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僕は自分の足元を見つめながら事の発端を中林くんに話した。
話しながら、今履いているスニーカーはもう古くて買い替え時だなぁ、とか関係ないことを思った。
「最初は……キヨが女の子にモテ過ぎて告白をいちいち断るのが苦痛だから、僕に付き合ってるふりをしてほしいって頼んできたんだ」
「うっわ、堂々とモテ自慢とかなんて嫌味なヤローだ。小林おまえよくそんな理由で水沢に協力する気になったな!?」
「だって本当に困ってるみたいだったから。それにキヨはそういうの、わざわざ僕に自慢したりしないし」
別に相手が僕じゃなくても、キヨはそんなことをいちいち人に自慢したりなんかしない。
そんな人間じゃないんだ、キヨは……。
「へーへーそーですか。それで? おまえはそれに協力したわけだな」
「うん。……でも、キヨは本気で僕のことが好きだって言ってきて……」
「それはまあ、見てりゃ分かるけど」
……え?
「分かるの? 中林くん!」
「分かってなかったのかよ!? 小林!」
「「……」」
僕達はお互いに『信じられない』という目を向けた。
だって中林くんなんかただのいちサッカー部員なのに。
僕と同じ補欠で、そんなにキヨと仲良しってわけでもないのに(むしろお互い嫌い合ってる感じ)どうしてキヨの気持ちが分かるの?
「俺ちょっと水沢に同情した、今……」
「ええ!?」
「フツー気付くだろ! 普段からあんなにベタベタされてたらよ! むしろあれで好きじゃなかったらコッチが誤解してキレるパターンだわ」
「……」
そうだ、僕は。
必死でキヨの気持ちに気付かない振りをしていたんだっけ……無意識に、長い間……。
「でもおまえのほうは、そういう意味で水沢のこと好きじゃないんだな」
「……うん。僕は女の子が好きだから」
やっぱり何度考えたって、キヨは友達だ。
恋人だとか、そういうふうには見れない。
「……マジで?」
「まじでって、何が?」
「小林の口から女が好きだなんて言葉が出てくるのがちょっと信じられねぇ」
「僕、男なんだけど……」
中林くん、ほんとにさっきから失礼なんだけど。僕にもキヨにも。
でも、そんな失礼な中林くんが相手だからこそ、僕は緊張せずにごく普通に話せているのかもしれない。
怖がらずに、相手がキヨじゃなくても。
「でもおまえ、水沢とシてんだろ」
「何を?」
「何をって! そんなんひ、ひとつしかねえだろ! だからその、セッ……」
「ああ、セックスか……うん、してるよ」
中林くんがあまりにも焦った顔をするから、僕はなんだか余裕でセックスという単語を言えてしまった。
半年前は、僕も中林くんのように恥ずかしかったはずなのに。
……もう、そんな自分が懐かしい。
「好きじゃねぇのにヤってんのかよ。それっておまえ、どうなんだ?」
「だって僕、脅されてるから……」
「は!? まじで!?」
キヨを悪者にするみたいであまり言いたくなかったけど、一応これは事実だから。
どうして僕が大人しくキヨのいう事をきいているのかという、そもそもの原因。
「最初はほとんどレイプだったよ。それを隠し撮りされてて……だけど僕は、自分も悪いところがあったし納得してキヨと付き合うことに決めたんだ。でも、どうしてもキヨのことがそういう意味で好きになれなくって」
だから、困ってるんだ……。
僕は少し苦笑しながらそう言ったけど、中林くんは全然笑っていなかった。
話しながら、今履いているスニーカーはもう古くて買い替え時だなぁ、とか関係ないことを思った。
「最初は……キヨが女の子にモテ過ぎて告白をいちいち断るのが苦痛だから、僕に付き合ってるふりをしてほしいって頼んできたんだ」
「うっわ、堂々とモテ自慢とかなんて嫌味なヤローだ。小林おまえよくそんな理由で水沢に協力する気になったな!?」
「だって本当に困ってるみたいだったから。それにキヨはそういうの、わざわざ僕に自慢したりしないし」
別に相手が僕じゃなくても、キヨはそんなことをいちいち人に自慢したりなんかしない。
そんな人間じゃないんだ、キヨは……。
「へーへーそーですか。それで? おまえはそれに協力したわけだな」
「うん。……でも、キヨは本気で僕のことが好きだって言ってきて……」
「それはまあ、見てりゃ分かるけど」
……え?
「分かるの? 中林くん!」
「分かってなかったのかよ!? 小林!」
「「……」」
僕達はお互いに『信じられない』という目を向けた。
だって中林くんなんかただのいちサッカー部員なのに。
僕と同じ補欠で、そんなにキヨと仲良しってわけでもないのに(むしろお互い嫌い合ってる感じ)どうしてキヨの気持ちが分かるの?
「俺ちょっと水沢に同情した、今……」
「ええ!?」
「フツー気付くだろ! 普段からあんなにベタベタされてたらよ! むしろあれで好きじゃなかったらコッチが誤解してキレるパターンだわ」
「……」
そうだ、僕は。
必死でキヨの気持ちに気付かない振りをしていたんだっけ……無意識に、長い間……。
「でもおまえのほうは、そういう意味で水沢のこと好きじゃないんだな」
「……うん。僕は女の子が好きだから」
やっぱり何度考えたって、キヨは友達だ。
恋人だとか、そういうふうには見れない。
「……マジで?」
「まじでって、何が?」
「小林の口から女が好きだなんて言葉が出てくるのがちょっと信じられねぇ」
「僕、男なんだけど……」
中林くん、ほんとにさっきから失礼なんだけど。僕にもキヨにも。
でも、そんな失礼な中林くんが相手だからこそ、僕は緊張せずにごく普通に話せているのかもしれない。
怖がらずに、相手がキヨじゃなくても。
「でもおまえ、水沢とシてんだろ」
「何を?」
「何をって! そんなんひ、ひとつしかねえだろ! だからその、セッ……」
「ああ、セックスか……うん、してるよ」
中林くんがあまりにも焦った顔をするから、僕はなんだか余裕でセックスという単語を言えてしまった。
半年前は、僕も中林くんのように恥ずかしかったはずなのに。
……もう、そんな自分が懐かしい。
「好きじゃねぇのにヤってんのかよ。それっておまえ、どうなんだ?」
「だって僕、脅されてるから……」
「は!? まじで!?」
キヨを悪者にするみたいであまり言いたくなかったけど、一応これは事実だから。
どうして僕が大人しくキヨのいう事をきいているのかという、そもそもの原因。
「最初はほとんどレイプだったよ。それを隠し撮りされてて……だけど僕は、自分も悪いところがあったし納得してキヨと付き合うことに決めたんだ。でも、どうしてもキヨのことがそういう意味で好きになれなくって」
だから、困ってるんだ……。
僕は少し苦笑しながらそう言ったけど、中林くんは全然笑っていなかった。
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