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23 榛名の告白
霧咲は少し目を細めて、まっすぐに榛名を見つめている。
二人の身長差は10センチくらいなので、顔を上げればすぐにキスできる距離だ。
そんな距離で顔を固定されて、離れることはできない。
もちろん、榛名は目を逸らすこともできなかった。
「さっき泣いてただろう。どうして?」
「ろ、ローズでのことですか?」
「違うよ、今さっきここでだ。俺が話しかける前、君は泣いていたね?」
「……っ」
霧咲は目つきも、声も厳しい。
榛名には逃げ場の余地も与えないといった様子だ。
「俺を誤魔化せると思ってる? そんなに目を赤くして……」
「これは、酔っぱらってるから」
「榛名。正直に言うまで離してあげないよ」
「……っ」
(どうしてって……なんでそんなことを聞くんだよ)
また、視界がぼやけてきた。
霧咲のせいで涙が出るのに、それを他でもない霧咲自身から理由を聞かれているのが悲しかった。
榛名は無意識に下唇を強く噛んだが、霧咲に「こら」と親指で触れられて思わず口が開く。
それと同時に、耐えきれなくなった涙が頬を伝って落ちた。
「……っ」
(俺、今日は泣いてばっかりだ。大人なのに、かっこ悪い……)
「榛名……ごめん。聞き方が悪かった。頼むからそんなに泣かないでくれ。どうしていいか分からなくなる」
榛名の顔をがっちりと固定していた霧咲の手の力が軽くなり、そのまま涙をぬぐうように頬を撫でた。
まるで子供をあやしているような仕草だと思った。
そして、その手の優しさに絆されて……榛名は自然に霧咲に問いかけた。
「俺以外にも……いるんでしょ?」
「え?」
霧咲が拍子抜けした声を出す。
榛名はぼやけた視界で霧咲の目を真っ直ぐに見つめて訊いた。
「俺のことも、遊びなんでしょう……?」
「は……?」
「そんなの、分かってますけどっ」
何度目かの涙腺が決壊して涙が溢れた。
分かっていても、はっきり言葉にすると辛い。
霧咲はなんとも言いがたいような顔で榛名を見つめている。
榛名の涙を拭うことも忘れてしまったようで、榛名はそれを自分の問いかけへの肯定だと受け取った。
「でも……でも俺は、」
榛名は、霧咲のバスローブの胸元辺りをぎゅうっと握った。
離れて行かないで、とでも願うように。
「貴方のことが……」
自分がみじめで、最後までは言えなかった。
代わりに、霧咲の胸へとすがりついた。
霧咲を誰にも渡したくない。選ばれるわけもないのに、なんて我儘なんだろう。
それでも今夜は出逢った日の夜みたいに、『好きだ』と言い合って恋人のように抱き合いたいのだ。
偽りでも、構わないから。
「榛名……君って、本当に……」
突然霧咲が、強い力で榛名の身体を抱き締めてきた。
「!?」
再び、榛名の心臓は落ち着かなくなった。
今度はダイレクトに霧咲に伝わっているのだろうが、もう気にしたら負けだ、と思った。
「遊びだなんて、誰が言った?」
榛名の耳元で霧咲が言った。
榛名は洟をすすりながら、蚊の鳴くような声で答えた。
「さっきの男が、霧咲さんもローズの常連ならきっと遊んでるって……だから俺のこともそうだろうって……」
榛名の涙は止まることはない。
けれどその涙は全て霧咲のバスローブの中へ消えていった。
二人の身長差は10センチくらいなので、顔を上げればすぐにキスできる距離だ。
そんな距離で顔を固定されて、離れることはできない。
もちろん、榛名は目を逸らすこともできなかった。
「さっき泣いてただろう。どうして?」
「ろ、ローズでのことですか?」
「違うよ、今さっきここでだ。俺が話しかける前、君は泣いていたね?」
「……っ」
霧咲は目つきも、声も厳しい。
榛名には逃げ場の余地も与えないといった様子だ。
「俺を誤魔化せると思ってる? そんなに目を赤くして……」
「これは、酔っぱらってるから」
「榛名。正直に言うまで離してあげないよ」
「……っ」
(どうしてって……なんでそんなことを聞くんだよ)
また、視界がぼやけてきた。
霧咲のせいで涙が出るのに、それを他でもない霧咲自身から理由を聞かれているのが悲しかった。
榛名は無意識に下唇を強く噛んだが、霧咲に「こら」と親指で触れられて思わず口が開く。
それと同時に、耐えきれなくなった涙が頬を伝って落ちた。
「……っ」
(俺、今日は泣いてばっかりだ。大人なのに、かっこ悪い……)
「榛名……ごめん。聞き方が悪かった。頼むからそんなに泣かないでくれ。どうしていいか分からなくなる」
榛名の顔をがっちりと固定していた霧咲の手の力が軽くなり、そのまま涙をぬぐうように頬を撫でた。
まるで子供をあやしているような仕草だと思った。
そして、その手の優しさに絆されて……榛名は自然に霧咲に問いかけた。
「俺以外にも……いるんでしょ?」
「え?」
霧咲が拍子抜けした声を出す。
榛名はぼやけた視界で霧咲の目を真っ直ぐに見つめて訊いた。
「俺のことも、遊びなんでしょう……?」
「は……?」
「そんなの、分かってますけどっ」
何度目かの涙腺が決壊して涙が溢れた。
分かっていても、はっきり言葉にすると辛い。
霧咲はなんとも言いがたいような顔で榛名を見つめている。
榛名の涙を拭うことも忘れてしまったようで、榛名はそれを自分の問いかけへの肯定だと受け取った。
「でも……でも俺は、」
榛名は、霧咲のバスローブの胸元辺りをぎゅうっと握った。
離れて行かないで、とでも願うように。
「貴方のことが……」
自分がみじめで、最後までは言えなかった。
代わりに、霧咲の胸へとすがりついた。
霧咲を誰にも渡したくない。選ばれるわけもないのに、なんて我儘なんだろう。
それでも今夜は出逢った日の夜みたいに、『好きだ』と言い合って恋人のように抱き合いたいのだ。
偽りでも、構わないから。
「榛名……君って、本当に……」
突然霧咲が、強い力で榛名の身体を抱き締めてきた。
「!?」
再び、榛名の心臓は落ち着かなくなった。
今度はダイレクトに霧咲に伝わっているのだろうが、もう気にしたら負けだ、と思った。
「遊びだなんて、誰が言った?」
榛名の耳元で霧咲が言った。
榛名は洟をすすりながら、蚊の鳴くような声で答えた。
「さっきの男が、霧咲さんもローズの常連ならきっと遊んでるって……だから俺のこともそうだろうって……」
榛名の涙は止まることはない。
けれどその涙は全て霧咲のバスローブの中へ消えていった。
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