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129 二宮、色仕掛けをされる
何も言えなくなった堂島の代わりに二宮が口を開いた。
「……まあ、榛名主任が霧咲先生と仲が良いおかげで、俺たちスタッフは助かってますよ。霧咲先生は優しいですけど、やっぱり助っ人として来てるから頼みづらいこともありますし。そういうときに榛名主任がいてくれると、頼みごとしやすいんで凄く助かるんですよね」
(に、二宮先輩……!)
「あのぉ、2人は本当に付き合ってるわけじゃないですよね?」
「……別によくないですか? 付き合ってても。お似合いだし俺たち透析スタッフは受け入れますけど。それをネタにして、霧咲先生をK大からウチに引き抜けるかもしれないし……」
「ああっ、そっかぁ!!」
「だから、むしろ二人を応援してください」
「わたし、俄然榛名主任を応援するわ!!」
「私もー!」
「霧咲先生にウチに来てもらいたーい!」
「目の保養ー!」
二宮はごく自然に、嘘も付かずに――しかし真実にも聞こえず、その上病院へのメリットまで付けて――榛名と霧咲のアヤシイ関係話に収拾を付けた。
堂島は呆然と目の前のやり取りを眺めており、暫く反応ができなかった。
(え? え? ……解決したのか?)
二宮の方を見ると、二宮も酒を飲む振りをしながら堂島の方を見ており、声には出さずに「バーカ」と小さく口を動かした。
さすがに堂島もこれには何も言えず、身体を竦めて小さくなった。
(今日帰ったら、多分めちゃくちゃ怒られる……)
それを考えると少し憂鬱になるが、今回ばかりは二宮に思い切り叱って欲しいと思った。
「じゃあ二宮さん、何か歌ってください!」
山本は二宮にデンモクを手渡す……かと思いきや、自分でそれを持って体当たりのように二宮にグイグイと身体をくっ付けてきた。
それを見た堂島は(はぁぁ!?)となり、自分も山本の持つデンモクを覗き込む体で、二宮にグイグイと身体を押し付ける。
左右からグイグイと圧迫されている二宮は、ここだけおしくらまんじゅうでもしているのか、とふと思った。
「あーじゃあ世代的にG〇AYかラ〇クあたりを……」
「えーうれしー!! GL〇Yとか私めっちゃ好きなんですけどー!!」
「じゃあGLA〇を……」
「キャー、やったあ!!」
「二宮先輩、俺ラル〇がいい!! 〇ルク派だし!」
「ならお前が歌えばいいだろ」
「一緒に歌いましょうよぉ!! 俺ラ〇クならなんでもイケるっす!!」
「じゃあ、次な」
何故山本も堂島もそんなに自分に歌わせようとするのか二宮には理解不能だったが、大学時代にバンドを組んでいたこともあり歌はそれなりに得意なので、二宮は軽く美声を披露した。
「ちょっ……めちゃくちゃ歌上手いじゃん、二宮くん!」
「ズルい!! それはズルいぞ!!」
その結果、二宮のファンになったのは山本だけではなかったようだ。
そして堂島は、また新たな二宮の女子にモテる要素――ただし持ち腐れ――を発見したのだった。
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