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〃
榛名は熱いコーヒーをフーフーと冷ましながら、本題に入った。
「ところで郁、突然久しぶりだから会おうって言いだした理由はそれだけじゃないんだろ? 何かあったの?」
「標準語の榛名、超ウケる」
郁は手を口元にやるとププッと笑った。
そう改めて言われると少し恥ずかしくて、榛名は負けじと言い返した。
「一応これが今の標準装備なんだよっ、笑うな!」
「わ~かってるって! えっとね私、来年の6月に結婚するんだ。榛名にはメールとかじゃなくて直接言いたくてさ……」
突然、少し照れたようにそう報告してきた郁に、榛名は自然と顔を綻ばせて祝った。
「そうなんだ! おめでとう、郁。相手は東京の人?」
「うん、一個年上の会社員。それで友人代表でスピーチよろしくっ」
「……は?」
急な頼まれごとに、思わず目を見開いた。
「だぁって、私の親友っていったら榛名でしょ?」
「ちょおまって、普通新婦の友人代表は女性やろ!? 男がやったら旦那さんが嫌やないと!? 相手の家族だって! ダメやろそれは! いや別にスピーチするのが嫌なんじゃなくてさ……!」
驚きすぎてまた方言が出てしまった。
学生時代の友人の結婚式には何回か招待されているが、さすがに異性がスピーチをするのは見たことがない。
大体、友人といえど新婦の知り合いの男が式に行ってもいいのかすら怪しい。
「ちぇ、この生真面目常識じ~ん! しょうがない、アキホに頼むか」
「そうして、ホントにもう……」
「でも私らの中で一番女子力が高かったのって榛名だよね」
「はあ?」
親友のとんでもない言い草に、榛名はまた耳を疑った。
「だっていつもハンカチとティッシュと絆創膏持ち歩いてたし」
「それは別に女子力じゃないだろ、普通だし……」
「勉強はわりと得意だったけど、体育は苦手だし」
「それは仕方ないだろ、人には得意と不得意があるんだし」
「高校1年のときミスコンで、男のくせにさらっと優勝するし」
「人の黒歴史を思い出させるなー!!」
慌てふためく榛名を見て、郁はニヤニヤと笑う。
当時、身長もまだ160センチそこそこで身体も華奢だった榛名は、女子の制服を着ても全く不自然さはなかった。
最初はただの悪ノリで体育のあとの昼休みに女子に着せられたのだが、化粧もしたらあまりの可愛さに、看護科の女子全員の悪ノリで文化祭でのミスコンに看護科代表で出されてしまったのだ。
ライバルの商業科(ほぼ女子)代表のギャルを負かせてしまったこともあり、その後は男だとバレて散々だった。
ちなみに女子がいない科――自動車科や機械工学科など――の代表も男子が女装していたのだが、榛名ほど可愛くも自然でもなく、単なるウケ狙いで出場していた。
2年になってからは身長も伸びて骨格も男らしくなったので、女装は似合わなくなったが。
「そんなに嫌なら断れば良かったじゃない」
「あんなに毎日女子に囲まれて生活してたらね、恐ろしくて抵抗する気になんかなんないんだよ!」
郁は楽観的に言い、榛名は憮然として答える。
女性に抵抗できないのは若干、今も同じだが。
「ま、榛名って女子に馴染んでたしね~。あ、私あの時の写真東京に持ってきてるよ、今度見る?」
「ぜっっったい、やめて。てか、燃やせ」
「絶対やだ~」
郁は心底楽しそうに笑った。そんな恐ろしいものがまだ存在してるなんて心臓に悪い。
もし霧咲に知られたら……恥ずかしくて死ぬどころの話じゃない。
「男子に一番モテてたのも榛名だしね。アンタが常に誰か女子と付き合ってなかったら絶対男にも告られてたんじゃない? このスケコマシ」
「す、スケコマシって言うな……」
確かに告白されたら誰とでもホイホイと付き合っていたが、すぐに振られるのでコマしていた覚えはない。
それにしても、男子にモテていたなんて初耳だった。
「ところで郁、突然久しぶりだから会おうって言いだした理由はそれだけじゃないんだろ? 何かあったの?」
「標準語の榛名、超ウケる」
郁は手を口元にやるとププッと笑った。
そう改めて言われると少し恥ずかしくて、榛名は負けじと言い返した。
「一応これが今の標準装備なんだよっ、笑うな!」
「わ~かってるって! えっとね私、来年の6月に結婚するんだ。榛名にはメールとかじゃなくて直接言いたくてさ……」
突然、少し照れたようにそう報告してきた郁に、榛名は自然と顔を綻ばせて祝った。
「そうなんだ! おめでとう、郁。相手は東京の人?」
「うん、一個年上の会社員。それで友人代表でスピーチよろしくっ」
「……は?」
急な頼まれごとに、思わず目を見開いた。
「だぁって、私の親友っていったら榛名でしょ?」
「ちょおまって、普通新婦の友人代表は女性やろ!? 男がやったら旦那さんが嫌やないと!? 相手の家族だって! ダメやろそれは! いや別にスピーチするのが嫌なんじゃなくてさ……!」
驚きすぎてまた方言が出てしまった。
学生時代の友人の結婚式には何回か招待されているが、さすがに異性がスピーチをするのは見たことがない。
大体、友人といえど新婦の知り合いの男が式に行ってもいいのかすら怪しい。
「ちぇ、この生真面目常識じ~ん! しょうがない、アキホに頼むか」
「そうして、ホントにもう……」
「でも私らの中で一番女子力が高かったのって榛名だよね」
「はあ?」
親友のとんでもない言い草に、榛名はまた耳を疑った。
「だっていつもハンカチとティッシュと絆創膏持ち歩いてたし」
「それは別に女子力じゃないだろ、普通だし……」
「勉強はわりと得意だったけど、体育は苦手だし」
「それは仕方ないだろ、人には得意と不得意があるんだし」
「高校1年のときミスコンで、男のくせにさらっと優勝するし」
「人の黒歴史を思い出させるなー!!」
慌てふためく榛名を見て、郁はニヤニヤと笑う。
当時、身長もまだ160センチそこそこで身体も華奢だった榛名は、女子の制服を着ても全く不自然さはなかった。
最初はただの悪ノリで体育のあとの昼休みに女子に着せられたのだが、化粧もしたらあまりの可愛さに、看護科の女子全員の悪ノリで文化祭でのミスコンに看護科代表で出されてしまったのだ。
ライバルの商業科(ほぼ女子)代表のギャルを負かせてしまったこともあり、その後は男だとバレて散々だった。
ちなみに女子がいない科――自動車科や機械工学科など――の代表も男子が女装していたのだが、榛名ほど可愛くも自然でもなく、単なるウケ狙いで出場していた。
2年になってからは身長も伸びて骨格も男らしくなったので、女装は似合わなくなったが。
「そんなに嫌なら断れば良かったじゃない」
「あんなに毎日女子に囲まれて生活してたらね、恐ろしくて抵抗する気になんかなんないんだよ!」
郁は楽観的に言い、榛名は憮然として答える。
女性に抵抗できないのは若干、今も同じだが。
「ま、榛名って女子に馴染んでたしね~。あ、私あの時の写真東京に持ってきてるよ、今度見る?」
「ぜっっったい、やめて。てか、燃やせ」
「絶対やだ~」
郁は心底楽しそうに笑った。そんな恐ろしいものがまだ存在してるなんて心臓に悪い。
もし霧咲に知られたら……恥ずかしくて死ぬどころの話じゃない。
「男子に一番モテてたのも榛名だしね。アンタが常に誰か女子と付き合ってなかったら絶対男にも告られてたんじゃない? このスケコマシ」
「す、スケコマシって言うな……」
確かに告白されたら誰とでもホイホイと付き合っていたが、すぐに振られるのでコマしていた覚えはない。
それにしても、男子にモテていたなんて初耳だった。
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