俺だって冒険したい

智秋

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お見合い相手 …先代王弟様

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王宮から少し離れた湖の畔に瑠璃色をした離宮がある

シェルミナは迎えの馬車に揺られながら窓から見える景色を楽しんでいた

艶のある髪は編み込まれ小さな花飾りを伝う様に絡ませていて小顔のなかでくるんとした瞳はすみれ色に守護の証で虹彩がきらきらとしていた

慎ましやかなドレスは優しい色味のグリーンとレースの縁取り

宝飾品はなくとも若々しさで余りある可憐な公爵令嬢はふと手を見下ろした

(寝不足でぼんやりすんだよなぁ) 

実は転生する前は男だった為に、日に日に女性になる自分自身が少し怖かったのだ

貴族あるあるだろうけど
入浴や着替え等は侍女か手伝ってくれるから見なくて済むのが救いだったりする

(あの人は誰なんだろう)

夢に現れる紳士は毎度会う度に自分を淫らに抱くのだ

お相手はエレガントな紳士なのだ

泣いても、許しを請うても、激しく求める彼は誰なんだろうか

女性の第二次成長期が訪れ、毎月その頃に夢見が酷く悪い

そして昨晩はその夢にうなされていた

(あぁ眠い)

侍従達には儚いご令嬢のため息に見蕩れていた

*‐*‐*

天蓋から幾重にも垂らされた薄布に閉ざされた寝台に絡まる男女

「ゃ…もぅ、ぃゃ、ひっ、あぁっ!?」

可愛い瞳が歪み、あえぎながら俺の楔を埋め込んだ平らな腹がヒクヒクと隆起して庇うように白い手が腹を押さえていた

「あ、あか…ちゃん、できちゃうっ、アぅ!!」

チカチカと光る小さな光の粒子は俺を誘うように火照った身体を這う

俺は本能の赴くままにその粒子を舐めたり、甘咬みしたりして舌でなぶっていた

特有の甘い蜜の香りが、みずみずしい柔肌の汗が含む度に魔力を活性化させる

「んっ…ふぁ…ぁん、」

ぷりっとした唇が旨そうでキスを深め口淫を教えると必死に嫌がり抗っていたが次第にトロンとした表情をみせはじめた

いつもなら避妊の性交をしなければならない為、こんなに深く交わらない

女性の在りようもまるで訓練の一環だった

「あ、おなか…へん」

抜かずに何度も射精をする度に光の粒子は下腹部の中央、子宮に集結していくのが解るほど熱くゾクゾクと背筋を這うなにか

これは征服欲だろう

戦場に出ていた頃に似た高揚感だが、高められた快楽に溺れていく樣は艶かしく美しく愛しい

「私の子を産んでおくれ。愛しい人」

「はぅっ、あ、ぁん、ひぁあああ」

柔らかな秘部の奥に熱を飛沫ながら、耳朶を甘く咬んで秘部の芽を潰すと可哀想なほど登り詰めて意識を手放した

うねる様に搾られた楔を抜いた割れ目にとろりと白濁が伝う

それを指で掬って丸みのある下腹部に塗る

光の粒子はトクンと脈打ち、揺りかごに命を宿した

自分と彼女を軽く拭い、添い寝すると甘い吐息が肩にあたる

華奢な腰を引き寄せて、胸に閉じ込め羽を入れた掛け布団を包むようにかけた

「おやすみ、シェルミナ」

*‐*‐*

私は次期大公のディークハルト・セレシュ・シュナウザー神聖騎士

先代の王は同母の兄だった
仕えていた頃は神の恩恵を授かった騎士の為、独身で居なければならなかった

婚姻と共に大公になるのだが、数少ない上位神聖魔法を授かった為に相手の女性が限られてしまった

魔力、霊力と授かった力が強すぎると生命力を周りから奪うことになるのだ

兄王が退位されるなら、と探した婚姻相手にはふたりの名が上がった

そのひとりが王家や貴族達が熾烈な駆け引きで娶りたがった令嬢だったのだ

至宝の存在【聖霊の御子】である

四大公爵家の姫でもある為か、社交界には顔があまり知られていない彼女は可憐な乙女だ

本人を見ると、皆ため息をつき、清らかなオーラに惹かれ膝を折るのだ

私でさえ、神聖魔法の加護がなければ危うかった程の存在感

あの公爵に話をつけて、見合いをすることになり王から賜った離宮の庭園を顔合わせ場所に指定した

挨拶を交わし散策した際にエスコートの為に細い手を掴んだ

じわっと神聖魔法の魔力である光の粒子が溢れたのだ

「シェルミナ嬢、神聖魔法の粒子はみえますか?」

「微かに。とても綺麗で幻想的と伺いました。この暖かい温もりは閣下の魔力でしょうか」

神聖魔法はとても厳格である為
冷気を感じる者は心にやましいことがあり
ぬくもりを感じる者は慈しみの力で怪我の回復や子宝成就を願うことがある

庭園の四阿で腰を引き寄せてみると触れた箇所以外にも粒子がちらついては弾けてシェルミナを包み始めた

「感じますね。貴女を、シェルミナ嬢を祝福する神聖魔法の力を」

「はい」

慎ましやかなドレスの下へにじむ様に粒子は増え、全身に広がっていく

「私と正式な婚約を受けてください」

(そして、貴女の血を継いだ私の子を産んでくれ)

火照りはじめた柔らかな身体を抱きしめ、艶やかな髪に隠された耳に言霊を吹き込む

強制はしないが嘘や建前を払いのけ、本音を答えて欲しかった

「私は…」

*‐*‐*

昨晩みた夢の紳士なのかしらと、お見合い相手のシュナウザー様を伺っていたら、庭園の四阿で腰を引き寄せられた

騎士様が耳に言霊を吹き込まれた

確かにシェルミナは令嬢の中でも上位で精霊の上位とされる聖霊の力を授かっている

魔力や霊力の高い者は周りに影響してしまう

この見合いもその為だろう

(てかさぁ、王弟様ってオンリー狼系なのかよ。イケメンめ滅べ!)

ドレスの上から神聖魔法が肌に染み込んでくるのかジワジワ熱を帯びている

生粋の令嬢は身体の内側で騒ぐ聖霊の気配を懸命に宥めていた

(寝不足にサウナはキツイ)

細くてしなやかな身体を屈ませて、たくましい腕に空間を作った

「私は…ひとり娘です。今まで慈しんでくださる両親へお返しするにはまだ若輩者です」

穏やかなすみれ色の瞳が四阿の向こう側で揺らぐ湖畔を見つめていた

「そうだな。…失礼した」

お茶をしようか。と適度な距離を保ったまま離宮へ戻った

楽しく歓談し公爵邸まで送って頂いた

両親はにこやかにシュナウザー様を見送ってからお母様に言霊を祓われた

「あの方にしては焦りすぎよね」

ふふっ。と微笑んだ母は祖先が王族で古い血筋の影響で古代魔法なんか朝飯前な偉人である

言霊を解かれ肩がすっきりしたシェルミナは両親に夕食まで休むようにと自室に戻された

自室には侍女が簡単な湯あみを準備してくれていたので有りがたく頂いた

「では、ゆっくりお休みください」

まだ日が高くても、寝つけるだろうか

(あぁ。彼と会えるかしら)

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