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38 お持ち帰り宣言
榛名は赤くなった目を水で洗って、ペーパータオルで拭いた。
「もう、泣いたのわかりませんかね……?」
「いいじゃないか、別にバレたって。これからは泣き上戸キャラになればいい」
「そんな、今まで俺が築いてきたイメージが台無しじゃないですか!」
「イメージを作ってたのかい」
榛名はもう一度鏡を見て自分の顔を確認した。
今は自分も含めて皆酔っているし、多少目が赤くても誤魔化せるだろう。
霧咲と二人で席に戻ると、もうラストオーダーを取っていた。
有坂が目敏く榛名を見つけて声をかける。
「あ~主任! どこ行ってたんですかぁ? 戻ってくるのおそいですよぉ~!」
「ええと、ちょっと飲みすぎたみたいだからトイレに行ったあと夜風に当たってたんだ……」
「あれ? ちょっと目が赤いですよ?」
更に目敏く指摘されて、ギクリとした。
(も、もうバレた……!?)
すると、霧咲が助け船を出してくれた。
「二人で話しててね、今まで腎臓外科医が不在で色々大変だったけど、俺が来てくれて本当によかったって感動して泣いてたんだよ、榛名さんは。医者冥利に尽きる話だよね」
「え~! 榛名主任、仕事の鬼ですぅ~!!」
「あはは……」
なんとかうまい具合に誤魔化せたようだ。
霧咲に感謝しなければ……。
「そーいえば堂島くん、先に帰っちゃったんですよぉ! あのお祭り男が二次会にも行かずにー!! 珍しいですよね!」
「そう……なの?」
堂島は、榛名たちのことは何も言っていなかったらしい。
言ったとしても窮地に立つのは多分そっちだから当たり前だが、榛名は安堵した。
「主任たちはどうされますか? 明日は休みですし、みんなでカラオケ行きましょうよ~っ! 霧咲先生も是非!」
その誘いに答えたのは、霧咲だった。
「悪いけど、今日はこれで失礼するね。榛名さんも具合が悪そうだからタクシーで送ってくよ」
「え!?」
(そ、そんな堂々とお持ち帰り宣言する!?)
少し焦ったが、別に男同士だし何もおかしいことはなかった。
「榛名主任、大丈夫ですか?」
有坂の後ろから榛名を心配してくれたのは二宮だった。
ずっと一緒に呑んでいたからだろうか。
彼だけは、一向に戻ってこない榛名をずっと気にしていたのかもしれない。
そう思うと、少し申し訳なく思った。
「いや、さすがに芋焼酎をストレートで飲み続けるのは無理だったみたいで……もう若くないですね」
「俺より年下のくせに何言ってるんですか? あの、主任。今度プライベートで呑みにいきませんか? 結構いい店知ってるんですよ」
「え、っと……」
二宮の誘いを断る理由はない。
ないけども、霧咲の前で簡単に了承するわけにもいかないと思い、榛名は一瞬吃ってしまった。
すると。
「二宮くん、それ俺も行っていいかい? 今日焼酎呑んで結構はまっちゃったんだよ~!」
そう言ってきたのは奥本で、榛名は正直助かった……と思った。
「勿論ですよ。良かったら霧咲先生も行きませんか?」
「え、俺もいいの?」
「今日あんまり話せなかったので……焼酎が苦手じゃなかったら、是非」
「じゃあ、開拓してみようかな」
社交辞令かもしれないが、二宮は榛名と一緒にいる霧咲にも声をかけた。
榛名はそんな二宮にますます好感を持った。
「堂島くんもこうやって主任を誘えば断られないかもしれないのに、本当に残念な男ですぅ……」
「奴はまだまだ青いのよ」
有坂と富永が謎の会話をしていた。
そして若葉がタクシーを捕まえてくれて、榛名と霧咲はやや乱暴にタクシーの後部座席に押し込まれた。
「霧咲先生、榛名主任をよろしくお願いしますね!」
「うん、無事に家まで送り届けるよ。わざわざタクシーを捕まえてくれてありがとう、若葉さん」
「いいえー、お安い御用です!」
若葉の言葉に何か邪なものを感じたが、『考えすぎかな』と榛名は思い、タクシーの窓からスタッフ達に手を振った。
タクシーの中で榛名と霧咲は一言も喋らなかったが、ずっとお互いの指をしっかりと絡ませ合っていた。
酔っているせいもあるが、先程と同じで霧咲に触れているだけでなんだか身体が熱くなってくる。
早くマンションに着いてほしい、と榛名は願った。
「もう、泣いたのわかりませんかね……?」
「いいじゃないか、別にバレたって。これからは泣き上戸キャラになればいい」
「そんな、今まで俺が築いてきたイメージが台無しじゃないですか!」
「イメージを作ってたのかい」
榛名はもう一度鏡を見て自分の顔を確認した。
今は自分も含めて皆酔っているし、多少目が赤くても誤魔化せるだろう。
霧咲と二人で席に戻ると、もうラストオーダーを取っていた。
有坂が目敏く榛名を見つけて声をかける。
「あ~主任! どこ行ってたんですかぁ? 戻ってくるのおそいですよぉ~!」
「ええと、ちょっと飲みすぎたみたいだからトイレに行ったあと夜風に当たってたんだ……」
「あれ? ちょっと目が赤いですよ?」
更に目敏く指摘されて、ギクリとした。
(も、もうバレた……!?)
すると、霧咲が助け船を出してくれた。
「二人で話しててね、今まで腎臓外科医が不在で色々大変だったけど、俺が来てくれて本当によかったって感動して泣いてたんだよ、榛名さんは。医者冥利に尽きる話だよね」
「え~! 榛名主任、仕事の鬼ですぅ~!!」
「あはは……」
なんとかうまい具合に誤魔化せたようだ。
霧咲に感謝しなければ……。
「そーいえば堂島くん、先に帰っちゃったんですよぉ! あのお祭り男が二次会にも行かずにー!! 珍しいですよね!」
「そう……なの?」
堂島は、榛名たちのことは何も言っていなかったらしい。
言ったとしても窮地に立つのは多分そっちだから当たり前だが、榛名は安堵した。
「主任たちはどうされますか? 明日は休みですし、みんなでカラオケ行きましょうよ~っ! 霧咲先生も是非!」
その誘いに答えたのは、霧咲だった。
「悪いけど、今日はこれで失礼するね。榛名さんも具合が悪そうだからタクシーで送ってくよ」
「え!?」
(そ、そんな堂々とお持ち帰り宣言する!?)
少し焦ったが、別に男同士だし何もおかしいことはなかった。
「榛名主任、大丈夫ですか?」
有坂の後ろから榛名を心配してくれたのは二宮だった。
ずっと一緒に呑んでいたからだろうか。
彼だけは、一向に戻ってこない榛名をずっと気にしていたのかもしれない。
そう思うと、少し申し訳なく思った。
「いや、さすがに芋焼酎をストレートで飲み続けるのは無理だったみたいで……もう若くないですね」
「俺より年下のくせに何言ってるんですか? あの、主任。今度プライベートで呑みにいきませんか? 結構いい店知ってるんですよ」
「え、っと……」
二宮の誘いを断る理由はない。
ないけども、霧咲の前で簡単に了承するわけにもいかないと思い、榛名は一瞬吃ってしまった。
すると。
「二宮くん、それ俺も行っていいかい? 今日焼酎呑んで結構はまっちゃったんだよ~!」
そう言ってきたのは奥本で、榛名は正直助かった……と思った。
「勿論ですよ。良かったら霧咲先生も行きませんか?」
「え、俺もいいの?」
「今日あんまり話せなかったので……焼酎が苦手じゃなかったら、是非」
「じゃあ、開拓してみようかな」
社交辞令かもしれないが、二宮は榛名と一緒にいる霧咲にも声をかけた。
榛名はそんな二宮にますます好感を持った。
「堂島くんもこうやって主任を誘えば断られないかもしれないのに、本当に残念な男ですぅ……」
「奴はまだまだ青いのよ」
有坂と富永が謎の会話をしていた。
そして若葉がタクシーを捕まえてくれて、榛名と霧咲はやや乱暴にタクシーの後部座席に押し込まれた。
「霧咲先生、榛名主任をよろしくお願いしますね!」
「うん、無事に家まで送り届けるよ。わざわざタクシーを捕まえてくれてありがとう、若葉さん」
「いいえー、お安い御用です!」
若葉の言葉に何か邪なものを感じたが、『考えすぎかな』と榛名は思い、タクシーの窓からスタッフ達に手を振った。
タクシーの中で榛名と霧咲は一言も喋らなかったが、ずっとお互いの指をしっかりと絡ませ合っていた。
酔っているせいもあるが、先程と同じで霧咲に触れているだけでなんだか身体が熱くなってくる。
早くマンションに着いてほしい、と榛名は願った。
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