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豆腐が中心の豪勢な朝食を食べて、3人は10時にホテルをチェックアウトした。
今日は、昨日行きそびれた観光地と、もともと予定していた観光地へと向かう予定だ。
ちなみに観光場所をチョイスしたのは、すべて亜衣乃である。
そんな彼女は榛名がチェックアウトギリギリ前にも温泉に入ってるのを見て、少々呆れ気味だった。
「アキちゃん、お風呂に入りすぎぃ……身体ふやけちゃうよ?」
「え? えへへ。いや、どうにも勿体なくてさ」
「君がそんなに温泉好きだったとは知らなかったな……。今度の旅行は本格的な温泉巡りツアーにしようか。立ち寄り湯が多いところの」
「それ、亜衣乃が一番つまんないやつじゃーん! ひとりだし!」
「まあまあ誠人さん、温泉巡りは定年後もできますから……」
霧咲も榛名も、定年は関係ない職業なのだが。
それに亜衣乃が自分たちの旅行についてくるのも、あと2~3年だけのことだろう。
もしかすると、その時はもっと早く来るかもしれない。
そう思うと榛名は少し寂しくなり、やはり今は亜衣乃の行きたいところを優先してあげたくなるのだった。
「ま、暁哉がそう言うなら……」
霧咲もそのことに気付いたのか分からないが、納得したように言った。
その後に『亜衣乃、転校先で旅行に同伴してくれる友達を作ったらどうなんだ』と余計なことを言い、後ろから足を思いっきり蹴られていた。
昼食を交えながら美術館を中心とした観光地を三つほど廻ると、いい時間になっていた。
「そろそろ電車の時間があるから、箱根湯本駅に戻るぞ」
霧咲が腕時計を見て言った。
亜衣乃がまだ遊びたそうな声を出して文句を言う。
「え~もう?」
「おまえはともかく、俺と暁哉は明日からまた仕事だからな。早く帰って休みたいんだ」
「亜衣乃だって学校あるもん!」
「小学校なんて休んでも誰も困らないだろう」
「大人のくせにそういうこと言う? ほんっと信じらんない!」
霧咲の言い草に榛名が注意する前に亜衣乃が呆れたので、とりあえず榛名は何も言わずに苦笑した。
もちろん、霧咲は本気ではないのだろうけど。
少し後ろでそんな二人の会話を聞いていると、もっと気楽に構えててもいいのもな……と、少し気が抜けた榛名だった。
「暁哉、何してるんだ?」
「アキちゃん早くー。あの変な色のソフトクリーム食べるんでしょー?」
「あ、そうだったね」
行くときに見かけた奇抜な色のソフトクリームを、亜衣乃は諦めていなかったらしい。
「この寒い中アイス食うとか正気か? 腹を壊しても知らないからな」
「電車の中はあったかいもーん。それに、まこおじさんにはあげないし」
「おまえ……誰の金で買って貰おうと」
「今回の旅行のスポンサー、まこおじさんに決まってるじゃない!」
いけしゃあしゃあと亜衣乃は言い、霧咲はわざとらしく頭を抱えて溜息をつく。
「はぁ、育て方を間違えた」
「気付くのおっそ!」
「はいはい、2人ともそこまでね~」
榛名は言い合いを続ける二人の間に割って入って、それぞれの手をぎゅっと繋いだ。
榛名が間に入った途端に二人は大人しくなって、それぞれ頬を緩ませる。
「せっかく初の家族旅行なんですから、ケンカしないでくださいよ」
「ケンカ……ではないかな?」
「亜衣乃たちケンカなんてしてないよ、アキちゃん!」
「そうなの?」
なら良かった、と榛名はふんわりと笑った。
榛名の柔らかな笑顔に、霧咲と亜衣乃は少しわざとらしい笑みを返す。
本当に似た者親子だな、と榛名は思った。
そしてまだ東京にも帰りついていないのだが、
(いい旅行だったなぁ……)
なんて空を眺めてしみじみと思いを馳せながら、駅方面へと向かったのだった。
豆腐が中心の豪勢な朝食を食べて、3人は10時にホテルをチェックアウトした。
今日は、昨日行きそびれた観光地と、もともと予定していた観光地へと向かう予定だ。
ちなみに観光場所をチョイスしたのは、すべて亜衣乃である。
そんな彼女は榛名がチェックアウトギリギリ前にも温泉に入ってるのを見て、少々呆れ気味だった。
「アキちゃん、お風呂に入りすぎぃ……身体ふやけちゃうよ?」
「え? えへへ。いや、どうにも勿体なくてさ」
「君がそんなに温泉好きだったとは知らなかったな……。今度の旅行は本格的な温泉巡りツアーにしようか。立ち寄り湯が多いところの」
「それ、亜衣乃が一番つまんないやつじゃーん! ひとりだし!」
「まあまあ誠人さん、温泉巡りは定年後もできますから……」
霧咲も榛名も、定年は関係ない職業なのだが。
それに亜衣乃が自分たちの旅行についてくるのも、あと2~3年だけのことだろう。
もしかすると、その時はもっと早く来るかもしれない。
そう思うと榛名は少し寂しくなり、やはり今は亜衣乃の行きたいところを優先してあげたくなるのだった。
「ま、暁哉がそう言うなら……」
霧咲もそのことに気付いたのか分からないが、納得したように言った。
その後に『亜衣乃、転校先で旅行に同伴してくれる友達を作ったらどうなんだ』と余計なことを言い、後ろから足を思いっきり蹴られていた。
昼食を交えながら美術館を中心とした観光地を三つほど廻ると、いい時間になっていた。
「そろそろ電車の時間があるから、箱根湯本駅に戻るぞ」
霧咲が腕時計を見て言った。
亜衣乃がまだ遊びたそうな声を出して文句を言う。
「え~もう?」
「おまえはともかく、俺と暁哉は明日からまた仕事だからな。早く帰って休みたいんだ」
「亜衣乃だって学校あるもん!」
「小学校なんて休んでも誰も困らないだろう」
「大人のくせにそういうこと言う? ほんっと信じらんない!」
霧咲の言い草に榛名が注意する前に亜衣乃が呆れたので、とりあえず榛名は何も言わずに苦笑した。
もちろん、霧咲は本気ではないのだろうけど。
少し後ろでそんな二人の会話を聞いていると、もっと気楽に構えててもいいのもな……と、少し気が抜けた榛名だった。
「暁哉、何してるんだ?」
「アキちゃん早くー。あの変な色のソフトクリーム食べるんでしょー?」
「あ、そうだったね」
行くときに見かけた奇抜な色のソフトクリームを、亜衣乃は諦めていなかったらしい。
「この寒い中アイス食うとか正気か? 腹を壊しても知らないからな」
「電車の中はあったかいもーん。それに、まこおじさんにはあげないし」
「おまえ……誰の金で買って貰おうと」
「今回の旅行のスポンサー、まこおじさんに決まってるじゃない!」
いけしゃあしゃあと亜衣乃は言い、霧咲はわざとらしく頭を抱えて溜息をつく。
「はぁ、育て方を間違えた」
「気付くのおっそ!」
「はいはい、2人ともそこまでね~」
榛名は言い合いを続ける二人の間に割って入って、それぞれの手をぎゅっと繋いだ。
榛名が間に入った途端に二人は大人しくなって、それぞれ頬を緩ませる。
「せっかく初の家族旅行なんですから、ケンカしないでくださいよ」
「ケンカ……ではないかな?」
「亜衣乃たちケンカなんてしてないよ、アキちゃん!」
「そうなの?」
なら良かった、と榛名はふんわりと笑った。
榛名の柔らかな笑顔に、霧咲と亜衣乃は少しわざとらしい笑みを返す。
本当に似た者親子だな、と榛名は思った。
そしてまだ東京にも帰りついていないのだが、
(いい旅行だったなぁ……)
なんて空を眺めてしみじみと思いを馳せながら、駅方面へと向かったのだった。
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