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84 初めての惚気
「ああ、でもほんと勘違いしないでよ? 榛名を彼氏にしたいとか、そういうことを思ったのは一度もないから! 女友達だって彼氏ができたらちょっとさみしいもんなの、それと同じだから!」
「そんなにキッパリ否定しなくてもわかってるよ……」
郁に初めて彼氏ができた時、榛名だって同じように少しさみしいと思った記憶がある。
ただ、郁を他の男に取られたくないと思ったことはない。
「ねえ、相手はどんな人? 画像とかないの?」
「あるよ、ちょっと待って」
榛名はスマホを操作して、霧咲が遊園地でアルパカとツーショットしているお気に入りの画像を郁に見せた。
「こんな人」
「うわっ何このイケメン! 榛名って芋臭いのがタイプじゃなかったと!? 芸能人じゃん! これが医者!? 有り得ない! 反則! ズルイ!!」
榛名は郁のリアクションに笑いつつ、「俺、芋臭いのがタイプとか一言も言ったことないからな」としっかり釘を刺した。
郁は穴が開きそうなくらい、しげしげと霧咲の画像を見つめている。
「……ねえ、ほんとにこの人と付き合っちょっと? 榛名の一方的な片想いで、付き合ってると思い込んでるってオチやないやろうね?」
「失礼だな! ちゃんと愛されてるよっ!」
「どーだか。じゃ、証拠見せてよ」
「証拠!?」
郁は本当に疑っているわけではなく、ただ榛名にノロけさせたいだけなのだが、榛名は誘導されていることに気付いていない。
「本当に付き合ってるなら、愛のこもったメールとかあるでしょ、見せて!」
「なんで証拠なんか……恥ずかしいなもう……ほらっ」
榛名は霧咲に申し訳ないと思いながらも、他の誰でもない郁だからいいか、と先週霧咲から来たメールを見せた。
『おはよう暁哉。今朝は君が隣に居なくてさみしいよ、一体いつ引っ越してくるんだ? 明日は午後から学生の指導があるから、午後の回診は中止だからよろしく。それじゃあ行ってきます。愛してるよ。』
「ほらね、ちゃんと付き合ってるだろ?」
「うん、あのさぁ……ご馳走様」
郁は口元を抑えて真っ赤な顔でプルプル震えている。
笑いを堪えているのは一目瞭然だ。
「は? ……あっ! 郁、騙したな!?」
「気付くのおっそ! あはははは!」
「騙されたぁ~っ! くそっ、悔しい!」
悔しいとは言いつつも、初めての惚気に嫌な気はしない榛名だった。
その後2人は、同級生についての話題で盛り上がった。
郁はFacebookをやっている同級生の近況は分かるらしいが、SNSは何もしていない榛名には驚くことばかりだった。
「そーいえばさ、ミホこないだ子供2人目が産まれてたよ。1人目はもう3歳だって」
「へー! もう2人目かぁ……相変わらず田舎はそういうの早いね」
「ほーんと! 都会にいたら時間の流れが遅くって、帰ったらいつも浦島太郎みたいな気分になるわ」
「ちょっと分かる、それ」
「あとヒトミっていたじゃん! あの子今ナースやめてAV女優やってんだって、ヤバくない?」
「ええ!? あのちょっと暗い感じだったコだよね?」
「うん、ってその反応……もしや榛名、見たわね?」
「見てないし今知ったし! どんな反応だよ!」
軽く昼食も頼んで、結局16時になるまで2人はカフェでお喋りを続けたのだった。
主に郁が喋り、榛名が聞き役で時々突っ込む、それは昔から変わらないスタイルだ。
「そんなにキッパリ否定しなくてもわかってるよ……」
郁に初めて彼氏ができた時、榛名だって同じように少しさみしいと思った記憶がある。
ただ、郁を他の男に取られたくないと思ったことはない。
「ねえ、相手はどんな人? 画像とかないの?」
「あるよ、ちょっと待って」
榛名はスマホを操作して、霧咲が遊園地でアルパカとツーショットしているお気に入りの画像を郁に見せた。
「こんな人」
「うわっ何このイケメン! 榛名って芋臭いのがタイプじゃなかったと!? 芸能人じゃん! これが医者!? 有り得ない! 反則! ズルイ!!」
榛名は郁のリアクションに笑いつつ、「俺、芋臭いのがタイプとか一言も言ったことないからな」としっかり釘を刺した。
郁は穴が開きそうなくらい、しげしげと霧咲の画像を見つめている。
「……ねえ、ほんとにこの人と付き合っちょっと? 榛名の一方的な片想いで、付き合ってると思い込んでるってオチやないやろうね?」
「失礼だな! ちゃんと愛されてるよっ!」
「どーだか。じゃ、証拠見せてよ」
「証拠!?」
郁は本当に疑っているわけではなく、ただ榛名にノロけさせたいだけなのだが、榛名は誘導されていることに気付いていない。
「本当に付き合ってるなら、愛のこもったメールとかあるでしょ、見せて!」
「なんで証拠なんか……恥ずかしいなもう……ほらっ」
榛名は霧咲に申し訳ないと思いながらも、他の誰でもない郁だからいいか、と先週霧咲から来たメールを見せた。
『おはよう暁哉。今朝は君が隣に居なくてさみしいよ、一体いつ引っ越してくるんだ? 明日は午後から学生の指導があるから、午後の回診は中止だからよろしく。それじゃあ行ってきます。愛してるよ。』
「ほらね、ちゃんと付き合ってるだろ?」
「うん、あのさぁ……ご馳走様」
郁は口元を抑えて真っ赤な顔でプルプル震えている。
笑いを堪えているのは一目瞭然だ。
「は? ……あっ! 郁、騙したな!?」
「気付くのおっそ! あはははは!」
「騙されたぁ~っ! くそっ、悔しい!」
悔しいとは言いつつも、初めての惚気に嫌な気はしない榛名だった。
その後2人は、同級生についての話題で盛り上がった。
郁はFacebookをやっている同級生の近況は分かるらしいが、SNSは何もしていない榛名には驚くことばかりだった。
「そーいえばさ、ミホこないだ子供2人目が産まれてたよ。1人目はもう3歳だって」
「へー! もう2人目かぁ……相変わらず田舎はそういうの早いね」
「ほーんと! 都会にいたら時間の流れが遅くって、帰ったらいつも浦島太郎みたいな気分になるわ」
「ちょっと分かる、それ」
「あとヒトミっていたじゃん! あの子今ナースやめてAV女優やってんだって、ヤバくない?」
「ええ!? あのちょっと暗い感じだったコだよね?」
「うん、ってその反応……もしや榛名、見たわね?」
「見てないし今知ったし! どんな反応だよ!」
軽く昼食も頼んで、結局16時になるまで2人はカフェでお喋りを続けたのだった。
主に郁が喋り、榛名が聞き役で時々突っ込む、それは昔から変わらないスタイルだ。
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