好きです、朝比奈先パイ。~元引きこもりの美少年、陽キャヤンキー先輩に溺愛される~

すずなりたま

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19 清白、千春の祖父母に会う

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「──ちーちゃんて、ムッツリスケベなうえにド変態だったんだねぇ……」

   ちーちゃんに後ろから抱きしめられた体勢で、ぼくはしみじみとそう言った。別に悪口じゃなくて、正直な感想ね。だってこれで童貞とか、そんなことある?

「……いや、その……その通りだ。なんとでも言ってくれ……」
「ふふ、ぼくも一緒だから大丈夫だよ!   あ、でもぼくは毎日オナニーしてないけどね、やっぱりのんちゃんに聞こえたら気まずいしさ。あ、でも週末はのんちゃんいないから毎週こっそり致してたけどね」
「………」
「ちーちゃん?」
「今度、すずがオナニーしてるとこ見たい」
「ブッ!!」

   ド変態って言ったのは半分冗談だったのに、もしかして開き直った?
   なんかまたちょっと手の動きが怪しくなってきたし……ぼくの胸やら腰やらを撫でたり、触ったりして。ぼくも気持ちいいから別にいいんだけどね。

   すると、階下で玄関の開く音がした。

「おじいちゃんとおばあちゃんだ」
「わ、挨拶しなくっちゃ!」

   ぼくは慌ててちーちゃんの膝から立ち上がろうとした。そしたら腕を掴まれて……

「え?」
「最後に、もう一回……」

チュッ

「……!」

   ちーちゃんは立ち上がろうとしたぼくの腕を引っ張って阻止したあと、唇にキスをして、ニコッと笑った。だからその顔は反則だってばぁー!!

「千春ー帰ったわよー、お友達はもう来てるのー?」
「はーい!   ……行こう、すず。ちゃんと紹介するから」
「う、うん……」

   やばい、また緊張してきた……!   ぼくの緊張に気付いたのか、ちーちゃんがぼくの手をそっと握ってくれた。 

「すず、大丈夫だから」
「……うん」

   ちーちゃんのおじいちゃんとおばあちゃんだもんね。恐いわけない……多分。
   階段をゆっくりと降りて、先程の茶の間に再び顔を出した。

「おじいちゃんおばあちゃん、お帰りなさい」
「ただいま千春」
「は、初めまして、お邪魔してます!   山田清白と申します、いつも千春くんにはお、お世話になってます!!」

   うわ、気合い入りすぎて大声になっちゃったよ!   ちーちゃんのおじいちゃんがびっくりしてる!!

「そうか、君が山田くんか。千春の祖父だ。君のことはいつも千春から聞いているよ」
「えっ?」

   すると台所から、今度はおばあちゃんが。

「ふふ、すずがすずがってしょっちゅう聞いてるから、あんまり初めて会う気がしませんねぇ。千春の祖母です。この和菓子はあなたが持ってきてくれたの?   ありがとうね」
「い、いえ……!   お土産なのにお先に頂いちゃってすみません!」
「いいのよ。ほかにたいしたお菓子が何もなかったし」

   ていうかちーちゃん、おじいちゃんたちにそんなにぼくのことを話してくれてたんだ。なんだかすっごく嬉しい!

「ところで千春、あなた達お昼ご飯は食べたの?」
「あ!   話に夢中になって忘れてた」

  そういえば……でもお菓子食べたしなぁ。
それに夢中になってたのは単なる『話』じゃないしね。思い出すと照れる……。

「まぁ、それはお腹すいたでしょう!   ごめんねすずくん」
「い、いえ!   ぼくもちーちゃ……千春君と話すのが楽しすぎて、忘れてましたから」

『すずくん』だって。最初につばめ先輩が呼んでくれたあだ名と一緒だ。なんか少しくすぐったくて、嬉しいな。

「二人とも育ち盛りだって言うのに、もう」
「でももうすぐ晩御飯だろ?   それまで我慢するから」

   ちーちゃんが答える。──すると、おじいさんが。

「それならお煎餅でも食べなさい。ほら、そんなところに立ってないで、すずくんも座って。ばあさんお茶、」
「はいはい」
「あ、俺も手伝うよおばあちゃん」

   ちーちゃんもおばあちゃんと台所に行ったので、ぼくは緊張しながらもおじいちゃんの奨めてくれた座布団に座った。

「すずくんは剣道はやってないのかな?」
「はい、ぼくは囲碁部です」
「囲碁部!   それは渋いな」
「もう一人ちーちゃ……千春くんとも仲良しの友達の影響で入りました。ぼくは初心者ですけど」

   ちーちゃん、のんちゃんのことも話してるかな?

「えっと……それは確かのんさん、という」
「そうですのんちゃんです!   あ、本名は斉賀希くんって言うんですけど」
「随分と可愛い名前の子なんだな」
「本人も可愛いんですよ!   美人っていうか。髪の色ピンクだからびっくりされるかもしれませんけど。でも不良じゃないんですよ?   成績も学年で3位だし!」
「ほおお~」

   ちーちゃんは一番だけどね。ちーちゃんのおじいちゃん、話しやすいなぁ。ぼくのおじいちゃんはただの孫バカだけど、なんか老紳士って感じ!   歳もまだ若そうだからかな?
   てかのんちゃんのことばっかりぺらぺらしゃべっちゃった。

「あら、盛り上がってますねえ」

   ちーちゃんのおばあちゃんがおやつを、ちーちゃんがお茶を運んできた。

「ばあさん、すずくんは囲碁ができるそうだぞ」
「あら、あとでお相手してもらったらどうですか?」
「うむ、そのつもりだ」
「ええっ!?   ぼく、初心者に毛が生えたくらいの腕ですよぉ!?」
「構わないよ。若い人と打ちたいだけだからな」

   でも、ちーちゃんのおじいちゃんと囲碁が打てるなんて!   ぼく、今初めて心から囲碁部に入ってよかったって思ったよ。のんちゃんありがとう!!
   サボってばかりいないで、もう少し真面目に部活に顔だそっと!!

「それにしても千春、ずいぶんと可愛いあだ名で呼ばれてるんだな」

   おじいちゃんがニヤニヤしながら言った。

「あ、あぁ……でもちーちゃんって呼ぶのはさすがにすずだけだよ。のんさんからはハルって呼ばれてるし」
「ちーちゃん、ちーちゃんって呼ばれるの嫌だったの?」
「嫌なわけない!   初めてのあだ名だし、なんたってすずが呼んでくれてるんだから!」

   必死な感じで否定されて、嬉しいけどちょっと照れる。おじいちゃんとおばあちゃん、ぼくたち付き合ってるってこと知らないんだよね!?   まぁ、知ってたらこんなに良くはしてくれないかな……。

「あ!!」

   そこでぼくは、大変なことを思い出した。

「ど、どうしたんだ?   すず。何か忘れ物でも……」
「ちーちゃんのお父さんにお線香あげてなーい!!   一番にするつもりだったのに!」
「え?   ああ!」

   ああじゃないよーっっ!   緊張しすぎてて忘れてたよぉ。ごめんなさい、ちーちゃんのお父さん!

「ほんっとに無作法ですみません……」
「あらあら。でもすずくんが気にしてくれてるだけでも喜びますよ、俊さんは」
「ここからは仏壇も見えないしな。こっちだ、すず」

   ちーちゃんに案内されて、仏間に行った。そこは比較的広いお座敷で、客間でもありそうだ。遺影のちーちゃんのお父さんは、ちーちゃんにそっくりだった。
   いや、ちーちゃんがお父さんに似てるんだよね、この場合。
   なんていうか、眼鏡をかけてちょっと更けたちーちゃんって感じ。まだ若い。大人になったらきっともっとそっくりになるんだろうなぁ……。

   ちーちゃんがライターで蝋燭に火を付けてくれたので、ぼくは仏壇の前に座り、お線香をあげた。そして手を合わせて、心の中で挨拶をする。

(初めまして、山田清白といいます。千春くんの友達……というか恋人です。息子さんを同性愛者にしてしまってごめんなさい、でもぼくたちは真剣に愛し合っていまして、どうか交際を認めていただけないでしょうか……
ぼくはあなたの息子さんのためなら、きっとなんでもできるような気がします)

「すず、長いな?」
「お父さんにも報告してるんだよ、あとお付き合いの許しを請うてるの!」
「そんなの、もうとっくに認めてもらってるよ」
「それはお母さんにでしょ!?   お父さんはわかんないじゃんー!」
「……(父さんどころか、おじいちゃんとおばあちゃんももう知ってるんだけどな)」
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