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第1章 ファスティアの冒険者
第5話 出会いの酒場
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ファスティアの街は日々、成長し続けている。
この町は元々、酒好きのドワーフ族の農夫が農地の一角に建てた、小さな酒場からはじまった。
やがて周囲には家が建ち、店が建ち。付近の異界迷宮探索を目当てに集まる冒険者からの評判が更なる評判を呼び――現在の規模にまで発展を遂げたのだ。
「さて、どうすッかなぁ。もう一仕事するか、アリサの働きぶりでも見にいくか……」
なんとか無事に依頼を成功させたエルスは、人混みにまみれた大通りを歩く。
街の通りはすべて、中心部にある巨大な酒場へと繋がっている。
その構造ゆえ目的なく歩いていると、自然と酒場へと誘われてしまう。
「それにしてもッ、すッげぇ人だぜ! 毎日毎日、どこから来てんだ?」
人々の群れに押されながら、エルスも少しずつ酒場の方向へと流されてゆく。
そんな時――彼の耳に、気になる噂話が飛び込んできた。
「おい、聞いたか? ロイマンの奴が……」
「仲間を集めてるんだってな……」
「奴の旅仲間に入りゃ大儲け……」
ロイマン――その名を聞いたエルスは人混みを強引に突き抜け、路肩で話している男たちへと詰め寄った。
「ロイマンだって!?――なぁ、オッサン! そいつはどこにッ!?」
「んあぁ? 何だニィちゃん? 例の酒場に決まってんだろうよ」
「おめェのような駆け出しが行ったところで、どうせ相手にされねぇぞ?」
「あの酒場だなッ!――オッサンたち、ありがとなッ!」
男たちからの返答を聞くや、エルスは器用に人波を泳ぐかのように、酒場へ向かって駆けだしてゆく。
「あのガキ、聞いちゃいねェ……。ったく、変な野郎だ!」
「勇者様のサインでもオネダリに行くんだろうさ! ブハハハハ!」
背後からは男らの大笑いが聞こえてくるが、そんな声など気にも留めず、エルスは目的地へと突き進む。
「――いいぞッ! ロイマンの仲間になりゃ、魔王だって楽勝だッ! 今日は運が良いぜ!」
街の中央に鎮座する、通称・ドワーフの酒場。
石材やレンガを組み合わせた多角形の外壁には多くの入口があり、いつでも冒険者たちを歓迎している。
酒場の屋根は巨大な革布が張られたテントのような構造になっており、平屋ながらも、面積は街で最大を誇っている。
「ふぅ、やっと着いた! よしッ! 待ってろよ、ロイマンッ!」
石畳で整備された大通りを抜け、目的の酒場へと辿り着いたエルス。
彼は自らに気合いを入れ、さっそく中へと踏み込んでゆく。
まだ太陽は高く、明るい時間帯なのだが――。
すでに店内は、多くの客であふれかえっていた。
もちろん、客の大半は冒険者だ。
酒場には基本的に、冒険者らが請け負う〝依頼〟の張り出された、掲示板が設置されている。そのため、昼夜を問わず冒険者の出入りが途切れることはない。
酒場とは――冒険者にとって仕事の玄関口ともいえる、重要な施設でもあるのだ。
「ロイマンは……? ロイマンは、どこだ?」
エルスは勇者の名を呟きながら、薄暗い店内を彷徨うかのように進む。
まるで長年の夢を叶えてくれる、希望の光を探し出すかのように。
「――居たッ! アイツだ!」
壁際の、ひときわ目立つ大舞台の周辺。
その一角のみが、奇妙なほどに静まり返っている。
酒場の荒くれ連中も、そこにいる大男の存在感に圧倒されているのだ。
しかしエルスは臆することもなく、その中心にいる男へと近づいていった。
目の前にいる、この男。
ロイマンを表す称号は、数知れず。
なかでも最も有名で、最も誉れ高いのは、やはり魔王を討伐した者に与えられる、〝勇者〟の称号だろう。
「なあッ! あんたが勇者ロイマンだろ?」
エルスは問いかけるも、ロイマンは酒を酌み交わすばかりで目の前で立ち続ける若者には見向きもしない。彼の数人の取り巻きがチラリとエルスに目を遣り、嫌味な笑みを浮かべたのみだ。
「俺の名はエルス! 頼むッ、俺を仲間に入れてくれッ!」
続いてエルスが発した言葉に、この場の空気が一瞬で凍りつく。
――そして直後、周囲からは大爆笑が巻き起こった。
「ギャハハハ! 何言ってんだ? あの小僧!」
「聞いたか? とんでもねェ馬鹿が来たぞ! ウヒャハハ!」
「アハハッ! ねえ身の程知らずの坊や? イイ子だからサインでも貰ってお帰りよ!」
周囲一帯からは、エルスに対する罵声や嗤い声が飛び交っている。
しかし、そんな雑音など一切届いていないかのように、エルスは目の前の男に真剣な眼差しを向け続けた。
そんな彼の度胸を認めたのか、やがてロイマンは周囲を制するように小さく片手を挙げ、ゆっくりとエルスへ黒い瞳を向ける。
「そうだ。俺がロイマンだ。小僧、仲間にしろと言ったな? 悪いが俺は、子守りは請けない主義なんでな。他を当たれ」
それだけを言うと何事も無かったかのように、ロイマンは再びグラスを傾け始めた。
「待ってくれッ! 俺は昔、あんたに助けられた! 魔王に襲われた俺をッ! それから俺は、あんたを目標に冒険者になったんだッ!」
「フッ……。魔王だと? 小僧、夢でも見たか? 俺は助けた奴の顔なんざ覚えていないんでな。憧れるのは勝手だが、俺の酒が不味くなる前にそろそろ消えな」
「……違う! あれは夢じゃないッ! 夢なんかじゃ――ッ!」
ついにエルスは言葉に詰まり、強く唇を噛みしめる。その時、悔し涙を堪えた視界の隅で、巨大な魔剣が妖しく煌めいたのが見えた。
それは紛れもなく、かつて魔王が振るい、父の命を奪った――あの忌まわしき魔剣に間違いない。
「その剣ッ! それは魔剣ヴェルブレイズだろッ!? 俺はあの時、確かに助けられたんだよッ!」
「何?」
その叫びに、ロイマンのグラスを揺らす手が止まった。
「小僧。何故、俺の得物の銘を知っている? 誰に聞いた?」
エルスの脳裏に、あの忌まわしき日の記憶が蘇る――。
「――魔王メルギアス! その剣の、前の持ち主からだッ!」
「ほう……。どうやら只の勘違い小僧ってわけじゃ無さそうだな。お前、あの時に手を焼かせてくれたチビか」
「小僧でもチビでもないッ! 俺はエルスだ!――頼むよッ! 仲間にしてくれ!」
エルスは拳を握りしめ、必死に仲間入りを懇願する。ロイマンは小さく舌打ちし、グラスに新たな液体を注ぎ込んだ。
「さっきから軽々しく、仲間仲間と吠えやがって。それに、お前があの時のチビなら尚更に御免だ。また巻きぞえにされてはかなわん」
「巻きぞえッ!? まさか、あの時? 教えてくれロイマンッ! 俺はッ――俺は、あの時……」
「――五月蝿えぞ! いい加減に落ち着きやがれ!」
激しい怒号と共に、ロイマンはグラスを粉々に握り潰す!
彼の拳には余程の怒りが込められていたのか――飛び散った酒や破片は地に落ちることもなく、光の粒子となって消えてしまった。
これにはエルスも周囲の客らも度肝を抜かれ、沈黙する。
しかし、その雰囲気に臆することもなく近づいてきた男が、一瞬の沈黙を再びの響きに変えた――。
フードを目深に被り、黒ずくめのマントを纏った長身の男。
彼はロイマンの前で立ち止まり、軽く頭を下げた。
「俺の名はラァテル。仲間入りを希望する」
この町は元々、酒好きのドワーフ族の農夫が農地の一角に建てた、小さな酒場からはじまった。
やがて周囲には家が建ち、店が建ち。付近の異界迷宮探索を目当てに集まる冒険者からの評判が更なる評判を呼び――現在の規模にまで発展を遂げたのだ。
「さて、どうすッかなぁ。もう一仕事するか、アリサの働きぶりでも見にいくか……」
なんとか無事に依頼を成功させたエルスは、人混みにまみれた大通りを歩く。
街の通りはすべて、中心部にある巨大な酒場へと繋がっている。
その構造ゆえ目的なく歩いていると、自然と酒場へと誘われてしまう。
「それにしてもッ、すッげぇ人だぜ! 毎日毎日、どこから来てんだ?」
人々の群れに押されながら、エルスも少しずつ酒場の方向へと流されてゆく。
そんな時――彼の耳に、気になる噂話が飛び込んできた。
「おい、聞いたか? ロイマンの奴が……」
「仲間を集めてるんだってな……」
「奴の旅仲間に入りゃ大儲け……」
ロイマン――その名を聞いたエルスは人混みを強引に突き抜け、路肩で話している男たちへと詰め寄った。
「ロイマンだって!?――なぁ、オッサン! そいつはどこにッ!?」
「んあぁ? 何だニィちゃん? 例の酒場に決まってんだろうよ」
「おめェのような駆け出しが行ったところで、どうせ相手にされねぇぞ?」
「あの酒場だなッ!――オッサンたち、ありがとなッ!」
男たちからの返答を聞くや、エルスは器用に人波を泳ぐかのように、酒場へ向かって駆けだしてゆく。
「あのガキ、聞いちゃいねェ……。ったく、変な野郎だ!」
「勇者様のサインでもオネダリに行くんだろうさ! ブハハハハ!」
背後からは男らの大笑いが聞こえてくるが、そんな声など気にも留めず、エルスは目的地へと突き進む。
「――いいぞッ! ロイマンの仲間になりゃ、魔王だって楽勝だッ! 今日は運が良いぜ!」
街の中央に鎮座する、通称・ドワーフの酒場。
石材やレンガを組み合わせた多角形の外壁には多くの入口があり、いつでも冒険者たちを歓迎している。
酒場の屋根は巨大な革布が張られたテントのような構造になっており、平屋ながらも、面積は街で最大を誇っている。
「ふぅ、やっと着いた! よしッ! 待ってろよ、ロイマンッ!」
石畳で整備された大通りを抜け、目的の酒場へと辿り着いたエルス。
彼は自らに気合いを入れ、さっそく中へと踏み込んでゆく。
まだ太陽は高く、明るい時間帯なのだが――。
すでに店内は、多くの客であふれかえっていた。
もちろん、客の大半は冒険者だ。
酒場には基本的に、冒険者らが請け負う〝依頼〟の張り出された、掲示板が設置されている。そのため、昼夜を問わず冒険者の出入りが途切れることはない。
酒場とは――冒険者にとって仕事の玄関口ともいえる、重要な施設でもあるのだ。
「ロイマンは……? ロイマンは、どこだ?」
エルスは勇者の名を呟きながら、薄暗い店内を彷徨うかのように進む。
まるで長年の夢を叶えてくれる、希望の光を探し出すかのように。
「――居たッ! アイツだ!」
壁際の、ひときわ目立つ大舞台の周辺。
その一角のみが、奇妙なほどに静まり返っている。
酒場の荒くれ連中も、そこにいる大男の存在感に圧倒されているのだ。
しかしエルスは臆することもなく、その中心にいる男へと近づいていった。
目の前にいる、この男。
ロイマンを表す称号は、数知れず。
なかでも最も有名で、最も誉れ高いのは、やはり魔王を討伐した者に与えられる、〝勇者〟の称号だろう。
「なあッ! あんたが勇者ロイマンだろ?」
エルスは問いかけるも、ロイマンは酒を酌み交わすばかりで目の前で立ち続ける若者には見向きもしない。彼の数人の取り巻きがチラリとエルスに目を遣り、嫌味な笑みを浮かべたのみだ。
「俺の名はエルス! 頼むッ、俺を仲間に入れてくれッ!」
続いてエルスが発した言葉に、この場の空気が一瞬で凍りつく。
――そして直後、周囲からは大爆笑が巻き起こった。
「ギャハハハ! 何言ってんだ? あの小僧!」
「聞いたか? とんでもねェ馬鹿が来たぞ! ウヒャハハ!」
「アハハッ! ねえ身の程知らずの坊や? イイ子だからサインでも貰ってお帰りよ!」
周囲一帯からは、エルスに対する罵声や嗤い声が飛び交っている。
しかし、そんな雑音など一切届いていないかのように、エルスは目の前の男に真剣な眼差しを向け続けた。
そんな彼の度胸を認めたのか、やがてロイマンは周囲を制するように小さく片手を挙げ、ゆっくりとエルスへ黒い瞳を向ける。
「そうだ。俺がロイマンだ。小僧、仲間にしろと言ったな? 悪いが俺は、子守りは請けない主義なんでな。他を当たれ」
それだけを言うと何事も無かったかのように、ロイマンは再びグラスを傾け始めた。
「待ってくれッ! 俺は昔、あんたに助けられた! 魔王に襲われた俺をッ! それから俺は、あんたを目標に冒険者になったんだッ!」
「フッ……。魔王だと? 小僧、夢でも見たか? 俺は助けた奴の顔なんざ覚えていないんでな。憧れるのは勝手だが、俺の酒が不味くなる前にそろそろ消えな」
「……違う! あれは夢じゃないッ! 夢なんかじゃ――ッ!」
ついにエルスは言葉に詰まり、強く唇を噛みしめる。その時、悔し涙を堪えた視界の隅で、巨大な魔剣が妖しく煌めいたのが見えた。
それは紛れもなく、かつて魔王が振るい、父の命を奪った――あの忌まわしき魔剣に間違いない。
「その剣ッ! それは魔剣ヴェルブレイズだろッ!? 俺はあの時、確かに助けられたんだよッ!」
「何?」
その叫びに、ロイマンのグラスを揺らす手が止まった。
「小僧。何故、俺の得物の銘を知っている? 誰に聞いた?」
エルスの脳裏に、あの忌まわしき日の記憶が蘇る――。
「――魔王メルギアス! その剣の、前の持ち主からだッ!」
「ほう……。どうやら只の勘違い小僧ってわけじゃ無さそうだな。お前、あの時に手を焼かせてくれたチビか」
「小僧でもチビでもないッ! 俺はエルスだ!――頼むよッ! 仲間にしてくれ!」
エルスは拳を握りしめ、必死に仲間入りを懇願する。ロイマンは小さく舌打ちし、グラスに新たな液体を注ぎ込んだ。
「さっきから軽々しく、仲間仲間と吠えやがって。それに、お前があの時のチビなら尚更に御免だ。また巻きぞえにされてはかなわん」
「巻きぞえッ!? まさか、あの時? 教えてくれロイマンッ! 俺はッ――俺は、あの時……」
「――五月蝿えぞ! いい加減に落ち着きやがれ!」
激しい怒号と共に、ロイマンはグラスを粉々に握り潰す!
彼の拳には余程の怒りが込められていたのか――飛び散った酒や破片は地に落ちることもなく、光の粒子となって消えてしまった。
これにはエルスも周囲の客らも度肝を抜かれ、沈黙する。
しかし、その雰囲気に臆することもなく近づいてきた男が、一瞬の沈黙を再びの響きに変えた――。
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