5 / 12
あっちの世界
5.とりあえず生きてる。
しおりを挟む
いや、待って。
俺がこっちに来た時にぶつかって、この人が死んだの?
じゃぁ、俺のせいで人が死んだって事?
え?ええ?
「どうしよ…俺、人殺しじゃん」
俺は奇麗な両手を見つめて呟いた。
事故とはいえ、どうやって償えばいいんだろう。
『……違うぞ。さっきも言ったが、こやつは刺されて殺されたのだ』
「え?」
『こやつを疎んだ仲間がな、一緒にダンジョンに入って、わざとに罠を踏んだのよ。もう一人の男が、そこの短剣で背中を刺した瞬間にな』
ドラ噛み様は、グッグッグと喉声を出した。
もしかして、笑った?
え?どこに笑える要素があったの?
俺は離れた所に落ちている短剣を見つめた。ここからじゃ、凶器の短剣に血が付いているのかは分からなかった。
『転移系の罠でな。崖の上から空中に放り出された。念には念という奴だ』
「待って、それなら他の奴らも空中に投げ出されるんじゃねぇの?」
『自分らだけ、罠無効の加護符を持っておった。一回使い切りの高価な物だがな』
「……なんだよ、それ。最低じゃねぇか」
俺は俯く。
なんか派手な色の髪の毛が目に被さって来た。
シャンパンゴールドとかいう色だ。
たしか猿妹が染めたいと大騒ぎしていたな。
「この人、裏切られて可哀そうだな」
『裏切られて…か』
ドラ嚙み様は、目を閉じて少し頭を下げた。
そうやっていると、なんだか追悼しているように見えてくる。
『で、お前はどうする』
「そうだなぁ…どうしようかなぁ」
ドラ嚙み様の言う事が本当なら、ここは異世界で俺の体はヨソサマの体。
裸一貫、何もないって詰むどころか、スタートする前から死にゲーだ。
あ、いや、一回死んでたわ。
『…まずは、その体に慣れることだな。お前の魂に触れたときに見えたが、武も術も知らんようだった。異界ではあれで冒険者が出来るのか』
「いやぁ、たぶん出来ないなぁ。最低ラインの生活になるだろうよ」
草ちぎる日々の予定でした。
『ふむ……そやつの記憶は使えるはずだ』
「え?」
『そやつは”精霊のクェルクス”。当代一の魔術師にして、剣士だ』
「せいれ…い?」
『そう、そして我が
ドラ噛み様が、キラッキラに光り出して、まぶしくて俺は目を閉じた。
「うわっ、なに?」
瞼の裏が赤く感じる程の光が治まって、俺がようやく目を開けたとき、ドラ嚙み様の姿は無かった。
「あれ、ドラ嚙み様?」
『ここだ、お前の足元』
「え、あ?ちっさ」
『こら、踏んでる、踏んでおる!尻尾を踏んでおるぞ!』
ドラ嚙み様がドラゴンで良かった。
トカゲ様やイモリ様だったら、尻尾がモゲてしまうところだったわ。
「ドラ嚙み様、なんで小さくなったんだ?」
俺はしゃがみ込んで、ドラ嚙み様を手の平に乗せる。
ちぃちゃくなったドラ嚙み様は、白くてスタイルの良いカナヘビのようだ。
『こちらの方が、使う魔力の量が少ないからな、それより、お前、名は何という』
「あ、俺、知ってる。名前を知られたら、そいつの眷属とかになるんだろ?真名とか言ってさ」
俺はネット小説とかで読んだ知識を披露した。
『アホウが、先ほど魂に触れたときに、お前の名など分かっておる。礼儀として名前を名乗れというておるだけだ』
「あ、そうなの?ゴメン。俺は柏木 椎だ。よろしくな、ドラ嚙み様」
悲報!俺、異世界でドラゴンに礼儀知らずを𠮟られる。
なんでフィクションを鵜呑みにして、ドヤ顔したんだ、俺。恥ずかしい限りだわ。
『お前、我の名を、思い出さぬのか……我はミスグルヌス=アングィリカラダトゥマだ』
「……ミ…ミ?みみみあん さん?」
『なんだ、それは。アンギィでよい。あやつも、そう呼んでおった』
ドラ嚙み様、改め、みみみのアンギィさんは、俺の体の持ち主、冒険者のクェルクスさんの契約精霊だった。
俺がこっちに来た時にぶつかって、この人が死んだの?
じゃぁ、俺のせいで人が死んだって事?
え?ええ?
「どうしよ…俺、人殺しじゃん」
俺は奇麗な両手を見つめて呟いた。
事故とはいえ、どうやって償えばいいんだろう。
『……違うぞ。さっきも言ったが、こやつは刺されて殺されたのだ』
「え?」
『こやつを疎んだ仲間がな、一緒にダンジョンに入って、わざとに罠を踏んだのよ。もう一人の男が、そこの短剣で背中を刺した瞬間にな』
ドラ噛み様は、グッグッグと喉声を出した。
もしかして、笑った?
え?どこに笑える要素があったの?
俺は離れた所に落ちている短剣を見つめた。ここからじゃ、凶器の短剣に血が付いているのかは分からなかった。
『転移系の罠でな。崖の上から空中に放り出された。念には念という奴だ』
「待って、それなら他の奴らも空中に投げ出されるんじゃねぇの?」
『自分らだけ、罠無効の加護符を持っておった。一回使い切りの高価な物だがな』
「……なんだよ、それ。最低じゃねぇか」
俺は俯く。
なんか派手な色の髪の毛が目に被さって来た。
シャンパンゴールドとかいう色だ。
たしか猿妹が染めたいと大騒ぎしていたな。
「この人、裏切られて可哀そうだな」
『裏切られて…か』
ドラ嚙み様は、目を閉じて少し頭を下げた。
そうやっていると、なんだか追悼しているように見えてくる。
『で、お前はどうする』
「そうだなぁ…どうしようかなぁ」
ドラ嚙み様の言う事が本当なら、ここは異世界で俺の体はヨソサマの体。
裸一貫、何もないって詰むどころか、スタートする前から死にゲーだ。
あ、いや、一回死んでたわ。
『…まずは、その体に慣れることだな。お前の魂に触れたときに見えたが、武も術も知らんようだった。異界ではあれで冒険者が出来るのか』
「いやぁ、たぶん出来ないなぁ。最低ラインの生活になるだろうよ」
草ちぎる日々の予定でした。
『ふむ……そやつの記憶は使えるはずだ』
「え?」
『そやつは”精霊のクェルクス”。当代一の魔術師にして、剣士だ』
「せいれ…い?」
『そう、そして我が
ドラ噛み様が、キラッキラに光り出して、まぶしくて俺は目を閉じた。
「うわっ、なに?」
瞼の裏が赤く感じる程の光が治まって、俺がようやく目を開けたとき、ドラ嚙み様の姿は無かった。
「あれ、ドラ嚙み様?」
『ここだ、お前の足元』
「え、あ?ちっさ」
『こら、踏んでる、踏んでおる!尻尾を踏んでおるぞ!』
ドラ嚙み様がドラゴンで良かった。
トカゲ様やイモリ様だったら、尻尾がモゲてしまうところだったわ。
「ドラ嚙み様、なんで小さくなったんだ?」
俺はしゃがみ込んで、ドラ嚙み様を手の平に乗せる。
ちぃちゃくなったドラ嚙み様は、白くてスタイルの良いカナヘビのようだ。
『こちらの方が、使う魔力の量が少ないからな、それより、お前、名は何という』
「あ、俺、知ってる。名前を知られたら、そいつの眷属とかになるんだろ?真名とか言ってさ」
俺はネット小説とかで読んだ知識を披露した。
『アホウが、先ほど魂に触れたときに、お前の名など分かっておる。礼儀として名前を名乗れというておるだけだ』
「あ、そうなの?ゴメン。俺は柏木 椎だ。よろしくな、ドラ嚙み様」
悲報!俺、異世界でドラゴンに礼儀知らずを𠮟られる。
なんでフィクションを鵜呑みにして、ドヤ顔したんだ、俺。恥ずかしい限りだわ。
『お前、我の名を、思い出さぬのか……我はミスグルヌス=アングィリカラダトゥマだ』
「……ミ…ミ?みみみあん さん?」
『なんだ、それは。アンギィでよい。あやつも、そう呼んでおった』
ドラ嚙み様、改め、みみみのアンギィさんは、俺の体の持ち主、冒険者のクェルクスさんの契約精霊だった。
10
あなたにおすすめの小説
病み墜ちした騎士を救う方法
無月陸兎
BL
目が覚めたら、友人が作ったゲームの“ハズレ神子”になっていた。
死亡フラグを回避しようと動くも、思うようにいかず、最終的には原作ルートから離脱。
死んだことにして田舎でのんびりスローライフを送っていた俺のもとに、ある噂が届く。
どうやら、かつてのバディだった騎士の様子が、どうもおかしいとか……?
※欠損表現有。本編が始まるのは実質中盤頃です
贖罪公爵長男とのんきな俺
侑希
BL
異世界転生したら子爵家に生まれたけれど自分以外一家全滅という惨事に見舞われたレオン。
貴族生活に恐れ慄いたレオンは自分を死んだことにして平民のリオとして生きることにした。
一方公爵家の長男であるフレドリックは当時流行っていた児童小説の影響で、公爵家に身を寄せていたレオンにひどい言葉をぶつけてしまう。その後すぐにレオンが死んだと知らされたフレドリックは、以降十年、ひたすらそのことを悔いて生活していた。
そして十年後、二人はフレドリックとリオとして再会することになる。
・フレドリック視点は重め、レオン及びリオ視点は軽め
・異世界転生がちょいちょい発生する世界。色々な世界の色々な時代からの転生者の影響で文明が若干ちぐはぐ。
・世界観ふんわり 細かいことは気にしないで読んでください。
・CP固定・ご都合主義・ハピエン
・他サイト掲載予定あり
ビッチです!誤解しないでください!
モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃
「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」
「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」
「大丈夫か?あんな噂気にするな」
「晃ほど清純な男はいないというのに」
「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」
噂じゃなくて事実ですけど!!!??
俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生……
魔性の男で申し訳ない笑
めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!
勇者ですが、
東 万里央(あずま まりお)
BL
俺は柴崎健吾、十七歳。ごく普通のキモヲタ高校生さ!! ある日なんちゃってヨーロッパな異世界に勇者として召喚されました!やったぜ!! 仲間と一緒に魔王を討伐することになりました!これだぜ!! 超イケメン&パツキンないい男の王様も、家宝の聖剣を持って一緒に行くと言い出しました!んんんん? 宰相も魔術師も笑顔で「陛下、行ってらっしゃ~い♪」とハンカチ振ってました!ええええ!?――どうしてこうなった!!
異世界に召喚された勇者ケンゴのその後のスッタモンダ。
*他サイトで別名「滝尾秋」名で掲載していました。
寂しいを分け与えた
こじらせた処女
BL
いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。
昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
BLゲームの悪役に転生したら攻略対象者が全員ヒロインに洗脳されてた
さ
BL
主人公のレオンは、幼少期に前世の記憶を思い出し、この世界がBLゲームで、自身は断罪される悪役だと気づく。
断罪を回避するため、極力攻略対象者たちと関わらないように生きてきた。
ーーそれなのに。
婚約者に婚約は破棄され、
気づけば断罪寸前の立場に。
しかも理由もわからないまま、
何もしていないはずの攻略対象者達に嫌悪を向けられてーー。
※最終的にハッピーエンド
※愛され悪役令息
押しても押してもダメそうなので引くことにします
Riley
BL
俺(凪)には愛して止まない幼馴染(紫苑)がいる。
押しても押してもビクともしない余裕の態度に心が折れた。
引いたらダメだと思っても燃え尽きてしまった…。
ちょっと休憩…。会えないと寂しいけど、引くと言ったからには自分からいけない…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる