運命のひと~生真面目な看護師は意地悪イケメン医師に溺愛される~

すずなりたま

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 ピンポーン

   ………

   ガチャッ


「二宮先輩、マジで来たんスかぁ?   俺、明日普通に日勤なんですけど」

 まだ日付は変わっていないが深夜に近い時刻、二宮は堂島に『今からタクシーでおまえんちに行く』と一言だけメッセージを送った。
 すぐに『今から寝るところなんすけど』と返ってきたが、構わずにタクシーを捕まえて乗り込んだ。

 三次会会場のバーを出たあと、坂口がしきりに後ろから『おい、何があったんだよ』と聞きながら追いかけてきたが、『悪いが今は話せない』と一言だけ言い、さっさと一人で大通りに出たのだ。

 堂島が自分を待ってないとは思わなかったが――この恋人は見た目のチャラさを裏切るような健気な性格なのだ――本当に寝てるかもしれなかったのでインターホンを鳴らしたあとにドアを開けて貰えてホッとした。

「……悪いな、夜中なのに」
「まあいいですよ、今すぐ会いたいから家に来てくれって言われるよりは全然……俺は待ってるだけですし。それに二宮先輩からうちに来てくれるのって結構レアですしね。まあ夜中じゃなかったらもっと良かったんですけど」
「寝てなかったんだな」
「たりめーでしょ、起きて待ってるのに来なかったらブッとばすところでした。――ていうか先輩、その格好と荷物はモロ結婚式帰りですよね。二次会……いや、三次会後ですか?」
「……えっと……」
「とにかく入ってください。春でもまだ夜は結構寒いし」

 くるりと後ろを向いたスウェット姿の堂島に、二宮はぎゅっと抱きついた。途端、鼻腔に風呂上りのシャンプーの匂いが広がる。

「えっ……ちょ、先輩酔ってるんですか?   もしやまたウイスキーを……」
「今日はシャンパンと焼酎しか呑んでねぇ」
「そ、ですか。あの……マジでどうしたんすか?」
「………」

 その疑問は当然だろう。勢いだけで来たはいいが、今日あったことが言えるはずもないのに堂島が納得できる理由を二宮は考えていなかった。

「もしかして演奏、失敗したんですか?」
「………」

 二宮が押し黙っていたら、堂島は勝手に理由を察してくれたようだった。その推測は間違っているが。

「はは、やっぱ久しぶりで超緊張しちゃったんでしょ~、だから俺だけじゃなくてみんなにも聴いてもらったらよかった……ンッ」

 二宮は堂島の口を塞ぐように、無理矢理後ろを向かせて強引にキスをした。

「ちょ、せんぱ――」

 堂島は驚いて二宮を引きはがそうとしたが、腕ごと抱きしめられているので何も抵抗できず、最終的には大人しくキスを受け入れた。

「チュブッ、チュッ、ンーッ……ぷはっ、マジで今日はどうし──」
「……お前の顔が見たかったんだ」
「へ?」

 堂島は普段は絶対に見せることのない二宮の態度と言葉に、たちまち真っ赤になった。そんな堂島を見て二宮は苦笑する。
 しかしそれは本当だった。何か月も前から緊張していて、行ったら行ったで山下の存在を警戒して、余興は成功したがその後は知らない女性たちの相手をして神経を使い、一息ついたと思ったら山下との一悶着があった。

 二宮は堂島の顔を見て、抱きしめてキスをしたことでやっと、やっと今本当に長かった緊張が解けたのだ。二宮は堂島を抱き締めたまま、ハー……と大きく息を吐き出した。

 動揺しているのか、顔を赤くしたまま言葉を発さない堂島の髪をくしゃりと撫でて、二宮は言った。

「マジでそれだけ……。夜中なのに待っててくれてサンキューな。俺はもう帰るから明日の日勤頑張れよ」
「ちょ……ッ二宮先輩!?」

 堂島は、突然抱きしめてキスをしただけで帰ろうとした二宮を慌てて引き止めた。少し面倒くさそうに振舞っていたのはただの照れ隠しで、本当は二宮がこんな夜中に会いに来てくれて嬉しかったのだ。
 素直に言い出せなかっただけで。

「もう遅いですし、泊まっていってくださいよ!   別に明日もずっと俺ん家で寝てていいですから!」
「でも、それだと……」

 理由を説明しないといけないのではないだろうか。二宮がこんならしくないことになっている理由を、恋人なら当然聞きたいだろう。

「何も聞きませんから!」
「え?」
「俺、そんな何度も傷を抉るようなマネしませんよ……とにかく先輩は早くシャワーを浴びてさっさと寝ちゃってください! 疲れてるっしょ?」
「堂島……」

 堂島は多分勘違いをしている。二宮が余興でトチって大勢の前で恥をかいて――それで慰めて欲しくてここへ来たのだと思っているのだろう。それはそれで、訂正したくて仕方ないが……。

「ありがとう。――優しいな、お前は」
「だって二宮先輩がベース弾けるって知ってるの、俺だけだし」

 やはり勘違いしている。が、二宮は訂正しなかった。本当はシャワーを浴びたあとに堂島を抱きたくて仕方なかったけど――堂島は二宮と違って明日は日勤なのだし、そこまで甘えるのもな、と思い諦めた。


 ――しかし。


「ちょッ……先輩、どこ触って……ンッ」

 やはり同じベッドの中に入り、後ろから抱きしめたら情欲が湧いてくる。
 少し毛先が痛んでいる長い襟足から覗く、堂島の首筋の匂いを思い切り吸い込めば、もう我慢できなかった。
 二宮は堂島のスウェットの裾からそっと手を偲ばせて、胸の突起をクリクリと人差し指でいやらしく弄り始めた。

「悪い、寝てていいからちょっと触らせてくれ」
「はぁ!? 俺明日日勤だってば……ぁッ!」

 堂島は胸が弱いのを分かっているため、人差し指と親指でつまみ、クリクリとしつこく愛撫し、ときどき平らな胸を揉みこむ。脂肪がついてないので面白いかそうでないかと言ったら後者なのだが、弄り過ぎたせいか乳首だけが妙にプックリしていて、これはこれで興奮するのだった。

「ひぁッあっあ……ちょ、乳首クリクリすんのやめてくださぃよぉ……あンっ」

 堂島は口では嫌がっているが、身体は強く拒否していない。本当に寝たいのと抱かれたいのは半々かな、と思いながら二宮は堂島の首筋を舌先でレローッと舐めあげた。

「ひぁっ……!」
「少しだけだから……てか、一回でいいから」
「ちょっと! 要求がどんどん高まってるんですけど!? あっンンッ……ソコはダメ……!」

 二宮は遠慮のない手つきで下着の中に手を突っ込み、直接堂島のモノに触れた。そこは既に固くなっており、二宮に触られるのを今か今かと待っているようだった。
   二宮はクスッと堂島の耳元でわざと笑い、ゆるい手つきで優しく擦り始めた。
 自分のモノもとっくに固くなっていて、堂島の割れ目にわざといやらしく擦りつけ、ゆるやかに腰を振る。

 堂島の肉棒の先端からはどんどん透明の粘液が溢れだし、二宮はそれを巻き込んでわざとグチュグチュと音を立てながら堂島を攻め立てていく。

「はぁっあっぅ、や、そこやだ、きもちい、せんぱぃっ……!」
「なあ、ダメか……?」

 堂島が自分の低めの声に弱いことも当然知っている。囁いたあと、舌を耳に突っ込んでグジュグジュグジュ!! とナカを強めに舐めた。

「ひあぁうぅッ!! も、二宮先輩、何で今日はそんなにエロいんですかぁ!? だ、ダメじゃないっすけどぉ……ホントに一回だけですからね? ンンッ! あっ……もうホントにイくから……っ!」
「二回な」
「ちょ、増えてるからッッ!! ぁ、あああ、ん!」
「ダメか?」
「ダッ……もぉ、絶対に二回までですよ! ひあっ、ぁっ、イクぅー……!」

 堂島は二宮の性急な愛撫に耐えきれず、手の中に精を吐き出した。ハアハアと息を整えている堂島に、二宮はニヤリとして言う。

「やっぱりお前は優しいな」
「も、それあんまり嬉しくないっす……」


 二宮はその晩、堂島を三回抱いた。
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