当たり前だろ? なんであんな中途半端なタイミングで目が覚めるんだよ。色々と計画していたのに台無しだ」
「いや、それ、わいのせいちゃうやん? 夢の配信元は隊長やし?」
夢の中で話していたことが事実だとするならば、だが。
「沖田、今夜は絶対にあの夢の続きを見ろよ?」
「無茶を言うな」
「俺は夢の中でも忙しいんだからな」
「だから無茶を言うな」
隊長が青井の剣幕にタジタジとなっている。
「今夜も娘さんとまた同じ映画を観たらええですやん?」
俺がそう言うと隊長は大きなため息をついた。
「言われなくても続きは観る。昨日は途中で娘が寝てしまったからな」
その場の全員が「ナイス、娘ちゃん」と呟いたのは言うまでもない。
「で、班長の計画てなんなん?」
「もちろん夢の中での俺達のフライトに関することさ」
「もちろんなんや……」
「当然だろ。そういうことに気をかけてこその総括班長だからな」
相手は隊長の夢で、しかも異世界なんやけどな。まあ青井らしいっちゃ青井らしいが。
「だそうですわ、隊長」
「……好きにしてくれ。そのへんは青井に任せる」
「てことで隊長のお許し出たで」
「じゃあまずはドラゴンなんだが、夜間飛行に備えて小型ランプを作ろうと考えている」
「もしかしてナビゲーションライトのことですか?」
葛城が質問をする。
「当たり。ちょっと調べてみたんだけど、海外の警察騎馬隊では、暗くなってからのパトロール用に馬の尻尾にライトをつけてるんだ。あんな感じのを目指している」
「へえ、初耳です。なんだか楽しそうですね」
「だろ?」
「だが電源はどうするんだ?」
現実主義の隊長が質問をはさんだ。
「そこは沖田の夢だからな。なんとかしてもらう」
「誰に?」
「もちろんお前に決まってるだろ。まあガンバレ」
「どうがんばるんだ……」
途方に暮れている隊長を前に、青井はニコニコしている。
「鞍にベルトをつけるところまで思いついて夢に反映されてるんだ、そのぐらい何とかなるだろ?」
「何とかなるようなことなのか?」
「そりゃなるだろ、お前の夢なんだから」
隊長が俺を見る。なんでそこでこっちに目を? 良い案が浮かばないので、とりあえずは無責任に応援しておくことにした。
「がんばれ隊長!」
「……」
「ああ、それとだ影山」
「え、わい?」
「そう、お前のほうも色々と問題がある」
一体どんな問題が? ああ、五番機君が鼻から火を噴くことか。たしかにあれは問題だ。
「これからは沖田には、俺の提案に対処してもらわないといけない」
「ほうほう」
「だから無限おにぎり出現まで気にかけるヒマはないと思うんだ」
「わい、夢の中でも嫁ちゃんのおにぎり食わな飛ばへんで」
「それは分かってる。そこでだ」
「そこで?」
「あの草原に田んぼを作ろうと思う」
は?
「……なにを作るて?」
「田んぼだよ田んぼ。農業したことないけど夢の中なんだ、どうにかなるだろ。場所だけはあるからな」
「俺の夢の中で稲作するな」
「俺はいろいろと忙しいんだから、自分で食べるおにぎりの準備くらい自分でしろよ?」
隊長のボヤキは無視された。
「準備て稲から育てるんかい……」
「水の確保が大変そうですね。日本の場合は水稲ですから」
「オール君、なに冷静にゆーとんねん」
「寝る前に稲作の手順を調べておかないと」
「だからなんでそんな冷静に」
「安心してください。ドラゴンで忙しい班長の代わりに、俺と影山さんで稲作はなんとか進めていくので!」
「任せたぞ、オール君!」
「はい!」
「だからなんで……」
夢の話なのに、なんでそんなに具体的に計画が進んどんねん。しかも何気に全員が乗り気やし。
「勝手に俺の夢で稲作するな……」
「じゃあそういうことで!」
「……」
いや、隊長は完全に巻き込まれやな……ご愁傷さんやで。
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