1 / 106
1
幼い頃の夢を見た。
まだ幼稚園児だった頃、俺は今みたいにひねくれておらず素直で、それでいて今と変わらず超カッコ良……可愛くて、隣には必ずあいつが居た。
『りおちゃんをいじめんな!りおちゃんいじめたやつはぜーいんタイホするぞ!!』
昔は気が弱くていじめられっ子だった俺をいつも守ってくれた。父親が警察官だったせいか、誰よりも正義感が強くて、誰よりも優しいあいつ。
『りおちゃん、ずーっとぼくがまもってあげるからね。おとなになってもずっとだよ。そうだ、おおきくなったらぼくとけっこんしよう?そしたらずっといっしょにいられるんだっておかーさんが言ってた!』
あいつ、俺があんまり可愛いからって本気で性別間違えてたんじゃねぇだろうな。それともほんの五歳のガキだったし、日本じゃ男同士は結婚できないなんて法律、まだ知らなかったのかな。それでも俺は嬉しかったけど。
『りおちゃん、だいすきだよ』
大人になっても一緒にいるっていう約束が、
『りおん、』
俺を守ってあげるという言葉が、
『理音、』
結婚しようと言ってくれたあいつの、
「おい、理音。そろそろ起きろ」
ゆさゆさと身体を揺さぶられて、俺は夢から覚めてぱっちりと目を開けた。30センチもない距離、目の前にいたのは、
「……昂平?」
「起きないとキスするぞ」
がば!!
「おっと」
「……っなんで俺の部屋に居んだテメー!!」
幼なじみの、犬塚昂平だった。
「なんでって、美奈子さんに入れてもらったからに決まってるだろうが。勝手に入ったら不法侵入だ」
しれっとした顔でそう言う昂平がムカついたけど、正論だったから俺は矛先を変えた。
「かーちゃーん!!コイツを勝手に俺の部屋に入れんなって何回も言ってんだろ!!」
そう叫んだら、階下から声が飛んできた。
「ちょっと理音!!まだお父さんと花音が寝てるんだから静かにしなさい!!何時だと思ってんのよ!!コーヘイ君が部屋に入るとか今更でしょうが!!」
「……美奈子さんも大概だな」
「何笑ってんだよ。ってもうこんな時間!?あ、朝練……おまえ先に行ってろ!」
「待ってるから、早く準備してこい」
「チッ」
意味のない舌打ちをして、俺は昂平を部屋に残すと慌てて階下に降りていった。まだ時刻は朝の5時で、母は毎朝俺の弁当と朝飯を作ったらまた寝直す。会社勤めの父も、小学生の妹もまだ夢の中だ。
走りながら服を脱いで浴室に飛び込む。まだ半分寝ぼけている頭をシャワーでしっかり覚ましたあとは、顔にローションをはたき髪をドライヤーで乾かす。そしてダイニングテーブルに用意されていた朝食を5分で食べて、歯磨きへと直行。そんなバタコさん状態の俺に、母はため息をついて呆れたように言った。
「毎朝毎朝嵐のようね、理音。もーちょっと早起きしてなんとかなんないの?足音もうるさいのよ」
「無理無理っ!日本一忙しいコーコーセーに対して何言ってんの、かーちゃん!」
「だったら部活なんて辞めなさいよ、朝練なんて参加しなくてもいいんでしょアンタ、コーヘイ君と違ってレギュラーじゃないんだから」
「う……」
母の言うことはもっともだ。でも。
「……放課後は忙しいから、朝練くらいはしないとトレーニングになんないだろっ」
ただの下手な言い訳だ。
「トレーニングねぇ……」
また足音をバタバタさせて部屋に戻ると、昂平は俺のベッドに横たわって雑誌を読んでいた。 やけに真剣な顔で。どのページを眺めているのかは、見なくても分かってる。俺は気にせず制服を着込み、学校へ行く準備が完了した。
「行くぞっ、昂平!」
昂平は俺の言葉に反応して、顔を上げた。そしてマジマジと俺を見つめると、「雑誌から抜け出してきたみたいだな、理音」なんて、馬鹿みたいな発言。
「服装が全然違うだろ」
「まあな」
「それより早く行くぞ!エースが遅れたりしたら補欠にやっかまれんだろーが!」
「お前がやっかむのか?」
「はあ?」
確かに俺は補欠だけど、なんで俺がお前をやっかまなきゃいけないんだよ、馬鹿。この後もうだうだ言いながら、俺たちは俺の家を出た。
まだ幼稚園児だった頃、俺は今みたいにひねくれておらず素直で、それでいて今と変わらず超カッコ良……可愛くて、隣には必ずあいつが居た。
『りおちゃんをいじめんな!りおちゃんいじめたやつはぜーいんタイホするぞ!!』
昔は気が弱くていじめられっ子だった俺をいつも守ってくれた。父親が警察官だったせいか、誰よりも正義感が強くて、誰よりも優しいあいつ。
『りおちゃん、ずーっとぼくがまもってあげるからね。おとなになってもずっとだよ。そうだ、おおきくなったらぼくとけっこんしよう?そしたらずっといっしょにいられるんだっておかーさんが言ってた!』
あいつ、俺があんまり可愛いからって本気で性別間違えてたんじゃねぇだろうな。それともほんの五歳のガキだったし、日本じゃ男同士は結婚できないなんて法律、まだ知らなかったのかな。それでも俺は嬉しかったけど。
『りおちゃん、だいすきだよ』
大人になっても一緒にいるっていう約束が、
『りおん、』
俺を守ってあげるという言葉が、
『理音、』
結婚しようと言ってくれたあいつの、
「おい、理音。そろそろ起きろ」
ゆさゆさと身体を揺さぶられて、俺は夢から覚めてぱっちりと目を開けた。30センチもない距離、目の前にいたのは、
「……昂平?」
「起きないとキスするぞ」
がば!!
「おっと」
「……っなんで俺の部屋に居んだテメー!!」
幼なじみの、犬塚昂平だった。
「なんでって、美奈子さんに入れてもらったからに決まってるだろうが。勝手に入ったら不法侵入だ」
しれっとした顔でそう言う昂平がムカついたけど、正論だったから俺は矛先を変えた。
「かーちゃーん!!コイツを勝手に俺の部屋に入れんなって何回も言ってんだろ!!」
そう叫んだら、階下から声が飛んできた。
「ちょっと理音!!まだお父さんと花音が寝てるんだから静かにしなさい!!何時だと思ってんのよ!!コーヘイ君が部屋に入るとか今更でしょうが!!」
「……美奈子さんも大概だな」
「何笑ってんだよ。ってもうこんな時間!?あ、朝練……おまえ先に行ってろ!」
「待ってるから、早く準備してこい」
「チッ」
意味のない舌打ちをして、俺は昂平を部屋に残すと慌てて階下に降りていった。まだ時刻は朝の5時で、母は毎朝俺の弁当と朝飯を作ったらまた寝直す。会社勤めの父も、小学生の妹もまだ夢の中だ。
走りながら服を脱いで浴室に飛び込む。まだ半分寝ぼけている頭をシャワーでしっかり覚ましたあとは、顔にローションをはたき髪をドライヤーで乾かす。そしてダイニングテーブルに用意されていた朝食を5分で食べて、歯磨きへと直行。そんなバタコさん状態の俺に、母はため息をついて呆れたように言った。
「毎朝毎朝嵐のようね、理音。もーちょっと早起きしてなんとかなんないの?足音もうるさいのよ」
「無理無理っ!日本一忙しいコーコーセーに対して何言ってんの、かーちゃん!」
「だったら部活なんて辞めなさいよ、朝練なんて参加しなくてもいいんでしょアンタ、コーヘイ君と違ってレギュラーじゃないんだから」
「う……」
母の言うことはもっともだ。でも。
「……放課後は忙しいから、朝練くらいはしないとトレーニングになんないだろっ」
ただの下手な言い訳だ。
「トレーニングねぇ……」
また足音をバタバタさせて部屋に戻ると、昂平は俺のベッドに横たわって雑誌を読んでいた。 やけに真剣な顔で。どのページを眺めているのかは、見なくても分かってる。俺は気にせず制服を着込み、学校へ行く準備が完了した。
「行くぞっ、昂平!」
昂平は俺の言葉に反応して、顔を上げた。そしてマジマジと俺を見つめると、「雑誌から抜け出してきたみたいだな、理音」なんて、馬鹿みたいな発言。
「服装が全然違うだろ」
「まあな」
「それより早く行くぞ!エースが遅れたりしたら補欠にやっかまれんだろーが!」
「お前がやっかむのか?」
「はあ?」
確かに俺は補欠だけど、なんで俺がお前をやっかまなきゃいけないんだよ、馬鹿。この後もうだうだ言いながら、俺たちは俺の家を出た。
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科
空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する
高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体
それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった
至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する
意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク”
消える教師
山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
次男は愛される
那野ユーリ
BL
ゴージャス美形の長男×自称平凡な次男
佐奈が小学三年の時に父親の再婚で出来た二人の兄弟。美しすぎる兄弟に挟まれながらも、佐奈は家族に愛され育つ。そんな佐奈が禁断の恋に悩む。
素敵すぎる表紙は〝fum☆様〟から頂きました♡
無断転載は厳禁です。
【タイトル横の※印は性描写が入ります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。】
12月末にこちらの作品は非公開といたします。ご了承くださいませ。
近況ボードをご覧下さい。
不夜島の少年~兵士と高級男娼の七日間~
四葉 翠花
BL
外界から隔離された巨大な高級娼館、不夜島。
ごく平凡な一介の兵士に与えられた褒賞はその島への通行手形だった。そこで毒花のような美しい少年と出会う。
高級男娼である少年に何故か拉致されてしまい、次第に惹かれていくが……。
※以前ムーンライトノベルズにて掲載していた作品を手直ししたものです(ムーンライトノベルズ削除済み)
■ミゼアスの過去編『きみを待つ』が別にあります(下にリンクがあります)
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。