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〃
そしてそんな自分を嘲笑うかのように、堂島やあの男の台詞が頭を掠めた。
『彼女の一人や二人くらいとーぜんいるでしょうけどね』
『可哀想に、君は遊ばれていたんだよ』
(そんなこと、言われなくても分かってる)
本当に何度見ても、何回会っても霧咲はいい男で、榛名にはそんな霧咲に選ばれる理由など一つもないのだから。
でも、そう思うと急に胸が潰れそうに痛くなる。
霧咲が、榛名以外の男も抱いているのかと思うと……。
榛名以外にも同じように『可愛いね』『君が好きだ』と甘い睦言を囁いているのかと思うと……。
(好きだ……)
この気持ちは、嫉妬だ。
もう、誤魔化せない。
(俺は霧咲さんが、好きなんだ……)
たとえ霧咲が遊びだったとしても、榛名の方は本気になってしまった。
(馬鹿みたいだ、俺)
冗談みたいないい男に、冗談みたいな甘い言葉を浴びせられて、こんなにあっさりと好きになってしまうなんて。
いまどき十代の女の子でも、もう少し警戒するのではないだろうか。
「榛名?」
背後から声がした。
霧咲がシャワーから戻ってきたのだ。
顔を上げると、バスローブを着た霧咲の姿が窓ガラスに映っていた。
榛名はじんわり滲んできた涙をさっと手の甲で拭うと、なんでもないような顔で霧咲を振り返った。
「やっぱり景色すごくいいですよここ。俺の部屋からとか全然比べ物になんないです」
「そう」
「ワインの味は俺にはちょっとわかんないですけど、これって美味しいのかな? でもチョコレートを一緒に食べると美味しい気がします。霧咲さんも飲んでみてください」
「うん」
どうして霧咲は一言しか返事を返してくれないのだろうか。
榛名はなんだか焦ってしまい、いつもよりも饒舌になっている。
すると、霧咲がゆっくりと榛名に近づいてきた。
榛名は一瞬身体を強張らせたが、逃げ場はないので俯いてしまった。
(俺はいったい、どうしたいんだろう……)
それは、以前にも自分に問いかけた疑問。
霧咲に連絡先を渡されたけどどうしても掛けることができなくて、その理由を考えていた。
(男同士なんて、って思ってたのに……)
生産性がないと分かっていても、誰にも祝福されないと分かっていても、遊ばれていると分かっていても。
それでも自分は、霧咲に抱かれたいと思うのか?
以前の答えは、no.
しかし今の答えは、yesだった。
榛名はもう言い訳のしようもないくらいに、霧咲にハマってしまっている。
「榛名」
霧咲は榛名のすぐそばまで来て、榛名の顔をその大きな両手でそっと包み込み、顔を上げさせた。
(あ……)
キス、される。
霧咲の顔がそっと降りてきたので、そう思って目を閉じようとしたのだが。
「……なんで、さっきからそんなに泣きそうな顔をしてるの?」
不意にそんなことを聞かれて、榛名は目を閉じかけた目を見開いて霧咲を見つめ返した。
『彼女の一人や二人くらいとーぜんいるでしょうけどね』
『可哀想に、君は遊ばれていたんだよ』
(そんなこと、言われなくても分かってる)
本当に何度見ても、何回会っても霧咲はいい男で、榛名にはそんな霧咲に選ばれる理由など一つもないのだから。
でも、そう思うと急に胸が潰れそうに痛くなる。
霧咲が、榛名以外の男も抱いているのかと思うと……。
榛名以外にも同じように『可愛いね』『君が好きだ』と甘い睦言を囁いているのかと思うと……。
(好きだ……)
この気持ちは、嫉妬だ。
もう、誤魔化せない。
(俺は霧咲さんが、好きなんだ……)
たとえ霧咲が遊びだったとしても、榛名の方は本気になってしまった。
(馬鹿みたいだ、俺)
冗談みたいないい男に、冗談みたいな甘い言葉を浴びせられて、こんなにあっさりと好きになってしまうなんて。
いまどき十代の女の子でも、もう少し警戒するのではないだろうか。
「榛名?」
背後から声がした。
霧咲がシャワーから戻ってきたのだ。
顔を上げると、バスローブを着た霧咲の姿が窓ガラスに映っていた。
榛名はじんわり滲んできた涙をさっと手の甲で拭うと、なんでもないような顔で霧咲を振り返った。
「やっぱり景色すごくいいですよここ。俺の部屋からとか全然比べ物になんないです」
「そう」
「ワインの味は俺にはちょっとわかんないですけど、これって美味しいのかな? でもチョコレートを一緒に食べると美味しい気がします。霧咲さんも飲んでみてください」
「うん」
どうして霧咲は一言しか返事を返してくれないのだろうか。
榛名はなんだか焦ってしまい、いつもよりも饒舌になっている。
すると、霧咲がゆっくりと榛名に近づいてきた。
榛名は一瞬身体を強張らせたが、逃げ場はないので俯いてしまった。
(俺はいったい、どうしたいんだろう……)
それは、以前にも自分に問いかけた疑問。
霧咲に連絡先を渡されたけどどうしても掛けることができなくて、その理由を考えていた。
(男同士なんて、って思ってたのに……)
生産性がないと分かっていても、誰にも祝福されないと分かっていても、遊ばれていると分かっていても。
それでも自分は、霧咲に抱かれたいと思うのか?
以前の答えは、no.
しかし今の答えは、yesだった。
榛名はもう言い訳のしようもないくらいに、霧咲にハマってしまっている。
「榛名」
霧咲は榛名のすぐそばまで来て、榛名の顔をその大きな両手でそっと包み込み、顔を上げさせた。
(あ……)
キス、される。
霧咲の顔がそっと降りてきたので、そう思って目を閉じようとしたのだが。
「……なんで、さっきからそんなに泣きそうな顔をしてるの?」
不意にそんなことを聞かれて、榛名は目を閉じかけた目を見開いて霧咲を見つめ返した。
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