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〃
『それで、お母さんたちは知ってると?』
「一応、前帰ったときにカミングアウトしたけど信じて貰えんかった……」
『アハハ! まあそうやろうね~。実際に会ったら違うやろけど』
「それで姉ちゃん、俺来月その人連れて帰省したいっちゃけど……お店とか、予約しちょってくれん? もしモメたときは俺の味方もしてくれると嬉しい……」
『なーに言っちょっと! そんなの当たり前やん! あたしが今まであー君の味方せんかったことある?』
「……ない」
『じゃろ?』
「いつも子分を庇う親分みたいな感じやったね」
『なんね、その失礼なたとえは』
電話越しにクスクス笑い合った。
思えば、姉と二人でこんなふうにじっくりと話したのもひどく久しぶりだ。
最近会って話すときは、大体両親や姉の夫がいるので。
『まあ、あたしも報告したいことあるし』
「え?」
『こっちの話。それで? 予約は両親とうちら夫婦と、あー君と彼氏さんの6人でいいとよね。アレルギーとかある人?』
「ないよ。それとあと一人追加して欲しいっちゃけど」
『え? もしかしてカオルちゃんも一緒に来ると?』
「いや……その、説明は長くなるから省くけど、その人子どもが一人いてさ」
『ええっなんで!? ゲイの人やないと!?』
「その人の子じゃなくて姪っ子やけど、事情があって一緒に住んじょっとよ。これもまた今度説明するから。もう10歳やし、凄くしっかりした子だからお店もファミレスとかじゃなくても大丈夫」
『ふうん……わかった』
「じゃあよろしく」
『はーい、今度はお土産忘れんでよね~』
前回帰省したときは父の容体が気になって土産どころではなかったのだが、結局大したことはなかったので、その後桜に『東京土産はないのか』とさんざん言われたのだった。
(結局お母さんたちには俺の口からは男の人連れてくって言ってないけど、姉ちゃんが言ってくれたかなあ……別に頼んでないけどさ)
ふと隣を見ると、亜衣乃は朝が早かったせいかすやすや眠っていた。
次に反対側を見ると、同じく亜衣乃を見ていたらしい霧咲と目が合った。
「……誠人さん」
「うん?どうしたの」
「亜衣乃ちゃん寝ちゃったから……そっち、行ってもいいですか?」
「もちろん」
霧咲はベルトを外すと、空席だった窓際へと移動した。
榛名もベルトを外して、霧咲の隣に移動する。そしておもむろにそっと霧咲の肩へと頭を預けた。
「暁哉?」
「誠人さん、俺、やっぱり少し怖いです」
「……うん」
「俺が紹介したいって言ったんだけど、やっぱり分かって貰えないかもって思うと……」
「分かるよ。でも、大丈夫だよ」
「大丈夫、でしょうか……」
榛名がとても気弱な声を出すので、少しからかうような口調で霧咲が言った。
「きみ、蓉子とファイトしたときの気合いはどうしたの? 俺はあの時のことを考えると、全然気楽だけどなあ」
「そ、そりゃあそうですけど」
「むしろきみの家族に会えるのが楽しみで仕方ないよ。こういうの、初めてだからね」
「……!」
霧咲の両親は亡くなっているし、前の恋人の中原とは親に紹介するほどの間柄では無かったらしい。
それを聞いて、榛名は少しだけ気分が上がった。
「まあ、俺もきみを亜衣乃に会わせる前は似たような心境だったから気持ちは分かるよ。でも亜衣乃は今や俺よりもきみに懐いているからなあ……俺も、きみのご両親に気に入って貰えるように頑張るよ」
そう言って、霧咲は榛名の額に軽くキスを落とした。
榛名はそれを咎めず、自分も霧咲の手を探しだしてぎゅっと握りしめた。
「……なんか、少し気が楽になってきました」
「ほんと? それは良かった」
霧咲は医者だし、年輩の患者にもかなり人気があるので、榛名の両親もあっさり気に入るかもしれない。
安心したら自分も眠くなってきたので、榛名は霧咲の肩に頭を預けたまま目を瞑った。
「一応、前帰ったときにカミングアウトしたけど信じて貰えんかった……」
『アハハ! まあそうやろうね~。実際に会ったら違うやろけど』
「それで姉ちゃん、俺来月その人連れて帰省したいっちゃけど……お店とか、予約しちょってくれん? もしモメたときは俺の味方もしてくれると嬉しい……」
『なーに言っちょっと! そんなの当たり前やん! あたしが今まであー君の味方せんかったことある?』
「……ない」
『じゃろ?』
「いつも子分を庇う親分みたいな感じやったね」
『なんね、その失礼なたとえは』
電話越しにクスクス笑い合った。
思えば、姉と二人でこんなふうにじっくりと話したのもひどく久しぶりだ。
最近会って話すときは、大体両親や姉の夫がいるので。
『まあ、あたしも報告したいことあるし』
「え?」
『こっちの話。それで? 予約は両親とうちら夫婦と、あー君と彼氏さんの6人でいいとよね。アレルギーとかある人?』
「ないよ。それとあと一人追加して欲しいっちゃけど」
『え? もしかしてカオルちゃんも一緒に来ると?』
「いや……その、説明は長くなるから省くけど、その人子どもが一人いてさ」
『ええっなんで!? ゲイの人やないと!?』
「その人の子じゃなくて姪っ子やけど、事情があって一緒に住んじょっとよ。これもまた今度説明するから。もう10歳やし、凄くしっかりした子だからお店もファミレスとかじゃなくても大丈夫」
『ふうん……わかった』
「じゃあよろしく」
『はーい、今度はお土産忘れんでよね~』
前回帰省したときは父の容体が気になって土産どころではなかったのだが、結局大したことはなかったので、その後桜に『東京土産はないのか』とさんざん言われたのだった。
(結局お母さんたちには俺の口からは男の人連れてくって言ってないけど、姉ちゃんが言ってくれたかなあ……別に頼んでないけどさ)
ふと隣を見ると、亜衣乃は朝が早かったせいかすやすや眠っていた。
次に反対側を見ると、同じく亜衣乃を見ていたらしい霧咲と目が合った。
「……誠人さん」
「うん?どうしたの」
「亜衣乃ちゃん寝ちゃったから……そっち、行ってもいいですか?」
「もちろん」
霧咲はベルトを外すと、空席だった窓際へと移動した。
榛名もベルトを外して、霧咲の隣に移動する。そしておもむろにそっと霧咲の肩へと頭を預けた。
「暁哉?」
「誠人さん、俺、やっぱり少し怖いです」
「……うん」
「俺が紹介したいって言ったんだけど、やっぱり分かって貰えないかもって思うと……」
「分かるよ。でも、大丈夫だよ」
「大丈夫、でしょうか……」
榛名がとても気弱な声を出すので、少しからかうような口調で霧咲が言った。
「きみ、蓉子とファイトしたときの気合いはどうしたの? 俺はあの時のことを考えると、全然気楽だけどなあ」
「そ、そりゃあそうですけど」
「むしろきみの家族に会えるのが楽しみで仕方ないよ。こういうの、初めてだからね」
「……!」
霧咲の両親は亡くなっているし、前の恋人の中原とは親に紹介するほどの間柄では無かったらしい。
それを聞いて、榛名は少しだけ気分が上がった。
「まあ、俺もきみを亜衣乃に会わせる前は似たような心境だったから気持ちは分かるよ。でも亜衣乃は今や俺よりもきみに懐いているからなあ……俺も、きみのご両親に気に入って貰えるように頑張るよ」
そう言って、霧咲は榛名の額に軽くキスを落とした。
榛名はそれを咎めず、自分も霧咲の手を探しだしてぎゅっと握りしめた。
「……なんか、少し気が楽になってきました」
「ほんと? それは良かった」
霧咲は医者だし、年輩の患者にもかなり人気があるので、榛名の両親もあっさり気に入るかもしれない。
安心したら自分も眠くなってきたので、榛名は霧咲の肩に頭を預けたまま目を瞑った。
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