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こっちの世界
3.とことん草をちぎる。
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月夜山ダンジョンは12階までの埋没型で、世界で初めてのダンジョンということもあり、ダンジョンコアを残して生かされている、死にダンジョンだ。
生かされている死にダンジョン……変な言い方だけど。
普通なら大した物が採取できないダンジョンは攻略後にコアを破壊されて消滅させるのだが、なにせ世界で最初のダンジョンだから「記念ダンジョン」として残されている。
たま~に地元の小学生が社会科の見学で来るらしい。
なにせカッスカスダンジョンなので、地下1,2階層は小学生が弁当を食べても安心なのだ。
蟻ンコ一匹だって出てこない。
学校のグラウンドの所々に草が生えているような広大な空間。
校外学習にピッタリです。
小学生の為なのか、人工魔石が満遍なく置かれていて明るい。
【地下3階はこちら→】なんて看板まで立っているから、観光客を見込んでかもしれない。
「記念ダンジョン」として一般開放されたときは、それは大変な騒ぎになったそうだが、今では訪れる観光客は皆無だ。
看板の下の【贈:月夜山ダンジョン饅頭本舗】が、涙を誘う。
俺はその2階で毒消草をプチプチと抜く。
本日の買取価格が1本80円ですってよ、奥さん。
当然だが、他の薬草も手当たり次第に100均の料理バサミで切ったりする。
寮費が1日2,500円で3食、風呂付き。
なので出来るだけ多く採取したい。ぶっちゃけ金が欲しい。
薬効成分が出来るだけ漏れないように10本1束の根元を輪ゴムできつく縛り、ビニール袋に逆さまに入れていく。
ここら周辺の毒消草を、ありったけ摘んで、丸坊主にしてやった。
どうせ、明日には生えてくるのだ。
リュック、パンパンに詰め込んで通信デバイスを見たら、14:30になっていた。
昼飯も喰わず、夢中になってたわ。
「よしっ、本日の業務完了!」
立ち上がって腰を伸ばす。さすがに中腰作業は辛かった。
「さて、帰ろっと……ん?」
ピチョン…
俺以外、誰も居ないダンジョンなので静かだ。
ピッチョン…
水音だって聞こえる程に、普段は物音もしない空間だ。
ピッチョン……
ダンジョンの2階には水場はない。
水垂れかと上を見ても、当然だが天井は見えない。空らしき灰色の空間が広がるだけだ。
この天井がある筈の灰色の空間は、ダンジョンが出来た調査時に、先が無い──計測不可──と出たらしい。
流石ダンジョンだ。
もしかしたら、時空間の歪みが!とか、違う世界に繋がっている!と偉い先生達が未だに研究をしているんだと。
「なんだろう…」
不審に思った俺は、水音の元凶を探す。
一応、不審な物がある時は探索者協会に報告が義務付けられているのだ。
ま、なにも無いだろうけど。
しばらく音に耳をすませたり、辺りをうろついた。
「え?水たまり」
俺は、赤茶けた土の上に水たまりらしき物を見つけた。
なんか黒いけど、俺の両掌くらいしかない小さい水たまりだ。
これが水音の原因だったようで、観察していると何処からか見えない水滴が落ちては、水しぶきが上がる。
ピチョン……
なんだか目が離せずに、ガラス窓の水滴から目を離せないネコみたいに、水たまりを見ていて気が付いた。
水滴が落ちたら、ウォータークラウンが出来るはずだろ。
なんで、出来ないんだ?
俺は、水たまりの脇に両手をついて四つん這いになって観察を始めた。
うん。
後から考えれば、不注意だったと思う。
けれど、ここはカッスカスの4Dだし、今まで通っていて怖い思いをしたことがなかったのも悪かった。
ともかく、俺は通信デバイスを取り出して、カメラ機能で撮影したのをスーパースロー再生までして気が付いた。
「……これ、上から落ちてきているんじゃない。ここから上へ水が昇ってるんだ」
うわぁ!流石ダンジョン!
死にダンジョンでも、こんな不思議があるのか!
俺のテンションは上がった。
どれくらい上がったかというと、不用意に水たまりを指先で触るくらいには。
いや、言い訳させて。
だって、黒いけど、ただの水たまりだったし。ほら、ここ死にダンジョンだしね?
今まで2階で生き物を見たことも無かったしね??
ラバー軍手を付けていたしさ。
……今となっては反省している。
「へぇ~、流石ダンジョンだなぁ」
なんて指先(ラバー軍手)をチョンっと付けたらさ……
俺、弾かれたように上に打ち上げられて、空に向かって、叩きつけられた。
生かされている死にダンジョン……変な言い方だけど。
普通なら大した物が採取できないダンジョンは攻略後にコアを破壊されて消滅させるのだが、なにせ世界で最初のダンジョンだから「記念ダンジョン」として残されている。
たま~に地元の小学生が社会科の見学で来るらしい。
なにせカッスカスダンジョンなので、地下1,2階層は小学生が弁当を食べても安心なのだ。
蟻ンコ一匹だって出てこない。
学校のグラウンドの所々に草が生えているような広大な空間。
校外学習にピッタリです。
小学生の為なのか、人工魔石が満遍なく置かれていて明るい。
【地下3階はこちら→】なんて看板まで立っているから、観光客を見込んでかもしれない。
「記念ダンジョン」として一般開放されたときは、それは大変な騒ぎになったそうだが、今では訪れる観光客は皆無だ。
看板の下の【贈:月夜山ダンジョン饅頭本舗】が、涙を誘う。
俺はその2階で毒消草をプチプチと抜く。
本日の買取価格が1本80円ですってよ、奥さん。
当然だが、他の薬草も手当たり次第に100均の料理バサミで切ったりする。
寮費が1日2,500円で3食、風呂付き。
なので出来るだけ多く採取したい。ぶっちゃけ金が欲しい。
薬効成分が出来るだけ漏れないように10本1束の根元を輪ゴムできつく縛り、ビニール袋に逆さまに入れていく。
ここら周辺の毒消草を、ありったけ摘んで、丸坊主にしてやった。
どうせ、明日には生えてくるのだ。
リュック、パンパンに詰め込んで通信デバイスを見たら、14:30になっていた。
昼飯も喰わず、夢中になってたわ。
「よしっ、本日の業務完了!」
立ち上がって腰を伸ばす。さすがに中腰作業は辛かった。
「さて、帰ろっと……ん?」
ピチョン…
俺以外、誰も居ないダンジョンなので静かだ。
ピッチョン…
水音だって聞こえる程に、普段は物音もしない空間だ。
ピッチョン……
ダンジョンの2階には水場はない。
水垂れかと上を見ても、当然だが天井は見えない。空らしき灰色の空間が広がるだけだ。
この天井がある筈の灰色の空間は、ダンジョンが出来た調査時に、先が無い──計測不可──と出たらしい。
流石ダンジョンだ。
もしかしたら、時空間の歪みが!とか、違う世界に繋がっている!と偉い先生達が未だに研究をしているんだと。
「なんだろう…」
不審に思った俺は、水音の元凶を探す。
一応、不審な物がある時は探索者協会に報告が義務付けられているのだ。
ま、なにも無いだろうけど。
しばらく音に耳をすませたり、辺りをうろついた。
「え?水たまり」
俺は、赤茶けた土の上に水たまりらしき物を見つけた。
なんか黒いけど、俺の両掌くらいしかない小さい水たまりだ。
これが水音の原因だったようで、観察していると何処からか見えない水滴が落ちては、水しぶきが上がる。
ピチョン……
なんだか目が離せずに、ガラス窓の水滴から目を離せないネコみたいに、水たまりを見ていて気が付いた。
水滴が落ちたら、ウォータークラウンが出来るはずだろ。
なんで、出来ないんだ?
俺は、水たまりの脇に両手をついて四つん這いになって観察を始めた。
うん。
後から考えれば、不注意だったと思う。
けれど、ここはカッスカスの4Dだし、今まで通っていて怖い思いをしたことがなかったのも悪かった。
ともかく、俺は通信デバイスを取り出して、カメラ機能で撮影したのをスーパースロー再生までして気が付いた。
「……これ、上から落ちてきているんじゃない。ここから上へ水が昇ってるんだ」
うわぁ!流石ダンジョン!
死にダンジョンでも、こんな不思議があるのか!
俺のテンションは上がった。
どれくらい上がったかというと、不用意に水たまりを指先で触るくらいには。
いや、言い訳させて。
だって、黒いけど、ただの水たまりだったし。ほら、ここ死にダンジョンだしね?
今まで2階で生き物を見たことも無かったしね??
ラバー軍手を付けていたしさ。
……今となっては反省している。
「へぇ~、流石ダンジョンだなぁ」
なんて指先(ラバー軍手)をチョンっと付けたらさ……
俺、弾かれたように上に打ち上げられて、空に向かって、叩きつけられた。
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