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キヨは最初から動画なんて撮っていなかったかもしれない──。
毅くんに言われたことは、家に帰ってからもずっと僕の頭の中を支配していた。
夕食を食べている時もそのことばかりを考えてぼうっとしていたので、母から突っ込まれたほどだ。
それと。
「ねえミチオ、あなたいつのまに家に上り込んで話し込むほど毅くんと仲良くなってたの?」
「い、いや、そういうわけじゃないけど……ちょっと、世間話っていうか」
「ふう~ん。共通点は潔くんしかなさそうだけど……あ、潔くんの話か」
一瞬ドキッとしたけれど、母の言葉は言い訳するのには都合が良かった。
「そ、そうだよ……だからキヨには言わないでよね」
「言わないわよ、そんな野暮なこと!」
毅くんは僕と二人で話したなんてキヨには絶対言わないだろうけど、母がキヨに会った時に世間話ついでに話されたらとても困るのだ。
想像しただけで震えてしまう。
でも、そんなことで怯んでいたら僕はとてもキヨにこの関係をやめよう、とは言えないだろう。
そもそもそんなことが本当に言えるのか、今からとても不安なのだけど……。
でも、既に無関係な人たち──ワタルくんや毅くんを巻き込んでしまっているから、僕は後に引くわけにはいかないんだ。
部屋に戻ってベッドに横になり、頭をからっぽにしてスマホをいじっているとワタルくんからLINEが来た。
『動画消すための何かいい案は浮かんだか?』
僕はすぐにワタルくんに今日の成果を報告しようと思った。
けど……
本当に、キヨは動画を持っていないのかな?
やはり本人に確認するまでは、早合点しない方がいいかもしれない。
僕は今日のことはまだワタルくんには黙っておこう、と思い直した。
『もう少し、考えてみるね。……ちょっといい案が浮かびそうだよ』
『いい案ってどんなだよ?』
『キヨはお兄さんがいるから、お兄さんに頼んでみようかなって』
『そうか。まあ、母親よりかはマシかもな』
もうすでに接触しちゃってるんだけど。
嘘ついてごめんね、ワタルくん。
本当にキヨが動画のデータを持ってないことを確認したら、ちゃんと本当のことを話すから……。
ちなみに何故母親より兄の方がマシなのかというと、動画の内容をもし見られたりした場合を考えてのことだ。
どっちにしろ、僕とキヨ以外の人に見られるのは死ぬほど恥ずかしいんだけど。
「確かめなきゃ……」
きっと明日は絶対、キヨは僕のことを誘ってくる。
そのときに確かめてみるんだ。あのとき撮った動画を僕にも見せて、と……。
もしもキヨが持っていたとして、それを今一度見せられたら、僕はまたあのとき同様の酷い絶望を味わうのだろうけど。
毅くんに言われたことは、家に帰ってからもずっと僕の頭の中を支配していた。
夕食を食べている時もそのことばかりを考えてぼうっとしていたので、母から突っ込まれたほどだ。
それと。
「ねえミチオ、あなたいつのまに家に上り込んで話し込むほど毅くんと仲良くなってたの?」
「い、いや、そういうわけじゃないけど……ちょっと、世間話っていうか」
「ふう~ん。共通点は潔くんしかなさそうだけど……あ、潔くんの話か」
一瞬ドキッとしたけれど、母の言葉は言い訳するのには都合が良かった。
「そ、そうだよ……だからキヨには言わないでよね」
「言わないわよ、そんな野暮なこと!」
毅くんは僕と二人で話したなんてキヨには絶対言わないだろうけど、母がキヨに会った時に世間話ついでに話されたらとても困るのだ。
想像しただけで震えてしまう。
でも、そんなことで怯んでいたら僕はとてもキヨにこの関係をやめよう、とは言えないだろう。
そもそもそんなことが本当に言えるのか、今からとても不安なのだけど……。
でも、既に無関係な人たち──ワタルくんや毅くんを巻き込んでしまっているから、僕は後に引くわけにはいかないんだ。
部屋に戻ってベッドに横になり、頭をからっぽにしてスマホをいじっているとワタルくんからLINEが来た。
『動画消すための何かいい案は浮かんだか?』
僕はすぐにワタルくんに今日の成果を報告しようと思った。
けど……
本当に、キヨは動画を持っていないのかな?
やはり本人に確認するまでは、早合点しない方がいいかもしれない。
僕は今日のことはまだワタルくんには黙っておこう、と思い直した。
『もう少し、考えてみるね。……ちょっといい案が浮かびそうだよ』
『いい案ってどんなだよ?』
『キヨはお兄さんがいるから、お兄さんに頼んでみようかなって』
『そうか。まあ、母親よりかはマシかもな』
もうすでに接触しちゃってるんだけど。
嘘ついてごめんね、ワタルくん。
本当にキヨが動画のデータを持ってないことを確認したら、ちゃんと本当のことを話すから……。
ちなみに何故母親より兄の方がマシなのかというと、動画の内容をもし見られたりした場合を考えてのことだ。
どっちにしろ、僕とキヨ以外の人に見られるのは死ぬほど恥ずかしいんだけど。
「確かめなきゃ……」
きっと明日は絶対、キヨは僕のことを誘ってくる。
そのときに確かめてみるんだ。あのとき撮った動画を僕にも見せて、と……。
もしもキヨが持っていたとして、それを今一度見せられたら、僕はまたあのとき同様の酷い絶望を味わうのだろうけど。
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