Guys with the Dragon Tattoo

Coppélia

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10月 Thatness and Thereness

第48話、drive in a shot

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☆さて。こうして向かい合って座っている間にも、列車は馳せ、車窓が移り変わり、あなたの気持ちは変わりゆき、僕達以外のお客様とすれ違っても、まだ、ロンドンまでは時間がある。こうしてチェスを一手ずつ進めてもいいし、話をしてもいい。あなたは、どっちかな?

…ゆっくりと、繰り返し割れるガラス
ゆっくりと、背後から忍び寄る恐怖
ゆっくりと、鉛色に滑り落ちる…

★目に映るは、薄雲に透けて赤く転写された灰まみれの小麦色の煉瓦にアールデコな街並みは、秋の終わりに相応しい唐紅色に染まる。そんな街を先程まで、彼と学会発表ついでの寄り道をしていました。

まあ、今回、彼が発表した新しい理論は少々手厳しい批判もありまして。同伴者である私としては彼に対して少し思うところもあり「今は頭の中を箱に入れて、紅茶でも飲みませんか?」と言って、とっておきの街に彼を連れ出した、というところです。

…ある時間に取り残されて、最初と最後を忘れてしまった列車は、今も止まったままで。
この区切られた時間の中では「そこにあるもの、あるべきもの」がわかりやすくみえる…

☆今から2時間前、僕はうさぎグッズでいっぱいのあなたと、イギリスのノーリッジでミルクティー色の空の下、コーニッシュパイを食べ、紅茶を飲んでいた。

絵本みたいなカフェでの会話は、ナローボートの旅について。歩くよりもゆっくりな旅の話を、ゆっくりなテンポであなたは話す。

ケンブリッジで用事を済ませて、あとはロンドンに帰る、そんなときにあなたは「せっかくなので観光に行きませんか?」と誘ってくれた。ロンドンから真反対な方向に帰るというあなたに戸惑ったけど、行ったことのない未踏破な路線に心惹かれて承諾した。

★ノーリッジのアーケード街をのんびり歩けば、私と彼は同じぐらいの身長でして。上でもなく、下でもない、ちょうど同じぐらいの身長です。親子ほど年齢は離れていますが、まあ、彼も私と同じく新しいことが大好きなようなので。今日は誘ってみようかと思いましたが、よかったようです。

☆ ロンドン行きのボックス席で、チェス盤を挟んで向かい合って座っている今は、沈黙のまま、あなたは頭を掻くばかり。窓ガラスに映るあなたに尋ねるように駒をすすめる。

車窓に流れるイーストアングリアの牧歌的な景色の中を、遠くにある太陽の沈み具合で時間を知る、こののんびりとした時間で、ここ暫く詰まっていた気持ちがするりと箱に入った。窓ガラスには、にこにこと笑っているあなたが映っている。

…群青色を反射した金属が軌道の上で波を打つ。空の光で青く染まる箱の中に、反射したくない小さな自身を隠している…
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