妹バレ→親バレ→精神的DV→家出してダンジョン行ったら大変な事になったんだけど、どうしたらいい?

松川 鷹羽

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あっちの世界

4.とんでもなく痛い。

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  ぉわっ!っと思った瞬間には、もの凄い勢いでダンジョンの天井に向かって体が跳ね上がった。

 灰色の空に向かって落ちていく感覚。
 俺は、声も出せない。
 本当に怖い時、声って出ない。

 頭では上に昇っていると思っているのに、体感は落ちて行く感覚。
 認識がバグる。

 そして、灰色の雲を突き抜けファーラウェイ~

 俺の意識も飛んだ。


『………い……な!』

 てぇ、痛ぇ。
 体中がズキズキする、耳の中でザーザーとノイズが反響する、心臓の音がうるさ……

 い

 ……生きてる?
『…か?……』
「おれ、いきて……る……」
 体を起こそうとすると、激痛がはしった。
「うぐっ」

『動かぬほうがいい。取り急ぎ傷は塞いだが、体中のアチコチがポキポキ折れている』
 俺は何とか目を開ける。
 完全には瞼が上がらず、うっすらと見えたのは岩肌の

「ガケ?」
 青空と崖が見えた。
「……なん…で」
 声を出そうとするとカヒューと空気が漏れて、胸が痛む。

『崖の上で刺されて、空中に投げ落とされた』
 なに言ってるのか、全然わかんねぇ。
 何その、リーチ、一発、役満、裏ドラみたいなコンボ。ゲームでしか知らねぇけど。
「なに…あ…だれ」

 俺は目玉をどうにか動かして声の主を探す。
『いま、楽にしてやろう』

「ヒっ」
 あ、死んだわ。
 いま、死ぬほど痛いけど、はい、死んだ。

 俺の横に居たの、ドラゴンっぽい爬虫類なんですもの。
 そんなんが
「いま、楽にしてやろう」って、

 そりゃぁ

 意識、飛ばすよね?



 閉じた瞼の裏側に緑色の光が滲んできて、俺は目を覚ました。

「…喰われてない?おれ、生きてる……」
 手をついて、体を起こしてみる。
「いたくない!おぉ」

 あれだけ痛かったのが嘘のようだ。
 いや、あれは夢だったんだ。
 空に打ちあがって、激痛でガケが見えて、ドラゴンが見えるなんて、幻覚か夢か、なんかそんなだ。うん

『我が治癒したからな』
「うん。夢、あれは夢、もしくは何か、こぅ幻覚みたいな」
『…なら、今のこの光景を、どう思う?』

 俺の目の前には、断崖絶壁がそびえ立ったまんまだ。
「あ~、ねぇ」

 俺はしぶしぶと現実を見つめた。
 知ってる?
 現実ってのはドラゴンの形をしているんだぜ、畜生。
 俺も知らなかったよ!知りたくなかったよ!

『お前は死んだ』
「はぃ?じゃあ、貴方は神さまですか?噛み様ですか?」
 来たよ、これ。異世界に転生とか、そういうの。
 昔っから根強いファンのいるネット小説とかのな。

『神でも、噛みでも無いが、まずは我の話を聞け』
「あ、はい」
 正座した俺にドラゴン噛み様がしてくれたのは、信じられない話だった。

 ダンジョンは違う世界と繋がる事があって、たまたま、俺が触れた黒い水たまり。あれが、こっちの世界と繋がった穴だった。
 それに不注意にも触ったバカが、こちらの世界に吸い込まれたとき、たまたま同じ空間に居た男が俺と接触。
 二つの次元が重なる一瞬の出来事だったらしい。
 俺の肉体は違う次元の存在だから消滅して、その男の体が残っていたので魂だけを移し替えた。


「いや、ちょっと待って。じゃ、俺、今、その落ちた人ってこと?」
『そうだ』
 なんか、あっさりドラ噛み様が頷いたけど。

 え?え?慌てて手を見る。
 うむ、なんか今までの俺より男らしくも美しい、手タレ出来んじゃね?って手だ。
 爪とか奇麗に手入れされてますね。

 意識高い系かな?
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