妹バレ→親バレ→精神的DV→家出してダンジョン行ったら大変な事になったんだけど、どうしたらいい?

松川 鷹羽

文字の大きさ
1 / 7
こっちの世界

1.とにかく家を出る。

しおりを挟む
 【親バレ□ゲイ】
 検索欄に打ち込み、エンターを押すことなく×で消した。

 こんなことして、ネットを見ても何の解決にもならないのは分かっている。

 何度も見た、勇気あるカムアウトをした人の体験談、バレたと思いますか?という相談。
 だけど俺が知りたいのは、そうじゃない。

 相談内容にするなら、【妹バレから、チクられて親バレ、そっから精神的DVなんだが、どうしたらいい?】だ。

 今も俺に聞こえるように、わざとに自分の部屋のドアを開けて、大声で誰かと電話している妹の声が響く。
って、笑えるって!キモイって!」

 ……顔が良くなきゃ同性を好きになれないのかよ。

「あんなのと兄妹なんてフコーよ、フコー」

 お、気が合うな。俺も、お前と兄妹でフコーだよ。不幸。

 スマホのマッチングアプリを目ざとい妹に見られてからの1ヵ月。

 限界だった。
 針のムシロな家の空気。
「気持ち悪いから出ていけ」と、妹に言われる日々。
 それをとがめない両親おや

 明日からの夏休み、隣の部屋で下品に猿みたいに笑って(猿に失礼か)、俺の性的嗜好をネタにする妹と同じ家になんぞ居られない。
 腫物か汚物でも見るような目で、もの言いたげに時折こっちを見てくる両親にだって、もう無理だ。

 ピーっと音がしたPCのメッセージに【OK】のエンターキーを押す。
 通信デバイスギルフォと財布をボディバッグに突っ込み、データ消去を始めたPCを放置して、逃げるように家を出た。
 親が買ってくれたスマホは昨日、解約した。
 どうせ学校の連絡くらいしか来ない。

 泊めてくれる幼馴染も、親しい友人もいない。
 きっと居たなら相談をして、解決しないでも心の澱を薄く出来ただろう。
 いや、無理か。
 流石に、俺、同性が好きなんだとは、相談は出来ないか。

 頼れる家族もなく、友達も居ない高校中退ホヤホヤ(予定)の俺の居場所は、結局ダンジョンだけだった。


 ダンジョンが世界に現れたのは40年ほど前だ。
 俺が生まれて物心ついたころには、ダンジョンは普通にあって、探索者とか冒険者を名乗る人も普通にいた。

 中学を卒業したら、余程でない限りは登録できる探索者に俺も登録をし、バイト程度の小遣いを得ている。
 ランクは最低の一つ上、Dランクだが一応は探索者だ。
 それにDランクまでは探索者協会の寮に入ることが出来る。
 俺は、そこの入寮許可を得ていた。

 コツコツ貯めていたお年玉や、祖父母からの小遣いは協会の探索者用口座に移した。
 しばらくは、これで食つなぐことが出来るだろう。

 俺は内緒で居住地から離れた探索者協会で登録をし、ソロ探索者をしていたので、家族が俺を探すのは苦労するはずだ。
 まぁ、探さないかもしれないが。

 なぜ、内緒かというと、猿以下の妹が俺の金を狙うのが目に見えていたからだ。
下手すると、親までが「お兄ちゃんに甘えているのよ、買ってあげたら」なんて、頭の中に〇ソしか詰まっていないような発言をするからだ。

 なんで、俺が命を危険にさらして稼いだ金を(大げさ)、猿にくれてやらねばならんのか、本気で意味がわからん。

 そんなわけで俺は、地方都市、T市の探索者協会、朝陽支部を拠点とするソロ探索者になった。

 かつては、隆盛を誇っていたらしいT市。
 その名残は電車を降りた駅前ロータリーの真ん中に立つ、なんともセンスのない石碑にある。
 黒い御影石に彫られた、【ダンジョン発祥の地】の文字を気に留めて見る人は居ない。

 それを横目に、運よく待機状態だった【朝陽駅→月夜山ダンジョン】行のバスに乗り、通いなれたダンジョンに向かった。

 交通量に対して、無駄に広い3車線の道路をバスは順調に進む。
 なにせ、乗客は俺と、いかにも地元住民ってカンジのおば……マダムが3人だ。
 途中で乗って来る人もいない。

 朝陽支部の月夜山ダンジョン。
 かつて、世界で初めてダンジョンが発見された場所。

 そこは、調査されつくして、カッスカスになった、死にダンジョン。
 俺みたいな、大したことない奴でも何とか活動できる、今では人気のないカスダンジョンなのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。 ----------------------------------------- 0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】悪役令息の役目は終わりました

谷絵 ちぐり
BL
悪役令息の役目は終わりました。 断罪された令息のその後のお話。 ※全四話+後日談

巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく

藍沢真啓/庚あき
BL
11月にアンダルシュノベルズ様から出版されます! 婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。 目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり…… 巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。 【感想のお返事について】 感想をくださりありがとうございます。 執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。 大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。 他サイトでも公開中

結婚間近だったのに、殿下の皇太子妃に選ばれたのは僕だった

BL
皇太子妃を輩出する家系に産まれた主人公は半ば政略的な結婚を控えていた。 にも関わらず、皇太子が皇妃に選んだのは皇太子妃争いに参加していない見目のよくない五男の主人公だった、というお話。

愛などもう求めない

一寸光陰
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。 「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」 「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」 目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。 本当に自分を愛してくれる人と生きたい。 ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。  ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。 最後まで読んでいただけると嬉しいです。

【bl】砕かれた誇り

perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。 「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」 「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」 「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」 彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。 「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」 「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」 --- いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。 私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、 一部に翻訳ソフトを使用しています。 もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、 本当にありがたく思います。

処理中です...