131 / 322
〃
「アキちゃーん! こっちカメがいるよ!なんで水のないところにカメがいるの?」
「え?ああ、それはリクガメっていってね……」
榛名は亜衣乃が呼ぶ方へと行った。掘立小屋の中に設置されてあるストーブの周りには、様々な動物が固まっている。リクガメや、ブタ、ウサギ、ニワトリなど……。
こんなに近くで動物と触れ合える場所に来るのは久しぶりだが、あまり積極的に触る気にはなれない。
「もうまこおじさん! なんでアルパカとばっかり一緒にいるの? こっちにおいでよ、ストーブ暖かいよ!」
「小さい動物が多いエリアは踏みつぶしそうで嫌なんだよ。おじさんは大きいからね」
「踏むとかひっどーい!」
「だからこうやって近づかないようにしてるだろ?」
「あはは」
榛名は楽しかった。亜衣乃は娘というよりも妹のようで可愛いし、霧咲とも一緒に居られる。
明日からは仕事だが、夜にはまた霧咲と会える。火曜日は休みなので、明日の夜もずっと一緒に居ることができる。幸せだなあ、と思った。
――その時だ。
「……なぁ。あれ、霧咲じゃね?」
幼い子供達の中に混じって、確実に榛名達を指していると思われる声が聞こえた。
声の方を見たら、そこには小学生の男子4人グループがいて亜衣乃を指さしていた。
「あ……」
「亜衣乃ちゃん、お友達?」
亜衣乃が声を漏らしたので榛名がそう聞くと、亜衣乃はその場に俯いてふるふると首を振った。
榛名がもう一度男子たちに視線を戻すと、一人がずんずんと近付いてきた。
亜衣乃はさっと榛名の後ろに隠れるが、男子はそんなことはお構いなしに亜衣乃に話しかけてきた。
「おい霧咲! 隠れてんじゃねぇよ。お前俺たちがここの遊園地面白いよなって話してたとき、ガキみたいだって馬鹿にしてたくせになんで来てるんだよ!」
「別にいいでしょ」
「よくねーよ! なんかすげー楽しんでるみたいだし、それなら俺たちを馬鹿にしたこと謝れよ!」
彼は子どもらしいイチャモンを付けてきた。
どうやら亜衣乃はクラスであまりうまくやれてないらしい。
しかし、小学生なんだからガキに違いないのでは……と榛名は思った。勿論、同じ年の亜衣乃が彼らに言うのも間違っているが。
すると亜衣乃は、榛名の後ろから出てきて言い返した。
「ガキにガキだって言って何が悪いのよ、事実でしょ」
「おめーもガキじゃねーかよ!!」
「そうだけど? だから何よ」
亜衣乃はあくまで冷静だった。何かあったら榛名は止めようと思っているが、なんだか口を挟めない。
ふと霧咲が立っていた方を見たが、霧咲はアルパカの側にはもういなかった。
(あれ? どこに行ったんだろ……)
「だから、馬鹿にしたのを謝れって!」
「馬鹿になんてしてないし。そっちが勝手に勘違いしたんでしょ」
「いや、だって! ……え、違ぇの?」
どうやら亜衣乃の方が一枚上手で、激しいケンカには発展しないようなので榛名はほっと安堵した。
すると、亜衣乃に突っ掛ってきた男子の友達がひとり近付いてきた。
「なあタカちゃん、もう行こーぜ。霧咲とはあんまり関わりあいになるなって俺、母ちゃんからうるさく言われてるんだよ」
メガネを掛けた聡そうな男子が、亜衣乃の方を見てヒソヒソと言った。
「え?ああ、それはリクガメっていってね……」
榛名は亜衣乃が呼ぶ方へと行った。掘立小屋の中に設置されてあるストーブの周りには、様々な動物が固まっている。リクガメや、ブタ、ウサギ、ニワトリなど……。
こんなに近くで動物と触れ合える場所に来るのは久しぶりだが、あまり積極的に触る気にはなれない。
「もうまこおじさん! なんでアルパカとばっかり一緒にいるの? こっちにおいでよ、ストーブ暖かいよ!」
「小さい動物が多いエリアは踏みつぶしそうで嫌なんだよ。おじさんは大きいからね」
「踏むとかひっどーい!」
「だからこうやって近づかないようにしてるだろ?」
「あはは」
榛名は楽しかった。亜衣乃は娘というよりも妹のようで可愛いし、霧咲とも一緒に居られる。
明日からは仕事だが、夜にはまた霧咲と会える。火曜日は休みなので、明日の夜もずっと一緒に居ることができる。幸せだなあ、と思った。
――その時だ。
「……なぁ。あれ、霧咲じゃね?」
幼い子供達の中に混じって、確実に榛名達を指していると思われる声が聞こえた。
声の方を見たら、そこには小学生の男子4人グループがいて亜衣乃を指さしていた。
「あ……」
「亜衣乃ちゃん、お友達?」
亜衣乃が声を漏らしたので榛名がそう聞くと、亜衣乃はその場に俯いてふるふると首を振った。
榛名がもう一度男子たちに視線を戻すと、一人がずんずんと近付いてきた。
亜衣乃はさっと榛名の後ろに隠れるが、男子はそんなことはお構いなしに亜衣乃に話しかけてきた。
「おい霧咲! 隠れてんじゃねぇよ。お前俺たちがここの遊園地面白いよなって話してたとき、ガキみたいだって馬鹿にしてたくせになんで来てるんだよ!」
「別にいいでしょ」
「よくねーよ! なんかすげー楽しんでるみたいだし、それなら俺たちを馬鹿にしたこと謝れよ!」
彼は子どもらしいイチャモンを付けてきた。
どうやら亜衣乃はクラスであまりうまくやれてないらしい。
しかし、小学生なんだからガキに違いないのでは……と榛名は思った。勿論、同じ年の亜衣乃が彼らに言うのも間違っているが。
すると亜衣乃は、榛名の後ろから出てきて言い返した。
「ガキにガキだって言って何が悪いのよ、事実でしょ」
「おめーもガキじゃねーかよ!!」
「そうだけど? だから何よ」
亜衣乃はあくまで冷静だった。何かあったら榛名は止めようと思っているが、なんだか口を挟めない。
ふと霧咲が立っていた方を見たが、霧咲はアルパカの側にはもういなかった。
(あれ? どこに行ったんだろ……)
「だから、馬鹿にしたのを謝れって!」
「馬鹿になんてしてないし。そっちが勝手に勘違いしたんでしょ」
「いや、だって! ……え、違ぇの?」
どうやら亜衣乃の方が一枚上手で、激しいケンカには発展しないようなので榛名はほっと安堵した。
すると、亜衣乃に突っ掛ってきた男子の友達がひとり近付いてきた。
「なあタカちゃん、もう行こーぜ。霧咲とはあんまり関わりあいになるなって俺、母ちゃんからうるさく言われてるんだよ」
メガネを掛けた聡そうな男子が、亜衣乃の方を見てヒソヒソと言った。
あなたにおすすめの小説
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~
柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】
人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。
その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。
完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。
ところがある日。
篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。
「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」
一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。
いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。
合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科
空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する
高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体
それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった
至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する
意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク”
消える教師
山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
俺は夜、社長の猫になる
衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。
ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。
言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。
タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。
けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。
魔性の男
久野字
BL
俺はとにかくモテる。学生の頃から、社会人になった今でも、異性問わずにモテてしまう。
最近、さえない同性の先輩に好意を持たれている。いつものことだろう。いい人だから、傷つけたくはないな。
そう、思っていた。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕