20 / 56
本編
第二十話【駅前商店街夏祭り企画】 桃香、浴衣を着る
しおりを挟む
「えっと、ここをこうして……と」
紬屋の奥さんから教えてもらった通りの手順で浴衣を着て帯を締めると、鏡の前で体を動かしてチェックする。うんうん、上出来だ、奥さんに着せてもらった時と同じ感じになった。髪は新婚旅行に行く前にカットしてからずっと短いままを保っているので結い上げることは出来ないけど、奥さんが売り物の和装小物の中から可愛いバレッタを見つけてくれたのでそれを買って、今は左右の髪を後ろでとめている。
「モモ、そろそろ時間だぞ」
閉めたドアの向こうで嗣治さんの声がした。もっと悪戦苦闘するかと思っていたから、浴衣を着終わるまでは見たらダメって寝室から締め出していたんだよね。
「はーい、今いくー」
御隠居さんが買ってくれた巾着袋にガマ口のお財布と携帯を入れると部屋から出た。リビングで手持ち無沙汰そうにしていた嗣治さんがこちらを見てニッコリと笑った。
「へえ、モモらしい浴衣だな」
「似合う? 変じゃない?」
「凄く似合ってるし可愛いな」
「うーん、この年で可愛いっていうのも微妙?」
「そんなことないだろ? 俺は大満足だけど」
「そう? なら良いんだけど」
桜川で開催される花火大会の会場はここからだと駅前から出ているバスに乗るのが良いんだけど、当然のことながら今日は混んでいるので地元住人は徒歩で会場にいくのが常。下駄もそれなりの距離を歩いても良いようにと鼻緒が太くて柔らかい物を御隠居さんが選んでくれた。そう言えば桜子さんと初めて月読神社の縁日に行った時は鼻緒が切れてしまって大変だったねえ……なんていう、お砂糖満載の思い出話を聞かせてもらいながらなんだけど。その時のことを思い出してフフッって笑うと嗣治さんが首を傾げてこちらを見下ろしてきた。
「どうした?」
「浴衣を取りに行った時に、葛木の御隠居さんの惚気話を聞かされちゃってね。あのお年になっても仲良く毎日を過ごせるのって羨ましいなって」
そんな私の言葉にちょっと微妙な顔をする嗣治さん。
「年季の入ったゲロ甘夫婦だけどな」
「うん。だけど羨ましい。御隠居さんね、神社で鼻緒を切っちゃった桜子さんをお姫様抱っこして帰ってきたんだって」
「心配するな。もし鼻緒が切れたらそうやって連れて帰ってきてやるから」
「……」
「なんだよ」
「なんかね、嗣治さんは私のことをお姫様抱っこではなくて米俵みたいに担ぎそうな気がする」
「一気に犯罪者臭くなるな、それだと……」
まあ現実的に会場から自宅までお姫様抱っこも米俵担ぎも無理なんだけど、なんとなく担ぐ方が嗣治さんらしいと言うかなんと言うか……。
「ここからでも花火、見えるのに何でわざわざ人の多い会場まで行きたがるんだか……」
そんなことを横で歩きながら呟いている。
「そりゃそうなんだけど、せっかく浴衣も作ったしお出かけしたいじゃない? 去年までは電車の中から見るのがせいぜいだったし」
そうなんだよ。去年の私はこの時期にも休み返上で仕事をしていたんだ。嗣治さんには呆れられちゃったけど、とにかく家族持ちの人に遠慮してお盆休みをかなりずらして取っていたから花火大会も夏祭りも知らない間に過ぎちゃっていた。
「そりゃ嗣治さんがどうしても行きたくないって言うならこのまま引き返しても良いよ? とうてつさんだって忙しいんでしょ? 無理に休みをもらったんじゃないかってちょっと心配だったし」
「……モモ」
「なあに?」
「家のベランダから花火を見るって選択肢が抜けているのは何故だ?」
「え? だって花火、あまり興味なさそうだから見たくないのかなって」
盛大に溜息をつかれてしまった。あれ? 違ったの?
「俺は桃香と二人でゆっくりと花火が見たかったんだよ。まあ浴衣を着たモモを早々に見れたのは嬉しいけどな」
「……そうだったの、ごめんなさい、無理言って。えっと、じゃあ引き返す?」
「ここまで来て引き返すとか馬鹿らしいだろ? せっかくなんだから会場に行って見よう」
立ち止まった私の手を握ると嗣治さんは歩き始めた。なんだか手を繋いで歩くなんて気恥ずかしい。だってそれまでデートらしいデートってしたことないし、たまに出かけたりしてもこんな風に手を繋いで歩いたことなんて無かったし。誰かに見られたらちょっと恥ずかしいかな、なんて考える。
「あ」
「どうした?」
「ほら、あっち。ユキ君と璃青さんが一緒に歩いてる」
商店街の顔見知りの二人を見かけてこそこそと嗣治さんに囁いた。まだ恋人未満らしい二人が恥ずかしがるといけないので出来るだけあからさまに見ないようにとチラ見だけに留めて。
「あの二人、いつの間に?」
「いつの間にっていうか、まだ発展途中だと思うよ? そんなことを篠宮の御主人が言ってた。皆で生温かく見守っている最中なんだって」
「生温かくって一体どんな見守り方なんだよ」
「さあ……多分、余計なお世話と紙一重な感じ?」
私が嗣治さんに結婚を申し込まれた夜のとうてつでの出来事を思い出しながら呟く。多分あんな感じでユキ君と璃青さんのことも皆して見守っていると思うんだよね、かなり生温かく。もちろんあの時に籐子さんに叱られたらしい人達は反省して無茶な踏み込み方はしないんだろうけど、基本的な姿勢は変わってないと思う。かく言う私だって二人の恋未満の行方は超気になるし。
「桃香もどんどん商店街の爺様達に感化されてるな」
私の言葉を聞いていた嗣治さんは苦笑いしている。そうかな? でも気にならない?
「そりゃあ顔見知りが幸せになるのは嬉しいことだが」
「でしょでしょ?」
仲良く歩いてる二人をチラチラと見ながら私達は花火大会の会場に向かった。途中から会場に向かう人も増えてきて、嗣治さんは人の流れから私を庇うようにして進んでいく。
「すっごい人だね」
「関東地区だとここの花火大会が最後になるから見納めで来る人が多いらしい」
「へえ……それにしても凄い人」
「ベランダでのんびり見物したいって言ったのが正しいって分かったろ?」
途中でりんご飴を売ってる屋台の前を通りかかったので小さい姫りんごのを一つ買った。
「でも、家にいたらこんなの買えないし」
「それぐらい俺が作ってやる」
「むー……それって何か違う」
「俺が作るりんご飴に何か不満でも?」
「そうじゃないけど……」
会場の一角にある川原に下りていく階段に場所を確保すると二人して並んで座った。見物しに来る人は多いけど、もともと桜川の河川敷自体が広いこともあってかなりの人が集まっても何とか場所は確保できるのがここの花火大会の良いところかもしれない。
「足、痛くないか?」
「うん。御隠居さんが選んでくれた下駄、鼻緒のところが柔らかくてこすれてもそんなに痛くないの。それと履き方のコツも教えもらったから今のところ大丈夫みたい」
「痛くなったら遠慮なく言えよ」
「うん」
暫くすると花火の打ち上げが始まった。ニュース映像で見るのとは全然違って凄い迫力だし凄く綺麗。嗣治さんが持ってきたデジカメで写真を撮っているので、私は職場の人に写メする為に携帯で何枚か撮った。
「綺麗だったねー。私、あんな間近で打ち上げ花火を見たの初めてだから感動しちゃった」
家までの帰り道はちょっと興奮気味の私が打ち上がった色々な形の花火のことやキーボ君?みたいな形の不思議な打ち上げ花火のことをあれやこれやと話し続けていたので、行きと違ってあっという間だった。
「そう言えば、とうてつさんとこ、裏庭でバーベキューしてるとか言ってたよね。花火を見終わったら是非にって籐子さんに言われてたんだけどどうする?」
「んー、ちょっと歩き疲れたから帰ろう」
「そう?」
「ああ」
そんな疲れているようには見えないんだけどな。もしかして人ごみに酔っちゃった? まあ家にも冷たいビールはあるし飲みたくなったら家でも飲めるんだけどね。
家に戻るとクーラーをつけてほっと一息。夜は幾分かましだけどやっぱりまだ暑い。せっかく着た浴衣を脱ぐのは勿体無いけど麦茶を飲んで一息ついたらシャワーを浴びたいな……そんなことを考えていたら後ろに立った嗣治さんがいきなり帯を解き始めた。
「え、ちょっと嗣治さん?!」
「シャワー浴びたいんだろ?」
なんで分かったの?
「そうなんだけど、なんで帯を勝手に」
「ほら、殿様と腰元? あれって本当にクルクルってなるのか興味があって」
「いやいや、浴衣の帯はそんなに長く、わっ」
帯が足元に落ちた。
「ふむ、クルクルは無理か、残念」
「もう、せっかく頑張って着たのにぃ」
「大事なのは中身」
「中身って一体……」
背中を押されてバスルームの方へと連れて行かれると、そのまま済し崩しに一緒にシャワーを浴びるとになっちゃって。そんなことをすれば何事も無い筈は無いわけで何故かそのまま寝室のベッドに直行、なんてことになっちゃたんだよね……。
「盛繁ミートさんのお肉、食べたかったのに……」
しばらくして嗣治さんの上で寝そべりながら呟くと笑われた。
「なんだよ、モモは俺より肉の方が良かったのか?」
「だって、なかなか手に入らない美味しいお肉だって籐子さんが言ってたから楽しみにしてたんだよ?」
「じゃあ今から行くか?」
「もうきっとなくなっちゃってるよ……」
盛繁ミートさんで美味しいお肉を仕入れたからって聞いていたからバーベキューに行きたかったんだけど、私、お肉を食べるどころか逆に嗣治さんに美味しく食べられちゃいましたとさ……無念です。
紬屋の奥さんから教えてもらった通りの手順で浴衣を着て帯を締めると、鏡の前で体を動かしてチェックする。うんうん、上出来だ、奥さんに着せてもらった時と同じ感じになった。髪は新婚旅行に行く前にカットしてからずっと短いままを保っているので結い上げることは出来ないけど、奥さんが売り物の和装小物の中から可愛いバレッタを見つけてくれたのでそれを買って、今は左右の髪を後ろでとめている。
「モモ、そろそろ時間だぞ」
閉めたドアの向こうで嗣治さんの声がした。もっと悪戦苦闘するかと思っていたから、浴衣を着終わるまでは見たらダメって寝室から締め出していたんだよね。
「はーい、今いくー」
御隠居さんが買ってくれた巾着袋にガマ口のお財布と携帯を入れると部屋から出た。リビングで手持ち無沙汰そうにしていた嗣治さんがこちらを見てニッコリと笑った。
「へえ、モモらしい浴衣だな」
「似合う? 変じゃない?」
「凄く似合ってるし可愛いな」
「うーん、この年で可愛いっていうのも微妙?」
「そんなことないだろ? 俺は大満足だけど」
「そう? なら良いんだけど」
桜川で開催される花火大会の会場はここからだと駅前から出ているバスに乗るのが良いんだけど、当然のことながら今日は混んでいるので地元住人は徒歩で会場にいくのが常。下駄もそれなりの距離を歩いても良いようにと鼻緒が太くて柔らかい物を御隠居さんが選んでくれた。そう言えば桜子さんと初めて月読神社の縁日に行った時は鼻緒が切れてしまって大変だったねえ……なんていう、お砂糖満載の思い出話を聞かせてもらいながらなんだけど。その時のことを思い出してフフッって笑うと嗣治さんが首を傾げてこちらを見下ろしてきた。
「どうした?」
「浴衣を取りに行った時に、葛木の御隠居さんの惚気話を聞かされちゃってね。あのお年になっても仲良く毎日を過ごせるのって羨ましいなって」
そんな私の言葉にちょっと微妙な顔をする嗣治さん。
「年季の入ったゲロ甘夫婦だけどな」
「うん。だけど羨ましい。御隠居さんね、神社で鼻緒を切っちゃった桜子さんをお姫様抱っこして帰ってきたんだって」
「心配するな。もし鼻緒が切れたらそうやって連れて帰ってきてやるから」
「……」
「なんだよ」
「なんかね、嗣治さんは私のことをお姫様抱っこではなくて米俵みたいに担ぎそうな気がする」
「一気に犯罪者臭くなるな、それだと……」
まあ現実的に会場から自宅までお姫様抱っこも米俵担ぎも無理なんだけど、なんとなく担ぐ方が嗣治さんらしいと言うかなんと言うか……。
「ここからでも花火、見えるのに何でわざわざ人の多い会場まで行きたがるんだか……」
そんなことを横で歩きながら呟いている。
「そりゃそうなんだけど、せっかく浴衣も作ったしお出かけしたいじゃない? 去年までは電車の中から見るのがせいぜいだったし」
そうなんだよ。去年の私はこの時期にも休み返上で仕事をしていたんだ。嗣治さんには呆れられちゃったけど、とにかく家族持ちの人に遠慮してお盆休みをかなりずらして取っていたから花火大会も夏祭りも知らない間に過ぎちゃっていた。
「そりゃ嗣治さんがどうしても行きたくないって言うならこのまま引き返しても良いよ? とうてつさんだって忙しいんでしょ? 無理に休みをもらったんじゃないかってちょっと心配だったし」
「……モモ」
「なあに?」
「家のベランダから花火を見るって選択肢が抜けているのは何故だ?」
「え? だって花火、あまり興味なさそうだから見たくないのかなって」
盛大に溜息をつかれてしまった。あれ? 違ったの?
「俺は桃香と二人でゆっくりと花火が見たかったんだよ。まあ浴衣を着たモモを早々に見れたのは嬉しいけどな」
「……そうだったの、ごめんなさい、無理言って。えっと、じゃあ引き返す?」
「ここまで来て引き返すとか馬鹿らしいだろ? せっかくなんだから会場に行って見よう」
立ち止まった私の手を握ると嗣治さんは歩き始めた。なんだか手を繋いで歩くなんて気恥ずかしい。だってそれまでデートらしいデートってしたことないし、たまに出かけたりしてもこんな風に手を繋いで歩いたことなんて無かったし。誰かに見られたらちょっと恥ずかしいかな、なんて考える。
「あ」
「どうした?」
「ほら、あっち。ユキ君と璃青さんが一緒に歩いてる」
商店街の顔見知りの二人を見かけてこそこそと嗣治さんに囁いた。まだ恋人未満らしい二人が恥ずかしがるといけないので出来るだけあからさまに見ないようにとチラ見だけに留めて。
「あの二人、いつの間に?」
「いつの間にっていうか、まだ発展途中だと思うよ? そんなことを篠宮の御主人が言ってた。皆で生温かく見守っている最中なんだって」
「生温かくって一体どんな見守り方なんだよ」
「さあ……多分、余計なお世話と紙一重な感じ?」
私が嗣治さんに結婚を申し込まれた夜のとうてつでの出来事を思い出しながら呟く。多分あんな感じでユキ君と璃青さんのことも皆して見守っていると思うんだよね、かなり生温かく。もちろんあの時に籐子さんに叱られたらしい人達は反省して無茶な踏み込み方はしないんだろうけど、基本的な姿勢は変わってないと思う。かく言う私だって二人の恋未満の行方は超気になるし。
「桃香もどんどん商店街の爺様達に感化されてるな」
私の言葉を聞いていた嗣治さんは苦笑いしている。そうかな? でも気にならない?
「そりゃあ顔見知りが幸せになるのは嬉しいことだが」
「でしょでしょ?」
仲良く歩いてる二人をチラチラと見ながら私達は花火大会の会場に向かった。途中から会場に向かう人も増えてきて、嗣治さんは人の流れから私を庇うようにして進んでいく。
「すっごい人だね」
「関東地区だとここの花火大会が最後になるから見納めで来る人が多いらしい」
「へえ……それにしても凄い人」
「ベランダでのんびり見物したいって言ったのが正しいって分かったろ?」
途中でりんご飴を売ってる屋台の前を通りかかったので小さい姫りんごのを一つ買った。
「でも、家にいたらこんなの買えないし」
「それぐらい俺が作ってやる」
「むー……それって何か違う」
「俺が作るりんご飴に何か不満でも?」
「そうじゃないけど……」
会場の一角にある川原に下りていく階段に場所を確保すると二人して並んで座った。見物しに来る人は多いけど、もともと桜川の河川敷自体が広いこともあってかなりの人が集まっても何とか場所は確保できるのがここの花火大会の良いところかもしれない。
「足、痛くないか?」
「うん。御隠居さんが選んでくれた下駄、鼻緒のところが柔らかくてこすれてもそんなに痛くないの。それと履き方のコツも教えもらったから今のところ大丈夫みたい」
「痛くなったら遠慮なく言えよ」
「うん」
暫くすると花火の打ち上げが始まった。ニュース映像で見るのとは全然違って凄い迫力だし凄く綺麗。嗣治さんが持ってきたデジカメで写真を撮っているので、私は職場の人に写メする為に携帯で何枚か撮った。
「綺麗だったねー。私、あんな間近で打ち上げ花火を見たの初めてだから感動しちゃった」
家までの帰り道はちょっと興奮気味の私が打ち上がった色々な形の花火のことやキーボ君?みたいな形の不思議な打ち上げ花火のことをあれやこれやと話し続けていたので、行きと違ってあっという間だった。
「そう言えば、とうてつさんとこ、裏庭でバーベキューしてるとか言ってたよね。花火を見終わったら是非にって籐子さんに言われてたんだけどどうする?」
「んー、ちょっと歩き疲れたから帰ろう」
「そう?」
「ああ」
そんな疲れているようには見えないんだけどな。もしかして人ごみに酔っちゃった? まあ家にも冷たいビールはあるし飲みたくなったら家でも飲めるんだけどね。
家に戻るとクーラーをつけてほっと一息。夜は幾分かましだけどやっぱりまだ暑い。せっかく着た浴衣を脱ぐのは勿体無いけど麦茶を飲んで一息ついたらシャワーを浴びたいな……そんなことを考えていたら後ろに立った嗣治さんがいきなり帯を解き始めた。
「え、ちょっと嗣治さん?!」
「シャワー浴びたいんだろ?」
なんで分かったの?
「そうなんだけど、なんで帯を勝手に」
「ほら、殿様と腰元? あれって本当にクルクルってなるのか興味があって」
「いやいや、浴衣の帯はそんなに長く、わっ」
帯が足元に落ちた。
「ふむ、クルクルは無理か、残念」
「もう、せっかく頑張って着たのにぃ」
「大事なのは中身」
「中身って一体……」
背中を押されてバスルームの方へと連れて行かれると、そのまま済し崩しに一緒にシャワーを浴びるとになっちゃって。そんなことをすれば何事も無い筈は無いわけで何故かそのまま寝室のベッドに直行、なんてことになっちゃたんだよね……。
「盛繁ミートさんのお肉、食べたかったのに……」
しばらくして嗣治さんの上で寝そべりながら呟くと笑われた。
「なんだよ、モモは俺より肉の方が良かったのか?」
「だって、なかなか手に入らない美味しいお肉だって籐子さんが言ってたから楽しみにしてたんだよ?」
「じゃあ今から行くか?」
「もうきっとなくなっちゃってるよ……」
盛繁ミートさんで美味しいお肉を仕入れたからって聞いていたからバーベキューに行きたかったんだけど、私、お肉を食べるどころか逆に嗣治さんに美味しく食べられちゃいましたとさ……無念です。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
267
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる