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〃
「聞いてないんですか? やぁだもう~、知らなかったからって霧咲先生をしつこく引き留めないでくださいよ?」
「え、ええ……」
だからそういう返事しか、今の榛名にはできなかった。
「あの、そろそろ松田さん準備ができたかもしれないので、僕はこれで……」
「あ、ちょっと待ってください! 男のあなただから聞きますけど、やっぱり霧咲先生はT病院でもモテてますか?」
「はい?」
なんだ、その俗な質問は。
彼女が霧咲へ抱いているだろうと思われる気持ちが急に確信に変わる。
榛名はしどろもどろになりながらも答えた。
「ま、まあそれなりですかね……他の病棟のナースから声かけられたりしてますよ。あんなイケメンな先生うちには他にいませんから。……んと、霧咲先生はやっぱりK大でもモテモテなんですか?」
榛名もそれとなく質問してみた。
別に本気で聞きたいわけでもないのだが、なんとなく、話の流れとしてだ。
「勿論人気ですけど、やっぱり結婚されてますしねー、それでも不倫狙いって人はちらほらいます」
「えっ?」
榛名は思わず聞き返した。
自分の聞き間違いかと思って、彼女の目ををじっと見つめ返す。
(結婚、してる……?)
「あれ? もしかして聞いてないですか? まあ、霧咲先生指輪してませんしねぇ。オペが多いからいちいち外すのが面倒なのかなって思ってますけど。結婚してますよ、霧咲先生。よかったらそちらの病院でも広めてあげてください、合コンの誘いとか断るのいちいち面倒くさそうなんで」
「そ……そう、なんですか……」
念を押されるように言われて、自分の聞き間違いではないということは理解した。
けれど、その言葉の意味は全く理解できない。
「あのー、ちょっとびっくりしすぎじゃないですか?」
「えっ!? いやその、衝撃的だったもので……!」
「そっちじゃそんなに独身ぶってるんですか? 霧咲先生ってば! やだぁもぉ~」
もはや口が脳を支配して勝手に喋っているようだった。
榛名は、さっきの彼女の言葉がまだ処理できていない。
(結婚してる? 霧咲さんが? 誰と?)
とりあえず今榛名が理解しているのは、霧咲と結婚している相手は自分ではない、ということだけだった。
榛名がその事実に衝撃を受けていると知ってか知らずか、彼女は続けた。まるで楽しい話題かのように。
「奥さんっぽい人が透析室に会いに来てたこともありますよ。確か小学生くらいの娘さんと一緒に」
「ムスメさん!?」
(娘? 娘って……こども? ……こどもまでいたの?)
「すっごい可愛かったですよー、霧咲先生にソックリで。でもそっかあ、そっちでは独身のフリしてるんですね。もしかして奥さんとうまくいってないのかな? ふふ、良い情報聞かせてもらいました。後妻の座でも狙っちゃおうかなー、私は初婚ですけど、霧咲先生なら全然アリですよね!」
「はは……」
(何がアリなんだか、全然分からない……)
それからも彼女は何か話していたが、全て榛名の中を通り抜けていって何を話したのか覚えていない。
でも最後まで彼女は笑顔だったので、きっと自分も普通に返事を返していたのだろう。
榛名が松田氏の部屋へ戻ると退院の準備ができていたので、部屋持ちの看護師から申し送りを受けると、榛名はぼうっとしたまま松田氏とともにT病院へと帰った。
「え、ええ……」
だからそういう返事しか、今の榛名にはできなかった。
「あの、そろそろ松田さん準備ができたかもしれないので、僕はこれで……」
「あ、ちょっと待ってください! 男のあなただから聞きますけど、やっぱり霧咲先生はT病院でもモテてますか?」
「はい?」
なんだ、その俗な質問は。
彼女が霧咲へ抱いているだろうと思われる気持ちが急に確信に変わる。
榛名はしどろもどろになりながらも答えた。
「ま、まあそれなりですかね……他の病棟のナースから声かけられたりしてますよ。あんなイケメンな先生うちには他にいませんから。……んと、霧咲先生はやっぱりK大でもモテモテなんですか?」
榛名もそれとなく質問してみた。
別に本気で聞きたいわけでもないのだが、なんとなく、話の流れとしてだ。
「勿論人気ですけど、やっぱり結婚されてますしねー、それでも不倫狙いって人はちらほらいます」
「えっ?」
榛名は思わず聞き返した。
自分の聞き間違いかと思って、彼女の目ををじっと見つめ返す。
(結婚、してる……?)
「あれ? もしかして聞いてないですか? まあ、霧咲先生指輪してませんしねぇ。オペが多いからいちいち外すのが面倒なのかなって思ってますけど。結婚してますよ、霧咲先生。よかったらそちらの病院でも広めてあげてください、合コンの誘いとか断るのいちいち面倒くさそうなんで」
「そ……そう、なんですか……」
念を押されるように言われて、自分の聞き間違いではないということは理解した。
けれど、その言葉の意味は全く理解できない。
「あのー、ちょっとびっくりしすぎじゃないですか?」
「えっ!? いやその、衝撃的だったもので……!」
「そっちじゃそんなに独身ぶってるんですか? 霧咲先生ってば! やだぁもぉ~」
もはや口が脳を支配して勝手に喋っているようだった。
榛名は、さっきの彼女の言葉がまだ処理できていない。
(結婚してる? 霧咲さんが? 誰と?)
とりあえず今榛名が理解しているのは、霧咲と結婚している相手は自分ではない、ということだけだった。
榛名がその事実に衝撃を受けていると知ってか知らずか、彼女は続けた。まるで楽しい話題かのように。
「奥さんっぽい人が透析室に会いに来てたこともありますよ。確か小学生くらいの娘さんと一緒に」
「ムスメさん!?」
(娘? 娘って……こども? ……こどもまでいたの?)
「すっごい可愛かったですよー、霧咲先生にソックリで。でもそっかあ、そっちでは独身のフリしてるんですね。もしかして奥さんとうまくいってないのかな? ふふ、良い情報聞かせてもらいました。後妻の座でも狙っちゃおうかなー、私は初婚ですけど、霧咲先生なら全然アリですよね!」
「はは……」
(何がアリなんだか、全然分からない……)
それからも彼女は何か話していたが、全て榛名の中を通り抜けていって何を話したのか覚えていない。
でも最後まで彼女は笑顔だったので、きっと自分も普通に返事を返していたのだろう。
榛名が松田氏の部屋へ戻ると退院の準備ができていたので、部屋持ちの看護師から申し送りを受けると、榛名はぼうっとしたまま松田氏とともにT病院へと帰った。
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