好きです、朝比奈先パイ。~元引きこもりの美少年、陽キャヤンキー先輩に溺愛される~

すずなりたま

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 朝比奈先輩がオレを連れて入ったのは男子トイレだった。
 幸い用を足している人は誰もいなかったけど、そのまま奥の個室に二人で入り朝比奈先輩は後ろ手で鍵を閉めた。
 個室トイレに一人以上で入るのは初めての経験で、中は綺麗だけど、二人だと思った以上の狭さに驚いた。(朝比奈先輩が大きいから余計だ)

「あさひなせんぱっ……? ンッ……」

 オレは横の壁に背中を押しつけられて、顎を掴まれて上を向かされ……午前中は未遂だったけど、今度は特に邪魔は入らなかったため、朝比奈先輩はオレにキスをしていた。
 優しくはないけど別に乱暴でもない、ただ触れあうだけの……。

「んうぅ……」

 朝比奈先輩は何度も角度を変えながら、オレの唇を舐めたり吸ったりしている。
 こんなこと恥ずかしくてたまらないのに、やわらかな唇の感触が気持ちよくて、オレは目を閉じてされるがままになっていた。
 行き場の無い両手は無意識に朝比奈先輩の背中に回し、縋りついた。
 部屋に連れ込まれて初めてキスをされた時は本当に意味が分からなくて。
 頭も真っ白で、キスもいつの間にか終わってたけど……
 今のオレはちゃんと、朝比奈先輩とのキスを感じてる。理解してる。

 ああ、やっぱり大好きだ。
 朝比奈先輩が好き……。
 やっぱりセフレでもいいかも――と、またしても簡単に流されかけていたが、朝比奈先輩は最後にペロリとオレの唇を舐めてキスを終わらせた。

「……あんまり他の奴らに可愛い顔見せんじゃねェよ、オマエは俺のもんなんだろォが。クソ、トロ顔やべぇな」
「え……?」

 超至近距離で言われて心臓が破裂しそうだったけど、オレは震えながらもなんとか言葉を返した。

「で、でも……オレは舎弟クビだって……そんなのいやです」

 何でもするから舎弟でいさせてください――と続けようとしたが、朝比奈先輩に遮られた。
 
「あのなァノンタン、舎弟なんて言ったらヤクザっぽいだろ? 俺んちはヤ、ではねェけどギリッギリ、グレーゾーンではある。んでまァ、ノンタンのためにその噂だけはちゃんと否定しとけってつばめに言われたんだよ」
「西園先輩に?」

 どうして西園先輩がそんなことを……。

「あと、いい加減な噂も少しずつ否定していくかなって……じゃねェとさっきみたいに、俺がノンタン弄んで捨てたとか勝手なこと言われるしよ」

 弄ばれたのは間違いではない気がする。
 また流されてしまったけど、あんな風にキスに応えてしまって、オレにはもうセフレの道しか残されていないのではないだろうか、わりと。
 はー、意志の弱すぎる自分が憎いっ……!

 そういえば、いつの間にか涙は止まっていた。
 じゃあさっきのキスは、泣きやませるためのキス? だったのかな……
 セフレ扱いじゃないにしても、それはそれでなんか複雑なような。

「なぁノンタン、俺のこと好きだろ?」
「えェッッ!?」

 いきなり核心を突かれて、飛び上がるほど驚いた。

「いや驚きすぎだっつの。俺、自分に向けられる好意にはわりと敏感だからよ、ノンタンが自覚なくてもたぶん俺のことが好きなんだろうなってことは分かってたよ」

 それってつまり……オレが自覚する前から朝比奈先輩にはオレの気持ちが分かってたってこと?
 そんなことあるぅ!?
 オレも今日自覚したばかりなのに恥ずかしすぎる!!
 バレてたことと、鈍すぎることで二重に!!

「じゃねェといきなりこんなとこ連れ込んでキスしねぇって! あ、数日前のことは置いといてだな……コホン。俺もノンタンのこと好きだぜ。モチロン顔だけじゃなくて、なんつーか全体的にすげえ気に入ってる」
「へっ?」

 今のはオレに都合のいい幻聴……?
 いや、幻聴じゃない、夢でもない、ちゃんと痛いから。(自分の頬を思い切りつねってみた)

「んーとだからァ、舎弟じゃなくて……恋人になってくんね?」

 朝比奈先輩はオレが自分でつねったところを優しく撫でながら、眉毛をハの字にした少し困った顔で――そんな顔もできるんだ、と驚いた――そう言った。

「え……っと……」

 もう一回反対の頬をぎゅうとつねった。やっぱり痛い。 
 夢じゃ……ないんだ。
 展開が急すぎて正直信じられないけれど、これはまぎれもない現実で夢じゃないということだけは分かった。

「ノンタン、返事はー?」
「は、はい……よろしくお願いシマス……」

 今は、それで十分だ。

「ヤッべ、そういやここトイレだった。今までの会話全部誰かに聞かれてたかも。つーかもう会議始まってるぽいな、急ぐぜノンタン!」
「は、はい!」

 オレ達が個室のドアを開けたすぐ先に、変態と名高いあの人がいた。

「……藤堂さーん、何盗み聞きしてんスかァー」

 生徒会副会長、藤堂護先輩。

「む、盗み聞きなどしていない、堂々と聞いていた! 俺が用を足していたら貴様らが俺を無視してどかどかと奥の個室に入っていったのだ。そしたらなにやらエロいことをし始めたから、居合わせた以上聞かないわけにはいかないだろう? ついでに誰も入ってこないよう見張りしていたのだから感謝しろ」

 藤堂先輩は朝比奈先輩の質問に淡々と、怒涛のように返してきた。
 え、オレたちが入ってきたとき、中に居た……?
 い、居たかな?
 って、エロいことってキスしかしてないし!
 え、エロくないかと言われたら、エロいかもしれないけど……!

「じゃあお礼に今度授業中にひばりの居眠り写真撮って送るッス」
「苦しゅうない、大量に送れよ」

 藤堂先輩、まじで気配消すの上手すぎだろ。 
 キスやら告白やらをすべて聞かれていた恥ずかしさよりも、その生態の謎の方が少しだけ上回った。
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