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〃
「こっちの二人も僕から紹介しますね。奥の彼は夏木功太といって……僕の恋人です」
「えっ、恋人!?」
「はい」
好青年は少し恥ずかしそうにはにかんで、マスターは肯定した。
そう言えば霧咲が、この間の常連客の中にマスターの恋人がいたと言っていた気がする。
「初めまして、夏木です。あっ、よかったら名刺をどうぞ……よろしくお願いします」
仕事は営業なのだろうか。慣れた手つきで名刺を取り出すと、丁寧に頭を下げてくれた。
榛名と霧咲もぺこりと頭を下げて、名刺を受けとった。
「それとこっちが広川皐月くん。僕の兄の恋人です」
「え、お兄さんの?」
それって二人はどういう関係になるんだっけ? と榛名は一瞬考えた。
別に考える必要はないのだが。
「どうも広川です。リュートさんは俺のお兄さんみたいな存在なんです。夏木とは部署は違いますけど、同期で友達です。それともうすぐ俺の恋人も来ますので、来たら紹介させてくださいね! あっ、俺も是非名刺を!」
「あっ、そんないいですよ、俺は名刺とか持ってないので……」
「え、きみ持ってないの?」
霧咲に意外だ、という顔で言われたので、榛名は心外だ、という顔で言い返した。
「医療関係者は普通持たないでしょう?」
「こういう時に便利なんだよ。格好が着くだろう?」
「……」
霧咲は普通に懐から名刺入れを出して、「霧咲誠人です、腎臓外科医です、よろしく」と挨拶をしながら夏木と広川に名刺を渡していた。ついでに榛名にも一枚くれた。
何で医者が名刺を持ってるんだと榛名はツッコみたかったが、また何か言い返されそうだったのでやめておいた。
「飲み物、霧咲さんはいつもと同じカミカゼでいいですか? 榛名さんはどうします?」
「あ、じゃあ、俺も……」
「たまには違うのを頼んでみたら? どうせこの間もカミカゼしか飲んでないんだろう」
榛名は霧咲のようにこだわりがあって――何のこだわりかは分からないが――カミカゼを飲んでいるわけではない。
それを見透かされたのか、霧咲にそんなことを言われたので口を尖らせて言い返す。
「だってカクテルの種類、それしかわかんないんだから仕方ないじゃないですか」
「そういうときこそ、マスターにオススメを訊くものだよ」
榛名がマスターをちらりと見ると、マスターは霧咲の言葉を受け取ってなにやらお薦めを教えてくれた。
「あまり甘くない柑橘系のカクテルがお好きなのでしたら、ギムレットなんかがお薦めですよ。一度飲んでみますか? こちらはジンとライムのカクテルになります」
「あ、じゃあそのギ……それをお願いします」
「ギムレット、ね」
「わかってますよっ」
いちいちうるさいなぁと思って霧咲を睨むと、ニヤニヤと笑っていた。
どうやらまたからかわれたらしい。
榛名が反応すればするほど霧咲には楽しいようだ。
榛名は少し頬を膨らませて、ふんっと鼻息を荒くした。
マスターがシェイカーを振り出すと、榛名は霧咲から目線を外してそちらを見た。
美人なマスターがシェイカーを振る姿は何度見ても色っぽくて、榛名はいつもぽーっと見惚れてしまう。
「俺がローズに通う理由がなんとなく分かるだろ?」
「すごくわかります」
「……あんまり見つめられると、緊張するんですけど」
マスターが少し恥ずかしそうに笑った。
「リュートさんはほんとに美人だから見惚れても仕方ないと思います! な、夏木っ」
「当たり前だろ、俺の恋人なんだからな」
「功太ってば……」
恋人にそう言われて照れるマスターは、美人だけど可愛いな、と榛名は思った。
そして榛名と霧咲にカクテルが出されて、マスターも一緒に5人で乾杯をした。
「えっ、恋人!?」
「はい」
好青年は少し恥ずかしそうにはにかんで、マスターは肯定した。
そう言えば霧咲が、この間の常連客の中にマスターの恋人がいたと言っていた気がする。
「初めまして、夏木です。あっ、よかったら名刺をどうぞ……よろしくお願いします」
仕事は営業なのだろうか。慣れた手つきで名刺を取り出すと、丁寧に頭を下げてくれた。
榛名と霧咲もぺこりと頭を下げて、名刺を受けとった。
「それとこっちが広川皐月くん。僕の兄の恋人です」
「え、お兄さんの?」
それって二人はどういう関係になるんだっけ? と榛名は一瞬考えた。
別に考える必要はないのだが。
「どうも広川です。リュートさんは俺のお兄さんみたいな存在なんです。夏木とは部署は違いますけど、同期で友達です。それともうすぐ俺の恋人も来ますので、来たら紹介させてくださいね! あっ、俺も是非名刺を!」
「あっ、そんないいですよ、俺は名刺とか持ってないので……」
「え、きみ持ってないの?」
霧咲に意外だ、という顔で言われたので、榛名は心外だ、という顔で言い返した。
「医療関係者は普通持たないでしょう?」
「こういう時に便利なんだよ。格好が着くだろう?」
「……」
霧咲は普通に懐から名刺入れを出して、「霧咲誠人です、腎臓外科医です、よろしく」と挨拶をしながら夏木と広川に名刺を渡していた。ついでに榛名にも一枚くれた。
何で医者が名刺を持ってるんだと榛名はツッコみたかったが、また何か言い返されそうだったのでやめておいた。
「飲み物、霧咲さんはいつもと同じカミカゼでいいですか? 榛名さんはどうします?」
「あ、じゃあ、俺も……」
「たまには違うのを頼んでみたら? どうせこの間もカミカゼしか飲んでないんだろう」
榛名は霧咲のようにこだわりがあって――何のこだわりかは分からないが――カミカゼを飲んでいるわけではない。
それを見透かされたのか、霧咲にそんなことを言われたので口を尖らせて言い返す。
「だってカクテルの種類、それしかわかんないんだから仕方ないじゃないですか」
「そういうときこそ、マスターにオススメを訊くものだよ」
榛名がマスターをちらりと見ると、マスターは霧咲の言葉を受け取ってなにやらお薦めを教えてくれた。
「あまり甘くない柑橘系のカクテルがお好きなのでしたら、ギムレットなんかがお薦めですよ。一度飲んでみますか? こちらはジンとライムのカクテルになります」
「あ、じゃあそのギ……それをお願いします」
「ギムレット、ね」
「わかってますよっ」
いちいちうるさいなぁと思って霧咲を睨むと、ニヤニヤと笑っていた。
どうやらまたからかわれたらしい。
榛名が反応すればするほど霧咲には楽しいようだ。
榛名は少し頬を膨らませて、ふんっと鼻息を荒くした。
マスターがシェイカーを振り出すと、榛名は霧咲から目線を外してそちらを見た。
美人なマスターがシェイカーを振る姿は何度見ても色っぽくて、榛名はいつもぽーっと見惚れてしまう。
「俺がローズに通う理由がなんとなく分かるだろ?」
「すごくわかります」
「……あんまり見つめられると、緊張するんですけど」
マスターが少し恥ずかしそうに笑った。
「リュートさんはほんとに美人だから見惚れても仕方ないと思います! な、夏木っ」
「当たり前だろ、俺の恋人なんだからな」
「功太ってば……」
恋人にそう言われて照れるマスターは、美人だけど可愛いな、と榛名は思った。
そして榛名と霧咲にカクテルが出されて、マスターも一緒に5人で乾杯をした。
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