運命のひと~生真面目な看護師は意地悪イケメン医師に溺愛される~

すずなりたま

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123 二宮、合コンの誘いを承諾する

 17時00分。
 堂島は仕事は終わったのだが、今日は院内研修を受けなければならない日だった。
 対象はコメディカルのみのため、さっさと着替えて『お先~』と言いながら帰っていく看護師の榛名や有坂を、堂島は恨みがましい目付きで見送った。



「あ~マジかったるかった! げっ、もう19時じゃないっすか~!」

 二宮のインプレッサの助手席に遠慮なく乗り込みながら、堂島は呻いた。

「大声で喚くなよ。それにお前は明日遅出だから午前中のんびり出来ていいじゃねぇか。俺、明日早出なんだぞ」
「あ、そーでしたね……すんません」
「代わるか?」
「めっそーもない!」

 二宮と堂島の家は決して近くない。
 しかも明日は早出なのに、二宮は今日堂島を家まで送ってくれるという。
 近い時刻の地下鉄やバスがない訳ではない。なのに二宮がこうやって堂島に時間を割いてくれているのは『彼氏』だからか、それは『愛情』というものなのだろうか……

「うっ!」
「あ? なんだよいきなり」
「何でもないっす!」
「変な奴……」

 堂島はそう意識した途端、いきなり胸が痛くなった。
 悪い意味ではなく、きゅんとしたのだ。
 思わずその場で叫び出したくなったが、二宮に『うるせぇよ』と怒られるのは目に見えていたので我慢しようとしたら、しきれずにうめき声に変わったと言ったところか。

「どうせ変な奴ですよ……」

(相手があんたじゃなきゃ、俺だって意味もなく呻いたりしねぇし。榛名くんじゃねぇんだから。いや、榛名くんが叫ぶのかなんて知らねぇけどさ)

 ブツブツと心の中で文句を言いながら、堂島はスマホを開いた。

(あっ! やっべ)

 山本からのLINE通知が来ていた。
 そういえば断りのメッセージを入れるつもりだったのをすっかり忘れていたのだ。
 ちなみに山本とのLINE交換は、一昨年の院内忘年会の時にその他大勢と一緒に行った。
 なので堂島は、相手は山本に限らず院内に沢山LINE友達がいて顔が広い。榛名や二宮には到底真似出来ないコミュ力だ。

「どうした?」
「い、いえ」

(なんで二宮先輩、こっち見てもいないのに俺が一瞬狼狽えたのが分かったんだろ……)

「飯食って帰るか?」 
「えっ、それって先輩の奢りですか?」
「はぁ? お前車もタダ乗りしてるくせに……まあ、別にいいけど」
「やったー!」

 二宮は堂島に優しい。
 というか、甘い。

「ファミレスでいいか?」
「回る寿司でもいいですよ!」
「それ意外と高くつくんだよ。ファミレスな」
「はぁーい」

 堂島が生来甘え上手というのもあるのだが、それを差し引いても甘い。

(どうしてこの人、今まですぐ振られてたんだろ?)

 堂島はたまに不思議に思う。
 二宮が女性と付き合ってもすぐに振られる理由をなんとなく分かるが、それでも疑問に思うのだ。
 
(まあ、気付けなかった奴が悪いんだよな、二宮先輩のこういうさりげない優しさに)

 堂島は優越感を感じてニヤけながら、山本からのLINEを開いて目を通した。
 今週土曜の18時半から、〇〇にて。外科のナースを5人連れて行くのでそっちも同人数の確保をよろしく、と書いてあった。更にウインクをしてるキャラクターのスタンプが続く。

(うわぁ……)

 これは、二宮が参加しなくても自分は参加しないといけないだろう。
 二宮が参加しないと言えば『じゃあナシで!』となるものではない。なにしろ人数が多い。
 かなり面倒臭いが、断るのを忘れていたのだから仕方ない。堂島は、軽くため息をついた。
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