小さな人形の物語

カール

文字の大きさ
2 / 3
第二章

扉の向こう側

しおりを挟む
ロリーはまず、周りや辺りを見て確認し把握した。周りにはサッカーボール、机、本棚、ゴミ箱などが置いてあった。何か役に立つ物がないか探して見ることにした。椅子を登って机の引き出しの中を見たり、紙をまとめてぐしゃぐしゃにして紙が溜まったゴミ箱やお菓子の箱などを見て回った。どれも役に立てそうな物はなかった。
すると、左側から細い線の光が刺してきた。光が刺している所はゴミ箱の周りに落ちてある上着に着いていたボタンだった。ボタンは茶色で大きかった。ロリーはそれを見て驚いた「これは!この上着のボタン、ジョンが上着をクローゼットに直した時にポケットから落としてなくしたボタンだ。ジョンは夜遅くまでこのボタン探していたからその後は諦めていたけどこんなところにあったなんて驚いたよ。」ロリーはこの上着のボタンに見覚えがあった。そう、高校生だった頃のジョンが誕生日に黒の上着を購入してクローゼットに落ちたあのボタンだった。ロリーは紐を二つにして絡まるようにそのボタンを結んで背に担いだ。
中は真っ暗でというより外はまだ夜だ。まず、真っ暗の中で進むには灯りが必要なため灯りを探した。暗い所では目線が見えず進みづらいからである。
ロリーは灯りを灯しながら前へ前へと進んだ。辺りを警戒しながら進んで行くが、何かないか探索もしていた。進んで行くと階段があった。ロリーがいるのは二階で1階へ行くにはこの階段を下って降りなければならなかった。おもちゃサイズの小さいロリーにはかなりの難関で時間がかかる道だった。しかし、ロリーは諦めなかった。親友のジョンに会うためだった。
ロリーは、後を退かず、階段を少しずつ降りていく。ロリーは引きずるように「これは時間がかかるけど退ける訳にはいかない。」と意志を強く持ちながら進んでいく。数分はかかったが、体の疲れはなかった。一階に降りたロリーは、辺りを見渡すと突然、緑色のぶよぶよした液体みたいな物体が3体ロリーの前に現れた。スライムだ。
スライムは辺りを見渡すように警戒している。ロリーはどうすればいいか分からず焦って迷っていた。ロリーにはスライム相手に対抗できる武器は持っていない。首を左右に振って何かないか探していた。すると浴室にある洗濯機の前にある何かがあった。細く、長くまるで中世ヨーロッパ時代の武器のようだが、鋭く切れる武器・・・それは、剣だ。
ロリーは洗濯機の前にある剣の方へ向かい、その剣を拾った。その剣は暗闇を照らすように光って輝いていた。ロリーは剣を持ってみると剣は輝く程光っていた。「この光輝く剣は一体なんなんだ?蛍光灯では無さそうだけどこれは心強い武器にもなる。」と剣を離さず握った。物影に隠れながらロリーはスライム達の様子を見て偵察をした。
スライム達3体は辺りをウロウロしていて警戒心はそんなに高くない。変化や進展はなくただウロウロしてばかりいた。状況を見れば3体のスライム達は武器を持っておらずただ歩いているだけ。しかし、ロリーはさっき手に入れた剣を持っている一見すればロリーの方が有利であるが、ロリーはどことなく神経を尖らせているなぜなら、スライム達は武器はなくとも何か攻撃するか他にも仲間がいて呼び出すのではないかと予想していた。今行くか?状況を見て行くか?と選択肢は2つに1つのみだった。
ロリーは「スライムは僕の方には気づいていないし見向きもしない。今行くかチャンスを待つかどっちにしよう。」と考えていた。ロリーの心中に恐怖と焦りで震えていた。それは当然、ロリーは物を切ったことすらなかった。ここで立ち止まってどうする?迷って諦めて逃げるつもりか?そうロリーは焦りと迷いがでり、冷静にいられなくなった。しかしここで諦めたら会いたかった友達と会えなくなるんだぞと自分に言い聞かせ、自分はジョンに会いに行くんだ!ここで立ち止まっている暇はない。と奮い立たせ、迷いを消して勇気を振り絞った。その顔は決意に満ち溢れた顔だった。もう逃げるわけにはいかない。ジョンに会いに行くんだという強い決意と意思を胸に刻んだ。
ロリーは勇気を振り絞り、剣を握りしめてスライム達を目掛けて突進した。
ロリーは勢いよく駆け、スライム目掛けて切りかかった。
スパーン!

スライムは唸り声をあげながら、真っ二つに斬られ、床に落ち、液状の水となって消滅した。残りはあと2体ロリーは警戒するように周りを左右見て確認した。しかしスライム達は気づいたのかロリーに襲いかかった。しかしロリーはすぐ反応して剣を構えて戦闘態勢に入った。ロリーは剣を振り、襲いくるスライム達を次々と斬っていった。スパーン!スパーン!

ロリーは剣を鞘に納めて動きを止めた。真っ二つに斬られたスライム達は液状になって溶けて消滅した。
ロリーは荒くしていた息を素早く止めて冷静になって辺りを探しながら進んだ。
隅々まで探し回るが、手掛かりになるものは何一つなく発見はなかった。ロリーは困った顔をして「あのスライム達を倒したのはいいけど、何か役に立つものがない。」と顔を横に倒して独り言をした。
ロリーはひたすら一心不乱に辺りを回って探した。しかし、その途中光なにかが刺すように輝いた。ロリーはそれにすぐ反応した。光は卵みたいな大きさでポツン、ポツンとロリーを案内するかのように現れた。ロリーはその光の後を追ってついて来た。すると辿り着いたの場所は、キッチンの所だった。すると眩しく輝く光が刺すように光った。そこには金色の色に輝く光る扉が現れた。ロリーはびっくりして「扉?あの光の玉が案内したのはこの扉がある場所を示したことだったのか。なんて輝いて美しんだ。」と取り込まれるような目つきで見た。
ロリーはその扉に近づいた。すると扉は勝手に開いた。ロリーは恐る恐るその扉を潜って中に入った。ロリーは「待っててね、ジョン。今来るからね。」と心に決めて歩みよった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

私は逃げ出すことにした

頭フェアリータイプ
ファンタジー
天涯孤独の身の上の少女は嫌いな男から逃げ出した。

処理中です...