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飛行機は一時間半ほどで大阪の伊丹空港に着き、榛名は初めての大阪上陸に感動する間もなく霧咲に連れられて、梅田行きのバスに飛び乗った。
「梅田に着いたらタクシーで移動するからね」
「あっ、あの俺、ジャケットくらい買おうかと思ってたんですけど!」
「そんなのいいよ。冬だし、コートを脱がなければ別に変じゃないさ」
会場が暖房の効きすぎで暑かったらどうするんだ、と榛名は思った。
なので別の案も出してみる。
「それか俺、近くのカフェとかファミレスで学会が終わるまで待ってましょうか?」
それが一番現実的な提案だと思った。
医者や学生のフリをして、何か質問でもされたらどうすればいいのかと。
「君を一人にしてまたナンパでもされたらどうするんだ。陽気な大阪人に楽しげに誘われたら君なんかすぐに連れさられてしまうぞ」
大真面目な顔でそう言う霧咲に、榛名は少しだけ呆れた。
「あのぉ、俺は子供でもないしその言い方は大阪の人にすごく失礼だと思うんですけど……」
「そのくらい警戒していた方がいいってことさ。これ以上俺に余計な心配をかけたら君、明後日の夜は自分がどんな目に遭うのか覚悟しておいた方がいいよ」
「あさって?」
今日は大阪には泊まらないのだろうか。
せっかく誤解も解けたことだし、てっきり今日はホテルに戻ったらそういうことをするのだと期待していないと言ったら、嘘になる。
「ああ済まない、今夜俺と寝れないからってそんな残念そうな顔をしないでくれるかい? 明後日はなんでも君の我儘を聞いてあげるから」
「ちょっ、そういうこと公共の場で言わないでくれます!?」
梅田行きのバスの中は満席で、前後左右に客が乗っている。
小声で話していたものの、絶対に周りには聞こえているはずだ。
やはり霧咲はいつもに比べてテンションが高い。
それが自分のせいなのだと思うと、榛名は怒るに怒れなかった。
霧咲は榛名の小言をさらりと流し、申し訳なさそうな声と顔で言った。
「実は今夜のうちに東京に帰らないといけないんだ。その辺はまた後で詳しく説明するけど。愚妹のせいで今夜もひとりぼっちになる姪っ子を、クリスマス・イヴに放置するなんて可哀想なことはできなくてね。本当は君を一番に優先したいんだけど……」
「姪っ子? さっき言ってた……?」
「そうだ。10歳の女の子で、名前は亜衣乃。えっと……君さえよかったら、俺たちと一緒に今夜イヴを過ごしてほしいと思っているんだけど……どうかな? 君に亜衣乃を紹介したい」
それは思ってもいない、嬉しい誘いだった。
けれど榛名はそれよりも、いつも自信満々な霧咲の態度がどことなく消極的なことの方が気になった。
「梅田に着いたらタクシーで移動するからね」
「あっ、あの俺、ジャケットくらい買おうかと思ってたんですけど!」
「そんなのいいよ。冬だし、コートを脱がなければ別に変じゃないさ」
会場が暖房の効きすぎで暑かったらどうするんだ、と榛名は思った。
なので別の案も出してみる。
「それか俺、近くのカフェとかファミレスで学会が終わるまで待ってましょうか?」
それが一番現実的な提案だと思った。
医者や学生のフリをして、何か質問でもされたらどうすればいいのかと。
「君を一人にしてまたナンパでもされたらどうするんだ。陽気な大阪人に楽しげに誘われたら君なんかすぐに連れさられてしまうぞ」
大真面目な顔でそう言う霧咲に、榛名は少しだけ呆れた。
「あのぉ、俺は子供でもないしその言い方は大阪の人にすごく失礼だと思うんですけど……」
「そのくらい警戒していた方がいいってことさ。これ以上俺に余計な心配をかけたら君、明後日の夜は自分がどんな目に遭うのか覚悟しておいた方がいいよ」
「あさって?」
今日は大阪には泊まらないのだろうか。
せっかく誤解も解けたことだし、てっきり今日はホテルに戻ったらそういうことをするのだと期待していないと言ったら、嘘になる。
「ああ済まない、今夜俺と寝れないからってそんな残念そうな顔をしないでくれるかい? 明後日はなんでも君の我儘を聞いてあげるから」
「ちょっ、そういうこと公共の場で言わないでくれます!?」
梅田行きのバスの中は満席で、前後左右に客が乗っている。
小声で話していたものの、絶対に周りには聞こえているはずだ。
やはり霧咲はいつもに比べてテンションが高い。
それが自分のせいなのだと思うと、榛名は怒るに怒れなかった。
霧咲は榛名の小言をさらりと流し、申し訳なさそうな声と顔で言った。
「実は今夜のうちに東京に帰らないといけないんだ。その辺はまた後で詳しく説明するけど。愚妹のせいで今夜もひとりぼっちになる姪っ子を、クリスマス・イヴに放置するなんて可哀想なことはできなくてね。本当は君を一番に優先したいんだけど……」
「姪っ子? さっき言ってた……?」
「そうだ。10歳の女の子で、名前は亜衣乃。えっと……君さえよかったら、俺たちと一緒に今夜イヴを過ごしてほしいと思っているんだけど……どうかな? 君に亜衣乃を紹介したい」
それは思ってもいない、嬉しい誘いだった。
けれど榛名はそれよりも、いつも自信満々な霧咲の態度がどことなく消極的なことの方が気になった。
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