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7.パウパウのお昼寝中に内緒の話 2
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一才をすぎたパウパウが、立ち上がり、数歩よろよろと歩いた姿を眷属の目を通して見たとき、ウルジェドは一人ダンジョンのボス部屋で涙した。
蹂躙されていたボスモンスターも泣いていたけど、それはそれ。
あはは…
涙なんて、いつぶりだろう。
涙目の巨大なオルトロスの首を、昔どこかのダンジョンで拾った剣でスパパンっと刎ながらハイエルフは思う。
「キャウゥン」「キャンっ」って鳴いた。
なんだ、最後の声だけ可愛かったぞオルトロス。
「はぁ…」素材を収納しながら思うのは、小さな子供のことだ。
あの子が1年、生き延びてくれた。
あの子が寝込まず、歩けるようになった。
あぁ、
「なんだか、嬉しいなぁ」スパンスパン
自分がやっていることで、命が繋がっていくのなら。
ノールック蹂躙。
出てくる魔獣ことごとく、ノールック虐殺をかましながら、雑貨屋はダンジョンを進む。
急ごう。
この先に多分、ギルドの魔法薬師が言っていた薬の素材があるのだ。
そうやって、ここ一年で出来たことは、
呪術のデバフと、ある魔物の特性スキル、マナドレインを参考に作った「増える魔力を外へ出すための魔導具」と
以前から使用されている「魔臓腑の成長を促す薬」を子供向けに飲みやすく、効果を改良した薬だ。
今は、これでなんとかなっている。
だが。
パウパウの魔力は大量の水が湧きだす源泉みたいなものだ。
だが、それが流れる水路は、あまりにも細く、短い。
貯めるための貯水湖は、小さく浅い。
油断していたら、あっという間に自分の魔力で溺れてしまうだろう。
辿り着いた答えは”これは普通の魔力過多ではない”
自分で魔力の制御が出来るようになるための真名付与まで、子供の体が持たないだろう。
一人では限界が来ていることに、ウルジェドは気づいていた。
自作の魔導具と成長促進薬を持って、かつての知人の伝手をたどり、頭を下げ、各国の医学者や、魔具師、錬金術師に助力を求めた。
頭一つ下げるくらい、パウパウの命に比べれば安いものだ。
土下座したって構わない。
エルフの素人仕事とあしらわれるかと思ったが、かつての賢者の称号を知っている長命種が居たことで道が付いた。
帝国のイ・カルサ領にある国立魔道具研究所に、相談に行ったときだ。
殺風景な会議室のような部屋の椅子に座って雑貨屋は、薬草茶を飲んでいた。
結構な時間待たされている。
お茶も出されなかったので自腹だ。
手慰みで昔作った湯飲み茶わんで、濃いめの薬草茶をすすっていると、ハイエルフの耳が、壁の向こうの声を拾った。
「…エルフが魔導具だぁ?なんの冗談だ」「彼らは神の怒りに触れて滅んだと言われてい…」などと申しており。
雑貨屋は溜息をつく。
いや、滅んでないよ。随分と長いこと引きこもって里で寝腐ってるけど。勝手に話作んなや。なに、その神、怖いです。
もう、違う国の研究施設へ跳ぼうか。
小腹がすいたウルジェドは、蒸かした饅頭をセイロごと収納空間から出した。
これだけ待たされているんだ、どうせ暫く来ないだろうと思ったのだ。
上の段が炒めた青菜を入れたものと、魚介を具にしたものの二種類。
真ん中がトロトロの肉の角煮を入れた物、
一番下の段が甘い餡だ。
金蜜芋の餡と、甘く炊いた豆の餡は紫餡と緑豆の二種類。
今は甘いのにしようとセイロを持ち上げて、ササ葉を引いて蒸してある下の段の金蜜芋餡の饅頭を取り出した。
「あちっ」ササ葉をペリっとはがして、ホフホフと口に運ぶ。
蜜芋のトロリと濃厚な甘さが沁みる。
あ~思ったより疲れているわ。
ササ葉が目につく。
そういや随分と昔、ドワーフにササ耳野郎って言われたなぁ…ふと思い出して苦笑した。
とりあえず、相手にされなかったら次は何処に行こうかと、考えを巡らせながら、モシャモシャ饅頭を食べ、茶をすすっていると扉がガンっと勢いよく開いた。
セイロの湯気の向こうに小柄でガッシリとした、いかにもドワーフといった男と、背の高いローブ姿の人間、もう一人はエルダードワーフか。
かなり大柄で髭モジャだ。
「……本当にエルフだ」目を丸くしてドワーフが言った。
「おぉ!絵に描いたようにエルフですね」と、震える声でローブの人間が言った。ぎゅっとローブを胸元で抑えた手も震えている。
エルダードワーフがミっちゃんをじっと見て「おま…」首を振る。
ガリガリとモジャ髪をかきながら
「いつぶりだ。竜の賢者。俺を覚えているか」
「今はただの雑貨屋のウルジェドだ。ガルデン殿、お久しゅう」蒸かした饅頭を勧めてみる。確か好物だったはずだ。
紫豆の餡が入った饅頭をムズっと掴み、下の葉を剥がしてガルデンは
「おぅ、生きてたのかササ耳野郎」と笑った。
室内は無音。
誰もが無言だった。
難しい顔をしたドワーフ、人、エルダードワーフ、エルフがテーブルを囲んでいる。
ポツリとドワーフが「ヤバいな…」と呟く。「どれもこれもヤバイ」
「いや、やはり、この魚介のエビと貝柱がプリプリで絶妙……」
「馬鹿野郎。こっちの緑豆の甘いやつだろうがっ、おい、賢者、茶ぁぐらい出せ。喉つまるわ」
「だから、もう賢者じゃねぇわ。このモジャーフ!食ってばっかいないで、仕事の話聞けや」
賢者って廃業できるものなのですかねぇ、と呟くローブ男の声をウルジェドは無視した。
自分の分と合わせて、薬草茶を出してやる。
湯飲みを見てドーライグが「エルフにしとくの惜しいです」と呟く。釉薬には拘った一品だ。
「おぉ…エルフのお茶をエルフ自ら…」ローブのおっさんが、震える手で湯飲みを包む。いや、そういうのいいから。
ガルデンはグィっと薬草茶を煽り
「んで、ササ耳、なんの用だ」
「ウルジェドな。覚えろモジャーフ、髭に餡子ついてるぞ」濡らした手拭きを投げつけてやる。
ウルジェドは魔道具を取り出し、テーブルの上に置いた。
「私が作った魔力過多の治療用魔導具だ。これを改良したい」
「おい、ハイエルフにゃ、魔力過多の病なんぞ関係無いだろうが」ガルデンは髭と手を拭き、魔道具を手にとり、眺める。
エルフのくせに相変わらず巧いこと作りやがるな、コイツ。内心、舌を巻く。
「…人間だ。人間の子供。まだ1才ちょっとなんだ。助けたい」
「ガルデン大匠。こ、これ帝都で最近、出始めた治療器具じゃないですか」ドワーフのドーライグが尋ねた。
「はぁ、おめぇだったのかよササ耳」
「呪術と魔物のスキル素材と錬金術の重複利用。エルフならではという事でしたか」人間の魔導士プルワースが、うんうん頷く。
「…これでも足りないんだ。魔導具と治療薬を合わせても、間に合わなくなる」ポツリとウルジェドが続けて
「多分、普通の魔力過多じゃない…」
「あの成長促進薬も、てめぇかよ…おぃ、ウルジェド、その子供はお前のなんだ」
顔を伏せたウルジェドにガルデンが声をかける。
「…誓約の子供だ」
エルダードワーフとドワーフは揃って「あぁ~」っと天井の見上げた。
人間のプルワースは分からなくて、二人をキョトンと見ている。
おっさんのキョトン。誰も得しない。
「エルフの誓約ですかぁ」ドーライグが唸る。
「しかもハイエルフのな」モジャ髪をバリバリしながらガルデンが言う。
ドワーフ族にもエルフの誓約のような縛りがある。
だからそれが、どれほどの重圧かは想像がついた。
ましてや幼子の命が掛かっているのだ。
ガルデンは、心なし力なく項垂れて見えるウルジェドを痛ましそうに見た。
あの時もそうだった。
コイツは、いつも損な役回りをしてやがる。ガルデンは太い眉をしかめた。
折角、美味い饅頭を食ったってぇのに、口の中が苦げぇ。
「…そうか。おい、ドーライグ。今、俺が持っている仕事、振り分けられるか」両手でモジャ髪をバリバリしながらガルデンが言う。
「エルフの誓約、それもハイエルフのですからね。了解ですよ、何とかします」ドーライグがニヤリとした。
「え。ガルデンさん?」何が起こりだしたのかプルワースには、分からない。
「え?」実はウルジェドにも分からない。
なぜ、ドワーフ族の彼らがここまで協力的に動こうとしてくれるのか。
「ちょっと昔の借りを返すんだよ」カパリとガルデンが角煮饅頭を口に入れ、ハフハフした。
ドーライグが「分割払いですねぇ」と笑った。
蹂躙されていたボスモンスターも泣いていたけど、それはそれ。
あはは…
涙なんて、いつぶりだろう。
涙目の巨大なオルトロスの首を、昔どこかのダンジョンで拾った剣でスパパンっと刎ながらハイエルフは思う。
「キャウゥン」「キャンっ」って鳴いた。
なんだ、最後の声だけ可愛かったぞオルトロス。
「はぁ…」素材を収納しながら思うのは、小さな子供のことだ。
あの子が1年、生き延びてくれた。
あの子が寝込まず、歩けるようになった。
あぁ、
「なんだか、嬉しいなぁ」スパンスパン
自分がやっていることで、命が繋がっていくのなら。
ノールック蹂躙。
出てくる魔獣ことごとく、ノールック虐殺をかましながら、雑貨屋はダンジョンを進む。
急ごう。
この先に多分、ギルドの魔法薬師が言っていた薬の素材があるのだ。
そうやって、ここ一年で出来たことは、
呪術のデバフと、ある魔物の特性スキル、マナドレインを参考に作った「増える魔力を外へ出すための魔導具」と
以前から使用されている「魔臓腑の成長を促す薬」を子供向けに飲みやすく、効果を改良した薬だ。
今は、これでなんとかなっている。
だが。
パウパウの魔力は大量の水が湧きだす源泉みたいなものだ。
だが、それが流れる水路は、あまりにも細く、短い。
貯めるための貯水湖は、小さく浅い。
油断していたら、あっという間に自分の魔力で溺れてしまうだろう。
辿り着いた答えは”これは普通の魔力過多ではない”
自分で魔力の制御が出来るようになるための真名付与まで、子供の体が持たないだろう。
一人では限界が来ていることに、ウルジェドは気づいていた。
自作の魔導具と成長促進薬を持って、かつての知人の伝手をたどり、頭を下げ、各国の医学者や、魔具師、錬金術師に助力を求めた。
頭一つ下げるくらい、パウパウの命に比べれば安いものだ。
土下座したって構わない。
エルフの素人仕事とあしらわれるかと思ったが、かつての賢者の称号を知っている長命種が居たことで道が付いた。
帝国のイ・カルサ領にある国立魔道具研究所に、相談に行ったときだ。
殺風景な会議室のような部屋の椅子に座って雑貨屋は、薬草茶を飲んでいた。
結構な時間待たされている。
お茶も出されなかったので自腹だ。
手慰みで昔作った湯飲み茶わんで、濃いめの薬草茶をすすっていると、ハイエルフの耳が、壁の向こうの声を拾った。
「…エルフが魔導具だぁ?なんの冗談だ」「彼らは神の怒りに触れて滅んだと言われてい…」などと申しており。
雑貨屋は溜息をつく。
いや、滅んでないよ。随分と長いこと引きこもって里で寝腐ってるけど。勝手に話作んなや。なに、その神、怖いです。
もう、違う国の研究施設へ跳ぼうか。
小腹がすいたウルジェドは、蒸かした饅頭をセイロごと収納空間から出した。
これだけ待たされているんだ、どうせ暫く来ないだろうと思ったのだ。
上の段が炒めた青菜を入れたものと、魚介を具にしたものの二種類。
真ん中がトロトロの肉の角煮を入れた物、
一番下の段が甘い餡だ。
金蜜芋の餡と、甘く炊いた豆の餡は紫餡と緑豆の二種類。
今は甘いのにしようとセイロを持ち上げて、ササ葉を引いて蒸してある下の段の金蜜芋餡の饅頭を取り出した。
「あちっ」ササ葉をペリっとはがして、ホフホフと口に運ぶ。
蜜芋のトロリと濃厚な甘さが沁みる。
あ~思ったより疲れているわ。
ササ葉が目につく。
そういや随分と昔、ドワーフにササ耳野郎って言われたなぁ…ふと思い出して苦笑した。
とりあえず、相手にされなかったら次は何処に行こうかと、考えを巡らせながら、モシャモシャ饅頭を食べ、茶をすすっていると扉がガンっと勢いよく開いた。
セイロの湯気の向こうに小柄でガッシリとした、いかにもドワーフといった男と、背の高いローブ姿の人間、もう一人はエルダードワーフか。
かなり大柄で髭モジャだ。
「……本当にエルフだ」目を丸くしてドワーフが言った。
「おぉ!絵に描いたようにエルフですね」と、震える声でローブの人間が言った。ぎゅっとローブを胸元で抑えた手も震えている。
エルダードワーフがミっちゃんをじっと見て「おま…」首を振る。
ガリガリとモジャ髪をかきながら
「いつぶりだ。竜の賢者。俺を覚えているか」
「今はただの雑貨屋のウルジェドだ。ガルデン殿、お久しゅう」蒸かした饅頭を勧めてみる。確か好物だったはずだ。
紫豆の餡が入った饅頭をムズっと掴み、下の葉を剥がしてガルデンは
「おぅ、生きてたのかササ耳野郎」と笑った。
室内は無音。
誰もが無言だった。
難しい顔をしたドワーフ、人、エルダードワーフ、エルフがテーブルを囲んでいる。
ポツリとドワーフが「ヤバいな…」と呟く。「どれもこれもヤバイ」
「いや、やはり、この魚介のエビと貝柱がプリプリで絶妙……」
「馬鹿野郎。こっちの緑豆の甘いやつだろうがっ、おい、賢者、茶ぁぐらい出せ。喉つまるわ」
「だから、もう賢者じゃねぇわ。このモジャーフ!食ってばっかいないで、仕事の話聞けや」
賢者って廃業できるものなのですかねぇ、と呟くローブ男の声をウルジェドは無視した。
自分の分と合わせて、薬草茶を出してやる。
湯飲みを見てドーライグが「エルフにしとくの惜しいです」と呟く。釉薬には拘った一品だ。
「おぉ…エルフのお茶をエルフ自ら…」ローブのおっさんが、震える手で湯飲みを包む。いや、そういうのいいから。
ガルデンはグィっと薬草茶を煽り
「んで、ササ耳、なんの用だ」
「ウルジェドな。覚えろモジャーフ、髭に餡子ついてるぞ」濡らした手拭きを投げつけてやる。
ウルジェドは魔道具を取り出し、テーブルの上に置いた。
「私が作った魔力過多の治療用魔導具だ。これを改良したい」
「おい、ハイエルフにゃ、魔力過多の病なんぞ関係無いだろうが」ガルデンは髭と手を拭き、魔道具を手にとり、眺める。
エルフのくせに相変わらず巧いこと作りやがるな、コイツ。内心、舌を巻く。
「…人間だ。人間の子供。まだ1才ちょっとなんだ。助けたい」
「ガルデン大匠。こ、これ帝都で最近、出始めた治療器具じゃないですか」ドワーフのドーライグが尋ねた。
「はぁ、おめぇだったのかよササ耳」
「呪術と魔物のスキル素材と錬金術の重複利用。エルフならではという事でしたか」人間の魔導士プルワースが、うんうん頷く。
「…これでも足りないんだ。魔導具と治療薬を合わせても、間に合わなくなる」ポツリとウルジェドが続けて
「多分、普通の魔力過多じゃない…」
「あの成長促進薬も、てめぇかよ…おぃ、ウルジェド、その子供はお前のなんだ」
顔を伏せたウルジェドにガルデンが声をかける。
「…誓約の子供だ」
エルダードワーフとドワーフは揃って「あぁ~」っと天井の見上げた。
人間のプルワースは分からなくて、二人をキョトンと見ている。
おっさんのキョトン。誰も得しない。
「エルフの誓約ですかぁ」ドーライグが唸る。
「しかもハイエルフのな」モジャ髪をバリバリしながらガルデンが言う。
ドワーフ族にもエルフの誓約のような縛りがある。
だからそれが、どれほどの重圧かは想像がついた。
ましてや幼子の命が掛かっているのだ。
ガルデンは、心なし力なく項垂れて見えるウルジェドを痛ましそうに見た。
あの時もそうだった。
コイツは、いつも損な役回りをしてやがる。ガルデンは太い眉をしかめた。
折角、美味い饅頭を食ったってぇのに、口の中が苦げぇ。
「…そうか。おい、ドーライグ。今、俺が持っている仕事、振り分けられるか」両手でモジャ髪をバリバリしながらガルデンが言う。
「エルフの誓約、それもハイエルフのですからね。了解ですよ、何とかします」ドーライグがニヤリとした。
「え。ガルデンさん?」何が起こりだしたのかプルワースには、分からない。
「え?」実はウルジェドにも分からない。
なぜ、ドワーフ族の彼らがここまで協力的に動こうとしてくれるのか。
「ちょっと昔の借りを返すんだよ」カパリとガルデンが角煮饅頭を口に入れ、ハフハフした。
ドーライグが「分割払いですねぇ」と笑った。
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