妹バレ→親バレ→精神的DV→家出してダンジョン行ったら大変な事になったんだけど、どうしたらいい?

松川 鷹羽

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あっちの世界

5.とりあえず生きてる。

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  いや、待って。
 俺がこっちに来た時にぶつかって、この人が死んだの?
 じゃぁ、俺のせいで人が死んだって事?
 え?ええ?
「どうしよ…俺、人殺しじゃん」
 俺は奇麗な両手を見つめてつぶやいた。
 事故とはいえ、どうやって償えばいいんだろう。

『……違うぞ。さっきも言ったが、こやつは刺されて殺されたのだ』

「え?」
『こやつをうとんだ仲間がな、一緒にダンジョンに入って、わざとに罠を踏んだのよ。もう一人の男が、そこの短剣で背中を刺した瞬間にな』
 ドラ噛み様は、グッグッグと喉声を出した。
 もしかして、笑った?
 え?どこに笑える要素があったの?
 俺は離れた所に落ちている短剣を見つめた。ここからじゃ、凶器の短剣に血が付いているのかは分からなかった。

『転移系の罠でな。崖の上から空中に放り出された。念には念という奴だ』
「待って、それなら他の奴らも空中に投げ出されるんじゃねぇの?」
『自分らだけ、罠無効の加護符を持っておった。一回使い切りの高価な物だがな』
「……なんだよ、それ。最低じゃねぇか」
 俺はうつむく。
 なんか派手な色の髪の毛が目に被さって来た。
 シャンパンゴールドとかいう色だ。
 たしか猿妹が染めたいと大騒ぎしていたな。

「この人、裏切られて可哀そうだな」
『裏切られて…か』
 ドラ嚙み様は、目を閉じて少し頭を下げた。
 そうやっていると、なんだか追悼しているように見えてくる。

『で、お前はどうする』
「そうだなぁ…どうしようかなぁ」

 ドラ嚙み様の言う事が本当なら、ここは異世界で俺の体はヨソサマの体。
 裸一貫、何もないって詰むどころか、スタートする前から死にゲーだ。
 あ、いや、一回死んでたわ。

『…まずは、その体に慣れることだな。お前のに見えたが、武も術も知らんようだった。異界ではあれで冒険者が出来るのか』
「いやぁ、たぶん出来ないなぁ。最低ラインの生活になるだろうよ」
 草ちぎる日々の予定でした。

『ふむ……そやつの記憶は使えるはずだ』
「え?」
『そやつは”精霊のクェルクス”。当代一の魔術師にして、剣士だ』
「せいれ…い?」
『そう、そして我が

 ドラ噛み様が、キラッキラに光り出して、まぶしくて俺は目を閉じた。
「うわっ、なに?」
 まぶたの裏が赤く感じる程の光が治まって、俺がようやく目を開けたとき、ドラ嚙み様の姿は無かった。

「あれ、ドラ嚙み様?」
『ここだ、お前の足元』
「え、あ?ちっさ」
『こら、踏んでる、踏んでおる!尻尾を踏んでおるぞ!』
 ドラ嚙み様がドラゴンで良かった。
 トカゲ様やイモリ様だったら、尻尾がモゲてしまうところだったわ。

「ドラ嚙み様、なんで小さくなったんだ?」
 俺はしゃがみ込んで、ドラ嚙み様を手の平に乗せる。
 ちぃちゃくなったドラ嚙み様は、白くてスタイルの良いカナヘビのようだ。

『こちらの方が、使う魔力の量が少ないからな、それより、お前、名は何という』
「あ、俺、知ってる。名前を知られたら、そいつの眷属とかになるんだろ?真名とか言ってさ」
 俺はネット小説とかで読んだ知識を披露した。

『アホウが、先ほど魂に触れたときに、お前の名など分かっておる。として名前を名乗れというておるだけだ』
「あ、そうなの?ゴメン。俺は柏木かしわぎ しいだ。よろしくな、ドラ嚙み様」
 悲報!俺、異世界でドラゴンに礼儀知らずを𠮟られる。
 なんでフィクションを鵜呑みにして、ドヤ顔したんだ、俺。恥ずかしい限りだわ。

『お前、我の名を、思い出さぬのか……我はミスグルヌス=アングィリカラダトゥマだ』
「……ミ…ミ?みみみあん さん?」
『なんだ、それは。アンギィでよい。あやつも、そう呼んでおった』

 ドラ嚙み様、改め、みみみのアンギィさんは、俺の体の持ち主、冒険者のクェルクスさんの契約精霊だった。
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