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〃
羽田空港に着いて宮崎行きの便を探したが、出発まではだいぶ時間があった。
(そういえばお昼ご飯食べ損ねてたっけ)
簡単に昼食を摂ろうと思って、目についたカフェ風のレストランに入った。
1人がけのテーブルに案内されたあと、霧咲にメールを送る。
『父が倒れたと母から連絡があり、今から宮崎に帰ります。もしかすると26日までに戻ってこれないかもしれません。その時はまた埋め合わせさせてください』
(何の埋め合わせだよ……)
埋めるものなんて、もう何もないのに。
すると、メールではなくて電話が掛かってきた。
霧咲はいつもメールの返事は電話で返すことが多いのだ。
いちいちメールを打つのが面倒なのだろう。
『了解』の二文字だけでも構わないのに。
「は、はい、もしもし?」
『もしもし? メール読んだけど、お父さんは大丈夫なの? 君は今どこにいるんだ?』
「え、と、俺は今羽田です。出発が3時なのでだいぶ余裕ですけど……容体はわかりません、母がパニックになってて、落ち着いたら連絡をくれると思うんですけど……。あの、霧咲さんは今どちらに?」
確か関西の方に出張だと言ってたけど、一体関西のどこなのだろう。
『俺は今大阪にいるよ。どこもかしこも関西弁が飛び交っていて非常に新鮮だ、まあ方言なら君のが一番可愛いけどね。今度二人でUSJに行きたいな、ディ〇ニーランドより楽しめそうだし』
「いいですね、俺も行ってみたいです」
霧咲は、デ〇ズニーランドには家族と一緒に行ったのだろうか。
榛名も彼女と行ったことはあるが、キャラクターに興味はないし、アトラクションは長時間並ばされるばかりで疲れた思い出しかなかった。
『ごめんね、お父さんが大変な時に。昨日の夜は出張の準備が忙しくって君の声が聞けなかったからさ……』
「……」
『榛名?』
(俺のこと、考えてくれてたんだ……)
じわりと、胸が熱くなっていく。
(父親のところよりも、霧咲さんのいる大阪に行きたいな……)
ふとそんなことを思ってしまったが、ぶんぶんと頭を振って考え直した。さすがに親不孝すぎる。
同性を好きになって、もう戻れなくなっている時点でじゅうぶん親不孝だとは思うけれど──。
『……榛名、どうしたの?』
「あっ……いや、なんでもありません」
霧咲の言葉に感動してボケっとしていたが、いつの間にか料理も目の前に運ばれてきている。
ちなみに榛名が頼んだのは、昼に食べ損ねたミートスパゲティだった。
このまま話し続けていると周囲に迷惑かもしれないが、切りたくなかったので榛名は小声で話すことにした。
『そういえば君、体調不良は? ノロかもとか言ってただろ、大丈夫なのかい?』
「あ……それはもう治りました。ノっ……じゃ、なかったみたいです、ご心配をおかけしてすみません」
飲食店で「ノロ」なんて言ったら、店員に睨まれて追い出されそうだ。
周りの様子を伺ったが、特に睨まれてはいないようだった。
隣のテーブルのサラリーマンが、少し煩わしそうな顔をしているが。
『君、今羽田のどこにいるの?』
「レストランです」
『そっか、そりゃあノロなんて単語は出せないね。とりあえず一旦切ろうか?』
「……はい」
無意識に落ち込んだ声を出していたのだろうか?
霧咲が電話の向こうでクスクスと笑った。
『そんなに残念そうな声を出さないでくれよ。26日まで会えなくて淋しいのは俺も同じだけどね。……あ、君は帰ってこれないかもしれないのか』
「父の容体によって、ですけど。何日連続で休めるかもわからないので」
『そっか。ねえ、榛名』
「なんですか?」
突然、霧咲の声のトーンが変わった。
『……次に会ったとき、大事な話があるんだ』
「!」
ドクン、と心臓が大きく高鳴った。
『ちょっと込み入った内容だから、電話じゃなくて直接話したいんだよ』
やはり、霧咲は家族のことを榛名に話すつもりでいるのだ。
そして、別れを告げるつもりなのだと……。
「わ、かり、ました……」
震える声で、なんとか返事をする。
『じゃあ、また夜に電話かけれたらかけるね。忙しかったら出なくていいから』
「ハイ」
通話が切れた。やや復活しかけていた食欲は、またどこかに消え失せてしまった。
榛名はパスタを二口ほど食べると、そのまま勘定をしてその店を出た。
(そういえばお昼ご飯食べ損ねてたっけ)
簡単に昼食を摂ろうと思って、目についたカフェ風のレストランに入った。
1人がけのテーブルに案内されたあと、霧咲にメールを送る。
『父が倒れたと母から連絡があり、今から宮崎に帰ります。もしかすると26日までに戻ってこれないかもしれません。その時はまた埋め合わせさせてください』
(何の埋め合わせだよ……)
埋めるものなんて、もう何もないのに。
すると、メールではなくて電話が掛かってきた。
霧咲はいつもメールの返事は電話で返すことが多いのだ。
いちいちメールを打つのが面倒なのだろう。
『了解』の二文字だけでも構わないのに。
「は、はい、もしもし?」
『もしもし? メール読んだけど、お父さんは大丈夫なの? 君は今どこにいるんだ?』
「え、と、俺は今羽田です。出発が3時なのでだいぶ余裕ですけど……容体はわかりません、母がパニックになってて、落ち着いたら連絡をくれると思うんですけど……。あの、霧咲さんは今どちらに?」
確か関西の方に出張だと言ってたけど、一体関西のどこなのだろう。
『俺は今大阪にいるよ。どこもかしこも関西弁が飛び交っていて非常に新鮮だ、まあ方言なら君のが一番可愛いけどね。今度二人でUSJに行きたいな、ディ〇ニーランドより楽しめそうだし』
「いいですね、俺も行ってみたいです」
霧咲は、デ〇ズニーランドには家族と一緒に行ったのだろうか。
榛名も彼女と行ったことはあるが、キャラクターに興味はないし、アトラクションは長時間並ばされるばかりで疲れた思い出しかなかった。
『ごめんね、お父さんが大変な時に。昨日の夜は出張の準備が忙しくって君の声が聞けなかったからさ……』
「……」
『榛名?』
(俺のこと、考えてくれてたんだ……)
じわりと、胸が熱くなっていく。
(父親のところよりも、霧咲さんのいる大阪に行きたいな……)
ふとそんなことを思ってしまったが、ぶんぶんと頭を振って考え直した。さすがに親不孝すぎる。
同性を好きになって、もう戻れなくなっている時点でじゅうぶん親不孝だとは思うけれど──。
『……榛名、どうしたの?』
「あっ……いや、なんでもありません」
霧咲の言葉に感動してボケっとしていたが、いつの間にか料理も目の前に運ばれてきている。
ちなみに榛名が頼んだのは、昼に食べ損ねたミートスパゲティだった。
このまま話し続けていると周囲に迷惑かもしれないが、切りたくなかったので榛名は小声で話すことにした。
『そういえば君、体調不良は? ノロかもとか言ってただろ、大丈夫なのかい?』
「あ……それはもう治りました。ノっ……じゃ、なかったみたいです、ご心配をおかけしてすみません」
飲食店で「ノロ」なんて言ったら、店員に睨まれて追い出されそうだ。
周りの様子を伺ったが、特に睨まれてはいないようだった。
隣のテーブルのサラリーマンが、少し煩わしそうな顔をしているが。
『君、今羽田のどこにいるの?』
「レストランです」
『そっか、そりゃあノロなんて単語は出せないね。とりあえず一旦切ろうか?』
「……はい」
無意識に落ち込んだ声を出していたのだろうか?
霧咲が電話の向こうでクスクスと笑った。
『そんなに残念そうな声を出さないでくれよ。26日まで会えなくて淋しいのは俺も同じだけどね。……あ、君は帰ってこれないかもしれないのか』
「父の容体によって、ですけど。何日連続で休めるかもわからないので」
『そっか。ねえ、榛名』
「なんですか?」
突然、霧咲の声のトーンが変わった。
『……次に会ったとき、大事な話があるんだ』
「!」
ドクン、と心臓が大きく高鳴った。
『ちょっと込み入った内容だから、電話じゃなくて直接話したいんだよ』
やはり、霧咲は家族のことを榛名に話すつもりでいるのだ。
そして、別れを告げるつもりなのだと……。
「わ、かり、ました……」
震える声で、なんとか返事をする。
『じゃあ、また夜に電話かけれたらかけるね。忙しかったら出なくていいから』
「ハイ」
通話が切れた。やや復活しかけていた食欲は、またどこかに消え失せてしまった。
榛名はパスタを二口ほど食べると、そのまま勘定をしてその店を出た。
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