33 / 322
17 落ち着かない休日*
あっというまに土曜日が来た。
榛名はせっかくの休みだというのに早起きし、朝からなんだか落ち着かない。
溜まっていた洗濯や掃除、部屋の片付けを終わらせても、まだ時計の針は午前中のままだった。
「はぁ……」
(なんで朝からこんなに張り切ってんの、俺)
こんなの、今日の夜霧咲と会うのを楽しみにしているみたいじゃないか、と榛名はため息をついた。
楽しみにしているわけじゃない。
どうせ断ったところで霧咲は強引だし、結局抵抗しても無駄だろうと最初から諦めているのだ。
それに、ただ話すだけだったら普通に楽しい。
霧咲は聞き上手だし、医者だし──そこにはほんの少し憧れの感情があることは否定しないが、あくまで医者として、だ。
霧咲個人に対して憧れなんかない。
ない……と思いたい。
だから、もし今夜も誘われるようだったら、そこはちゃんと断らないといけない。
まだ二回しか寝ていないとはいえ、今の二人の関係は所謂セックス・フレンドのようなものだ。
榛名はそんな爛れた交友関係などいらない。
(でも、別に友達ではないな……)
友達ではなく、知人とセックスするだけの関係は一体なんと呼ぶのだろうか……と榛名はしばし真面目に考えたが、アホらしくなってやめた。
心底どうでもいいことだ。
(とにかく、このままだと絶対ハマる……)
男とのセックスにハマる、もしくは男と恋人同士になる──どちらにせよ、泥沼の未来しか想像できない。
面白味もないがまともな人生を歩んできたのに、今更そんな泥沼にハマるわけにはいかないのだ。
「──昼寝しよっかな」
ひとりごちて、榛名はポスンとベッドに横になった。
そしてまた霧咲のことを考えた。
(大体、俺のことをゲイだって言ってたけど、俺は女の子だって普通に抱けるし……)
初めて霧咲に抱かれたあと、霧咲にされたことを思い出して自慰をしたのは失敗だったかもしれない。
そのせいで、二回目に抱かれたときまたああいうことされるんだって妙に興奮してしまって……
(あ……なんか、またヤバイかも……)
なんだか少し身体が疼いたが、必死に誤魔化そうとした。
そういえば以前は、どうやって自慰をしていただろうか。
(何をオカズにしていたっけ? あんまり思い出せないや。そもそも彼女がいれば自慰なんてしてなかった気がする。しょっちゅうセックスしてたわけでもないのに……)
そしてそういう行為に誘ってくるのも、いつも彼女からだった気がする。
(俺がフラレてたのって、それが原因かな?)
思い返せば思春期の頃から、周りの男子が話していた『大きいおっぱいと小さいおっぱいどっちが好き?』みたいな下ネタも苦手で、いつも適当に誤魔化していた気がする。
(いや、違う……違うって)
榛名はガバッと身を起こすと、あまり使わないノートパソコンが置いてるデスクに座ってその電源を付けた。
(俺はゲイなんかじゃないって……)
動画でも検索して視ようと思ったのだ。
それもとびきりエロいやつを。
榛名はAVやエロ本の類いなどは一冊も持っていなかった。
それは実家にいるときもそうだった。母親や姉に見つかったりしたら面倒だからだ。
「……」
(本当に、理由はそれだけ……?)
画面の量産型の女は、目を閉じて声をあげて男の愛撫に感じている。
多分、演技だろうけども。
下品に脚を開いて、甘えた声を出して男にすがりついて……
「うわっ……」
気づけば榛名は、その女に対して嫌悪感を抱いていた。
そしてそんな自分に吃驚した。
(AV見て興奮するでもなく、嫌悪するって俺……何で!?)
同類だと思ったのだ。
画面の中の女の姿は、先日自分が霧咲に曝した姿とまるで同じだった。あさましくて、淫乱で、強欲で……
榛名はその動画を消すとパソコンをシャットダウンした。
気分が悪い。
下半身は勃起するどころではなくすっかり萎えてしまっていた。
榛名はせっかくの休みだというのに早起きし、朝からなんだか落ち着かない。
溜まっていた洗濯や掃除、部屋の片付けを終わらせても、まだ時計の針は午前中のままだった。
「はぁ……」
(なんで朝からこんなに張り切ってんの、俺)
こんなの、今日の夜霧咲と会うのを楽しみにしているみたいじゃないか、と榛名はため息をついた。
楽しみにしているわけじゃない。
どうせ断ったところで霧咲は強引だし、結局抵抗しても無駄だろうと最初から諦めているのだ。
それに、ただ話すだけだったら普通に楽しい。
霧咲は聞き上手だし、医者だし──そこにはほんの少し憧れの感情があることは否定しないが、あくまで医者として、だ。
霧咲個人に対して憧れなんかない。
ない……と思いたい。
だから、もし今夜も誘われるようだったら、そこはちゃんと断らないといけない。
まだ二回しか寝ていないとはいえ、今の二人の関係は所謂セックス・フレンドのようなものだ。
榛名はそんな爛れた交友関係などいらない。
(でも、別に友達ではないな……)
友達ではなく、知人とセックスするだけの関係は一体なんと呼ぶのだろうか……と榛名はしばし真面目に考えたが、アホらしくなってやめた。
心底どうでもいいことだ。
(とにかく、このままだと絶対ハマる……)
男とのセックスにハマる、もしくは男と恋人同士になる──どちらにせよ、泥沼の未来しか想像できない。
面白味もないがまともな人生を歩んできたのに、今更そんな泥沼にハマるわけにはいかないのだ。
「──昼寝しよっかな」
ひとりごちて、榛名はポスンとベッドに横になった。
そしてまた霧咲のことを考えた。
(大体、俺のことをゲイだって言ってたけど、俺は女の子だって普通に抱けるし……)
初めて霧咲に抱かれたあと、霧咲にされたことを思い出して自慰をしたのは失敗だったかもしれない。
そのせいで、二回目に抱かれたときまたああいうことされるんだって妙に興奮してしまって……
(あ……なんか、またヤバイかも……)
なんだか少し身体が疼いたが、必死に誤魔化そうとした。
そういえば以前は、どうやって自慰をしていただろうか。
(何をオカズにしていたっけ? あんまり思い出せないや。そもそも彼女がいれば自慰なんてしてなかった気がする。しょっちゅうセックスしてたわけでもないのに……)
そしてそういう行為に誘ってくるのも、いつも彼女からだった気がする。
(俺がフラレてたのって、それが原因かな?)
思い返せば思春期の頃から、周りの男子が話していた『大きいおっぱいと小さいおっぱいどっちが好き?』みたいな下ネタも苦手で、いつも適当に誤魔化していた気がする。
(いや、違う……違うって)
榛名はガバッと身を起こすと、あまり使わないノートパソコンが置いてるデスクに座ってその電源を付けた。
(俺はゲイなんかじゃないって……)
動画でも検索して視ようと思ったのだ。
それもとびきりエロいやつを。
榛名はAVやエロ本の類いなどは一冊も持っていなかった。
それは実家にいるときもそうだった。母親や姉に見つかったりしたら面倒だからだ。
「……」
(本当に、理由はそれだけ……?)
画面の量産型の女は、目を閉じて声をあげて男の愛撫に感じている。
多分、演技だろうけども。
下品に脚を開いて、甘えた声を出して男にすがりついて……
「うわっ……」
気づけば榛名は、その女に対して嫌悪感を抱いていた。
そしてそんな自分に吃驚した。
(AV見て興奮するでもなく、嫌悪するって俺……何で!?)
同類だと思ったのだ。
画面の中の女の姿は、先日自分が霧咲に曝した姿とまるで同じだった。あさましくて、淫乱で、強欲で……
榛名はその動画を消すとパソコンをシャットダウンした。
気分が悪い。
下半身は勃起するどころではなくすっかり萎えてしまっていた。
あなたにおすすめの小説
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~
柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】
人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。
その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。
完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。
ところがある日。
篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。
「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」
一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。
いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。
合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科
空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する
高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体
それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった
至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する
意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク”
消える教師
山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
俺は夜、社長の猫になる
衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。
ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。
言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。
タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。
けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。
魔性の男
久野字
BL
俺はとにかくモテる。学生の頃から、社会人になった今でも、異性問わずにモテてしまう。
最近、さえない同性の先輩に好意を持たれている。いつものことだろう。いい人だから、傷つけたくはないな。
そう、思っていた。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕