運命のひと~生真面目な看護師は意地悪イケメン医師に溺愛される~

すずなりたま

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17 落ち着かない休日*

 あっというまに土曜日が来た。
 榛名はせっかくの休みだというのに早起きし、朝からなんだか落ち着かない。
 溜まっていた洗濯や掃除、部屋の片付けを終わらせても、まだ時計の針は午前中のままだった。

「はぁ……」

(なんで朝からこんなに張り切ってんの、俺)

 こんなの、今日の夜霧咲と会うのを楽しみにしているみたいじゃないか、と榛名はため息をついた。
 楽しみにしているわけじゃない。
 どうせ断ったところで霧咲は強引だし、結局抵抗しても無駄だろうと最初から諦めているのだ。
  それに、ただ話すだけだったら普通に楽しい。
 霧咲は聞き上手だし、医者だし──そこにはほんの少し憧れの感情があることは否定しないが、あくまで医者として、だ。
 霧咲個人に対して憧れなんかない。
 ない……と思いたい。
 だから、もし今夜も誘われるようだったら、そこはちゃんと断らないといけない。
 まだ二回しか寝ていないとはいえ、今の二人の関係は所謂セックス・フレンドのようなものだ。
 榛名はそんな爛れた交友関係などいらない。

(でも、別に友達ではないな……) 

 友達ではなく、知人とセックスするだけの関係は一体なんと呼ぶのだろうか……と榛名はしばし真面目に考えたが、アホらしくなってやめた。 
 心底どうでもいいことだ。

(とにかく、このままだと絶対ハマる……)

 男とのセックスにハマる、もしくは男と恋人同士になる──どちらにせよ、泥沼の未来しか想像できない。
 面白味もないがまともな人生を歩んできたのに、今更そんな泥沼にハマるわけにはいかないのだ。

「──昼寝しよっかな」

 ひとりごちて、榛名はポスンとベッドに横になった。
 そしてまた霧咲のことを考えた。

(大体、俺のことをゲイだって言ってたけど、俺は女の子だって普通に抱けるし……)

 初めて霧咲に抱かれたあと、霧咲にされたことを思い出して自慰をしたのは失敗だったかもしれない。
 そのせいで、二回目に抱かれたときまたああいうことされるんだって妙に興奮してしまって……

(あ……なんか、またヤバイかも……)

 なんだか少し身体が疼いたが、必死に誤魔化そうとした。
 そういえば以前は、どうやって自慰をしていただろうか。

(何をオカズにしていたっけ? あんまり思い出せないや。そもそも彼女がいれば自慰なんてしてなかった気がする。しょっちゅうセックスしてたわけでもないのに……)

 そしてそういう行為に誘ってくるのも、いつも彼女からだった気がする。

(俺がフラレてたのって、それが原因かな?)

 思い返せば思春期の頃から、周りの男子が話していた『大きいおっぱいと小さいおっぱいどっちが好き?』みたいな下ネタも苦手で、いつも適当に誤魔化していた気がする。

(いや、違う……違うって)

 榛名はガバッと身を起こすと、あまり使わないノートパソコンが置いてるデスクに座ってその電源を付けた。

(俺はゲイなんかじゃないって……)

 動画でも検索して視ようと思ったのだ。
 それもとびきりエロいやつを。
 榛名はAVやエロ本の類いなどは一冊も持っていなかった。
 それは実家にいるときもそうだった。母親や姉に見つかったりしたら面倒だからだ。

「……」 

(本当に、理由はそれだけ……?)

 画面の量産型の女は、目を閉じて声をあげて男の愛撫に感じている。
 多分、演技だろうけども。
 下品に脚を開いて、甘えた声を出して男にすがりついて……

「うわっ……」

 気づけば榛名は、その女に対して嫌悪感を抱いていた。
   そしてそんな自分に吃驚した。

(AV見て興奮するでもなく、嫌悪するって俺……何で!?)

 同類だと思ったのだ。
 画面の中の女の姿は、先日自分が霧咲に曝した姿とまるで同じだった。あさましくて、淫乱で、強欲で……
 榛名はその動画を消すとパソコンをシャットダウンした。
 気分が悪い。
 下半身は勃起するどころではなくすっかり萎えてしまっていた。
感想 7

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