210 / 215
19 清白、千春の祖父母に会う
しおりを挟む「──ちーちゃんて、ムッツリスケベなうえにド変態だったんだねぇ……」
ちーちゃんに後ろから抱きしめられた体勢で、ぼくはしみじみとそう言った。別に悪口じゃなくて、正直な感想ね。だってこれで童貞とか、そんなことある?
「……いや、その……その通りだ。なんとでも言ってくれ……」
「ふふ、ぼくも一緒だから大丈夫だよ! あ、でもぼくは毎日オナニーしてないけどね、やっぱりのんちゃんに聞こえたら気まずいしさ。あ、でも週末はのんちゃんいないから毎週こっそり致してたけどね」
「………」
「ちーちゃん?」
「今度、すずがオナニーしてるとこ見たい」
「ブッ!!」
ド変態って言ったのは半分冗談だったのに、もしかして開き直った?
なんかまたちょっと手の動きが怪しくなってきたし……ぼくの胸やら腰やらを撫でたり、触ったりして。ぼくも気持ちいいから別にいいんだけどね。
すると、階下で玄関の開く音がした。
「おじいちゃんとおばあちゃんだ」
「わ、挨拶しなくっちゃ!」
ぼくは慌ててちーちゃんの膝から立ち上がろうとした。そしたら腕を掴まれて……
「え?」
「最後に、もう一回……」
チュッ
「……!」
ちーちゃんは立ち上がろうとしたぼくの腕を引っ張って阻止したあと、唇にキスをして、ニコッと笑った。だからその顔は反則だってばぁー!!
「千春ー帰ったわよー、お友達はもう来てるのー?」
「はーい! ……行こう、すず。ちゃんと紹介するから」
「う、うん……」
やばい、また緊張してきた……! ぼくの緊張に気付いたのか、ちーちゃんがぼくの手をそっと握ってくれた。
「すず、大丈夫だから」
「……うん」
ちーちゃんのおじいちゃんとおばあちゃんだもんね。恐いわけない……多分。
階段をゆっくりと降りて、先程の茶の間に再び顔を出した。
「おじいちゃんおばあちゃん、お帰りなさい」
「ただいま千春」
「は、初めまして、お邪魔してます! 山田清白と申します、いつも千春くんにはお、お世話になってます!!」
うわ、気合い入りすぎて大声になっちゃったよ! ちーちゃんのおじいちゃんがびっくりしてる!!
「そうか、君が山田くんか。千春の祖父だ。君のことはいつも千春から聞いているよ」
「えっ?」
すると台所から、今度はおばあちゃんが。
「ふふ、すずがすずがってしょっちゅう聞いてるから、あんまり初めて会う気がしませんねぇ。千春の祖母です。この和菓子はあなたが持ってきてくれたの? ありがとうね」
「い、いえ……! お土産なのにお先に頂いちゃってすみません!」
「いいのよ。ほかにたいしたお菓子が何もなかったし」
ていうかちーちゃん、おじいちゃんたちにそんなにぼくのことを話してくれてたんだ。なんだかすっごく嬉しい!
「ところで千春、あなた達お昼ご飯は食べたの?」
「あ! 話に夢中になって忘れてた」
そういえば……でもお菓子食べたしなぁ。
それに夢中になってたのは単なる『話』じゃないしね。思い出すと照れる……。
「まぁ、それはお腹すいたでしょう! ごめんねすずくん」
「い、いえ! ぼくもちーちゃ……千春君と話すのが楽しすぎて、忘れてましたから」
『すずくん』だって。最初につばめ先輩が呼んでくれたあだ名と一緒だ。なんか少しくすぐったくて、嬉しいな。
「二人とも育ち盛りだって言うのに、もう」
「でももうすぐ晩御飯だろ? それまで我慢するから」
ちーちゃんが答える。──すると、おじいさんが。
「それならお煎餅でも食べなさい。ほら、そんなところに立ってないで、すずくんも座って。ばあさんお茶、」
「はいはい」
「あ、俺も手伝うよおばあちゃん」
ちーちゃんもおばあちゃんと台所に行ったので、ぼくは緊張しながらもおじいちゃんの奨めてくれた座布団に座った。
「すずくんは剣道はやってないのかな?」
「はい、ぼくは囲碁部です」
「囲碁部! それは渋いな」
「もう一人ちーちゃ……千春くんとも仲良しの友達の影響で入りました。ぼくは初心者ですけど」
ちーちゃん、のんちゃんのことも話してるかな?
「えっと……それは確かのんさん、という」
「そうですのんちゃんです! あ、本名は斉賀希くんって言うんですけど」
「随分と可愛い名前の子なんだな」
「本人も可愛いんですよ! 美人っていうか。髪の色ピンクだからびっくりされるかもしれませんけど。でも不良じゃないんですよ? 成績も学年で3位だし!」
「ほおお~」
ちーちゃんは一番だけどね。ちーちゃんのおじいちゃん、話しやすいなぁ。ぼくのおじいちゃんはただの孫バカだけど、なんか老紳士って感じ! 歳もまだ若そうだからかな?
てかのんちゃんのことばっかりぺらぺらしゃべっちゃった。
「あら、盛り上がってますねえ」
ちーちゃんのおばあちゃんがおやつを、ちーちゃんがお茶を運んできた。
「ばあさん、すずくんは囲碁ができるそうだぞ」
「あら、あとでお相手してもらったらどうですか?」
「うむ、そのつもりだ」
「ええっ!? ぼく、初心者に毛が生えたくらいの腕ですよぉ!?」
「構わないよ。若い人と打ちたいだけだからな」
でも、ちーちゃんのおじいちゃんと囲碁が打てるなんて! ぼく、今初めて心から囲碁部に入ってよかったって思ったよ。のんちゃんありがとう!!
サボってばかりいないで、もう少し真面目に部活に顔だそっと!!
「それにしても千春、ずいぶんと可愛いあだ名で呼ばれてるんだな」
おじいちゃんがニヤニヤしながら言った。
「あ、あぁ……でもちーちゃんって呼ぶのはさすがにすずだけだよ。のんさんからはハルって呼ばれてるし」
「ちーちゃん、ちーちゃんって呼ばれるの嫌だったの?」
「嫌なわけない! 初めてのあだ名だし、なんたってすずが呼んでくれてるんだから!」
必死な感じで否定されて、嬉しいけどちょっと照れる。おじいちゃんとおばあちゃん、ぼくたち付き合ってるってこと知らないんだよね!? まぁ、知ってたらこんなに良くはしてくれないかな……。
「あ!!」
そこでぼくは、大変なことを思い出した。
「ど、どうしたんだ? すず。何か忘れ物でも……」
「ちーちゃんのお父さんにお線香あげてなーい!! 一番にするつもりだったのに!」
「え? ああ!」
ああじゃないよーっっ! 緊張しすぎてて忘れてたよぉ。ごめんなさい、ちーちゃんのお父さん!
「ほんっとに無作法ですみません……」
「あらあら。でもすずくんが気にしてくれてるだけでも喜びますよ、俊さんは」
「ここからは仏壇も見えないしな。こっちだ、すず」
ちーちゃんに案内されて、仏間に行った。そこは比較的広いお座敷で、客間でもありそうだ。遺影のちーちゃんのお父さんは、ちーちゃんにそっくりだった。
いや、ちーちゃんがお父さんに似てるんだよね、この場合。
なんていうか、眼鏡をかけてちょっと更けたちーちゃんって感じ。まだ若い。大人になったらきっともっとそっくりになるんだろうなぁ……。
ちーちゃんがライターで蝋燭に火を付けてくれたので、ぼくは仏壇の前に座り、お線香をあげた。そして手を合わせて、心の中で挨拶をする。
(初めまして、山田清白といいます。千春くんの友達……というか恋人です。息子さんを同性愛者にしてしまってごめんなさい、でもぼくたちは真剣に愛し合っていまして、どうか交際を認めていただけないでしょうか……
ぼくはあなたの息子さんのためなら、きっとなんでもできるような気がします)
「すず、長いな?」
「お父さんにも報告してるんだよ、あとお付き合いの許しを請うてるの!」
「そんなの、もうとっくに認めてもらってるよ」
「それはお母さんにでしょ!? お父さんはわかんないじゃんー!」
「……(父さんどころか、おじいちゃんとおばあちゃんももう知ってるんだけどな)」
0
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
イケメンキングαなおじいさんと極上クィーンΩなおばあさん(男)の幸せをねたんで真似したゲスなじいさんとばあさん(男)がとんでもないことに
壱度木里乃(イッチー☆ドッキリーノ)
BL
誰もが知っている昔話の懐かしさあり、溺愛あり、禁断の主従関係ありの――BL大人の童話第2弾。
戸籍年齢と肉体年齢が見事に一致しないオメガ妻を愛するイケオジの桁外れな武勇伝です。
※ですます調の優しい語り口でお送りしながら、容赦なくアダルトテイストです。
※少し変わっています。
※エンターテイメント型小説として楽しんで頂ける方向けです。
※横書きの利点として英数字表記も併用しています。
※美表紙はのんびり猫さん♡
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
【完結】ハーレムラブコメの主人公が最後に選んだのは友人キャラのオレだった。
或波夏
BL
ハーレムラブコメが大好きな男子高校生、有真 瑛。
自分は、主人公の背中を押す友人キャラになって、特等席で恋模様を見たい!
そんな瑛には、様々なラブコメテンプレ展開に巻き込まれている酒神 昴という友人がいる。
瑛は昴に《友人》として、自分を取り巻く恋愛事情について相談を持ちかけられる。
圧倒的主人公感を持つ昴からの提案に、『友人キャラになれるチャンス』を見出した瑛は、二つ返事で承諾するが、昴には別の思惑があって……
̶ラ̶ブ̶コ̶メ̶の̶主̶人̶公̶×̶友̶人̶キ̶ャ̶ラ̶
【一途な不器用オタク×ラブコメ大好き陽キャ】が織り成す勘違いすれ違いラブ
番外編、牛歩更新です🙇♀️
※物語の特性上、女性キャラクターが数人出てきますが、主CPに挟まることはありません。
少しですが百合要素があります。
☆第1回 青春BLカップ30位、応援ありがとうございました!
第13回BL大賞にエントリーさせていただいています!もし良ければ投票していただけると大変嬉しいです!
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。
天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!?
学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。
ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。
智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。
「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」
無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。
住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる