運命のひと~生真面目な看護師は意地悪イケメン医師に溺愛される~

すずなりたま

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72 名前で呼んで*

 思わず霧咲の方を振り返った。
 霧咲はもう笑っておらず、真剣な――少し戸惑っているような目で榛名を見つめていた。
 榛名もじっとその目を見つめ返し、自然にその名を呼んでいた。

「まこと、さん……?」

 すると、霧咲の顔がだんだんと近付いてきて……唇と唇が合わさった。

「んっ……」

 1,2秒しか触れていないのに、榛名にはそのキスがまるでスローモーションのように思えた。

「よかった、きみが俺の名前を知っててくれて。ずっと君に名前を呼んで欲しかったんだ」
「な、なんで……?」

 やっとキスをしてくれた嬉しさと、いつもの優しい霧咲に戻ったことに安堵して、榛名の目からは自然と涙が零れ出した。

「何でだって? 君と俺は恋人同士なのに、君がなかなか名前で呼んでくれないからだろう」
「違います! なんでもっと早く言ってくれなかったんですか……っ?」

(名前を呼んで、だなんて)

「こんなの、全然お仕置なんかじゃないです……」

(もしかして、今日の今までの意地悪は全部、コレを言わせるためだった?)

「だって君、恥ずかしがってたんだろ?」
「た、タイミングが掴めなかっただけですよっ」

 一緒に住み始めたら『霧咲さん』はおかしいから、名前で呼ぼうと思っていた。
 少し気恥ずかしい気もしていたが、ここまでされないと呼べないほどのものじゃない。

「なんだ……。けどまあ、お仕置っていうのも本当だよ? 二宮さんのことは本当に寝耳に水だったんだからね」
「その勘違いは、俺だけのせいじゃないですから!」

 霧咲はまたチュ、チュ、と榛名の顔や耳に大量にくちづけてくる。
 榛名も涙を流しながらそのキスを受け入れる。
 さっきは全て自分が悪いと受け入れていたことも、半分は霧咲のせいだ、と言い返せた。

「まあ、それはそうだけどね」

 霧咲も素直に受け取る。そして。

「誠人、さん」
「ん?」
「リング……取ってくれます?」
「……ああ」

 涙で潤んだ目で微笑んで、そのうえ上目使いであざとくお願いしてくる榛名に、霧咲は思わず顔が綻んでしまう。
 しかしそこでまた、霧咲の『好きな子に意地悪したい性質』が再び頭を擡げてきた。
 霧咲はコックリングには手を添えず、両手でがっしりと腰を掴んだ。
 霧咲が予想していなかった動きをし始めたので、榛名の口からは思わず疑問の声が漏れる。

「え? ちょっ……」
「もうちょっと、後でね?」

 卑猥な音を立てながら、霧咲のものがぎりぎりのところまで引き抜かれる。

「ちょ、待って……嘘でしょ……ひあァアッ!!?」

 そして再び、思い切り奥まで貫かれた。
 頼むからリングを外してくれと何回懇願しても、霧咲は外してくれない。
 今はもうお仕置じゃない分、タチが悪いと思った。
 しっかりと腰を抱えられて、バックスタイルで思いきりガンガン突かれる。

「ひあァッ!! もう……だめ、いやァ、だしたっ……出したい……!!」
「君、もう既にナカで何回もイッてるよね? すっごいきゅうきゅう締め付けてくるけど。別に出さなくても、いいんじゃないかっ……?」
「やっ……おねがっ、おねがい、きりさ、誠人さん、はずし、て」
「ふふっ」

 霧咲が楽しそうに囁いてくる言葉は、もう榛名の脳には行き届かない。
 ただ必死で玄関に縋りつき、きっと近所迷惑なくらいに叫んでいる。
 榛名はこれも霧咲の狙いなのだと気付いた。
 マンションで、この付近で、榛名に二度と表を歩けないような大恥をかかせて、早く自分のところに引っ越させようとしているのだ。
 もしかしたら出会ってから今現在まで、自分が気付いていないだけで――既に自分は何らかの霧咲の策にハマっているのかもしれない、と思った。

「もっと俺の名前を呼んで、暁哉」
「まことさん、誠人さんっ!」
「もっとだ」
「誠人さん! まことさっ……! あああッ!!」

 それでもいい。自分が知らない内に霧咲の罠にハマっていて、それで今こんな状況に陥っているのだとしても。
 霧咲と出逢ったことを、彼を愛したことを、一ミリも後悔していないのだから。

「本当に君は可愛い。初めて会った時から、ずっと可愛いよ……」

 霧咲の手が、榛名を拘束しているリングに触れた。

「ひぅ……ううっ、まことさん、まことさん……!」
「暁哉……世界でいちばん、誰よりも君のことを愛しているよ」

 愛を囁く言葉だけは、するりと榛名の脳に素直に浸透していく。
 そしてやっと、霧咲はリングを外してくれた。
 ギチギチに締め付けられていたソレを解放された途端、榛名は叫びながら玄関に向かって勢いよく白濁を飛ばした。

「ひあ、ああああっっ!! ムグッ!」
「夜だから、ちょっと静かにね……」

 霧咲に優しく口を押さえられた声の代わりに涙が溢れ、尖端からは白濁液がだらだらと止まらない。
 以前のように放尿までしているんじゃないか、という錯覚に陥った。
 そして、榛名の悲鳴が収まると手は離された。

「あ……ああああ……っ」
「たくさん我慢したから、射精が最高に気持ちいいだろう? おや、いつのまにか潮まで吹いてるね」

 霧咲の手が、榛名の頭を優しく何度も撫でる。
 顔にも舐めるようなキスをされた。

「はぁっ、あ、き、もちい……」
「じゃあまた、射精管理してほしい?」

 あんなに苦しかったけど……解放されたときの気持ちよさは、今までで一番感じたかもしれない。

「して、欲しい……かも」
「ふふっ、素直で可愛いね。でもまだ終わりじゃないよ、たくさん突いてあげる」
「んあぁっ!」

 霧咲はまだイってなかったので、再び榛名の腰を抱えたまま思いきり腰をグラインドさせた。

「あっ! アッ! ァああ!」

 リズミカルに腰を穿かれ、また自然に声が漏れ始める。
 いったい今は何時頃なのだろうか。
 きっと隣近所の住人は寝静まっているに違いない。
 寝室は防音性が高いものの、玄関はそうとも限らないのに興奮して声が抑えられなかった。
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