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147 榛名の姉、桜
約2時間半の空の旅を終えて、榛名達一行はブーゲンビリア空港へと名を変えた宮崎空港へと降り立った。
「あー、座ってるだけなのになんだか疲れたぁ~」
「お疲れさま、亜衣乃ちゃん」
「なあ暁哉、なんで宮崎空港はブーゲンビリア空港になったんだ? 悪くはないと思うけど、ネットでは色々言われてるみたいだよね」
「そんなの、元県民の俺も知りたいですよ……」
ブーゲンビリア空港は、名を体で表しているのか夜間はピンク色に電飾がライトアップされるせいで、『まるでラブホテルのよう』だと一部で言われているのはここだけの話だ。
「空港には姉が車で迎えに来てくれているそうです、義兄は両親と今レストランに向かってるとか……」
榛名はスマホを見ながら霧咲にそう伝え、預けた荷物が回ってくるのを待ちながら姉に電話を掛けた。
「もしもし、お姉ちゃん? 無事に着いたから出口のそばにおっとって。え、見えてる? ……あ、ホントだ」
ガラス越しにひらひらと小さく手を振っているひとりの女性の姿をとらえ、榛名が手を振り返したのを見て霧咲もぺこっと頭を下げた。
「アキちゃん、まこおじさん! 荷物が行っちゃうよお!!」
「あっやばいやばい!」
榛名と霧咲は亜衣乃の言葉にハッと振り返り、レーンに載って通り過ぎていくトランクとボストンバックを慌てて追いかけた。
「ようこそ宮崎へ~! 初めまして、暁哉の姉の武本桜です。いつも弟がお世話になってます」
「こちらこそ初めまして、霧咲誠人です。迎えに来てくださってありがとうございます。こちらこそ弟さんにはいつもお世話になってます。こっちは姪の亜衣乃です」
「初めまして、霧咲亜衣乃です」
桜は茶髪に染めたロングヘアで、ゆったりとしたナチュラル系の服装だ。
霧咲は桜を見て、あまり榛名とは似ていないな、と思った。
一方榛名は桜と霧咲と亜衣乃が自己紹介しているのをやや緊張した面持ちで見ていたが、思っていた以上にスムーズなやり取りで安心した……が。
「……ちょっとあー君!」
「えっ、何?」
「ちょっとこっち来て」
「??」
榛名は桜に霧咲たちから二メートルほど離れた場所に引っ張られて、ひそひそ話をされた。
「もお! 芸能人連れてくるなら先に教えちょってよ! こっちチャンネル少ないの分かっちょるやろ!? あの人出てるやつでなんか有名な映画とかドラマあったら教えて! 早く!」
「いや、お姉ちゃん……」
「なに!?」
「誠人さんは俳優じゃなくて、お医者さんです……」
「え……医者?」
桜はキョトンとした顔をして、霧咲を見た。
2メートル離れていて小声で話していたつもりでも霧咲と亜衣乃には丸聞こえだったようで、2人とも必死に笑いを堪えていてすごい形相になっていた。
「あの子は子役とかじゃないと? 美少女やわぁ……」
「いや、2人とも一般人。亜衣乃ちゃんは普通の小学四年生やし」
「ええ、東京の人綺麗すぎん……? こわっ」
「あの二人が特別やとよ」
「なんでそんな凄い人があー君の婚約者なと?」
「それは俺が知りたい」
「ちょっと待て暁哉、きみは知ってるだろう!?」
ようやく霧咲がツッコミに入り、4人は談笑しつつ外の駐車場へと移動した。
「ねえアキちゃん、この三匹のわんちゃんのキャラクターさっきからよく見るね」
亜衣乃がとあるポスターに指を指して榛名に尋ねたが、代わりに桜が答えた。
「これは宮崎のゆるキャラでね、みやざき犬っていうとよ。ひぃ君とむぅちゃんとかぁ君。けっこうカワイイやろ?」
「ひぃ・むぅ・かぁ? ……なんでそんな名前なの?」
「宮崎は昔日向の国って呼ばれてたっちゃけどね、ひむかはそれより更に古い読み方で、日に向かうって意味やとと」
「へえ~」
「桜さん、博識ですね」
「大学生のときに観光案内所でバイトしてたんですよ~」
桜は霧咲に対してだけよそゆきの声で話しているな、と榛名は思った。
霧咲は桜よりも年上だし、職業が医者と分かって緊張しているのかな、とも。
「あ、そうだ姉ちゃん、なんで宮崎空港の名前はブーゲンビリアになったと?」
「それは知らん」
「……」
榛名たちは桜の乗ってきた赤色の乗用車に乗り込み、宮崎空港を後にした。運転席は桜で助手席には榛名が乗り、霧咲と亜衣乃は後部座席だ。
すると暫く黙って外の景色を見ていた亜衣乃が、少し甘えた声で霧咲におねだりをした。
「ねえまこおじさん、帰りにみやざき犬のグッズ買ってぇ」
「ああ、いいぞ。記念に色々買って帰ろう。前に来たときは急いでて何も買えなかったからな。地鶏とかチーズ饅頭とか、おいしそうなものがたくさんあるのに……」
「うふふ、お買い上げありがとうございまーす!」
桜がハンドル操作しながら楽しそうに言った。
「お姉ちゃん……」
「地方は観光客にお金落としてもらわんといけんからねぇ。あー君も職場の人へのお土産たくさん買ってってよ!」
「いやまあ、買うけどさ……誠人さんたちは別に観光に来たワケじゃないっちゃけど」
「え、観光して行かんと?」
「亜衣乃、鬼の洗濯岩が見たーい!」
「あらー行きましょ行きましょ!」
亜衣乃の反応に榛名は驚き、確認するように斜め後ろの霧咲の方を見た。
「実は事前に宮崎のガイドブックを買っていてね……君は両親のことでいっぱいいっぱいだったから言わなかったけど、明日一日は観光の予定を入れているんだよ」
「そ、そうだったんですか……え、でも帰りは明日じゃ?」
「明後日だよ。三日連休取ってくれって言っただろう?」
「最後の一日は家でゆっくりするのかと……ええ、宮崎に二泊もするなら、四日連休取れば良かったなぁ……」
とはいえ、四日連続で休みを取るのはなかなか難しいので、榛名も言うだけなのだが。
「あたしも休み取ってるから運転手は任せてよ! あー君、いまだにペーパーやっちゃろ?」
「はい。よろしくお願いしますお姉様……」
「まっかせなさーい!」
そんなことを話している間に車はいつの間にか宮崎の中心地を通り過ぎて、海沿いにあるホテルの方へと向かっていった。
「あー、座ってるだけなのになんだか疲れたぁ~」
「お疲れさま、亜衣乃ちゃん」
「なあ暁哉、なんで宮崎空港はブーゲンビリア空港になったんだ? 悪くはないと思うけど、ネットでは色々言われてるみたいだよね」
「そんなの、元県民の俺も知りたいですよ……」
ブーゲンビリア空港は、名を体で表しているのか夜間はピンク色に電飾がライトアップされるせいで、『まるでラブホテルのよう』だと一部で言われているのはここだけの話だ。
「空港には姉が車で迎えに来てくれているそうです、義兄は両親と今レストランに向かってるとか……」
榛名はスマホを見ながら霧咲にそう伝え、預けた荷物が回ってくるのを待ちながら姉に電話を掛けた。
「もしもし、お姉ちゃん? 無事に着いたから出口のそばにおっとって。え、見えてる? ……あ、ホントだ」
ガラス越しにひらひらと小さく手を振っているひとりの女性の姿をとらえ、榛名が手を振り返したのを見て霧咲もぺこっと頭を下げた。
「アキちゃん、まこおじさん! 荷物が行っちゃうよお!!」
「あっやばいやばい!」
榛名と霧咲は亜衣乃の言葉にハッと振り返り、レーンに載って通り過ぎていくトランクとボストンバックを慌てて追いかけた。
「ようこそ宮崎へ~! 初めまして、暁哉の姉の武本桜です。いつも弟がお世話になってます」
「こちらこそ初めまして、霧咲誠人です。迎えに来てくださってありがとうございます。こちらこそ弟さんにはいつもお世話になってます。こっちは姪の亜衣乃です」
「初めまして、霧咲亜衣乃です」
桜は茶髪に染めたロングヘアで、ゆったりとしたナチュラル系の服装だ。
霧咲は桜を見て、あまり榛名とは似ていないな、と思った。
一方榛名は桜と霧咲と亜衣乃が自己紹介しているのをやや緊張した面持ちで見ていたが、思っていた以上にスムーズなやり取りで安心した……が。
「……ちょっとあー君!」
「えっ、何?」
「ちょっとこっち来て」
「??」
榛名は桜に霧咲たちから二メートルほど離れた場所に引っ張られて、ひそひそ話をされた。
「もお! 芸能人連れてくるなら先に教えちょってよ! こっちチャンネル少ないの分かっちょるやろ!? あの人出てるやつでなんか有名な映画とかドラマあったら教えて! 早く!」
「いや、お姉ちゃん……」
「なに!?」
「誠人さんは俳優じゃなくて、お医者さんです……」
「え……医者?」
桜はキョトンとした顔をして、霧咲を見た。
2メートル離れていて小声で話していたつもりでも霧咲と亜衣乃には丸聞こえだったようで、2人とも必死に笑いを堪えていてすごい形相になっていた。
「あの子は子役とかじゃないと? 美少女やわぁ……」
「いや、2人とも一般人。亜衣乃ちゃんは普通の小学四年生やし」
「ええ、東京の人綺麗すぎん……? こわっ」
「あの二人が特別やとよ」
「なんでそんな凄い人があー君の婚約者なと?」
「それは俺が知りたい」
「ちょっと待て暁哉、きみは知ってるだろう!?」
ようやく霧咲がツッコミに入り、4人は談笑しつつ外の駐車場へと移動した。
「ねえアキちゃん、この三匹のわんちゃんのキャラクターさっきからよく見るね」
亜衣乃がとあるポスターに指を指して榛名に尋ねたが、代わりに桜が答えた。
「これは宮崎のゆるキャラでね、みやざき犬っていうとよ。ひぃ君とむぅちゃんとかぁ君。けっこうカワイイやろ?」
「ひぃ・むぅ・かぁ? ……なんでそんな名前なの?」
「宮崎は昔日向の国って呼ばれてたっちゃけどね、ひむかはそれより更に古い読み方で、日に向かうって意味やとと」
「へえ~」
「桜さん、博識ですね」
「大学生のときに観光案内所でバイトしてたんですよ~」
桜は霧咲に対してだけよそゆきの声で話しているな、と榛名は思った。
霧咲は桜よりも年上だし、職業が医者と分かって緊張しているのかな、とも。
「あ、そうだ姉ちゃん、なんで宮崎空港の名前はブーゲンビリアになったと?」
「それは知らん」
「……」
榛名たちは桜の乗ってきた赤色の乗用車に乗り込み、宮崎空港を後にした。運転席は桜で助手席には榛名が乗り、霧咲と亜衣乃は後部座席だ。
すると暫く黙って外の景色を見ていた亜衣乃が、少し甘えた声で霧咲におねだりをした。
「ねえまこおじさん、帰りにみやざき犬のグッズ買ってぇ」
「ああ、いいぞ。記念に色々買って帰ろう。前に来たときは急いでて何も買えなかったからな。地鶏とかチーズ饅頭とか、おいしそうなものがたくさんあるのに……」
「うふふ、お買い上げありがとうございまーす!」
桜がハンドル操作しながら楽しそうに言った。
「お姉ちゃん……」
「地方は観光客にお金落としてもらわんといけんからねぇ。あー君も職場の人へのお土産たくさん買ってってよ!」
「いやまあ、買うけどさ……誠人さんたちは別に観光に来たワケじゃないっちゃけど」
「え、観光して行かんと?」
「亜衣乃、鬼の洗濯岩が見たーい!」
「あらー行きましょ行きましょ!」
亜衣乃の反応に榛名は驚き、確認するように斜め後ろの霧咲の方を見た。
「実は事前に宮崎のガイドブックを買っていてね……君は両親のことでいっぱいいっぱいだったから言わなかったけど、明日一日は観光の予定を入れているんだよ」
「そ、そうだったんですか……え、でも帰りは明日じゃ?」
「明後日だよ。三日連休取ってくれって言っただろう?」
「最後の一日は家でゆっくりするのかと……ええ、宮崎に二泊もするなら、四日連休取れば良かったなぁ……」
とはいえ、四日連続で休みを取るのはなかなか難しいので、榛名も言うだけなのだが。
「あたしも休み取ってるから運転手は任せてよ! あー君、いまだにペーパーやっちゃろ?」
「はい。よろしくお願いしますお姉様……」
「まっかせなさーい!」
そんなことを話している間に車はいつの間にか宮崎の中心地を通り過ぎて、海沿いにあるホテルの方へと向かっていった。
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