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第17話 クライブ
「クライブ、いい加減に話を受けたらどうだ?
もう三度目だぞ」
辺境に騎士として身を置いて12年になる。
元々が騎士志望だった。
加えて体格の良さ、この土地の実戦を想定した指導が合っていたんだろう。
それに、失うものな何もない俺は、自ら進んで前線に身を置いた。
別に武勲を立てたかった訳ではない。
たまたま、だった。
叙爵の話は今回で三度目。
確かに断るのは難しいだろう。
一代限りの男爵位に近衛騎士団副団長。
王都かーー
ここへは、理由があってやって来た。
俺は王都で生まれ、18歳まではベルナール侯爵家の次男として生活していた。
優しい両親に兄、何不自由なく暮らし、学園では騎士科に通い、16歳の頃には婚約者も出来て、全てが順調に進んでいた。
婚約者であるステラ・ハドソン伯爵令嬢の裏の顔を見るまでは。
一つ年下のステラ嬢はプラチナブロンドにグリーンの瞳を持つ美少女で、初めて会った時はこんなきれいな子が婚約者になるなんて嬉しく思った。
俺は知らなかったけれど、ステラ嬢は学園でも儚げな美少女として有名らしく、周りからも羨ましがられた。
婚約者になってからは毎朝ステラ嬢を馬車で迎えに行き、一緒に学園へ登校した。
可能な限り共に昼食をとり、騎士科の練習試合があればステラ嬢は応援してくれた。
月に一度はお茶会でお互いの屋敷へ行き、花束やアクセサリー、話題のお菓子を贈った。
そんな日々が1年経った頃だった。
恒例のお茶会でハドソン伯爵家を訪れた後の帰り、馬車の中にステラ嬢が行きたがっていた歌劇のチケットを忘れていたことに気づいた。
届けよう。きっと喜ぶはず。
馬車が侯爵家へ着くと、俺はそのまま厩舎へ向かい、愛馬に跨って今来た道を引き返した。
伯爵家の門番はすぐに開けてくれ、俺はさっきまでいた庭園へ向かった。
「まったくセンスないのよねー」
「悪くないじゃねーか」
「本気で言ってる?」
「それにしても天使の顔した小悪魔だな」
ステラ嬢は俺がつい先程贈った髪飾りを男に向かって投げつけていた。
「つまんない人の相手に疲れたの。
ねぇ、慰めて?」
「しょうがねぇなぁ」
何を見ているのか信じられなかった。
儚げなステラ嬢が・・・・・・。
その後、二人の顔が近づいて、俺はその場を後にした。
そこからはステラ嬢の粗探ししか出来なくなった。
あんな姿を見てしまえば、とてもじゃないが歩み寄るなんて無理な話だ。
それに、あの様子じゃまだあるかもしれない。
バレないようにさり気なく観察を重ねれば数人の子息と親しくしているようだった。
家同士の繋がりで結ばれた婚約を解消するのが難しいのは百も承知だが、父上に婚約解消を願い出た。
『あんな素晴らしいステラ嬢が気に入らないのか!』
ステラ嬢は男性からも女性からも印象が良く、ボロも出さないので周りで彼女の本性を知っている人はいない。
「ベルナール侯爵令息、素敵でした」
騎士科の練習試合を以前から見学に来る子爵令嬢。
でも、彼女は俺に好意を抱いている訳ではなく、実際には別の男子生徒を見つめている。
あと、随分年上の婚約者がいたはずだった。
話してみれば、彼女は自分のことをまったく考えてくれない両親にも、勝手に結ばれた婚約にもうんざりしていた。
実際にはクラスメイトである平民の男子生徒と恋仲らしいが、人前で親しくできるはずもなく、表向きは侯爵令息である俺を見にきているよう装っていたらしい。
彼女は家を出て平民の彼と一緒になりたい。
そのためには、両親からいっそ縁を切られるくらいの行動が必要。
俺は婚約解消、いや婚約破棄したい。
そんな彼女と利害が一致した俺は、次第に親しげに振る舞うようになった。
知っているのは、子爵令嬢の恋人だけだった。
もう三度目だぞ」
辺境に騎士として身を置いて12年になる。
元々が騎士志望だった。
加えて体格の良さ、この土地の実戦を想定した指導が合っていたんだろう。
それに、失うものな何もない俺は、自ら進んで前線に身を置いた。
別に武勲を立てたかった訳ではない。
たまたま、だった。
叙爵の話は今回で三度目。
確かに断るのは難しいだろう。
一代限りの男爵位に近衛騎士団副団長。
王都かーー
ここへは、理由があってやって来た。
俺は王都で生まれ、18歳まではベルナール侯爵家の次男として生活していた。
優しい両親に兄、何不自由なく暮らし、学園では騎士科に通い、16歳の頃には婚約者も出来て、全てが順調に進んでいた。
婚約者であるステラ・ハドソン伯爵令嬢の裏の顔を見るまでは。
一つ年下のステラ嬢はプラチナブロンドにグリーンの瞳を持つ美少女で、初めて会った時はこんなきれいな子が婚約者になるなんて嬉しく思った。
俺は知らなかったけれど、ステラ嬢は学園でも儚げな美少女として有名らしく、周りからも羨ましがられた。
婚約者になってからは毎朝ステラ嬢を馬車で迎えに行き、一緒に学園へ登校した。
可能な限り共に昼食をとり、騎士科の練習試合があればステラ嬢は応援してくれた。
月に一度はお茶会でお互いの屋敷へ行き、花束やアクセサリー、話題のお菓子を贈った。
そんな日々が1年経った頃だった。
恒例のお茶会でハドソン伯爵家を訪れた後の帰り、馬車の中にステラ嬢が行きたがっていた歌劇のチケットを忘れていたことに気づいた。
届けよう。きっと喜ぶはず。
馬車が侯爵家へ着くと、俺はそのまま厩舎へ向かい、愛馬に跨って今来た道を引き返した。
伯爵家の門番はすぐに開けてくれ、俺はさっきまでいた庭園へ向かった。
「まったくセンスないのよねー」
「悪くないじゃねーか」
「本気で言ってる?」
「それにしても天使の顔した小悪魔だな」
ステラ嬢は俺がつい先程贈った髪飾りを男に向かって投げつけていた。
「つまんない人の相手に疲れたの。
ねぇ、慰めて?」
「しょうがねぇなぁ」
何を見ているのか信じられなかった。
儚げなステラ嬢が・・・・・・。
その後、二人の顔が近づいて、俺はその場を後にした。
そこからはステラ嬢の粗探ししか出来なくなった。
あんな姿を見てしまえば、とてもじゃないが歩み寄るなんて無理な話だ。
それに、あの様子じゃまだあるかもしれない。
バレないようにさり気なく観察を重ねれば数人の子息と親しくしているようだった。
家同士の繋がりで結ばれた婚約を解消するのが難しいのは百も承知だが、父上に婚約解消を願い出た。
『あんな素晴らしいステラ嬢が気に入らないのか!』
ステラ嬢は男性からも女性からも印象が良く、ボロも出さないので周りで彼女の本性を知っている人はいない。
「ベルナール侯爵令息、素敵でした」
騎士科の練習試合を以前から見学に来る子爵令嬢。
でも、彼女は俺に好意を抱いている訳ではなく、実際には別の男子生徒を見つめている。
あと、随分年上の婚約者がいたはずだった。
話してみれば、彼女は自分のことをまったく考えてくれない両親にも、勝手に結ばれた婚約にもうんざりしていた。
実際にはクラスメイトである平民の男子生徒と恋仲らしいが、人前で親しくできるはずもなく、表向きは侯爵令息である俺を見にきているよう装っていたらしい。
彼女は家を出て平民の彼と一緒になりたい。
そのためには、両親からいっそ縁を切られるくらいの行動が必要。
俺は婚約解消、いや婚約破棄したい。
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知っているのは、子爵令嬢の恋人だけだった。
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